日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

訃報~“Tokyo Joe”今野雄二氏自殺に思う「栄光の日々」と「老いらくの悲哀」

2010-08-03 | その他あれこれ
評論家の今野雄二氏(66)が、代官山の自宅で自殺され亡くなられたそうです。

今野氏と言えば、一般的には11PMの映画紹介コーナーの“コンちゃん”で知られる方ですが、我々世代の洋楽ファンにとっては海外情報が少ない時代のロンドン文化コメンテーターとして、スウインギング・ロンドンからグラム・ムーブメントに至る60~70年代前半の音楽およびファッションに関する英国文化の情報提供者として忘れられない人物であります。特に日本初の洋楽文化番組「リブ・ヤング」では、ブレイク前の愛川欣也氏とともに番組進行役を務め、当時来日したTレックスのマーク・ボランやデビッド・ボウイを相手にインタビュアーを務めたり新着のロンドン情報を流したりと、当時の海外最先端文化にあこがれる若者たちから羨望のまなざしを持って迎えられた“新文化人”でありました。

私なんぞが洋楽聞きはじめの70年代前半の洋楽界は、ビートルズ、ストーンズ以降クラプトン、ツエッぺリン、パープル、ボウイ、Tレックス、エルトン…と圧倒的英国優勢下にあり、そんな当時に英国と日本を頻繁に行き来し最先端カルチャーを自分の体験で語る姿には、正直少なからずあこがれたものです。特にエルトン・ジョンとは親交が深く、彼の誕生パーティに呼ばれた際のあまりに楽しげな写真入りのエピソードなどをレコードのライナーノートで読むにつけ、「早く大人になってこんな仕事がしたいものだ」と思ったものでした(訃報に接し思わず昔のレコードを引っ張り出して彼のライナーを読み返してしまいました)。他にも、加藤和彦氏との交友の延長から、プロデューサーのクリス・トーマス(加藤ミカをトノバンから寝取った男です)経由でロキシー・ミュージックとも大変親交が深く、リーダーのブライアン・フェリーが書いた「Tokyo Joe」(キムタク主演ドラマ「ギフト」主題歌)は彼がモデルであったと言われています。

66歳の自殺の陰に何があったのでしょうか。その昔栄光を極めた者の“老いらくの悲哀”であったのか、この春に同じく自殺した加藤和彦氏の死とどこかイメージがダブったりもします。しかも彼は、その筋では“おカマのコンちゃん”としても知られ、老いゆく自身の容姿への絶望感が彼を死に追いやったとしたら、あまりに悲しい末路であると思えてなりません。折しも先週末の31日には件のブライアン・フェリー率いるロキシー・ミュージックが来日し、「フジ・ロック・フェスティバル」に出演しています。同じ時代を共に歩んだロック・ヒーローのいまだ変わらぬ活躍ぶりが、かつての“Tokyo Joe”である彼の心に何か「鬱」な思いを去来させたのでしょうか。あまりに偶然とは思えないこのタイミング。人の「栄光」と「老いらく」の落差とその悲哀に「人の本当の幸せ」とは何であるのか思わず考えさせられずにはいられない、そんな複雑な思いを抱かされた訃報でありました。

過去のご活躍に感謝の念を込めつつ、心よりご冥福をお祈り申しあげます。

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