日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

社長の優秀さは「もろ刃の剣」~J-CASTさん、拙連載更新されました

2014-10-29 | 経営
J-CASTさん、拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。社長の優秀さは部下育成においてはもろ刃の剣であるというお話です。世のカリスマ社長、一代で会社を大きくした社長は要注意です。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/10/29219411.html

マクドナルド・ブランド再構築への道~AllAboutさん拙担当コーナー更新されました

2014-10-24 | 経営
AllAboutさん拙担当コーナー「組織マネジメントガイド」更新されました。上場来初の営業赤字の見通しを発表した日本マクドナルド。中国産鶏肉偽装事件の後遺症は重いようです。言ってみればマクドナルドのブランドイメージの失墜。ブランド崩壊と再構築の観点から、マクドナルドを見てみました。

こちらからどうぞ。
http://allabout.co.jp/gm/gc/448136/

小渕前大臣に学ぶ「不祥事対応」のセオリー

2014-10-21 | 経営
小渕優子さん、昨日大臣職を辞任しました。政治の世界ですからいろいろ事情はあるようですが、私の専門領域ではないので本題としては取り上げません。私の職業的関心事は、今回の件を「不祥事対応」の観点から見た場合の対処についてです。不祥事そのものの良し悪しの問題とは離れて、「不祥事対応」としてはなかなか勘どころの良い対処だったのではないかと思っています。企業の「不祥事対応」の手本にもできそうなので、少し触れておきたいと思います。

最近時は企業不祥事発生時の謝罪意見は定番になりつつあり、また会見を含めた「不祥事対応」のまずさからマスコミの集中砲火を浴び、再起不能とも言えるほどのダメージを被る企業も間々あります。とにかく、「不祥事対応」が下手な企業が多すぎるのです。そんなこともあって、私個人としては「不祥事対応」のあり方をまとめてみたりもしています(http://allabout.co.jp/gm/gc/447264/)。

そんな中、今回の小渕優子さん一連の「不祥事対応」を見ていて、実にセオリーに忠実に基本を踏まえた的確な危機管理広報をしていたと感じさせられました。しつこいようですが、あくまで「不祥事対応」限定の話です。杜撰な事務所の会計処理を肯定する気はさらさらございません。ただ、私が「不祥事対応」のポイントとした点を、ほぼほぼクリアしていることには若干の驚きも感じています。以下具体的に。

まず「不祥事対応」の基本として、その1は「迅速さ」です。
事の発端は16日発売の週刊新潮のスクープ。この記事が出るや否や、予算委員会で16、17日連日集中砲火を浴びることになります。「迅速さ」という意味で言えば、とりあえず逃げず、「調査中につきノーコメント」とせず、とりあえずその時点で答えられる範囲で質問には回答するという姿勢を貫きました。ここで「調査中につきノーコメント」を貫いてしまい、マスコミの“書き得”となって失敗するケースも多々あるだけに、この対応は基本中の基本です。もちろん、大臣ですから答えるのが当たり前と言われればそれまでの話ではありますが。

その2は「自己の責任を認める」。
新聞記者対応も、きっちりとこなしました。委員会の席上、新聞記者対応共に、詳細は調査中で自分も全く分からないとしながらも、「知らなかったで済まされる問題ではない」と野党議員やマスコミから出されそうな批判の機先を制するかのような発言は、「批判の趣旨はよく分かっています」「知らぬこととはいえ、私の責任は十分感じています」という姿勢を示した意味で、批判懐柔にはそれなりに有効な発言であったと思われます。

企業の不祥事対応においても最も多い失敗は、会見にトップが顔を出し渋ることで逃げる、トップが自己の責任に言及せず責任を担当になすりつける、などの姿勢に対して強烈な批判をされ、不祥事そのもの以上に事後対応のまずさで印象を悪くし、マスコミ経由で世論の総スカンを食らうケースです。その意味では、そういった失敗に陥らないよう十分に配慮をした対応であったと言えると思います。

その3は「会見に3点セットをそろえる」です。
私は、不祥事会見には「3点セット」をそろえることが重要と常々お話ししています。「3点セット」とは「謝罪」「原因究明」「再発防止」に対する考え方です。もちろん、「原因究明」「再発防止」に関しては、会見の段階で明確化されているケースはほとんどないので、それぞれに対する前向きな取り組み姿勢を示すことが重要になります。

「謝罪」という点では、受け止め方は個人差はあるかとは思いますが、真摯な姿勢を示していたと私は思いました。真摯と受け止めたのは、基本的に「知らなかったこととは言え、自己の事務所の不祥事は私の責任。申し訳ありません」という姿勢を前面に出したという点です。特に優れた「謝罪」であったとは思いませんが、人のせいにしない、言い訳しない、はどんな時も「謝罪」の基本であり、基本に忠実な対応であったと思います。

「原因究明」に関しては調査中としながらも、一連の流れについて、具体的な資料を提示しながら自分が調べたことをつぶさに説明し、疑惑を持たれていることは事実であると認めた上で、「原因究明」に務める姿勢を強調しました。ここでのポイントは、会見時点で原因が分からなくとも、不祥事発生までの経緯を事細かに説明するなど原因究明に向けての努力姿勢を示すことは、不祥事を起こしてもなお反省の下立ち直ろうとする前向きな印象を与えることになり、ここでもセオリーを守った対応であったと思われます。

「再発防止」。見ている者からすれば「原因説明」と同等あるいはそれ以上に関心のある部分がここです。最近時のキーワードは、「第三者の目」「第三者委員会設置」等第三者を入れるという姿勢。それによって、手加減なく原因を突き止め厳然たる再発防止に努めますという姿勢を見せることに尽きます。小渕さんは会見で、「弁護士や税理士などの第三者を入れて」という点を強調しています。この点でも基本に忠実、セオリーを守った対応でありました。

以上、小渕さんの不祥事対応を企業の危機管理広報の参考に取り上げてみました。
ここまで小渕さんの不祥事対応を肯定的に捉えてきましたが、不祥事対応は謝罪会見、引責辞任で終わりではありません。問題の調査結果と具体的な再発防止策を、いかに迅速に自主的な姿勢で開示させ、見る者の納得を呼びこむことができるか。それが不祥事対応の最終着地点であり、小渕さんの政治家としての復権もそこをいかに真摯に対処できるかにかかっていると思います。

実際のところ、企業ではそこまできっちりとできている例は少ないのです。もちろん、喉元過ぎればで、マスコミも国民も時間がたてば企業の不祥事そのものを忘れてしまうという流れもあるでしょう。しかし政治家は、国民によって選ばれ国民の税金を活動資金の一部としている以上、それではいけません。小渕さんの、今回の不祥事対応の着地がいなかるものになるのか、注目して待ちたいと思います。

会社が社長の器を越えていくために必要なこと~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-10-16 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。企業の飛躍に不可欠なものとして、ルーチンワークの仕組み化があります。組織が社長の器を越えて大きくなるために、社長が越えなくてはいけないハードルなのです。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/10/15218358.html

やっぱりおかしい交通取締のあり方

2014-10-11 | その他あれこれ
今年もやっておりましたね、秋の交通安全週間。となると例のお話です。このネタはもう何回目でしょうか。とりあえず、おかしいと思うことが是正されるまでは書き続けるつもりでいます。

先週のことだったと記憶しています。自宅近くのショッピングモールに買い物に出たのですが、帰り道脇出口を出てその前の横断歩道を渡ろうとした時に右方向から速度を落とさずに走ってくる1台の車。とりあえず、危険を犯してまで無理にわたることもないので、通り過ぎるのを待とうとやり過ごしたその時、その先の物陰から1台のバイクが。そう白いサイレン付。

「あ、交通安全週間か!しまった。汚ったねーな、あいつ!」。うっかり私が犠牲者を作ってしまいました。横断歩道を渡ろうとしている者がいる場合に、車両はその手前で一時停止義務があるという交通法規違反でのキップ切りです。自分が捕まったわけではないのに、この気分の悪さと言ったらありません。捕まった人はなおさらでしょうね。

ここは見通しのいい直線道路です。横断歩道で立ち止まった私が、別に危ない思いをした訳じゃないけど、違反は違反ということなのでしょう。もちろん、立ち止まらずに「歩行者優先だから」と歩き出していれば危ない思いをしたかもしれませんし、もしかすると接触事故にあっていたかもしれません。でも現実には、違反事項の対象となる私の身に危険は及んでおらず、ドライバーに対して不平不満もありません。

それにしてもおかしくないですか。白バイが見通しのよい道路に出て一時停止違反をけん制していれば、ほとんどのドライバーは一時停止をするハズです。すなわち、その車の違反行為は未然に防げる。私が仮に立ち止まらずに歩いていても、危険は回避できるわけです。なのに、白バイは確実な安全確保策を放棄して、物陰からのぞき見し違反行為が行われることを容認していた。言ってみれば、歩行者である私の安全確保を後回しにして、違反を起こさせ捕まえることを優先したわけです。

チカン多発地域で、物陰に隠れて女性が襲われるのを待って逮捕する警官と同じです。普通は、痴漢出没を未然防止するために頻繁にパトロールして、痴漢出没に対する抑止効果を働かせようとするのが市民生活の安全を守る警察のあるべき職務姿勢のはずであり、現実にそうしているのだと思います。ところが、交通法規違反は違うのです。

違反を未然防止して歩行者の安全性を確保するではなく、物陰に隠れてのぞき見し違反を起こさせ捕まえる。どう考えても、おかしいとは思いませんか。事故の未然防止を最優先で考えるのなら、痴漢防止で目立つようにパトロールする警官と同じように、自己多発地域で目立つように白バイなりパトカーなりを配備して、交通法規違反をけん制するのがスジではないのでしょうか。交通法規違反を未然防止しないで違反をのぞき見容認することで、重大な事故を引き起こすリスクだって当然あるのですから。

捕まったドライバーはもとより、その原因を作ってしまった歩行者までが気分の悪い思いをする。警察内部に詳しい方の話によれば、反則金のノルマがあるらしくそのために違反が多そうな場所では隠れて反則金を稼いでいる、のだとか。特に交通安全週間は徴収強化期間なのだと。そもそも、違反金徴収にノルマっておかしいでしょ。警察による交通取り締まり活動の本来の目的との乖離、それをやることによるあるべき職務からの逸脱、市民生活における安全確保の劣後、等をもっとしっかり問いただす必要があると思うのです。

毎度毎度、訴えかけていますがこの問題は一向に改善される兆しすらありません。ぜひマスメディアはじめ大きな声の皆さんは、交通違反取り締まりにおける本末転倒の問題を、もっともっと積極的に取り上げて欲しいと思っています。できることなら、春秋の交通安全週間に、大々的に交通取締本末転倒阻止週間としてぶつけていただきたい。警察のこのやり方はどう考えてもおかしい。私はそう思っています。

ダイエーを崩壊に導いたふたつの誤算~AllAboutの拙担当コーナー更新されました

2014-10-10 | 経営
AllAboutの拙担当コーナー「組織マネジメントガイド」更新されました。ダイエーがイオンの完全子会社化され、その名を消すことになりました。一時期流通革命とまで言われ、隆盛を極めたダイエー没落の陰にあったマネジメントの誤算を解説します。

こちらからどうぞ。
http://touch.allabout.co.jp/gm/gc/447725/

「辞めたヤツを見せしめ」に社員の反応は?~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-10-08 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。サイバーエージェントの藤田社長が、プロジェクトリーダーを同業他社に引き抜かれ怒りをぶちまけた件が話題になっていましたが、似たようなケースで「競業避止」を盾に辞めた社員を見せしめにしようとした社長がいました。その時、社員の反応は?

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/10/08217793.html

みずほ銀行が賃上げよりも前にすべきこと

2014-10-03 | 経営
メガバンクのみずほ銀行が、この春の業績の過去最高益の更新を受けて労働組合の要求もないまま給与を一律0.5%上げることを決めたそうです。年度の途中で給与を上げるというのは極めて異例です。報道によれば、業績好調のこの機会に巨額の赤字を計上した12年前に大幅削減した給与を戻し、新卒採用に向けて競合メガバンクとの給与面での不利を解消するのが狙い、とか言われております。

一般的に利益が上がったから給与を上げますという他社の話によそ者が文句を言う筋合いはないのですが、このみずほ銀行の賃上げに関しては異論大いにありであります。皆さん、お忘れではないでしょうか。みずほ銀行は東京電力の準メインバンクで、同社に対して現在も約7000億円の融資残高があるのです。金利を仮に1%としても、年間70億円が東電から支払われているのです。

先日、川口市の鋳物工場の経営者にお話をうかがう機会がありましたが、嘆いておりました。「東京電力を政府が生きながらえさせたおかげで、電気料が引き上げられてどうにもならない。早く何とかしてくれ!」と。鋳物製造は膨大な電気を消費する産業です。彼の話によれば、電気料金は福島の原発事故前に比べ17%も上がってしまったそうで、これは当然製品価格にはねるわけで、このため仕事が電気料金が比較的安定している九州の企業にどんどん取って替わられているのだそうです。

まさしく死活問題です。思い出してください。なぜ東京電力は料金値上げをすることになったのか。政府の命によって大株主である大企業と取引銀行を守るための東電再生計画を策定するに際し、東電に黒字計画を描かせるための収入確保として電気料金の値上げという納得し難い利用者負担を強いたのです。

一言で言って、理不尽極まりない利用者責任押し付けの東電再生策。本来であれば、まず株主責任を、そして金融機関の貸し手責任を優先して追及すべきところが、政府と東電の大株主である大手企業と融資のお主な出し手であるメガバンクとの癒着関係により彼らの利益を優先し、何の罪もない東京電力の利用者にその再生に向けた負担を強いるという、まれにみる不条理なやり方をしてきたのです。

先の鋳物工場経営者は、「ふざけるなと言いたい。東電にも、その大株主企業にも、取引銀行にもです」と怒りが収まることはありません。しかしそんな状況をすっかり忘れたかのような、今回のみずほ銀行のとぼけた賃上げ報道。関東圏で電気料金の値上げに苦しむ企業の皆さんは、同じ怒りの思いでいるに違いありません。

賃上げをする余裕があるのなら、率先して貸し手責任を全うすべく債権放棄を申し出、その分の金利負担を軽くすることで利用者負担を少しでも緩和することに資するべきではないでしょうか。たまたま今回みずほ銀行が社員の賃上げという寝ぼけたことを発表したので焦点をあてたわけですが、他のメガバンクとて好決算は同じであり、過去最高益などと浮かれていないでこの機会にこそ東電に対する責任を全うすべきという立場にあるのは言わずもがなです。

マスコミもなぜこの点を突っ込み騒がないのか、健忘症がひどすぎませんか。あれだけ政府方針により東電を生きながらえさせた時には、株主責任、貸し手責任と騒いでいたのに、のど元過ぎればなんとやら。今回のみずほ銀行の賃上げを批判的視点皆無の完全容認姿勢で報道をしているという、マスコミの脳天気さ加減にも呆れてしまいます。

組合からも要求されていないみずほ銀行の今回の賃上げは、東電の株主でありかつ主要取引銀行であるという立場から考えて、公共性を帯びた事業体である銀行の企業モラルとして許されざることであると力を込めて訴えたいと思います。政府は理不尽な電気料金値上げに苦しむ中小企業の実情をもっとしっかりと把握し、自己中心的にアベノミクス効果を謳歌する銀行に対してその社会的責任の観点から襟を正すべき厳しい指導をするべきなのではないでしょうか。みずほ銀行の非常識な行動を見るに、元銀行に籍をおいたひとりの人間として恥ずかしい限りであります。