サッカーワールドカップ日本代表は、1勝もできぬままグループリーグ敗退という大方の予想を大きく裏切る結果となりました。その原因を戦略マネジメント的な観点から分析を試みた原稿を別で掲載しておりますが、もう少し突っ込んでみたいと思います。
◆サッカー日本代表、早過ぎる敗退に学ぶマネジメント論
http://allabout.co.jp/gm/gc/444245/
原稿のポイントは、日本の敗因のひとつは大会前1か月における親善試合のレベルにあるというもの。一応ポイントだけ書いておくと、前回、南アフリカ大会との比較でその違いは一目瞭然なのです。(カッコ内は各国のその時点でのFIFAランキング)
■W杯南ア大会 岡田ジャパン(45)直前3試合対戦相手と成績
10・5・24 0-2負 韓国(47)
10・5・30 1-2負 イングランド(8)
10・6・04 0-2負 コートジボワール(27)
■W杯ブラジル大会 ザックジャパン(46)直前3試合対戦相手と成績
14・05・27 1-0勝 キプロス(143)
14・06・02 3-1勝 コスタリカ(28)
14・06・06 4-3勝 ザンビア(76)
大会前4連敗で散々な前評判にもかかわらず決勝トーナメント進出で大健闘だった前回と、大会前連勝なるも本大会でひとつも勝てなかった今回は好対照です。要は対戦相手のレベルの問題。強いチームと戦っていれば自然とチーム力も向上し、本番でそのもまれた効果が出ると言うもの。それが前回。弱い相手とばかり戦っていると、例え勝利していようとも弱い相手なりの動きで勝つことに馴れてしまうというマイナスに働く。それが今回です。日本チームの初戦コートジボワール戦での緩慢な動きはまさしくこの弊害であったと考えられます。先の原稿では、もう少し詳しく戦略マネジメントの観点で説明しています。
個々の選手が普段いかに海外の高いレベルで戦いスキルを磨いていこうとも、チームプレーの場が低いレベルの相手とばかり戦って何も実になるものもなくむしろ油断に陥るのがオチであるなら、それでは世界に通用するレベルには到底到達しえないのではないかと思われるのです。今大会は予選の段階で、日本はアジア1位、世界最速で代表を決めたという事実が誤った自信を植え付けることになり、それツケが結局最後の最後に回ってきたということなのでしょう。
今大会を見てもアジアのレベルの低さは目を覆いたくなるほどです。イラン、韓国、オーストラリアの3カ国も、すべて1勝もできず日本と同じく最下位でグループリーグ敗退です。4か国合計で0勝9敗3分。勝ち点3では、4か国束になっても決勝トーナメントに行けないレベルですから、本当に情けない。このレベルの低さになぜもっと早く日本サッカー協会は気がつかなかったのか。それこそが最大の問題であり、私は今回の惨敗の責任は選手や監督にあるのではなく、日本代表チームの本大会までのスケジュールをコーディネートする立場の団体、私は詳しくは存じ上げませんがそれが日本サッカー協会であるのなら、彼らにこそ最大の責任はあるのだと思います。
アジアのレベルの低さ、本大会に向けた日本のレベルへの疑問符を投げかけるチャンスは確実にあったのです。それは昨年、日本がワールドカップ出場を早々に決めアジア選手権覇者として臨んだ、コンフェデ杯で強豪相手にひとつも勝てなかったあの段階です。本田選手が「我々は優勝を取りに行く」と公言して、強豪相手にひとつも勝てずに惨敗したあの時です。それを受けて本番までの実践の場をどこに求めるのか、どこの胸を借りるべきなのか、そして直前の対戦相手については前回の教訓を踏まえてどう選択するべきだったのか、協会は代表決定後のスケジュールをマネジメントの立場からあらゆる分析を加えつつ、よくよく考える必要があったのではないかと今さらながらに思うのです。
■コンフェデレーション・カップ2013
2013・06・15 0-3負 ブラジル
2013・06・19 3-4負 イタリア
2013・06・22 1-2負 メキシコ
私はサッカーの専門家ではありませんので、競技の専門的な立場からはご指摘いただく点も多数あろうかと思いますが、私なりに考えるマネジメントの観点から見た今回の敗因は、代表決定後の環境把握とコーディネーターのマネジメントの悪さに尽きると思います。前大会躍進の検証すら十分にできていないが故に、アジアの低いレベルでの「お山の大将」に甘んじたまま、かつ直前にレベルの低い相手(キプロス、ザンビアについては否ワールドカップ代表国)との対戦で勝ちを取りに行くという愚策に出てチームの戦闘水準を下げてしまった。日本チームのコーディネーターが日本サッカー協会であると言っていいのなら、真っ先に反省の弁や辞意を表明すべきはザッケローニ監督ではなく協会の幹部であると思うのです。
4年後に向けて日本サッカーが0からの再スタートを切るのなら、個々の選手や指導者を云々する前に、コーディネーターのマネジメントのあり方を反省し根本的に立て直す必要があると感じています。
◆サッカー日本代表、早過ぎる敗退に学ぶマネジメント論
http://allabout.co.jp/gm/gc/444245/
原稿のポイントは、日本の敗因のひとつは大会前1か月における親善試合のレベルにあるというもの。一応ポイントだけ書いておくと、前回、南アフリカ大会との比較でその違いは一目瞭然なのです。(カッコ内は各国のその時点でのFIFAランキング)
■W杯南ア大会 岡田ジャパン(45)直前3試合対戦相手と成績
10・5・24 0-2負 韓国(47)
10・5・30 1-2負 イングランド(8)
10・6・04 0-2負 コートジボワール(27)
■W杯ブラジル大会 ザックジャパン(46)直前3試合対戦相手と成績
14・05・27 1-0勝 キプロス(143)
14・06・02 3-1勝 コスタリカ(28)
14・06・06 4-3勝 ザンビア(76)
大会前4連敗で散々な前評判にもかかわらず決勝トーナメント進出で大健闘だった前回と、大会前連勝なるも本大会でひとつも勝てなかった今回は好対照です。要は対戦相手のレベルの問題。強いチームと戦っていれば自然とチーム力も向上し、本番でそのもまれた効果が出ると言うもの。それが前回。弱い相手とばかり戦っていると、例え勝利していようとも弱い相手なりの動きで勝つことに馴れてしまうというマイナスに働く。それが今回です。日本チームの初戦コートジボワール戦での緩慢な動きはまさしくこの弊害であったと考えられます。先の原稿では、もう少し詳しく戦略マネジメントの観点で説明しています。
個々の選手が普段いかに海外の高いレベルで戦いスキルを磨いていこうとも、チームプレーの場が低いレベルの相手とばかり戦って何も実になるものもなくむしろ油断に陥るのがオチであるなら、それでは世界に通用するレベルには到底到達しえないのではないかと思われるのです。今大会は予選の段階で、日本はアジア1位、世界最速で代表を決めたという事実が誤った自信を植え付けることになり、それツケが結局最後の最後に回ってきたということなのでしょう。
今大会を見てもアジアのレベルの低さは目を覆いたくなるほどです。イラン、韓国、オーストラリアの3カ国も、すべて1勝もできず日本と同じく最下位でグループリーグ敗退です。4か国合計で0勝9敗3分。勝ち点3では、4か国束になっても決勝トーナメントに行けないレベルですから、本当に情けない。このレベルの低さになぜもっと早く日本サッカー協会は気がつかなかったのか。それこそが最大の問題であり、私は今回の惨敗の責任は選手や監督にあるのではなく、日本代表チームの本大会までのスケジュールをコーディネートする立場の団体、私は詳しくは存じ上げませんがそれが日本サッカー協会であるのなら、彼らにこそ最大の責任はあるのだと思います。
アジアのレベルの低さ、本大会に向けた日本のレベルへの疑問符を投げかけるチャンスは確実にあったのです。それは昨年、日本がワールドカップ出場を早々に決めアジア選手権覇者として臨んだ、コンフェデ杯で強豪相手にひとつも勝てなかったあの段階です。本田選手が「我々は優勝を取りに行く」と公言して、強豪相手にひとつも勝てずに惨敗したあの時です。それを受けて本番までの実践の場をどこに求めるのか、どこの胸を借りるべきなのか、そして直前の対戦相手については前回の教訓を踏まえてどう選択するべきだったのか、協会は代表決定後のスケジュールをマネジメントの立場からあらゆる分析を加えつつ、よくよく考える必要があったのではないかと今さらながらに思うのです。
■コンフェデレーション・カップ2013
2013・06・15 0-3負 ブラジル
2013・06・19 3-4負 イタリア
2013・06・22 1-2負 メキシコ
私はサッカーの専門家ではありませんので、競技の専門的な立場からはご指摘いただく点も多数あろうかと思いますが、私なりに考えるマネジメントの観点から見た今回の敗因は、代表決定後の環境把握とコーディネーターのマネジメントの悪さに尽きると思います。前大会躍進の検証すら十分にできていないが故に、アジアの低いレベルでの「お山の大将」に甘んじたまま、かつ直前にレベルの低い相手(キプロス、ザンビアについては否ワールドカップ代表国)との対戦で勝ちを取りに行くという愚策に出てチームの戦闘水準を下げてしまった。日本チームのコーディネーターが日本サッカー協会であると言っていいのなら、真っ先に反省の弁や辞意を表明すべきはザッケローニ監督ではなく協会の幹部であると思うのです。
4年後に向けて日本サッカーが0からの再スタートを切るのなら、個々の選手や指導者を云々する前に、コーディネーターのマネジメントのあり方を反省し根本的に立て直す必要があると感じています。