日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ブックレビュー~売れ筋2冊比較 その1

2010-12-13 | ブックレビュー
ブックレビューをサボっていたので、書きたい本がたまっています。とりあえず、最近売れているジャンルの近い2冊を比較も含めてとりあげます。まず1冊目。

★「怒らない技術/嶋津吉智(フォレスト出版900円)」

初版が7月、11月現在の店頭本で確認したところ既に21刷。相当読まれています。中身はいわゆる「成功本」の類です。よくあるのは、「口癖」を修正したり、将来に対する考え方を改めたり、自分自身の考え方を矯正したり…。この本は、他人との関係の中で相手から受けるものに対して自分の感情をコントロールすることをよしとして、それが「人生をいい方向に導く」コツであると説いています。人が持つ感情の中で、「怒り」という一番激しく後味も決して良くない感情を代表例としてタイトルに冠して目立たせていますが、要は感情の起伏を抑えることで周囲に影響されない「ブレない」自分を作り上げることが成功への近道であると説いた本であると言っていいでしょう。この主題の観点は至って正論であり、他の書籍にもよく登場するお話でもあります。主題の取り方としては良いと思えます。

第3章まではこの主題説明を、あれこれご自身の体験談を含めて力説しています。そして佳境と言えるのはいよいよ第4章以降、タイトル「怒らない技術」に言い表された「感情コントロールノウハウ」です。「怒り、イライラと無縁になる25の習慣」と題され、「イライラを感じなく習慣」が18項目、「自分を気持ち良くする習慣」が7項目取り上げられています。ところが残念なことに、これがいかにも弱い。1~3章の主題説明で「感情コントロールの重要性」を十分に理解してないと、恐らく役に立たない25項目ではないでしょうか。逆に「感情コントロールの重要性」を十分に理解している人なら、この25項目は当たり前であり必要ないと…。例えば前半の18項目にある、「イライラする環境に身を置かない」とか「イライラするものから目を背ける」とかは、言われればごもっともなのですが、恐らく“イライラ症候群”大半の人は「それができれば苦労はないよ」と思うわけで、「イライラする環境に身を置かない」の解決例として「職住接近で通勤のイライラを解消する」といったことをあげられても、一般的なイライラ事象からの回避指南にはなっていないのです。

これは著者がノウハウとして書いている部分の一例ですが、この本の最重要部分であるはずの「25の習慣」は結局結果論で語っている印象が強く、「イライラしなくなったら私は結果こうなっている。だからこうなるようにしてごらん」と言っているようで、むしろ読者が知りたいどうやったらそうなれるのか、移行過程の部分が非常に弱いように思えるのです。従いまして、「感情コントロールの重要性」と「それを知ると結果どうなれるのか」を知る本として読むならOKですが、タイトルある「感情コントロールの技術」を知るためのノウハウ本として読むなら、喰い足りない気分にさせられるのではないかと思います。「感情コントロールの重要性」をすでに他の書籍で読まれていいる方には、とりたてて読む価値は少ない書籍かもしれません。売れている事実とタイトルにつられるとガッカリさせられるかもしれませんね。10点満点で5点に近い6点。

もう1冊は外国本「一瞬で恐怖を消す技術」。これは後ほど。

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