日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

お知らせ~J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました

2014-03-20 | 経営
中小企業経営者に非常に多い「人が育たない」というお悩み。その根底にあるのは、心構えだったり自覚だったり。となると、たとえ親子でも大人の人間の根底を変えるのは至難の技。それよりも簡単に変えられる自分から変わってみる方が、結果意外に近道なのです。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/03/19199606.html

STAP細胞騒動は、ヘタクソな会議運営を見る思いである件

2014-03-18 | 経営
STAP細胞一連の騒動について、私は自然科学の専門家ではないですし学術界のやり方に関する「常識」も存じ上げませんので、専門領域に突っ込んだ検証は他に譲りつつ、組織メネジメントを専業とする私の立場から1点だけ感じるところを書き留めておきます。

私は商売柄、会議コミュニケーションのあり方や正しい議論の進め方に関してご支援させていただくことも多いのですが、今回のSTAP細胞騒動を見るにどうも議論のポイントが拡散気味で、議論の幹が何であるのかが見えにくくなり、あちらこちらで不要に枝葉の議論が盛り上がっている印象を受けています。これはまるで、議論の進まないヘタクソな会議の典型例と著しく似た状況のようでもあります。

なぜ幹となりうる明確なテーマがありながら議論が本筋からそれることになるのか、と言えば幹に連なる枝葉のテーマが幹と同様に議論参加者の関心を呼び起こすに十分な存在であるケースがほとんどです。すなわち、幹の問題は当然重要で関心の高いものだけれども、枝葉の問題も議論する価値がありそうだ、となると議論を主導するものの意図的な誘導があったり、幹の部分においてはなかなか結論が出ないことのフラストレーションが自然と参加者を別の枝葉議論に導いてしまうということになるのです。

今回のSTAP細胞議論の幹は間違いなく「STAP細胞存在の有無」であるはずです。なぜならば、そもそもこの騒ぎは「万能のSTAP細胞というものが、人為的な作業により存在しうることが発見された」という発表から始まったものであり、今再びこの問題が脚光を浴びている理由は、その発表の信頼をゆるがす事実が明らかになり果たして発表は信頼に足るものであったの否かかこそが問われていることに他ならないからです。

それがどうもいうわけか、話題は論文の切り貼りの問題や、さらには本件とは直接関係のない執筆者の過去の論文における盗用疑惑やら行き過ぎた広報の問題やらにまで、現時点では明らかに枝葉と言える議論が巻き起こっています。現段階では、議論は本来の議論の幹である「STAP細胞存在の有無」に関するものに終始するべきでしょう。有無が明確になりもし「存在しない」という結論が出るのならば、そこから今度は「なぜ、存在するという誤った結論を導き出してしまったのか」という検証に入るべきなのであって、幹の議論の結論すら出ていない段階で本来は結論後の検証事項とされるべき枝葉の議論ばかりが先走って盛り上がっていることには、いささか違和感を禁じ得ないところなのです。

なぜこのような枝葉議論が盛り上がることになってしまったのか。ひとつは、時期を同じくして詐欺師音楽家の正体が暴かれる一件があり、この問題の当事者をこれと同じようなレベル感で捉えようとする野次馬的で至って無知な群衆心理が働いていることがあるように思います。そしてもうひとつさらに重要な問題として、前回のSTAP細胞発見報道時において、幹を外れて枝葉でバカ騒ぎをしてしまったメディアの愚かな報道姿勢があると言えます。やれ割烹着だ黄色い壁だムーミンだと、お騒ぎをしたメディアが自身で抜いたその剣先を疑惑騒動によって収めどころに困ったがための照れ隠し的バカ騒ぎが、幹を外れた枝葉の議論に再度余計な火をつけていると思えるのです。

私には今回の騒動は、企業の会議でよくある社長主導の脇道議論や、簡単には結論に至らないがためのすり替えテーマ議論に、よく似た光景であるなと思えています。ならば、企業経営者にとって今回の騒ぎがどう写っているかによって、社内の議論が枝葉にそれることなく進んでいる企業であるか否かの踏み絵としても使えるのかもしれない、などと思ったりもします。

いずれにしましてもSTAP細胞騒動については、メディアも世間もこれ以上余計な騒ぎを起こすことなく、まず幹である「細胞の存在の有無」に関する第三機関による調査結果を今は静かに待つべきであろうと思います。

マスメディアには「震災復興屋」を見分ける慎重さが欲しいと思う件

2014-03-11 | ニュース雑感
東日本大震災から今日でちょうど三年。いろいろなメディアでこの三年間を検証する試みがなされていますが、私は私の周辺でこの三年間に起き今も続いている、懸念を感じることに関して書き留めておきます。

東北の地は個人的には学生時代を送った場所でもあり、人並み以上の親近感を持って震災復興を見つめてきたつもりではおります(とりわけ何をしたというわけではありませんが)。ビジネスやそれに派生する場面場面で何かお役に立てることがあればと思い、人間関係を紡いだり、微々たるものでも復興のお手伝いになるならと積極的な支援を申し出たり、機会あるごとに様々な形で前向きな対応はさせていただいてきたつもりではおります。

そんな中で、非常に気になることがあります。それは復興支援の名を借りて自己の利益追求を第一にビジネスを展開するいわゆる「復興屋」のことです。復興事業を本業とする民間事業者の方々がすべて悪であると申し上げてしまうのは暴論でしょうが、私が知る限りにおいてはその中における一定の比率の人たちが「復興」を食い物にして慈善事業ならぬ“偽善事業”で私腹を肥やしていると実感しています。

これはあくまで今回の震災復興を私なりに見てみた感想としての持論ですが、復興民間事業とはそもそも震災によって職を失った方々が、新たな生活の糧を得ようと立ち上げたものを除いては、“偽善事業”と言っていいものがかなり多く存在していると思っています。他地域から被災地に乗り込んでここぞとビジネスを立ち上げた人、被災地域の近隣在住で自身は被災により職を失ったわけでもないのに被災地をネタにしてあたかも自身も被災者であるかの如く振舞って商売をしている人。

さらには、被災地の名産品や被災者が仮設住宅などで制作したグッズに大きな利幅を載せて全国販売したり、或いは全く別の場所でそれらを安価に製造して被災地の名を付して全国民の善意につけ込み大量販売して巨額の利益を得ようとしている人…。私はこの三年間で、そういった詐欺師まがいのビジネスを展開している人たちをたくさん見、彼らが近づいて来てはそれが分かるたびごとに決別してきました。私の知り合いで関西で中堅企業を経営される方は、「阪神淡路大震災後の神戸界隈も全く同じであった」と言っています。

彼は自身の経験の中から、「まともな企業家は、自己の本業の中で震災復興に対して何ができるかを考えるでしょう。ボランティア活動は別として、直接の被災者でもない人間が、復興を本業にして生活の糧を得ようなどということ自体が邪な考え方であると、私も震災後のビジネスの中で出会った多くの輩を見て実感しています。復興事業に対する国の援助金目当ての詐欺師も多い。ところが、そんなこともよく調べずに、邪なビジネスを「美談」として祭り上げるマスコミもあり、それがまた新たな“被害者”生むことになるのです。」と話してくれました。

震災から三年、メディアを通じて民間の復興支援活動の数多くが被災地を支援する「美談」として紹介されていますが、大手メディアが報じたその中で私が具体的に知る濁った「復興屋」のビジネスも取り上げられています。「美談」を報じたがる大手メディアの姿勢を真っ向批判するつもりはありませんが、なぜその人がそのビジネスに手を染めているのかという観点からよくよく考えてみれば、怪しいものは自ずと分かるはずなのです。大手メディアの影響力ははかりしれません。復興支援者の善意を踏みにじる「復興屋」の片棒担ぎにならないよう、大手メディアは細心の注意を払って取材をしてほしいと思う所存です。

NHK籾井会長に感じる不快感は、反社なニオイのそれじゃないかと思う件

2014-03-04 | 経営
NHKの籾井勝人会長っておもしろい人ですね。突っつかれるたびに予想外の発言をしてくれます。

まずは、おさらいです。
①事の発端は就任会見で、
「従軍慰安婦はどこの国でもあった」と発言。
②記者から「会長の職はさておきというが、これは公式の会見ですよ」と指摘されると、
「全部取り消します」。
③さらには
「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」。
④後日一連の発言を咎められると、
「言わされた」と。
⑤会長が理事 10 人全員に日付欄を空白にした辞表を提出させていた事が明らかになると、
「一般社会ではよくあること」
とおっしゃられた。
すごいです。

一介の70オヤジの酔った席での戯言ならまだしも、これすべて三井物産副社長→日本ユニシス社長という輝かしいご経歴の持ち主が公式の場でご発言されたご見解です。私的には本人の信頼感失墜や人物評価下降はともかくとして、以前いらした会社の名誉に傷がつくのではないかと心配になるところです。きっと取材も殺到して、広報担当はてんやわんやの大騒ぎなのではないでしょうか。

私の職業的な立場から最も気になるのは、籾井さんが「一般社会ではよくある」とおっしゃっている日付欄を空白にした辞表の提出のくだり。「よくある」=「よく見てきた」または「よく経験してきた」ということになるのでしょうから、ご発言を額面通りに受け取るなら、「三井物産や日本ユニシスでは当たり前のことだったよ」と言っているように聞こえてしまうのですが、その理解でよろしいのでしょうか。

これが明確にコンプライアンス違反(単なる法令違反という意味ではなく)であるかいなかの判断は難しいところではありますが、私が受けた印象はどうも「ヤ」の付く職業の方々の世界にありそうな「兄貴に命預けます」的「親分・子分の契り」みたいな感じがしております。その意味では、なんとなく“反社なニオイ”というものが漂ってきたりするわけなのです。

そうやって考えてみると、
①は、手入れにあった組の者が、警察に「あんだよ!俺たちだけじゃねーーだろ、なんで手入れなんだよぉ」と食ってかかる姿にも思えなくありません。
②は、よくあるそのスジの方々の「ちゃぶ台返し」と言われる手法。都合が悪くなると、「あーもう止めだ止め!終わり、終わり!」ってケツをまくるあれです。

③は、上位組織に対する忠誠心。そのスジの方々の上に対する忠誠心たるや素晴らしいですよ。うちの店の近くにもその関係のオフィスがありまして、毎月第一月曜日午前中に組長会議(?)があるらしく白いベンツやらクラウンやらが大挙してやってくるのですが、その序列の絶対性たるや素晴らしい。親分連中もさらに上位には絶対服従の姿勢で接しています。直接インタビューしたことはありませんが、きっと「上が右と言うことを左と言うわけにはいかねーだろ!」と答えるに違いありません。

④の「他人のせい」も得意技。自分が責められようものなら、「オメーの態度が悪いからだ!」と逆ギレしたり、他人の落ち度を入念に探して「あいつがあんなことしやがったから、俺がこんなことをしなくちゃいけねーハメになったんだ。恨むなら奴を恨みな」なんていう感じは、実際にはお目にかかってはいませんが、映画なんかで出てくる業界の方々がよく口にしているセリフですね。

これで分かりました。私がどうも籾井さんに感じていた不快感は恐らく、反社会的勢力に感じる不快感だったんですね。理由が分かって少しスッキリしました。あ、冒頭の一文、訂正しておきます。

NHKの籾井勝人会長って恐ろしい人ですね。突っつかれるたびにヤクザな発言をしてくれます。