日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

コミュニケーションの三原則とは?~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-12-25 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。年末に、今年一番耳にしたお悩みごとの解決策としてのコミュニケーションの三原則のお話を少々。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/12/24224021.html

ソニーの失敗に学ぶべき社外取締役増員案

2014-12-24 | 経営
金融庁がコーポレートガバナンス・コード(企業統治の行動原則)の原案を公表し、その内容が各方面で話題になっています。

ポイントはいくつかあるのですが、一般に分かりやすいと言うことで特に話題になっているのは、上場企業における社外取締役の複数設置の義務化です。従業員からの内部昇格で取締役に就任するケースが多い日本企業においては、代表取締役を頂点とした取締役間の主従関係が強く働き、あるべき中立的なガバナンスの維持が難しいということがその理由です。

簡単に言うと外部からのチェックを働かせることで経営者の暴走や私物化を防ぎ、投資家、株主の利益を守ろうということ。当面は2名以上を義務づけて徐々にその比率を上げ、最終的には経営者と、ごくわずかの社内昇格役員を除いて社外取締役を中心とした正しくガバナンスが機能する取締役会をつくろうというのが今回の原案の狙いであります。

確かにおっしゃることは一見確かそうですし、非常に合理性の高い物言いであるように見受けられるのですが、現実は果たしてそうでしょうか。私は個人的にこの社外取締役を増員していく件に関しては、一定の条件が必要であり単に数を増やすだけのやり方ではまずいと考えております。なぜならば、いち早く社外取締役中心の取締役会運営に移行した国内企業が、必ずしもガバナンスにおいて十分な機能を果たしているとは思えないからです。

その代表例はソニーです。ソニーは「経営と執行の分離」を掲げ03年に委員会等設置会社に移行。取締役会のメンバーの大半を社外取締役に入れ替え、一見ガバナンスを強化した経営体制に移行したかのように思われました。事実、この欧米型経営体制とも言える形式への移行は、「さすがは世界のソニー」と当時のメディアおよび識者等から大絶賛され、今後のあるべき日本企業の経営のあり方であるかのように言われてもいたのです。

しかしその実は違っていました。当時のCEO出井伸之氏はこの社外取締役を中心とする経営体制を使って、ガバナンス強化とは真逆の方向に組織運営を運んでしまったのです。報酬の私物化、人事の私物化、組織運営の私物化…。あらゆる私物化で私腹を肥やし、ソニーはダメ企業に転落の一途をたどりました。氏は話題性を高める意味で、ソニーの社外取締役に日本の著名経営者を次々と誘い込み、その方針は現在も引き継がれています。日産カルロス・ゴーン、トヨタ張富士夫、富士ゼロックス小林陽太郎、オリックス宮内義彦、中外製薬永山治、ベネッセ原田泳幸…。歴代錚々たるメンバーが名を連らねているのがお分かりいただけるでしょう。

では彼らが本当に社外取締役として機能してきたのか、あるいは現在のソニーの社外取締役が機能しているのか。答えはノーです。常識で考えれば分かることですが、東証一部上場の超一流企業の第一線で指揮を取られている方々が、同じ上場企業であるソニーの取締役会に名を連ねても、審議内容に関しての事前調査や検討の十分な時間など取れるはずもなく、また同じ上場企業経営者の立場から他人の会社に対してそ思い切った発言などできるはずもないのではないでしょうか。ましてや自社に対する愛情を持って、私物化に走るトップを排除するなど到底できるハズがないのです。

出井氏の狙いはまさしくそこにあったのでしょう。特にゴーン氏の登用は、氏の当時の日本企業としては破格の報酬を知った上で、出井氏自らの報酬額をアップさせるための「刺客」として呼びこんだとさえ言われています。そして思惑通りに、億単位の報酬をせしめ、さらには人事権の私物化により、ストリンガー、平井と代々子飼いを後任に据えることで自身の闇の権力を保ちつつ、三代にわたる巨大私物化企業を作り上げたのです。

赤字垂れ流しの状況下においてもなお、ストリンガー、平井と億単位報酬は続いており、現時点では遂に無配転落をしてもなお、この異常な経営者高額報酬状況は継続中なのです。出口の見えない業績悪化の中で、普通の上場企業ならとっくに辞任に追い込まれているであろう平井CEOのクビに、誰も鈴をつける者などいないのです。このような状況でありながら、同社の社外取締役中心の役員会(現時点は12人中9人が社外取締役)は十分なガバナンスが効いていると言えるでしょうか。どこからどう眺めてみても、答えはノーでしかないのです。

では、社外取締役制度最大の問題点はどこにあるのか。上場企業の現役経営者を社外取締役に据えること自体が、所詮は無理なのです。そしてまた、経団連等で経営者仲間になっている人間にガバナンスの効いた社外取締役機能を期待することなど、到底できないのです。そうです、金融庁が考えるように社外取締役の導入により上場企業のガバナンス強化をはかろうとするのなら、ポイントは社外取締役の数ではなく、その人選にこそあるべきであると、ソニーの組織私物化の例は教えてくれているのです。

確かにガバナンス強化に向けたあるべき社外取締役の人選は難しいですが、最低限でも「現役上場企業取締役の他社社外取締役兼務は不可」という項目は必要でしょう。あとは海外企業を含めた成功例からしっかりと学びどのような人選を義務付けるのか、金融庁は来年6月とも言われる施行前に十分な検討を重ねる必要があると私は考えます。社外取締役増員の方針は、ソニーの事例を他山の石として慎重に進めるべき問題なのです。

セブンVSローソンがおもしろくなる~AllAboutさん拙担当コーナー更新されました

2014-12-18 | 経営
AllAboutさん拙担当コーナーも更新されました。セブンイレブンのドーナッツ取り扱いとローソンの成城石井買収やアマゾン提携、競争戦略の理論からはきれいに説明が出来るオーソドクスな戦略の違いです。最終的にどちらが勝つのかの結論が出るのは先でしょうが、オーソドクスなものであるが故に先々が興味深くもあります。

こちらからどうぞ。
http://allabout.co.jp/gm/gc/450111/

目標達成には秘訣がある!~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-12-17 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。高い目標でも「やれる」と思う社員の数が多ければ達成でき、低い目標でも「やれる」と思う人が少ない、目標を意識していない人が多ければ達成できない、という調査があります。常に高い目標を達成させる社長の秘策とは。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/12/17223393.html

マクドナルドを他山の石にできなかった「ペヤング=まるか食品」

2014-12-11 | 経営
カップ焼きそばでおなじみのペヤング・ブランドのまるか食品の製品に、ゴキブリが混入していたと言う問題。どの段階で書こうかと思っていた同社の対応についてですが、昨日同様の問題が発覚した日清食品冷凍スパゲティ回収発表に次いで、本日はまるか食品がカップ焼きそばの全面製造休止を発表という事態に至りました。

この問題、発生当初からまるか食品の対応に疑問を呈する声がたくさん聞かれておりました。それらの声がまるか食品の危機管理対応上の問題点をクローズアップする形になっています。まるか食品の対応の問題点について、ネット上での騒ぎを元に企業の不祥事発生時における危機管理対応の観点から考えてみましょう。

ネット上での騒ぎからうかがい知れるまるか食品の一連の対応に関する問題点は、大きく分けて3つに集約されるようです。

第一の問題は、問題発覚時に間髪入れず、「製造工程上考えられない」というコメントを発表したこと。十分な調査をする前に何の根拠も示すことなく、断定的かつ責任回避的コメントを発してしまったのです。企業の不祥事発生時における初動のコメントにおいて、根拠なく責任逃れとも取れるような発言は絶対に避けなくてはいけません。

素人が考えても、クリーンルームのような環境下で製造がおこなわれているのならばともかく、通常管理の食品工場で事件発覚直後の段階で「考えられない」とする断定は、「言いがかりをつけられた」とでも言っているかにも受け取られかねません。これは、危機管理対応の初動段階で責任転嫁姿勢と受け取られかねないやり方をしてしまったと言えるのです。

第二の問題点は、当初この問題に遭遇した被害者がゴキブリが写ったカップ麺の写真をSNSにアップしていたのを、同社が「お互いのために下げて欲しい」と取り下げさせたことです。この問題は、第一の問題点での責任転嫁発言があったが故に、一層消費者の反感を買うことになったようです。

確かに自社のイメージダウンになる写真をネット上から取り下げて欲しい、という気持ちは分かります。しかし取り下げても取り下げなくともネット上の写真が簡単に複製可能である以上、オリジナルを取り下げたところで一度アップされたショッキングな写真は、他の人により同じようにネット上にアップされることを想像できない方が時代遅れなのです。

さらに、取り下げさせるために「お互いのために」などという言葉を使って、「脅し」とも取れるような態度をとったことは、いたずらに被害者の感情を逆なですることにもなります。このことは余計に問題を大きくし、取り下げの効果など全くなかったに等しいほど、問題写真は広く拡散されることになったのです。

そして第三の問題点は、事故発覚後の保健所の立ち入り検査が「混入可能性は否定できない」という同社の第一声コメントを完全否定する見解を出したことを受けて、当該製品と同じ日に同じラインで製造された製品を限定的に回収すると発表したことです。事故発覚時に「考えられない」としたものがあっさりと、専門機関である保健所の見解として「考えられる」と覆されたにもかかわらず、同社の対応はあまりに限定的であり、これも非難の対象になりました。

消費者の多くはポーズと見るでしょう。ゴキブリが混入するリスクを否定できない製造工程であったなら、混入リスクがその日に限らずあることは子供にでも分かります。「とりあえず世間がうるさいから1日分だけ回収しておけ」「何週間分も何ヶ月分も回収したら大損だ。そんなことできない」。同社はそう取られても仕方のない、中途半端な対応。中途半端さは、イコール消費者の食の安全は二の次、まずは自社の利益優先とのイメージを強く印象付けることにもなってしまったのです。

さらに運が悪いことに自主回収に関しては、同様の虫混入事故を受けて過去1カ月分を回収するとした日清食品の対応がまるか食品との対比という形で、「日清=良」「まるか=悪」というコントラストを強くしてしまったこともあります。日清食品の対応もよくよく考えてみると完璧であったとはおよそ言えないものです。ただ日清食品が上手であったのは、まるか食品の騒ぎを利用して、自社の事故を軽く見せると言う危機管理対応ができた点にあるとは言えそうです(これが果たして道義的にどうか。そこは議論の余地があるかもしれません)。

日清食品の事故は実は11月上旬の発生です。それをここまで伏せてきて、まるか食品の騒ぎを見るや、「ネットでうちの被害者が騒ぐ前に自ら言ってしまえ」とカミングアウトしました。しかも同様の事件でありながら、まるか食品の製造1日分回収を問題と見るや1か月という1日に比べれば破格の期間の製造分を回収すると宣言したのです。1か月と言う期間になんら根拠はありません。ただ、1日分のみ回収というまるかの対応を世間が知っている今なら、1か月は有効な機関になり得ると考えたのではないでしょうか。

日清が出したコメントは「具材のトマトかブロッコリーに混入したとみており、同じ具材を使う生パスタシリーズも回収する。特定の日に発生した事例で、今後、発生する可能性は限りなく低い」というもの。これもよくよく読めば、果たして説得力があるのか否か疑問です。しかし、根拠なく第一声で乱暴に「考えられない」と断言したまるかとの対比を巧みに利用したコメントでもあるともとれます。こうして考えると、日清食品の危機管理対応は、明らかにまるか食品のそれを上回っていたわけで、まさしく1枚上手であったと言えそうです。

このような今回のまるか食品の事故対応を見るに、実は対応のヒントが今夏に起きたマクドナルドの一件にあったということは着目しておく必要があります。マクドナルドの消費期限切れ鶏肉使用の一件が今だに同社に大きなダメージを与え続けているのは、やはり初動のまずさと根本解決がなされていないというイメージの問題があるからです。

マクドナルドの問題は、初動におけるトップの対応の遅れと責任転嫁発言が企業イメージに泥を塗りました。さらに事故改善策の核となるべき食の安全性の問題への対応が、生産拠点を問題が発生した中国からタイにシフトするというもので、印象の問題からすれば中国から日本国内へのシフトではなく、同じアジア諸国へのシフトは決して安心感を与えるものではなかったのです。

マクドナルドの一件は、飲食業界の食の安全性に係る不祥事対応における初動の大切さと対応策における「食安全性を守る>自社の利益を守る」姿勢を印象付ける重要性さを痛いほど教えてくれていたのです。残念ながらまるか食品はそれを他山の石として活かすことができなかったのです。危機管理対応は、他社の不祥事対応事例をもってもし自社で同じ事例が生きたならと受け止め、対応策を想定する日頃からの心掛けも大切なのです。

まるか食品はいつまで製造ラインを止めるのでしょうか。しかし仮にかなりの時間を経たとしても、同社から「食安全性を守る>自社の利益を守る」姿勢を印象付ける改善策が明確に示されることがないなら、一度安全面で地に落ちたブランドイメージの回復は本当に難しいということもまた、マクドナルドの一件が教えてくれているのです。危機管理対応の初動を誤ったまるか食品再起への道は、現段階では限りなく険しいと言わざるを得ないでしょう。

御社は賞与評価のフィードバックされていますか?~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-12-10 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。賞与評価のフィードバック、あなたたの会社ではちゃんとされてますか?フィードバック不足に対する不平不満は実に多く、評価を下がった時ほどフィードバックは欲しいものです。フィードバック不足だったシャイな社長が考えたフィードバックの仕方とは。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/12/10222803.html?p=2

CSRの正しい理解とは~AllAboutさん拙担当コーナー更新されました

2014-12-04 | 経営
AllAboutさん拙担当「組織マネジメントガイド」も更新です。本文をさらに噛み砕くと、CSRのポイントは「本業での取り組み」と「継続性」です。バブル期以降もてはやされたメセナやフィランソロピーとの違いはそこにあります。日本でCSR評価の高い富士フィルムは、地域と共に共生してきた歴史的裏付けもあり企業文化にCSRの精神が根付いていると感じさせられます。

こちらからどうぞ。
http://allabout.co.jp/gm/gc/449497/

ITアレルギー経営者は企業をダメにする?~J-CASTさん拙連載更新されました

2014-12-03 | 経営
J-CASTさん拙連載「社長のお悩み相談室」更新されました。IT機器の上手な取り込みも、企業運営における仕組み化の重要なポイントのひとつ。経営トップのITアレルギーは、企業の衰退を招くこともあります。要注意ですね。

こちらからどうぞ。
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/12/03222246.html