日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

失敗しない謝罪会見とは~AllAboutさん拙担当コーナー更新されました

2014-09-29 | 経営
AllAboutさん、拙担当コーナー「組織マネジメントガイド」更新されました。最近よく目にする企業の不祥事説明や謝罪会見。またその失敗も大変多く、不要なイメージダウンや致命的なダメージを受ける企業も少なくありません。私の新聞記者、プレス担当経験から、究極のリスクマネジメントとも言えるあるべき不祥事対応広報、謝罪広報を考えてみました。

こちらからどうぞ。
http://allabout.co.jp/gm/gc/447264/

“ジョブズ後”到来を伝える新iPhoneとわずかに残るソニー逆転の目

2014-09-26 | マーケティング
iPhone6と6plusが出されて一週間、私もようやく実物を手にとって見てまいりました。いろいろなところで書かれているので今更ですが、サイズと操作性の問題、カメラレンズ突出の美観問題、薄さに関連した折れ曲がり問題等々、ジョブズだったらやらなかっただろうと思わせる部分が多く、個人的には現時点では「すぐに欲しい端末ではない」という結論に達しています。

iPhoneに関しては、その内部部品を作っていた会社様をお手伝いしていた関係で、古くからその発展の過程を1ユーザーとして以上に濃い目の情報と共に見てきていただけに、この違和感はなおさらです。実はiPhone5が出た時にも、確かに画面は見やすくなったけど美的にどうなのかという違和感はありました。少なくともiPhoneに関し、美的感覚において違和感を感じたのは5が初めてだったかなと。ジョブズ休職後の初企画です。企画時点では存命ではありましたが、関わり方の違いが形に現れたと私には感じられました。

逆にその前の4が出た時には感動が大きかったので、その反動はなおさらだったのです。4の感動は機能ではなくそのスタイリッシュな外観でした。3GSに比べた薄さと、単に薄くなっただけでないエッヂの立ったソリッドな横顔の美しさも衝撃でした(このソリッドな横顔も、今回捨てられてしまいました)。この外観を嬉しそうにリリースしたジョブズの顔を見た時に、3GSまでのiPod touchと比べボテっとしてややスマートさに欠ける外観を、ジョブズは気に入らなかったのだなと確信しました。

私がお手伝いをしていたiPhone部品メーカーに対して出されていたオーダーも、とにかくスマートにするため、内部も含めて美しくするため、こうしろああしろという無理難題の連続で、毎度社長が頭を抱えていたのを思い出します。アップル社に対して、「要求が高すぎるのでもう少しなんとかならないか」と折衝しようものなら、二言目には「トップ意向なので我々にはなんともできない」「ダメなら降りてもらう」という、まさにジョブズの美的感覚にもとずく理想追求を第一とした製品規格を貫いていたという印象でした。

その意味から言えば、iPhoneの最高傑作は4ではないのかと。ジョブズが直接指揮を執りスタイル、美観を彼の価値感に沿って2010年時点の技術力で追求し続けた結実がそこにあったと言えるでしょう。それに対して5がリリースされた時の違和感は、「画面が大きくなって便利かもしれないけど、美的にどうよ」というものだったと思います。その意味では、今回の6や6plusは言わずもがな、です。

衰えることのないiPhone人気の理由が、登場当初の“元祖”としての技術的驚きがその根底にあることは確かですが、その後の他の追随を許さぬ人気ぶりとブランド力を守ってきているものは、間違いなくジョブズの人並み外れた美的感覚に裏打ちされた製品デザインにあると思っています。なぜなら、後発のスマートフォンが操作性や技術面で見劣りしているかと言えば、決してそうではないからです(他にない機能がiPhoneにあるから、iPhoneを選んだと言う声はほとんど聞かれないのです)。むしろ、金融決済機能(いわゆるお財布携帯)やテレビ受信機能などは日本製が先行していたぐらいですから。

こういった流れの背景にあるのは、スマホの技術的飽和状態による製品の嗜好品化です。製品が嗜好品化すれば、消費者の製品選択軸は価格選好とデザイン選好に二極化し、ジョブズはデザイン軸を制したわけです。

このような流れで考えiPhone人気の大半はジョブズの美的感覚に負っているとの前程の下、いよいよアップルは本当に曲がり角に来たなと、今回のiPhone6と6plusを見て実感しました。iPhoneが他社製品に比べて、小さい画面で来たのにはそれなり理由があったはず。だからこそジョブズは、大きな画面で見たい人用にiPadを用意したのではなかったのでしょうか。

今回の大型化やカメラレンズ突出や折れ曲がりリスクを負ってまでの薄型化には、ジョブズが作り上げた人々をひきつけるマジカルな製品コンセプが消え去っていくのを感じざるを得ないのです。

アップルが曲がり角に来ているなら、高級機分野は他社にも逆転の目はあるかもしれません。デザイン力で圧倒的に劣るサムスンはともかく、ソニーにはわずかな希望の灯が見えたかもしれません。最近話題になっているスマホ事業におけるソニーの大苦戦は、もともとジョブズのマジックに太刀打ちできなかったことに最大の理由があると見ているからです。

今のソニースマホ事業は、デザイン選好の高級機で勝てず、発展途上国向けの価格選好の廉価版スマホではアジア勢力にしてやられるあり様。しかしiPhone6、6plusの登場で、ソニーがデザイン選好の高級機にスマホ事業の全精力をつぎ込んでデザイン開発に特化するなら、“ジョブス後”アップル相手ならば撃破するチャンスが巡ってきたかもしれない、と淡い期待を抱かせます。ソニーは、ジョブズが手本にした技術をベースにデザインでブランドを構築してきた企業です。出井時代に廃止されたあのデザイン会議を復活させ、ジョブズの製品コンセプトを研究し尽くすなら復活の目もあるのではないか。今のソニーでは難しいかもしれませんが、個人的には密かに期待したいところです。

“ジョブズ後”を明確に感じさせるiPhone6と6plusの登場により、嗜好品になりつつあるスマホ分野は、今後どこがデザイン面で優位に立ちブランド力を高め新たな勝ち組に名乗りを上げるのか。スマホ戦争は今後、新たな局面を迎えるのではないかと見ています。

文理混合の妙?~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-09-25 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。理屈っぽいけど技術系社長は論理的な技術系部下を好み、直感系文科系社長は人間関係づくりに長けたは文科系を重用したがる…。でも実は、それぞれの混合にこそ有機反応が生まれることも間々あると言うお話です。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/09/24216529.html

日本エステ機構の「たかのBC認証取消」は、“臭いモノにフタ”ではないかと思う件

2014-09-24 | ビジネス
日本エステティック機構が、たかの友梨ビューティクリニック(以下、たかのBC)「エステティックサロン認証」を取り消すと発表したそうです。私はこの発表にいささか違和感を覚えました。

同機構による認証取り消し理由は以下の3点だそうです。
・仙台労働基準監督署による労働基準法違反に基づく行政指導がなされたこと
・企業コンプライアンスを無視したエステティック業全体の社会的信用を著しく低下させたと思われる代表取締役高野友梨氏の発言
・東京都による景品表示法に基づく行政処分を受け当機構から認証の一旦停止処分を受けたこと
http://esthe-npo.weblogs.jp/blog/2014/09/3-2eab.html

事件発覚以降の早い段階で、業界の発展を担うべき業界団体が認証の取り消しでことを済ませてしまうというのは、果たして正しい判断であるのか否か。誤解なきように申し上げておきますが、私はたかのBCの味方ではありませんし、擁護する立場で申し上げているわけでもありません。あくまで、業界の加盟店経営を監理する立場の団体として、不祥事の詳細が解明される前に「取消」という突き放すような対応はどうなのだろうか、ということです。

私は認証の取消は時期尚早、現時点では認証の「停止」があるべき機構の対応なのではないかと思っています。機構としては、今回のたかのBCの一件は業界が抱える問題として捉えるべきであり、その中で同社が今回の原因究明および再発防止をしっかり行うか否かを見極めつつ、停止認証の再認定の可否を検討すること。そして、その過程において入手されるであろうあらゆる情報を認定基準の中に新たに埋め込んでいくこと、それで初めて業界のコンプライアンス水準向上に資する認定団体の役割が果たせるのではないかと思うのです。

言い方は悪いですが、今回の日本エステティック機構のやり方は「臭いモノにフタ」と思われても仕方ないでしょう。

確かに、たかのBCは以前にも「認証停止」処分を受けており、二度目の今回は「取消」が妥当との意見もあるかとは思います。しかし警察の交通取り締まりならまだしも、業界のサービス向上をめざす団体の対応はそれとは違ってしかるべきではないのでしょうか。むしろ同機構の取り消し理由の第三点にある、2013年に起きたたかのBCの景品表示法に基づく行政処分時の認証の一旦取り消しとその処分取り下げ過程において、同社のコンプライアンス体制や経営姿勢に対する改善を確認せずに処分の取り下げをおこなった同機構の認証管理の甘さ事態こそ、今回非難されてしかるべきなのではないかと思うのです。

エステティック業界における、PRや労務管理を巡るコンプライアンス上の問題事例という点で、たかのBCの一件は氷山の一角に過ぎないと言われています。言ってみれば、たかのBCの不祥事は、エステ業界の体質をはからずも世に晒したものであるととも言え、業界のコンプライアンス体制を監理する認証団体は、この不祥事から逃げることなくむしろ業界体質改善の絶好期として捉えた積極的な対応が必要なのではないでしょうか。

ブラック企業問題は個別企業特有の事情に起因するある場合もありますが、その多くは業界特有のしきたりや風習に起因するものであるように思います。今回のような業界大手企業の不祥事発覚は、こういった業界特有のブラックの芽を摘む格好の機会であり、それを監理する立場の業界認証団体が「認証取消」という紋切り型の対応でこの問題に背を向けるなら、業界の改善は一向に進まないのです。何のための「認証」であるのか、今回の同機構の対応には疑問を投げかけざるを得ないのです。

真のつく季節にゴルフはするな!~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-09-19 | 経営
J-CASTさん、拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。前回に引き続き社長自身が心掛けるべきリスク管理について。医師の言いつけは守る、真冬真夏のゴルフはしない、危ない乗り物や危険なレジャーはしない等々。自分は一介の社員とは違うのだという自覚の問題です。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/09/17216013.html

“死に体”ソニーを救う「たったひとつのこと」

2014-09-18 | 経営
昨日ソニーが業績の下方修正をして、通期2300億円の赤字見通しとなったことを発表しました。直接の原因は、旧ソニーエリクソン合弁解消により資産計上した「のれん代」の減損処理という会計上の問題ではありますが、これはモバイル部門の苦戦が明らかになったことに他なりません。円安効果と選択と集中戦略により軒並み黒字に転じた大手家電メーカーにあって、ソニーは一人蚊帳の外という状況が一層鮮明になりました。

今回の発表のニュースバリューは、平井CEO下での6度目の業績下方修正ということだけでなく、エレキ部門の新中核事業と位置づけられたモバイル事業の不振という由々しき問題の表面化にあります。まさに迷走を続けるソニー、崩壊に向けひた走るソニー、を感じさせて余りある発表です。ソニーは復権に向けてどうするべきなのか、残された時間に一刻の猶予もない中で、真の再建に向けた根本的なモノの考え方とまず取り組むべき改革点を3点提示したいと思います。

まずはじめに考えなくてはいけないことは、ソニーはどこからおかしくなったのか、です。いわゆるそもそも論、根本原因の究明です。これまでもたびたび当ブログでも指摘をしてまいりましたが、私は95~05年の出井伸之CEO時代にその原因はすべて集約されていると考えます。

その時代の負の遺産に関する具体内容は、元同社管理職である原田節雄氏著「ソニー失われた20年(さくら舎)」等に詳しいですが、大きな問題点は文系管理体制下での技術者軽視の行き過ぎたブランド化や国際化と、それを支えるべく構築された誤った組織管理体制にこそあるとは、多くの関係者が語ることろであります。であるならば、今崩壊にひた走るソニーがなすべき最後の一手は、「出井以前への回帰」言い換えれば「出井体制からの脱却」、これ以外に同社生き残りの道はないと考えます。

そのための具体対応策その1としては、「文系管理の終息」です。
95年の出井体制スタート以降、その後を継いだトップは05年ハワード・ストリンガー氏、12年平井一夫氏と、いずれも技術畑とは無縁の文系の人物です。しかもストリンガー氏はハリウッド映画界からスカウトされた外様、平井氏は生え抜きながら音楽、ゲーム畑を歩いてきたという同社亜流出身です。

ソニー発展の原点は井深=盛田体制にこそあります。井深大氏は稀代の天才技術者であり、盛田昭夫氏もまた優秀な技術者でありながら井深氏にそのマネジメントの才を見出され、社長-副社長の二頭体制の下大躍進により一介の町工場から「世界のソニー」への発展の基盤を作りあげたのです。対して、出井氏は生粋の文科系出身。彼を後継に指名した大賀典雄氏も芸術系の非技術者ではありましたが、芸術もモノづくりであるという点ではいわゆる生粋の文系ではなく、出井氏が同社初の文系トップであったということになるでしょう。

もちろん文系トップがすべて悪いわけではなく、自社技術に対する正しい理解をもって技術力をコアコンピタンスとして組織の中核に据え、技術者とのニュートラルな対話ができるトップであれば問題はないでしょう。しかし出井体制以降は誰の目にも明らかなように、技術軽視、技術者冷遇、過度のブランドイメージ選好に陥り、今もその流れの中にあります。

根源はトップの人選です。前任ストリンガー氏の技術音痴ぶりが問題視される場面も多々ありましたが、その後を受けた平井氏もまた就任から2年半。就任早々から英語の堪能さをストリンガー氏に買われて引き上げられただけと経営手腕に疑問符を投げかけられていた氏がやったことは、結局資産売却と人員整理で決算書の数字を作ることのみ。文系トップとしての限界を早々にまざまざと見せつけられた形です。

リストラとは再構築であり、削減・整理ではありません。製造業において新たなモノを構築するには自社の技術に対する詳細な理解と堅固な知見が求められます。これまでの2年半を見る限り、今の平井氏にそれを求めるのは酷な話でしょう。一刻も早いトップ交代こそが「出井体制からの脱却」に向けた第一歩であり、ソニーに残された時間的猶予はもうごくわずかであると思います。

具体的対応策その2としては、「御手盛り経営体制の破棄」です。
97年の執行役員制度導入に始まり03年に完成した同社委員会設置会社への移行は本来、国際水準に則した組織管理制度導入として世間の話題を集めました。しかし、その実は日本企業特有の中小企業体質を巧みに利用した出井氏の策略により、自己の地位保全による長期政権確立を狙った悪しき組織管理制度と化してしまいました。出井体制の具体的骨格はここにあります。

委員会設置会社では、基本的に会社運営は大半が社外の人間で占められる十数名の取締役がおこない、現業は執行役を長とする内部の人間に負わせて組織運営とは分離されます。取締役に入った内部の人間はわずか2名(現在は3名)。一方社外取締役には、日産ゴーン氏、トヨタ自動車張氏、富士ゼロックス小林氏、オリックス中内氏、ベネッセ原田氏など、歴代そうそうたるメンバーが名を連ねています。しかし、彼らが本当にソニーの組織運営上機能してきたのか。私は以前からこの点に関して強い疑問を投げかけています。

いかに名だたる大企業のトップと言えども、自社と別業界の組織の深い問題点にまで入り込みことなど不可能でしょう。ましてや他人の会社を支える技術の部分など知る由もない。すなわち2名の内部取締役は、自分の思うままに取締役会を動かすために社外取締役を増やし御手盛り人事、御手盛り施策を好き勝手に展開するという最悪の事態もありうる。そしてソニーは現実にそうなっているのではないか。ソニーの委員会設置会社方式は見かけとは裏腹に、ガバナンス機能不全状態にあると個人的には思っています。

ソニーは委員会設置会社方式を即刻破棄し、社外取締役は監視役としての存在にとどめ、社内取締役を中心とした取締役会が組織運営を担う日本的企業統治に戻すべきです。まさしく「出井体制からの脱却」。そもそもソニーのような町工場出の日本企業は、根底の企業文化に中小企業文化が脈脈と流れているものなのです。それをいきなり欧米的な組織管理を導入しても、うまく機能するはずがありません。かえってトップの御手盛りによる私物化のリスクを大きくするだけなのです。

具体的対応策その3は、「役員報酬の見直し」です。
この問題の根源は実は上記2番目の委員会設置会社方式と密接にかかわっています。委員会設置会社において役員報酬は、多くの社外取締役による取締役会の報酬委員会で決められます。すなわち、少数の内部取締役が自由に牛耳れる委員会設置会社においては、まさに御手盛りで自分の報酬を決めることができるのです。

現在では、上場企業トップの報酬開示が義務づけられ、私物化防止に幾分か歯止めはかかってきましたが、以前はまさしくやりたい放題。出井氏は、自己の報酬を大幅に引き上げるために、高額報酬で有名な日産のゴーン氏を取締役として招いたといわれています。出井氏の高報酬はそのままストリンガー氏、平井氏にも引き継がれ現在も億単位の報酬が平井氏に支払われています。

赤字企業のトップ報酬が億単位と言うのはあり得ないと、私の常識ではそう思います。ちなみに13年度のデータによれば、全上場企業中赤字企業で1億円以上の報酬を取っているのはわずか3名だそうです。いかに同社トップの報酬が非常識な状況にあるか、お分かりいただけるのではないでしょうか。

しかも今回の発表で、同社は無配転落することのこと。経営者の責任として、まずトップの役員報酬返上は当然の流れではないかと思います。その上で、御手盛り報酬委員会で高額報酬を欲しいままにしてきた役員報酬のあり方を根本的に正す必要があると思います。なぜならば、まずはトップ自身の危機感をより切実なものとし、かつ組織のメンバーに対して復権に向けた本気度を目に見える形で示すことが、今何よりも必要であると思うからです。

「どうせ、トップは自分の地位で生きながらえている間、高報酬をとって後はよろしくとオサラバするんでしょ」。そんな声が聞こえる社内状況下で、復権に向けた「ワン・ソニー」の構築などあり得ようもないのです。

「出井体制からの脱却」、それ以外にソニーを崩壊から救う手立てはないと思います。そのためにはまず、技術が分かる人間へのトップ交代、そして新体制下における組織管理体制の再構築と役員報酬の抜本的見直し、ソニーに今必要な手立てはこの3つ。「出井体制からの脱却」がないなら、「技術のソニー」は捨てたも同然。エレキ部門の売却によるエンタメ、金融での事業改編およびダウンサイジングをする以外に生きる道はなくなるでしょう。

このままでは早晩、家電製品におけるソニーブランドは海外に売り渡され、おそらく消えることになるでしょう。繰り返しますが、そうならないための道はただひとつ。平井CEOは潔く身を引き、組織を挙げて「出井体制からの脱却」→「技術のソニー復権」を目指す以外にはないと考えます。“死に体”ソニーを救う「たったひとつのこと」は「出井体制からの脱却」。すなわち、平井CEOの早期進退決断が同社の雌雄を決する、ソニーは既にその段階に来ていると思います。

社長たるもの不慮の出来事に備えるべし~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-09-10 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。社長たるもの、社員の生活を守ることが経営者の務めである以上、自分を襲う不慮の出来事に対するリスク管理を怠ってはいけません。自分が突然不在になっても問題のない体制を用意することは、中小組織ほど必要であると実感させられる事例です。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/09/10215305.html

金融商品のPB商品化として注目すべき信託・地銀提携

2014-09-05 | ニュース雑感
先週のことだったでしょうか。日経新聞の1面ヘソあたりで報じられた記事に思わず目が行きました。「三井住友信託銀行と横浜銀行が業務提携へ」というものでした。小職の出身企業に関わるネタが珍しく1面ネタになっていると言うことでまずは目を引いたのですが、中身を見て二度ビックリのたいそうなお話だったのです。これはけっこうなニュースになるのではないかと思って見守ったのですが、意外なほどに盛り上がらなかったのでちょっと解説しておきます。
◆日経新聞ニュース
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27H64_X20C14A8000000/

大手の銀行同志が業務提携すると言うのは確かにそれだけでもニュースバリューがありそうですが、信託銀行と地方銀行が業務面で提携するというのは昔からちょいちょいあることで、そんなに珍しいことではありません。

何がたいそうなのかと言いますと、その提携の中身です。すなわち、投資信託業務で提携し、両行共同で運用会社を設立して、オリジナルの投資信託商品を作ろうという部分です。地方銀行はこれまで、国内外の大手の資産運用会社がつくったファンドを販売して、その販売手数料でビジネスを成り立たせていました。それを自社ブランドのファンドを作って売ろうじゃないのという、金融商品のOEM商品化をもくろんだものなのです。

もっと分かりやすく言いましょう。例えてみれば、ナショナルブランド商品ばかりを仕入れて陳列していたスーパーがPB商品の取り扱いで業界の流れを大きく変えたように、PB商品的投資信託を地銀が取り扱うということにあたります。自社グループだけでは、オリジナル投資信託の開発にノウハウも人材も足りない地方銀行が、大手信託銀行の協力を得ることで、オリジナル商品を開発する。当然、開発コスト、流通コストが圧縮できるので、顧客にとっては購入手数料の引き下げが期待できるわけです。

しかも、今回は横浜銀行との単独提携という形で報道されていますが、その後の情報によればこの記事を読んだ他の地銀からの問合せが殺到しているようで、早くも業務拡大の様相を呈しております。地方銀行同志は基本的にエリア競合がないので、商品の共同開発にはもってこいの環境にあります。この投資信託PB商品化の流れに、多くの地方銀行が相乗りするなら、より一層販売手数料が引き下げ可能になるでしょうから、ますます注目のお話なのです。

肝心の商品内容はどうなのか、という問題がありますが、報道によればバランス型の投資信託という、比較的リスク分散の度合いが高く設計しやすく初心者でも購入しやすい投信が中心になるようです。これはスーパーのPBブランドが、調味料や安定購入が見込める基幹商品からPB化を進めたのと同じ流れであると言っていいと思います。

そんなわけで、報道では意外にその後の扱いが小さいのですが、私は個人向け金融ビジネスにとって結構大きなニュースであると思うのです。投資信託を皮切りに金融商品のPB化が軌道に乗るなら、様々な業界連携によるPB化の流れが大きく動いてくるのではないかということもあります。加えて、金融ノウハウに不足する民営化郵政もこの流れには積極的に乗ってくる可能性も容易に想像できます。PB化による定型型商品の手数料低下が今後どのように金融商品販売の流れを変えていくのか、大いに注目したいところです。

美容・エステ業界におけるブラックの境界線~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-09-03 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。世間をにぎわせているたかの友梨BCの一件ですが、私も以前似たような就労環境を巡る経営にかかわる問題に美容院チェーンで出食わしています。美容、エステの業界的な問題なのかもしれません。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/09/03214800.html