日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

息抜きブックレビュー ~ 放送禁止映像大全/天野ミチヒロ

2009-06-16 | ブックレビュー
★「放送禁止映像大全/天野ミチヒロ(文春文庫714円)

今回は少々趣向を変えて息抜きの一冊です。タイトルからもお分かりのように、昭和の時代から現在に至る100以上のテレビ、映画の「放送禁止映像(一部は禁止指定はされていないもののグレーな映像を含む)」を一同に集め、どの作品のどの部分が問題になり現在“お蔵入り”となっているか等々を詳細に解説してくれています。

テレビモノでは、有名どころだけでも古くは「ザ・ガードマン」に始まって「太陽にほえろ」「大都会」「特捜最前線」「西部警察」「必殺シリーズ」「ウルトラセブン」「マグマ大使」「キカイダー」「オバケのQ太郎」「パーマン」「巨人の星」「サイボーグ009」「タイガーマスク」等々、懐かしくもそうそうたるタイトルが目白押し。他にも無名作品や映画モノも多数紹介されています。すべてがすべて放送禁止ではなく、一部音声オミットやモザイク処理、タイトル変更モノなどもありますが、これだけの“問題作品”を一同に会して紹介している書籍は、ちょっと他では見当たりません。

例えば、「ウルトラセブン」では第12話がある差別問題によって永久欠番となっており、映像化はもとより書籍でも一切紹介されていないとか、「新・必殺仕置人」では第二話のみ再放送されていないとか、「オバケのQ太郎」に至っては人種差別問題に抵触する表現から85年以降再作成の映像以外、書籍も含め現在は一切封印されているとか(以上の詳しい理由は本書をご覧ください)。まぁ調べも調べたり、とてつもなく読みごたえのある“息抜き本”であります。

こんなとんでもない大作を書いているのはどんな奴だとプロフィールを見れば、作者は私と同年代の「UMA(未確認生物)研究家」とか。一体何をして食べている人物なのかよく分からないのですが、これだけの放送禁止作品群のほとんどをその目で確認して本書を書いているという、半端じゃないオタッキーぶりにはただただ脱帽です。

放送禁止の大半の理由が「差別表現」によるもので、「差別」に対してまだまだ後進国であった昭和の日本では、今ではとても信じられないような表現を使用した作品がたくさん作られていた訳です。その意味では、ここに掲載の作品たちは現在求められているあるべき「ホスピタリティ」を探る上での“合わせ鏡”のような存在でもあり、また我々が育ってきた戦後復興右肩上がりの昭和時代のひとつの側面を知るいい機会にもなる書籍であると思われます。2005年出版の書籍を加筆・修正して文庫化したもののようですが、関心のある方はぜひ一読を。いろいろためになります。

“息抜き本”につき、点数はつけません。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感心 (haru)
2009-06-18 10:57:12
はじめまして。
時々お邪魔している者です。
守備範囲がお広くていつも感心させられてます。
マネージメント、政治経済、マーケティング、音楽、競馬、今回はオタク文化まで。いろいろ勉強になります。
コンサルタントって大変なんだなってよくわかりました。
ありがとうございます (OZ)
2009-06-19 00:39:44
haruさん、はじめましてこんにちは

おほめのお言葉(かな?)をいただき、ありがとうございます

要はあれこれ気が多いだけですが、確かにコンサルティングには幅広い「知識」(まで達せなくとも最低限「関心」)が求められますね

これからも、一人でも多くの皆さまのお役に立てますようがんばります

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