NTTドコモの坪内副社長が、SankeiBizのインタビューに答えiPhone取り扱いに関して、「態勢は整った。いつ出すかが問題」と発言し話題になっています。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130826/bsj1308261001007-n1.htm
「もうそんな話どうでもいい」と一部読者からは辛らつなコメントをいただきそうな気もしますが、ドコモのiPhone取り扱いは引き続きその動向によって業界シェアに大きな影響を及ぼす可能性のある問題であり、拙ブログとしてはこれまでこの問題を追い続けてきた立場上からも再度触れずにはおけないところであります。今回の注目は坪内社長の、今までのドコモとは明らかにトーンが異なる「態勢は整った。いつ出すかが問題」発言の真意です。
◆「態勢は整った」について
拙ブログでも何度となくiPhone取り扱いの問題点を取り上げてきましたが、やはり表向きの「態勢」とは、携帯メーカーを減らしiPhone取り扱いに向けiPhoneに向けたシェアの整理をしておきたいという点がその最大のものであったと思います。2~3年前のiPhone一人勝ち的な風潮における国内弱い者連合の状況下でドコモがiPhone取り扱いをスタートするなら、国内メーカー総倒れにもなりかねない状況にあったわけで、できれば2~3社にやんわり引導を渡したい。その意味においてドコモが初めて打ち出した「ツートップ戦略」は、メーカー淘汰の呼び水になりました。
もちろんこの戦略が可能になった背景には、アベノミクス効果による急激な円安傾向が大手家電、IT各社の救世主になったという業績の好転があります。ここぞドコモにとってメーカー淘汰をするには千載一遇のチャンスとばかりに、「ツートップ戦略」というこれまでのメーカー各社との蜜月関係に一方的にな終止符を打つ、ある意味非常にエゲツない戦略を打ち出したわけです。結果、NECのスマホ撤退、パナソニックの新機種凍結といった形で思惑通りの展開になったのです。
もうひとつの「態勢」は、アップルが要求しているドコモにおけるiPhoneの販売ノルマの件です。そのシェアは5割というのがもっぱらですが、ドコモ側が公言してきた可能シェアは2~3割。しかしツートップ戦略によりツートップの販売比率が全体の6割を超えるという予想以上の淘汰伸展がドコモに譲歩の余地を生んだと見ます。またiPhoneに一時期の勢いがなくなったアップルにも多少の譲歩はあっても不思議ではなく、ドコモのアッパーライン3割とアップルのロウワーライン5割の間の数字に両社が歩み寄ることで、アップル側の要求に応える「態勢」が整ったと見るのが自然ではないでしょうか。
さらに冬の戦略として予定されている「スリートップ戦略」からは、サムスンのギャラクシーが外れる予定とか。そもそもiPhoneを持たないドコモが、その対抗商品として世界シェア№1のギャラクシーをツートップに据えたわけで、本丸iPhoneが手に入るならギャラクシーはお役御免。さらに、海外製品シェアの「態勢」から考えても、iPhone導入後もギャラクシーをトップラインアップに据え続けることはむしろデメリットであるわけです。ここにきてのいきなりの“ギャラクシー外し”は、iPhone導入の「態勢」をにらんだ複線とみるのが妥当であるように思います。
◆「いつ出すかが問題」について
さて上記のような「態勢」が整ったとすれば、「いつ出すかが問題」という発言は額面どおりに「すぐには難しい」と受け取っていいのでしょうか。「態勢」が整っているのならすぐにでもやりたいのがドコモの本心のハズです。
ドコモが取り扱い開始時機を考える場合の「問題」は、①他メーカーへの配慮、②今後のスケジュール、③他通信キャリアへのけん制、でしょう。①および②に関しては、過去のアップルの新製品投入時期をみると6月か9~10月です。6月はボーナス商戦真っただ中、9~10月はボーナス商戦まで若干余裕のある時期であり、既存メーカーへの配慮をするなら9~10月秋の投入がベターのハズです。今回を見送りもし次の「iPhone6」発表が6月ならボーナス商戦ど真ん中であり、もし9~10月なら1年先になってしまいます。こう考えると、「いつ出すかが問題」の発言真意は、「問題はあるけど、今やりたい」ではないかと思えてきます。
さらに③。ドコモのiPhone取り扱いが与える利用者へのインパクトはさておき、iPhone販売で先行するソフトバンク、auにとっては由々しき事態であることは間違いありません。ドコモとすれば、相手に迎撃に向けた準備期間を与えることなくできれば寝首をかきたいわけで、「いつやるの?」に対するこのところの死んだふりから一転いきなりこの9月に「今でしょ!」と立ち上げるのが戦略的にもベターであるように思えるのです。
このように、坪内副社長の「態勢は整った。いつ出すかが問題」発言を読み解いてみると、今回のiPhone5S発表時に合わせたドコモのiPhone取り扱いがかなり濃厚なのではないかと思えるわけです。この問題を毎度追いかけている日経新聞が「今回は見送られる公算」と報道している点も、「買うと来ない、買わないと来る」下手な競馬予想のようでまたまたハズしてくれるのではないかと。果たして「いつ売るの?」「今でしょ!」となるのか否か、9月10日新型iPhoneの発表を待ちましょう。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130826/bsj1308261001007-n1.htm
「もうそんな話どうでもいい」と一部読者からは辛らつなコメントをいただきそうな気もしますが、ドコモのiPhone取り扱いは引き続きその動向によって業界シェアに大きな影響を及ぼす可能性のある問題であり、拙ブログとしてはこれまでこの問題を追い続けてきた立場上からも再度触れずにはおけないところであります。今回の注目は坪内社長の、今までのドコモとは明らかにトーンが異なる「態勢は整った。いつ出すかが問題」発言の真意です。
◆「態勢は整った」について
拙ブログでも何度となくiPhone取り扱いの問題点を取り上げてきましたが、やはり表向きの「態勢」とは、携帯メーカーを減らしiPhone取り扱いに向けiPhoneに向けたシェアの整理をしておきたいという点がその最大のものであったと思います。2~3年前のiPhone一人勝ち的な風潮における国内弱い者連合の状況下でドコモがiPhone取り扱いをスタートするなら、国内メーカー総倒れにもなりかねない状況にあったわけで、できれば2~3社にやんわり引導を渡したい。その意味においてドコモが初めて打ち出した「ツートップ戦略」は、メーカー淘汰の呼び水になりました。
もちろんこの戦略が可能になった背景には、アベノミクス効果による急激な円安傾向が大手家電、IT各社の救世主になったという業績の好転があります。ここぞドコモにとってメーカー淘汰をするには千載一遇のチャンスとばかりに、「ツートップ戦略」というこれまでのメーカー各社との蜜月関係に一方的にな終止符を打つ、ある意味非常にエゲツない戦略を打ち出したわけです。結果、NECのスマホ撤退、パナソニックの新機種凍結といった形で思惑通りの展開になったのです。
もうひとつの「態勢」は、アップルが要求しているドコモにおけるiPhoneの販売ノルマの件です。そのシェアは5割というのがもっぱらですが、ドコモ側が公言してきた可能シェアは2~3割。しかしツートップ戦略によりツートップの販売比率が全体の6割を超えるという予想以上の淘汰伸展がドコモに譲歩の余地を生んだと見ます。またiPhoneに一時期の勢いがなくなったアップルにも多少の譲歩はあっても不思議ではなく、ドコモのアッパーライン3割とアップルのロウワーライン5割の間の数字に両社が歩み寄ることで、アップル側の要求に応える「態勢」が整ったと見るのが自然ではないでしょうか。
さらに冬の戦略として予定されている「スリートップ戦略」からは、サムスンのギャラクシーが外れる予定とか。そもそもiPhoneを持たないドコモが、その対抗商品として世界シェア№1のギャラクシーをツートップに据えたわけで、本丸iPhoneが手に入るならギャラクシーはお役御免。さらに、海外製品シェアの「態勢」から考えても、iPhone導入後もギャラクシーをトップラインアップに据え続けることはむしろデメリットであるわけです。ここにきてのいきなりの“ギャラクシー外し”は、iPhone導入の「態勢」をにらんだ複線とみるのが妥当であるように思います。
◆「いつ出すかが問題」について
さて上記のような「態勢」が整ったとすれば、「いつ出すかが問題」という発言は額面どおりに「すぐには難しい」と受け取っていいのでしょうか。「態勢」が整っているのならすぐにでもやりたいのがドコモの本心のハズです。
ドコモが取り扱い開始時機を考える場合の「問題」は、①他メーカーへの配慮、②今後のスケジュール、③他通信キャリアへのけん制、でしょう。①および②に関しては、過去のアップルの新製品投入時期をみると6月か9~10月です。6月はボーナス商戦真っただ中、9~10月はボーナス商戦まで若干余裕のある時期であり、既存メーカーへの配慮をするなら9~10月秋の投入がベターのハズです。今回を見送りもし次の「iPhone6」発表が6月ならボーナス商戦ど真ん中であり、もし9~10月なら1年先になってしまいます。こう考えると、「いつ出すかが問題」の発言真意は、「問題はあるけど、今やりたい」ではないかと思えてきます。
さらに③。ドコモのiPhone取り扱いが与える利用者へのインパクトはさておき、iPhone販売で先行するソフトバンク、auにとっては由々しき事態であることは間違いありません。ドコモとすれば、相手に迎撃に向けた準備期間を与えることなくできれば寝首をかきたいわけで、「いつやるの?」に対するこのところの死んだふりから一転いきなりこの9月に「今でしょ!」と立ち上げるのが戦略的にもベターであるように思えるのです。
このように、坪内副社長の「態勢は整った。いつ出すかが問題」発言を読み解いてみると、今回のiPhone5S発表時に合わせたドコモのiPhone取り扱いがかなり濃厚なのではないかと思えるわけです。この問題を毎度追いかけている日経新聞が「今回は見送られる公算」と報道している点も、「買うと来ない、買わないと来る」下手な競馬予想のようでまたまたハズしてくれるのではないかと。果たして「いつ売るの?」「今でしょ!」となるのか否か、9月10日新型iPhoneの発表を待ちましょう。