日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ブックレビュー「残念な人の思考法/山崎将志」

2010-08-19 | ブックレビュー
★「残念な人の思考法/山崎将志(日経プレミアシリーズ・850円)」

もう発刊から結構経っています(今年の4月刊のようです)。出た当初に立ち読みして、印象がイマイチだったので見送っていたのですが、だいぶ売れているようなので読んでみることにしました。「残念な人」とは、代表格は「勉強はできるのに使えない輩」。もっと具体的には、「東大卒なのに成果がでない社員」とか「行列ができているのに儲からない店」などのことです。要するに“ちゃんとしていそうなのに、なんとなくハズしている奴”のことですよね。なぜ“ハズす”のか。行動が「的を得ていないから」です。「的を得ていない」とは、要は「誤ったプライオリティの下、動いている」ということなのです。本書はすなわち「プライオリティ思考」の解説本ということのようです。

主に具体例を中心に話は進んでいきます。いろいろな場面で、読む側も遭遇したことがあるであろう人や会社やお店のエピソードになぞられて、プライオリティとは何であるのか、プライオリティをどう持つべきなのか、について分かりやすく説明をしてくれています。内容的には決して目新しいテーマではないのですが、プライオリティという視点でビジネスパーソンのあるべき行動を規定し、それを誤ると「残念な人」になってしまうという流れで全編すすんでいきます。

言っていることは正論ですし、切り口は至ってコンサルタント的でもあります。しかしながら全体の流れはイマイチよろしくない感じが・・・。起承転結が明確でないと言うのでしょうか。なんとなく羅列に終始してしまっていて、途中からは「今、何の話でこのエピソードは出てきているんだっけ?」と、ところどころ読んでいてスーッとは入っていかないもどかしさが感じさせられる気もしました。でも売れています。既に8刷、今はもっといっているのかもしれません。「残念な人」という、ややタイトルの勝利的な感もあるようにも思えます。喰い付きのよろしいタイトルづけには感心です(例えば「プライオリティ力を鍛える」みたいなタイトルだったら、きっと売れなかったろうなと思う訳です)。

著者のことはよくは存じ上げません。もちろん「残念な人」であるはずはないのですが、語り口に“若さ”を感じさせられたりもします(著者の正確な年齢は存じ上げませんが)。コンサルタント野口吉昭氏あたりも最近は似たようなテーマで著作を出されているのですが、野口氏ほどの主張の“こなれ感”に乏しいというのでしょうか・・・。これは本人の資質の問題ではなく、やはり人生経験のなせる技もある訳で。本書は著者の今までの著作とはやや毛色が違うモノにチャレンジされたようなのですが、もしかすると年齢的に時期尚早であったのでは、と思わされもしました。もちろん、言っていること、力説されていることは十分価値のある話であるとは思いますが・・・。だから売れてもいる訳で。
この手の本は“こなれ感”も大切なので、私の評価はちょっと辛目に10点満点で6点とします。

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