日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

08年私の10大ニュース⑤ ~ 1位

2008-12-31 | その他あれこれ
なんとか年内に間に合いました、今年の1位です。

●1位~米国発世界同時経済危機で増す先行き不透明感と無策な日本●

昨年夏の米国サブプライム問題の発覚以降、徐々に減速感を強めていた景気動向。我が国の今年の前半は、緩やかな景気減速の中、活発な投資マネーの動きもあり原油高、穀物高で、景気後退状況にありながら物価は上昇を続けると言う、ややチグハグな展開となっておりました。ところが、9月15日の米国大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻によって様相は一変しました。まさに不況に突入したその瞬間に立ち会ったのです。一つの経済事件が、世界経済動向のベクトルに即座に影響を与える、そんな場面に立ち会えること自体が大変稀であると言える大事件であったのです。

従って私はその日は国民の祝日ではありましたが、当ブログで祝日の“ゆるネタ”を返上して、即座にこのニュースに関する重大さを文字にして伝えました。今一度、申しあげます。私は破綻ニュースの第一報を聞いた段階で、「これは日本も含めた世界にとって大変なことになる」と周囲に話していたのです。しかしながら、政治家はどうであったのか。本当にしつこくて申し訳ないですが、“自民党一の経済通”と言われる与謝野馨氏は、総裁選出馬中の遊説先でこの事件に出くわし、事件の翌々日ごろでしょうか、「日本への影響はゼロではないが、ハチが刺した程度」と評しました。麻生氏もそれに対して大きな反論を述べるでもなくいた訳で、その時私はすでに「この人たちに任せていたら、日本は大変なことになる」と予感したものです。

余談ですが、与謝野氏の社会人経験はと言えば、わずか2年足らずの日本原子力発電という政府系企業勤務のみ。実体経済をまったく経験していない“机上経済論者”にすぎないのです。それを「党内一の経済通」とあがめる“経済オンチ集団”政府自民党に、多くを期待する方が無理であるとつくづく感じます。年の瀬を迎えた今、何か良い景気対策案が出るかもしれないと言う期待感もなく、来年を思えば思うほどとここ何年もなかったほど暗い気分の年の瀬になってしまったと言う意味で、米国発世界同時経済危機は今年の№1ニュースであったと思います。(どちらかと言うと与謝野氏の“アホ発言”が今年一番ビックリした出来事と言う感じですかね。あの発言の後で、よく恥ずかしくもなく経済・財政担当大臣とかができるものだと二度ビックリです。)


最後は暗い締めくくりとなりましたが、北京オリンピックの日本代表選手たちが教えてくれた、「執着心」と「自信」を持って「努力」を怠らないこと、という「勝利への方程式」を胸に刻みつつ、波乱の08年を見送りたいと思います。

皆さま、よいお年をお迎えください。

08年私の10大ニュース④ ~ 3~2位

2008-12-31 | その他あれこれ
●3位~懲りない“官”の非常識行動●

今年も後期高齢者の医療負担問題、ガソリン税の問題等がクローズアップされるたびに、単純に国民負担を重くするのではなく「官」の無駄遣いや特別会計の不透明支出等をなんとかして原資のねん出はできないのか、国民負担を軽くできないのか、という議論がたびたびマスコミをにぎわしていました。例えば、実態不明の天下り先政府関連法人への人件費の負担問題や、果ては税金でカラオケセットやマッサージ機を購入していた話まで、とにかく民間では考えられないお金の無駄遣いがたくさんある訳です。自分たちで稼いだお金ならまだしも、国民から召し上げた税金ですからね。

輪をかけてひどかったのは、年間200日以上もタクシーで帰っている“官僚様”のお話。さらにその後の展開では、タクシーを頻繁に使うことでお酒、おつまみ、商品券の“接待”まで受けていたという「居酒屋タクシー」の実態まで明らかになり、一時期「タクシー帰り」自粛の動きも一部省庁で行われましたが、今はどうなったのでしょう。年が変わって免罪符が得られる訳ではありません。政治もマスコミも、一時の“祭り”で終わらせずに、“官の非常識”が改まるまでしっかりと糾弾を続けて欲しいと思います。消費税アップはそれが大前提条件であると、今一度言っておきたいと思います。


●2位~一層高まる「食」の安全問題への関心●

昨年発覚した「不二家」「白い恋人」「赤福」などの食品偽装問題は、収束方向になるどころか、昨年末発覚したの「船場吉兆の偽装問題」の広がりが年初よりさらに大きくなり、その後、JTの「中国製冷凍食品問題」、「ミートホープ偽装問題」「うなぎ産地偽装問題」、問題としてより深刻な主食関連の「事故米混入問題」まで発覚。まさに、食の安全があらゆる食材で不安視され、管理姿勢およびコンプライアンス姿勢が昨年以上にクローズアップされた1年でありました。

問題の流れは2つありました。ひとつは船場吉兆型の収益追求のあまり意図的な改ざんや偽装が行われたというもの。もうひとつは、JT型の管理過信による甘さの露呈に起因するもので、行き過ぎた価格競争が海外での安価な製造工程を選択させ、それがゆえに安全管理面でゆるみがでたというタイプです。前者の場合は完全なコンプライアンス違反であり、ある意味犯罪でもあります。その後の対応のまずさもありましたが、当然のように船場吉兆、ミートホープなどは会社も倒産に追い込まれています。後者の例では、意図的ではなくとも管理過信や杜撰さがコストダウン目的と言う企業の論理の下おこなわれたものであるならば、前者同様に社会的制裁を受けるのだという今様の世論の考え方を世に示した事例でもありました。

いかなる論理であっても、安全性を損なうような収益モデルは一切許されない、この点だけは明確に確立された1年でした。昨年に端を発した「食の安全問題」が今年1年の経験則を踏まえ、来年は同様の事例が再び繰り返されないことを祈るのみです。

08年私の10大ニュース③ ~ 6~4位

2008-12-30 | その他あれこれ
●6位~THE WHO初の単独来日公演!●

今年も多くのアーティストが来日を果たし、個人的フランチャイズの六本木ビルボード・ライブを中心として、たくさんのステージに接することができました。ベテランたちの年季の入った素晴らしい演奏の数々中で、今年私が見た№1ライブ・パフォーマンスは…、やはり11月の「THE WHO at 日本武道館」でした。

64歳ロジャー・ダルトレー、63歳ピート・タウンゼントの「これぞロック!」という凄すぎるパフォーマンスに、私を含め大勢つめかけた同年代の50オヤジたちを2時間立ちっぱで興奮、絶叫させるものすごいライブでした。武道館と言うやはり“伝説のバンド”には似合いすぎるハコも最高でした。さいたまアリーナでなく、武道館まで足を運んで本当に良かったです。4年前の横浜「ロック・オデッセイ」出演での初来日時を数段上回るインパクトで、我々70年代ロック・フリークを満足させてくれました。まだまだ終わることなく、我々世代の力の元として活躍を続けて欲しいですね。60代のうちにぜひとも再来日を期待します。次はロックオペラの「トミー」ライブか「四重人格」ライブ?


●5位~北京オリンピック開催●

チベット問題や、食の安全問題、著作権問題等々、数々の対処すべき課題を眼前にしながら、中国真の近代化へ向けた試金石たる北京オリンピックが8月に開催されました。始まってしまえば、当初の課題の数々はどこへやら、やはりマスメディアの報道は日本人選手の活躍ぶり一色。数多くのドラマが生まれ、テレビ観戦の我々もいろいろと教えられることの多いオリンピックでもありました。

「執着心」「自信」そして「努力」があれば、必ず勝利へ導かれると元気づけてくれたのは、水泳の北島康介選手でした。一時期の大スランプを乗り越えての2大会連続2種目制覇は大変な偉業です。一番の感動的シーンは多くの方々と同じ、女子ソフトボールの優勝の瞬間でした。マスメディアでは上野投手ばかりがクローズ・アップされていますが、基本的にはチームワークの勝利であると思います。やはり全員が宿敵アメリカに「絶対勝つ!」という「執着心」「自信」「努力」を持って試合に臨んだ点は、北島選手と共通する勝利への最大のポイントであったように思います。いずれにしましても、決勝のアメリカ戦は素晴らしく感動的なゲームでした。

逆に忘れられない「反面教師」は野球の星野ジャパンでした。特に監督星野仙一氏に関して言うなら、オリンピック後も含めてあんなに“男を下げた”行動を取り続けるの人も珍しいと言う感じでした。リーダーの目立ちすぎ、一人相撲、見苦しい言い訳、名誉への執着心…、どれも経営者がやってはいけない行動を見事に“悪い例”として演じてくれたのでした。それはそれで、勉強材料ではありましたが…。


●4位~訃報あれこれ●

毎年、亡くなる方がいるのは世の常であり、いたしかたないモノではあります。今年はいく人か、特に忘れ得ぬ方々とのお別れがありました。まず、漫画家の赤塚不二夫さん。私が子供のころから本当に大好きで、赤塚作品なくして今の私の人格形成はあり得なかったとさえ思えるほど、影響を受けました。晩年は、病に倒れこん睡状態のまま数年間を送り、その間に倒れる前は元気であった妻に先立たれそれすら知らずに眠り続けていたことに、何とも物悲しさを感じたりもしました。元気ならマンガ好きの太郎総理のふがいなさを叱咤してくれたのではないか、とも思え残念でなりません。

ニュース・キャスターの筑紫哲也氏も、とても残念な訃報でした。活字の出身で報道機関としての役割や責任の認識が甘い電波業界に喝を入れ、電波報道のひとつのあり方を確実に築いてきた方でした。迷走を続ける“落日”の朝日新聞グループを、元“朝日の良心”筑紫氏はどう見ていたのでしょうか。政治と官僚の問題に関しても、もっともっとブラウン管を通じてモノを言って欲しい人物でありました。

そしてもうひとり、私の父が今年1月に亡くなりました。父の死後いろいろ思うことも多く、私自身の仕事においても今まではなかった部分として、父であったらどう考えたであろうか、という新たな判断基準を与えてもらいました。大きな遺産であるかなと、つくづく思っています。今は横浜みなとみらいを見下ろす高台に眠っています。

08年私の10大ニュース② ~ 8~7位

2008-12-30 | その他あれこれ
●8位~ガソリン、穀物高で物価高騰!●

この年末にはすっかり様相が変わってしまいましたが、春から夏にかけては投機マネーによる原油価格の高騰と、石油に代わる穀物燃料開発関連での穀物高のダブルパンチが強襲。各方面で値上げ値上げの連続で、我がランドリーもエネルギー費高騰にはホント苦戦を強いられておりました。この夏のガソリン価格で言えばリッター200円にも届こうかと言う勢いで、車での外出が敬遠された夏でもありました。

秋以降は一転、年末にはガソリンはリッター100円を切ろうかと言う状況です。これはとりもなおさず、リーマン・ショックに端を発した金融危機の影響で、投機マネーが急激に収縮したことに起因しています。ガソリンが安値で安定供給されれば企業の運輸費が大幅に削減され、穀物燃料開発も急がなくてよしとなり穀物価格も安定します。

でも夏までに値上げ、あるいは内容量減を実施した商品の数々は価格や内容量を戻していますか?なんとなく、景気悪化にばかり気を取られていますが、企業側はバレないなら今のままの価格や分量で儲けさせてもらい、少しでも収益減の足しにしようというズルはないでしょうか?例えばうちのランドリーのガス料金、上げるときの対応は早かったものの12月末現在で下げる話は一向に聞きません。皆さんもこの夏までは値上げ大騒動があったことを忘れずに、秋以降の金融危機騒ぎのドサクサでごまかされませんよう、くれぐれもお気をつけください。


●7位~政(まつりごと)の不調は続く…●

思えば昨年の阿倍元首相の突然の退任以来、政(まつりごと)の世界はおかしくなりました。そして阿倍氏のあとを受けた福田前首相が、小沢民主党との大同連合を模索したかと思えば、またもや突如の“投げ出し”辞任。これもまた困ったものでした。

自民党は後任総裁を選ぶ総裁選を実施、その最中にリーマンの破たんが起きましたが、候補者は脳天気に自己の票集めに終始していました(今年最大の“失言”、与謝野氏の「日本のダメージはハチが刺した程度」との“おバカ経済オンチ発言”はこの時起きました)。そして、漢字が読めない“漫画太郎”こと麻生太郎氏が総理に就任し、わが国は無策なまま金融危機を迎えることになり、空気と先が読めない経済・財政担当大臣(与謝野)と漢字が読めない首相で、日本経済を奈落の底へ突き落そうかと言う勢いで景気は悪化を続けています。

さて来年はどうなるのか。総選挙で勝つのが、自民だろうが民主だろうが関係なく、今よりも少しは先行きと空気が読めて、漢字も首相として恥ずかしくない程度は読める方に日本経済を救い出して欲しいと心より願う次第です。

08年私の10大ニュース① ~ 10~9位

2008-12-29 | その他あれこれ
今年も残すところあと3日。遅くなりましたが、今年の10大ニュースはじめます。


●10位~パソコン販売のトレンドを変えた5万円PCブーム!●

台湾製5万円PCが日本のパソコン市場を大きく変えました。ASUS、エイサーの台湾メーカーが、シンプル、安価を特徴として今春日本のノートPC市場に殴り込みをかけ、革命的な流れを作りました。デスクトップPCは数年前からDELLなどがビジネスユースを中心として、機能を絞り込んだ安価な製品を投入したことで低価格化が急激に進展していたものの、ノートPCは場所をとらない利点を求める個人ユースをターゲットに「“不要な”高機能→“結果的”高価格」が幅を利かせ、メーカーの収益源的プロダクト・アウト市場と化していました。

そこに登場した5万円ノートPCはまさに革命児でした。流行りもの好きの私も、10万円を超えると購買を躊躇したくなるところですが、5万円弱ならとさっそくASUSのPCを購入し秋より愛用しています。記憶媒体にSSDを使用して諸費電力を抑え、なんと連続5時間は確実に稼働するすぐれものです。東京との行き来の車内での資料作成や原稿打ちに、手放せない状況になりつつあります。

国内各メーカーも台湾製5万円PC人気に重い腰をあげ、“利幅の薄い”「機能限定で安いPC」の製造にようやく乗り出しました。家電量販店でも、マイナーメーカーかつ利幅小のため当初は売り場の片隅で細々売られていたものが、今や人気に押されてPC売場のメイン・ステージを占拠する勢いを見せています。今後は景気下降も後押しして、「高機能→高価格PC」は敬遠され「機能限定の安いPC」が益々主流になることでしょう。この一連の騒動は、消費者を向いた商売が一番強いと言うことの証でもありました。


●9位 ~ 競馬界に“新星”登場!三浦皇成●

当ブログではGⅠレースの競馬予想も扱っているので、競馬ネタもひとつ。武豊以降、待望久しい競馬界の新たなスターが今年誕生しました。この3月デビューしたばかりの三浦皇成ジョッキーその人です。まだまだ弱冠18歳のひよっ子ですが、3月からの10か月間で挙げた勝ち星が91勝!未来永劫破られないであろうと言われていた、それまで武豊騎手が持っていた新人勝ち星記録69勝を10月段階で早々に破り、100勝の大台にも迫ろうかと言う大記録を打ち立てたのです。

新人では初勝利をあげるのだって大変なことです。1年間未勝利の騎手だってざらにいる世界であり、あっさり91勝というのはハッキリ言って凄すぎです。まさに競馬界の“新星”登場です。さてそんな彼が、2年目のジンクスを打ち破って本当のスターになれるかどうかですが、先輩“スター”である武騎手が自身の記録を三浦騎手に破られた日に興味深いコメントをしていました。それは、三浦くんが新記録を作った場所とレースについて、「裏開催の福島で、しかも客の少ない朝の第一レースということですが、これからスター街道を歩む者としては物足りない」というものです。

なるほど、野球の長嶋茂雄をはじめスター選手は注目の舞台へ自らを導き活躍してこそその価値が高まるというもの、武騎手もオグリキャップ感動の引退レースをはじめスター性を裏付ける活躍が多々ありました。三浦くんの今年の記録そのものは文句のつけようのないものでも、スターとして今後の競馬界を担うにはもっとスター性を兼ね備えよとは、武豊にしか言えない素晴らしい後輩への激励でありました。三浦くん来年は、デビュー2年目の秋の菊花賞がGⅠ初制覇という武騎手よりも早い時期にGⅠ初勝利を成し遂げ、次代のスター座を確実なものにして欲しいところです。


あれ、7位まで書こうと思ったのに、長くなってしまいました。とりあえず9位まで。続々アップします!

〈70年代の100枚〉№57~スティーリー・ダンの“補欠”がもたらした大成功

2008-12-28 | 洋楽
70年代前半にイーグルスとともにウエスト・コースト・サウンドを確立し一時代を築いたドゥービー・ブラザーズは、70年代半ばにボーカル、ギター、曲作りで中心的役割を果たしていたトム・ジョンストンを健康問題で欠き、存続のピンチに陥ります。

この危機に新たにバンドに加入し、全く違う形でバンドを再生させ前期以上の成功をもたらして一時代を築いたのがキーボード&ボーカルのマイケル・マクドナルドでした。マイケルは、それまでのギター中心のバンド・アンサンブルをキーボドメインへ180度の方向転換させ、独自のキーボド・リフとソウルフルなボーカルで、押しも押されもさぬAORバンドの代表格へとバンドを押し上げることに成功したのでした。

№57    「ミニット・バイ・ミニット/ドゥービー・ブラザーズ」

もともとマイケルはスティーリー・ダンのセッション・メンバーではあったものの、主にコーラスとしてのみ役割が与えられ、決して満足のいく形で音楽活動をしていた訳ではありませんでした。そんな折、一足先にスティーリー・ダンを抜けドゥービーに移っていたギターのジェフ・バクスターが、マイケルの不完全燃焼状態を見越しまた彼の隠れた才能を高く買って、ドゥービーへ引き寄せたのでした。

彼は76年の「ドゥービー・ストリート」で早くも素晴らしい才能を披露し、それまでのフォーク・カントリーにルーツを置くウエスト・コースト・サウンドに、東海岸育ちのソウル・フルで都会的な新たなセンスを加え、彼が書いたシングル2曲とアルバムは大ヒットします。そして77年の次作「運命の掟」では前作以上にマイケル色を強め、さらに続く78年の「ミニット・バイ・ミニット」でこの新路線はピークを迎えることになるのです。

アルバムはこれまで以上にシャープで引き締まった演奏とジャズ・フュージョン的な都会的アレンジメント・センスにあふれるマイケル作のA1「ヒア・トゥ・ラブ・ユー」で幕を開けます。その余韻も冷めやらぬ中、続くA2「ホワット・ア・フール・ビリーブス」A3「ミニット・バイ・ミニット」A4「デペンディング・オン・ユー」とたたみかけるAORの極致的楽曲は、今まさに第2期ドゥービー・ブラザーズの頂点を極めたと感じさせる、本当に完成度の高い素晴らしいメロディと演奏の連続です。

特にA2「ホワット・ア・フール・ビリーブス」は、ケニー・ロギンスとの共作でケニー自身も録音していますが、マイケルは魅力的な独特のキーボード・リフでアレンジし全米№1の大ヒットを記録するとともに、このリフはAOR界に多くのマイケル・フォロワーを生んだのです。恐らくは、70年代後半において最高にエポック・メイキングな曲であったと言っても過言ではないでしょう。ちなみに、翌79年のグラミー賞でこの曲は、「最優秀レコード」「最優秀ソング」「最優秀アレンジメント」の3部門を受賞しています。

アルバムとしても、彼ら初の全米№1を記録。彼らをサンフランシスコ出身の“フォーク・カントリー”系ロック・バンドのイメージから完全に脱却させ、70年代後半のアメリカを代表するバンドへと導いた“決定盤”となったのです。ただこの成功の功績はマイケルひとりのものでなく、前期ドゥービーをトム・ジョンストンと共に支えたギター&ボーカルのパトリック・シモンズの存在を忘れてはならないと思っています。

パットは形を変え続け加速度的に都会派へと変貌するバンドを、スピリットの部分で支え続けました。デビュー以来の西海岸に根ざした彼とトムが築いたバンドスピットがあってはじめて、AORバンドとして行き過ぎない絶妙なバランスの上に成立しえた成功だったのだと思うのです。その意味では、マイケル以上にバンドを成功に導いたのはパットの存在であったのかもしれません。マイケルのその後のソロとしてのイマイチな活動を知るにつけ、この点は動かしようのない事実なのではないかと思うのです。

バンドは、メンバーチェンジを経てリリースされた次作「ワン・ステップ・クローサー」発表後に解散。数年後、マイケル抜きのトム&パットを中心とした初期ドゥービー路線での再結成を果たし今も活動を続けますが、やはりこちらもイマイチな結果に陥っています。トム&パットのドゥービー・スピリットとマイケルの都会的音楽性が、ギリギリの緊張感をもって結びついてはじめて、“AORドゥービー”の大成功はあったのだと双方の現状から妙に納得させられ、このアルバムの偉大さを改めて実感するのです。

有馬記念(前日予想)

2008-12-27 | 競馬
さあ暮れも押し迫って、明日はいよいよ年末の風物詩グランプリ有馬記念です。

今年は昨年の1、2着馬⑩マツリダゴッホ、⑬ダイワスカーレットが揃って出走。人気の中心です。

JRAのホームページに掲載されていたここ10年間の傾向分析では、有馬記念で連対経験ある馬について、4歳馬ならその年の連対率は100%であるものの、5歳以上馬なら連対0という不吉なデータが出ていました。すなわち、人気2頭では1⑬ダイワは軸に最適、⑩マツリダは消しと言うことです。確かにマツリダは、昨年は天皇賞惨敗後ここがピークという仕上げでしたが、今年は前走苦手な東京コースのGⅠジャパンカップで差のない4着好走と、前走がピークと思える仕上がりで、今年は“おつりなし”が印象づけられます。ここは素直にJRAデータに乗りたいです。

という訳で、軸は⑬ダイワ。中山2500メートルは内回りで先行有利なので相手は、前走ジャパンカップが案外で人気下降のしぶとい先行馬⑫アサクサキングス。大一番に強い四位への手戻りも期待大です。前走ジャパンカップ勝利で本格化の⑧スクリーンヒーローですが、そのスクリーンを基準で考えれば、前走で今回と同じ距離をスクリーンより5キロ重たい58キロでコンマ2秒差3着した⑦アルナスラインは、同等以上の評価が可能です。中山大得意のペリエのマジック騎乗も期待できます。

結論は⑬から馬連で⑫⑦へ。押さえで⑧へ。
⑦⑫から上位人気馬へのワイドもおいしそうです。

武豊⑨メイショウサムソンは、ラストランで武マジックがあるかもしれませんが、馬自体がややピークは過ぎた感じがます。

今年こそ気持ちよく年を越したいものです。

経営のトリセツ49 ~景気悪化時に警戒すべき“社内マンネリ”の恐怖

2008-12-26 | 経営
今のような景気悪化時に排除すべき「社内マンネリムード」打破のお話です。「マンネリ」って何でしょう?考えたことありますか?

人間は慣れの動物と言われています。自己のやっていることがとがめられることなく、何らかの理由でそこそこの居心地である場合、その行動は習慣的になり何の疑いもなくその行動をとり続けるようになります。同時に習慣性が出ると、変化に抵抗しようとするようになるのです。これは、人間は心の中に「快適ゾーン」ができると、その居心地の良さからそこから出ていこうとしなくなる、という習性によるものと説明されています。すなわち、これが俗に言う「マンネリ」なのです。

「マンネリ」現象は非常に危険です。自分の「快適ゾーン」に安住してそこから出て行こうとしないのですから、目的意識も発展意欲も存在しないのです。組織において皆が「居心地がよく」現実維持を望んでいたとしたら…、その企業は確実に破綻に向かうでしょう。景気の良い時期ならまだしも、特に今のように景気が悪化の一途である時代であれば、事は深刻であると思わなくてはいけません。

マクスウェル・マルツの「釜ゆでのカエル」の話を聞いたことがありませんか?水の入った容器に入れられたカエルは、いきなり熱いお湯に移されれば熱くて飛び出します。ところがカエルが入った水を容器ごと徐々に温めいくと、「居心地の良さ」に安住して環境の変化に気がつかず最後は茹であがってしまうというものです。これを企業に置き換えたらどうでしょう。今多少の景気悪化の実感を社員が持っていたとしても、「居心地の良い」業務環境を変えたくない気持ちが優先して、本当に危機感を持って動いているのが社長だけだとしたら…。会社はいずれ“ゆであがって”しまい、取り返しのつかない状況になってしまうでしょう。

ではどうするのがいいのでしょうか。まずは「環境変化」とそれが及ぼす影響の大きさをしっかりと伝え、状況認識をさせることです。カエルの例で言えば、「これはいずれ熱湯になるんだぞ。今のうちに現状打破の対策を考えないとダメだ!」と意識づけをすることです。その上で、景気悪化という「環境変化」が止められないものである以上、「自分自身が変わるしかない」ことを自覚させることです。「熱湯になる前に動け!」と言うことです。

現状認識に関する意識づけのコミュニケーションが足りないと、状況悪化で賞与・給与カットをおこなったときに、不平不満が噴出してモチベーション・ダウンが組織内に蔓延したりします。意識づけができても、問題はいかに各自の行動を変えさせるかです。「快適ゾーン」から動くことはかなりの抵抗感があるでしょう。単なる“ハッパがけ”だけでは「言い訳」「責任転嫁」などで抵抗することは見えていますし、仮に動いたかに見えても長続きはしないでしょう。それをさせるには、「現状打破」に向けた明確な「目標」を提示し、それで「評価」をしていくことを明確に伝えるしかないのです。そしてそれを有効に機能させるか否かを左右するのは、やはりコミュニケーションなのです。

「マンネリ」は、組織の構造的問題と思われがちですが、刺激の少ないコミュニケーション不足が生んだ「社員の心の問題」なのです。ですから、充分なコミュニケーションによる状況認識と新たな目標に対する理解があってはじめて打破できるものなのです。これはまさにEQマネジメントの世界。世の中が大不況に向かう今こそ、会社を“ゆであがらせない”コミュニケーションとEQマネジメントが不可欠な時であるのです。

<NEWS雑感>12/25号「飯島愛、自宅リビングで孤独な死」

2008-12-25 | ニュース雑感
元タレントの飯島愛さんがクリスマスイブの24日、自宅で倒れ亡くなっているのを発見されたそうです。死因は不明。死後数日経過との報道もあり、芸能界引退後の華やかな世界での生活からの急転をうかがわせる“孤独な死”との印象を受けました。

飯島さんは、AV女優から売れっ子タレントに転身した、いわば“成り上がり芸能人”。陽のあたる場所へは絶対に出られないと思われていたアングラな世界から、華やかな“表舞台”の人気者に躍り出た彼女の生き様は、多くの若い女性にある意味で勇気を与え、自身の半生を綴った「プラトニック・セックス」は150万部を売る大ベストセラーにもなりました。「水商売」「整形」「AV女優」→「人気タレント」、昭和の時代にはあり得なかった新しい生き方は、芸能界に憧れるアウトローな若い女性たちにとっての“ジャパニーズ・ドリーム”であったと言えるのかもしれません。

昨年春、体調不良を理由に芸能界を引退。その後も、肉体的疾患に加えて精神的なダメージもあったようで、自殺の可能性も示唆されています。芸能界という生き馬の目を抜く競争社会に自ら望んで飛び込み、“AV出身”というレッテルをはねのけ第一線に躍り出るのは並大抵の努力ではなかったはずです。そしてその人気を維持するストレスと不規則な生活が、肉体と精神の健康を蝕んでいったのだと思われます。

売れに売れていたその時期に引退を決意したことは、「状態」が普通の“悪さ”ではなかったことをうかがわせますし、死因はどうあれ結果“無謀な戦い”に敗れた悲しい結末であるように思えてなりません。2001年に突然出版した「プラトニック・セックス」は、売れなくなった芸能人なら分かりますが、人気絶頂の最中にあえて言わなくても良いことまで赤裸々に綴った告白本で、出版当時にどこか違和感を覚えたのも事実です。今思えば、この時期から既に何か体や心の内にはしまいきれない大きな“ストレス”抱えていたのかもしれません。

アウトロー生活から華やかな世界へ移ってからは、表向き強運に支えられた順風満帆に思える人生でしたが、並大抵ではなかっであろう彼女の努力や苦労を思うとき、無理や背伸びはきっとその人を不幸にする、そんなことを改めて考えさせられもします。街がにぎわうクリスマス・イブに発見された彼女の孤独な死という人生のコントラストには、何か示唆的なものを感じずにはいられません。上手に生きることは奇跡に近いと思えるほど、生きることは本当に難しいと思うのです。

心よりご冥福をお祈りいたします。

国民に“負担押しつけ”「中期プログラム」に異議あり!

2008-12-23 | ニュース雑感
税制改革の自公合意報道があり、はからずも昨日の続きのようなネタと相成ります。

自民、公明両党が23日未明、税制抜本改革の「中期プログラム」で消費税率引き上げ時期について政府案の修正で基本合意したそうです。今朝の新聞でも、今後3年間の景気回復を条件とし消費税引き上げ時期は「2011年度」は明記、「2015年改革完了」は削除と報じています。「景気回復」に関しては、「今年度を含む3年以内の景気回復に集中的に取り組む」とし、消費税増税に踏み切る条件として「潜在成長率の発揮が見込まれる段階に達しているかなどを判断基準とする」としています。

一見穏健にみえるこの合意内容の問題点を。まず「今年度を含む3年以内の景気回復に集中的に取り組む」とした点ですが、現在期待薄の有効な景気対策が今年度中に講じられなかった場合、「集中的に取り組めなかった」とみなし、本プログラムは破棄されるのですか、と言う事。そうじゃないんでしょ。だとしたらこんな書き方は単なるポーズに過ぎません。全くの無意味。単なる国民への“目くらまし”に過ぎないです。

次に、「潜在成長率の発揮が見込まれる段階に達しているかなどを判断基準とする」と言う点。一言で言って具体性に欠けます。要はどうにでもできるということ。「潜在成長率が発揮されている」と“政府”が言えばOKという、あまりにもいい加減で曖昧な判断基準ではないでしょうか。「何が何パーセント以上で何がどうなったら消費税上げの条件は整ったと判断する」という具体的なモノを提示しないで、曖昧なまま増税の言質をとったかのようなモノ言いは国民をナメているの一言です。

仮に、「今の段階では、何が何パーセント以上などというものを提示できる訳がない」とおっしゃるならすなわち、現段階での消費税上げ方針を明言することそのものが時期尚早な訳です。それと潜在成長率を消費税率引き上げ可否の判断基準にすることは、自民党中川秀直元幹事長が言うように、「国民感覚で景気は悪い状態でも、一方的に増税されかねない」ということにもなります。

そしてもう一点。昨日も申し上げたように、景気回復に加えて国家財政の無駄遣い是正をまず絶対条件にしないことには、国民の納得は到底得られないということ。この点をなぜ分からないのかです。「消費税を5%あげる前に、○.○%分の捻出を各省庁の経費削減・資産有効活用等で実現することを条件とする」なり、「消費税5%の引き上げが必要であるが、まず○.○%分を各省庁の経費削減・資産有効活用等で実現し、引き上げ幅はその達成分を差し引いた分とする」なりの、国民に一方的に負担を強いるやり方にならない前提条件を盛り込むべきであると考えます。

政治家が多額の事務所費を公費で賄い、官僚は「予算策定」を理由に連日タクシー帰りを続け東京の一等地に相場の十分の一以下の格安家賃で住み続けている…。一向に改まらないこんな状況を見るにつけ、不景気の海であえぐ国民に一方的に負担増を押しつける上意下達やり方は、本当に腹立たしい限りです。