★All American Boy/Rick Derringer
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1.Rock and Roll, Hoochie Koo
2.Joy Ride
3.Teenage Queen
4.Cheap Tequila
5.Uncomplicated
6.Hold
7.The Airport Giveth (The Airport Taketh Away)
8.Teenage Love Affair
9.It's Raining
10.Time Warp
11.Slide on over Slinky
12.Jump, Jump, Jump
“100万ドルのギタリスト”ジョニー・ウインターが70歳を超えて遂に初来日が実現し、4月の震災後間もない東京でライブを決行しました。ウインター・ファミリーのプロデューサー兼プレイヤーとして、70年代に活躍したのがリック・デリンジャー。ジョニーの弟エドガーとも長く行動を共にし、ソロとしてもコンスタントに活動を続けるマルチなアーティストでもあります。その彼の73年の初リーダーアルバムが「All American Boy」です。
もともと彼は60年代に、「ハング・オン・スルーピー」のヒットで有名なマッコイズというポップグループの中心メンバーとして活躍。60年代末~70年代初頭にまずエドガーとの共演&プロデュースを手掛け、その後兄のジョニーのプロデューサー兼ギタリストとして活躍します。マッコイズのメンバーをジョニーと合体させたバンド、ジョニー・ウインター・アンドでは、彼の代表曲となる最高にキャッチーな「Rock and Roll, Hoochie Koo」などの楽曲を提供しその才能の片鱗を見せました。その曲を1曲目にフィーチャーし、満を持して制作された初リーダアルバムがこの作品なのです。
一言で言って彼の最大の特徴はマッコイズ時代から脈々と続く天性のポップ感覚であり、その点を活かしプロデューサーとしても活躍します。特にジョニーやエドガーのアルバムでは、ほっておくと重たく堅い方向に向きがちなウインター兄弟の音をポップ感覚豊かな作品に仕上げています。この「All American Boy」はそんな彼の魅力が満載で、ハードロック、R&Bからスワンプに至るまで、その幅広い音楽性を披露しつつそこを貫くポップな感性を十二分に味わう事ができるのです。
彼はプレイヤーとしてはマルチであり、このアルバムでもドラム以外ほとんど自身の演奏によるものです。マルチ・プレイヤー兼プロデューサーと言うと、トッド・ラングレンあたりが思い浮かびますが、そうやって考えてみると6.「Hold」あたりではどことなくトッドを彷彿とさせるメロディーラインとアレンジである点も面白いです。歌モノロックよし!インストよし!バラードよし!で間違いなく彼の最高傑作です。
おまけでこの作品とセットで聞きたい同じ路線の、この時期出されたジョニーとエドガーのリック・プロデュース作を。
★「Saints&Sinners / Jonny Winter」
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「All American Boy」で自信を深めたリックがジョニーをポップにプロデュースした74年の作品。したがっていつもの重たいブルーズロックをベースにした暑苦しいジョニーではなくカバーモノも軽めで、ある意味軽やかで最も耳馴染みの良いジョニー作品ではないでしょうか。ジョニー・ファンには評判のよろしくないアルバムですが、心地よく聞けるアメリカンロック・アルバムです。
★「Shock Treatmet/The Edgar Winter Grup」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/ed/218cbce91b52f792389a0d803e260cfc.jpg)
同じく74年、弟エドガーのバンドのギタリスト兼プロデューサーとして制作したアルバム。上記2作路線の集大成とも言えます。ここではもう一人、後にソロとしてもチャートをにぎわすダン・ハートマンがベース&ボーカルで参加しており、エドガー、リック、ダンの三人が織りなす個性の融合がハード&ポップ・ロックの名作を作り上げました。エドガーの最高傑作であると同時に、リックのプロデュース作の最高峰でもあります。70年代洋楽ファン必聴の1枚。
※三作ともジャケット写真に風が吹いているのは、同じコンセプトを意識した結果でしょうか?