日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

またぞろ不祥事!救いようのないNHKの脳天気体質

2008-01-18 | ニュース雑感
「親方日の丸」の“ダメ”ガバナンスぶりを露呈する事件が、またも発生しました。

ダメ事件とは、「NHK職員によるインサイダー取引発覚」です。
昨年3月に、外食企業統合のニュースを放送前に社内情報端末で知ったNHK職員3人が、事前に株を購入して翌日売り抜けた、というものです。

3人は2人の記者とディレクターとのこと 。公正な報道を司るマスコミ、しかも公共放送の報道担当が起こしたこの事件は、お粗末というよりも呆れであり、襟を正すどころか、解体も含めた抜本的な改革の必要を切に感じさせる大事件であると言えます。


まず問題点その1。
06年7月に、日経新聞広告局職員によるインサイダー事件が発覚し、大変な騒ぎになり、マスコミ各社は本件を他山の石とし、インサイダー防止策を講じました。
しかしながらNHK社内には、情報を扱う機関でありながら今も「インサイダー規定」すらないといいます(あったのは注意喚起レベル)。すなわち、、他社に大事件が起きようが我関せずだったのです。規定すらない状態では、社員へのコンプライアンス教育など、全く行われていなかったことは想像に難くないところです。今の時代の常識と比してのコンプライアンス意識の薄さは、信じられない程低いレベルです。

問題点の2つ目。
今回のインサイダー情報は、発表前に端末から全国で約5千人が見れる状態にあったとのこと。NHKの社内の情報管理体制、いや機密情報に関する取り扱いについて、何も考えていなかったのではないか、ということです 。
この脳天気ぶりはなんでしょうか。これだけ世間一般に情報管理の厳正化が叫ばれている昨今、「企業には、一層厳正な情報管理が求められています」などと報道している張本人が、なんたる杜撰な状況にあったことか。NHKは、管理体制がしっかり構築できるまでは、情報管理に関する報道で意見する資格はありません。

3番目。
これが一番問題なのですが、今回の3人は共謀したものではない、ということ。すなわち、何のつながりもない3人が、同じインサイダー情報を耳にして同じ行動をとったということです。
これはどういうことか?要は社風、企業風土の問題ということです。すなわち、社内で得た機密情報で、インサイダー取引をしても構わないという風潮が社内に蔓延しているということです。しかも、その3人のうちひとりはディレクター=管理職ですから、もう救いようがありません。


NHKは、原因の究明と再発防止策を講じるとしていますが、全然お話になりません。
すべての根源は、「親方日の丸体質の甘え」「報道機関のおごり」に他ならないのです。以前「制作費流用事件」に端を発した聴取料不払い運動が起き、社内の抜本的体質改善を宣言したのではありませんでしたか?それが、まったく何の改善もされていなかったことに他なりません。恐らくこのままでは、早晩、再び不払い運動が起きることはまちがいないでしょう。

再三にわたり不祥事を繰り返すNHKの組織風土は、腐りきっています。報道の現場におけるインサイダーは、自社の責任を省みないと言う点では、食品業界で例えるなら、商品に毒物が入るリスクを知りながら見過ごしたも同じ。民間企業ならば、間違いなく企業破綻に追い込まれている大事件です。

今回の件に関して、世論はNHKの小手先の善後策発表で許してはいけません。他のマスコミ各紙、各局は、同業だからと批判の手を緩めることなく、社会の公器として、同社の「親方日の丸体質の甘え」「報道機関のおごり」からの脱却に向けた具体的対応を求め、厳しい糾弾 を続けていくべきであります。

同時にNHKのあり方を考える外部の同社改革に関する識者機関は、この機会に同社が「親方日の丸体質の甘え」「報道機関のおごり」体質からの脱却がはかれないと考えるなら、報道、制作部門の分離民営化を先導し(ユニバーサルサービス部分のような政策的に官のままが好ましいとされる部分を除き)、民間として生きることの厳しさを骨の髄までしみるほど実感させるべきであると思います。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
その通りだと思います (宮崎人)
2011-02-25 22:39:54
 私は何年か前からNHKは全く見なくなりました。あまりにも不祥事が多すぎる。おまけに我々が納めた受信料を天下りに流したり、暴力団に絡ませたりロクなことないです。転勤が多いというのも問題と思います。民放のニュースキャスターは元NHK出身者がゴロゴロ。これではNHKも歯がたたないはずだ。
返信する

コメントを投稿