“携帯電話戦争”を大きく揺るがしかねない注目の商品、アップル・コンピュータの「Phone」がいよいよ7月11日に国内初お目見えとなります。
まず、Phoneの説明から。大半の方はご存じかとは思いますが、アップル社製のスマートフォンです。キーパッドを廃しタッチパネル主体としたデザインが特徴で、電話としての機能に加えて3.5インチのワイドディスプレイでテレビ番組、映画などを見ることができます。しかもアップルとYouTubeの提携により、iPhoneに最適化された(H.264) YouTube が利用可能。もちろん音楽はiPodの利便性をそのまま搭載し、iTunesから画像添付でのダウンロードもOKです。
衰えを知らないiPod人気を考えるに、最新版iPodがまんま携帯になったとも言える、Phoneが人気にならない訳がありません。昨年7月の発売以来、米国内ではすでに600万台を売り、品薄状態が続いていると聞きます。その人気の秘密のもうひとつは、機能に比べての価格の安さにあります。7月11日ソフトバンクから発売予定の国内版は、先の機能てんこ盛りでなんと8Gモデルが2万3千円也!ドコモさんの高機能新型携帯が軒並み5万円台となっているのと比べて、「半額」以下という驚異です。
なぜ、こんなことができるのでしょう?
携帯の安売りと言えば、「0円携帯」を代表とする少し前までの日本の携帯ビジネスに見られた“嘘つき価格”が思い起こされます。日本の携帯安売りは、実は販売時に安く売って高い通話料で販売時の値引き以上を取り返すという、ある意味“だまし”の商法でした。すなわち、販売時の値引き分は利用者が後からしっかり取られていた訳です。これこそ“官系企業”のNTTドコモ、KDDI両社が、お友だちの官僚とつるんで考えた日本的「既得権ビジネス」の正体なのです。
しかしながら、今回のPhoneの安価の理由は全く違います。一言で言えば、“ふたつのオープン化”によるものと言えます。ひとつは、「販売エリアのオープン化」です。日本の携帯ビジネスは官僚管理の下の寡占ビジネスであり、その既得権を守らんがために長く「鎖国状態」にあります。すなわち日本の携帯電話は、日本でしか使えない、つまり国内向けであるが故に製造台数が限られているのです。
ところがアップルの携帯は、世界に向けて販売展開を考え作られています。すなわち、日本の携帯電話とは製造見込み台数が文字通りケタ違いであり、開発コストの吸収力、製造単価の圧縮度が全く違う訳です。これが安価の第一の理由です。
価格を抑えたいま一つのオープン化は、通称SDKと言われる「ソフトウェア開発キット(Software Development Kit) のオープン化(公開)」にあります。すなわち、近年のビジネスのグローバルな流れは「オープン・ソース化」であり、ソースをオープンにすることで、ソフトウェアの開発を分け隔てのない外部にゆだね、また自由競争化させ、開発コストの大幅削減とソフトウエアの質の充実が同時にはかれるのです。「オープン化」こそが、日本の官僚と“官系企業”が織りなす「既得権ビジネス」には最も縁遠い、グローバルなビジネス視点でもあるのです。
日本での販売は、当面ソフトバンク・モバイルのみです。同社は激しい争奪戦の末、先行販売権を独占した形になります。アップルがソフトバンクを当面の日本国内でのパートナーとして選んだ理由はまちがいなく、国内3社(ドコモ、au、SB)では明らかに純民間のソフトバンクが「フリー」&「フェア」に近く、すなわち「グローバル」な商品を扱うのにふさわしいと判断されたからであると思われます。
海外の先進企業から見たら異常としか言いようのない、「官」の怪しい匂いがプンプンする「既得権ビジネス」にどっぷりの2社には警戒をしたということではないでしょうか。Phoneの取り扱いを熱望しているNTTドコモの山田隆持新社長は23日、「iPhoneの提供をあきらめたわけではない」と改めてコメントしたそうです。ドコモがPhoneを扱えるかどうかは、今後の携帯戦争の行方を大きく左右しなねない重要な問題であります。
ドコモをめぐるこの問題の行方は、日本的“官系企業”が「フリー」で「フェア」な海外の先進企業から、将来的な“脱官”のグローバル化の可能性を認めてもらえるかどうかにかかっているとも言えるでしょう。その意味において、“官系企業”の真の民営化への「踏み絵」ともなりうるという点からも、大いに注目に値する問題であります。
まず、Phoneの説明から。大半の方はご存じかとは思いますが、アップル社製のスマートフォンです。キーパッドを廃しタッチパネル主体としたデザインが特徴で、電話としての機能に加えて3.5インチのワイドディスプレイでテレビ番組、映画などを見ることができます。しかもアップルとYouTubeの提携により、iPhoneに最適化された(H.264) YouTube が利用可能。もちろん音楽はiPodの利便性をそのまま搭載し、iTunesから画像添付でのダウンロードもOKです。
衰えを知らないiPod人気を考えるに、最新版iPodがまんま携帯になったとも言える、Phoneが人気にならない訳がありません。昨年7月の発売以来、米国内ではすでに600万台を売り、品薄状態が続いていると聞きます。その人気の秘密のもうひとつは、機能に比べての価格の安さにあります。7月11日ソフトバンクから発売予定の国内版は、先の機能てんこ盛りでなんと8Gモデルが2万3千円也!ドコモさんの高機能新型携帯が軒並み5万円台となっているのと比べて、「半額」以下という驚異です。
なぜ、こんなことができるのでしょう?
携帯の安売りと言えば、「0円携帯」を代表とする少し前までの日本の携帯ビジネスに見られた“嘘つき価格”が思い起こされます。日本の携帯安売りは、実は販売時に安く売って高い通話料で販売時の値引き以上を取り返すという、ある意味“だまし”の商法でした。すなわち、販売時の値引き分は利用者が後からしっかり取られていた訳です。これこそ“官系企業”のNTTドコモ、KDDI両社が、お友だちの官僚とつるんで考えた日本的「既得権ビジネス」の正体なのです。
しかしながら、今回のPhoneの安価の理由は全く違います。一言で言えば、“ふたつのオープン化”によるものと言えます。ひとつは、「販売エリアのオープン化」です。日本の携帯ビジネスは官僚管理の下の寡占ビジネスであり、その既得権を守らんがために長く「鎖国状態」にあります。すなわち日本の携帯電話は、日本でしか使えない、つまり国内向けであるが故に製造台数が限られているのです。
ところがアップルの携帯は、世界に向けて販売展開を考え作られています。すなわち、日本の携帯電話とは製造見込み台数が文字通りケタ違いであり、開発コストの吸収力、製造単価の圧縮度が全く違う訳です。これが安価の第一の理由です。
価格を抑えたいま一つのオープン化は、通称SDKと言われる「ソフトウェア開発キット(Software Development Kit) のオープン化(公開)」にあります。すなわち、近年のビジネスのグローバルな流れは「オープン・ソース化」であり、ソースをオープンにすることで、ソフトウェアの開発を分け隔てのない外部にゆだね、また自由競争化させ、開発コストの大幅削減とソフトウエアの質の充実が同時にはかれるのです。「オープン化」こそが、日本の官僚と“官系企業”が織りなす「既得権ビジネス」には最も縁遠い、グローバルなビジネス視点でもあるのです。
日本での販売は、当面ソフトバンク・モバイルのみです。同社は激しい争奪戦の末、先行販売権を独占した形になります。アップルがソフトバンクを当面の日本国内でのパートナーとして選んだ理由はまちがいなく、国内3社(ドコモ、au、SB)では明らかに純民間のソフトバンクが「フリー」&「フェア」に近く、すなわち「グローバル」な商品を扱うのにふさわしいと判断されたからであると思われます。
海外の先進企業から見たら異常としか言いようのない、「官」の怪しい匂いがプンプンする「既得権ビジネス」にどっぷりの2社には警戒をしたということではないでしょうか。Phoneの取り扱いを熱望しているNTTドコモの山田隆持新社長は23日、「iPhoneの提供をあきらめたわけではない」と改めてコメントしたそうです。ドコモがPhoneを扱えるかどうかは、今後の携帯戦争の行方を大きく左右しなねない重要な問題であります。
ドコモをめぐるこの問題の行方は、日本的“官系企業”が「フリー」で「フェア」な海外の先進企業から、将来的な“脱官”のグローバル化の可能性を認めてもらえるかどうかにかかっているとも言えるでしょう。その意味において、“官系企業”の真の民営化への「踏み絵」ともなりうるという点からも、大いに注目に値する問題であります。