日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

天皇賞秋

2009-10-31 | 競馬
“秋天”です。個人的に一番好きなGⅠレースなのですが、なかなかとれません。堅いと思えば荒れ、荒れると思えば堅い。実に難しいレースです。

今年は人気でも3着は外さないと思える馬が2頭。昨年の覇者名牝⑦ウオッカと菊花賞馬⑮オウケンブルースリです。⑦ウォッカは東京の1600~2000メートルでは連を外していません。前走逃げていとも簡単に捕まった競馬で、年齢からくる限界説も囁かれつつありますが、そんな時ほど強さを見せてきたのがこれまでのこの馬でした。⑮オウケンブルースリは、菊花賞馬ということから今回距離不足が囁かれていますが…。前走京都大章典での末脚は圧巻。父ジャングルポケットは東京大得意で、鞍上が追わせてナンボの内田博とくれば、96年横山典がヘクって前が壁になった生粋のステイヤーのサクラローレルでさえ3着しているレースですから、やはり3着までなら堅いのかなと…。

なので、今回は⑦⑮固定の3連複で勝負してみましょう。以外にツキますよ。

前日時点で2番人気の⑩シンゲンは、前走敗戦後の初GⅠ挑戦につき評価下げ。⑧キャプテントゥーレも、前走勝った朝日CCのレースレベルが「?」で消し。8歳馬③カンパニー(③⑦⑮28.9倍)、左回り不安⑫ドリームジャーニー(⑦⑫⑮21.6倍)は押さえに回して、②スクリーンヒーロー(②⑦⑮101.4倍)④アドマイヤフジ(④⑦⑮345.8倍)、⑤ヤマニンキングリー(⑤⑦⑮116.5倍)、⑬マツリダゴッホ(⑦⑬⑮87.2倍)、⑭サクラメガワンダー(⑦⑭⑮68.4倍)、⑯ホッコーパドゥシャ(⑦⑮⑯310.8倍)⑱エアシェイディ(⑦⑮⑱159.4倍)あたりでチビチビ遊びます(シンゲンがらみの1~3番人気の3連複でも16倍ほどつくようなので、押さえてもいいかもしれません)。

少し説明を加えると、②スクリーンヒーロー⑬マツリダゴッホはGⅠ馬の底力を要警戒。⑭サクラメガワンダーは、春の宝塚記念で初めてGⅠ連対を果たしGⅠクラスの実力を証明しました。左回りに不安はありますが、狙うなら適距離のここでしょう。④アドマイヤフジは鞍上の外国人騎手スミヨンが不気味。土曜のGⅡスワンステークスでも見事な手綱さばきで、キンシャサノキセキを優勝に導きました。前走惨敗で人気落ちの⑤ヤマニンキングリー、鞍上が追える岩田康誠の⑯ホッコーパドゥシャ、相手なりに走る⑱エアシェイディあたりも要注意でしょう。

そろそろ取りたい“秋天”です。
ウオッカがコケたら皆コケますが、果たして…。

日本郵政“再国有化人事”の裏にある、開けてはいけない「パンドラの匣」

2009-10-29 | ニュース雑感
昨日発表された日本郵政の新役員人事。斎藤次郎・元大蔵事務次官の社長は既報の通りでありますが、副社長に坂篤郎・前内閣官房副長官補、足立盛二郎・元郵政事業庁長官の両氏を起用し、まさに「再国有化」を宣言したかのような新経営体制となりました。三事業のユニバーサル・サービス化による組織管理の緩慢化や、それにともなう“第二の日航化”による将来的な国民負担の可能性はすでに当ブログで取り上げたとおりですが、今回は金融・財政の分離の観点から「再国有化」の問題点を考えてみたいと思います。

今回の鳩山内閣による来年度予算策定における概算要求ベースでの予算規模は実に90兆円以上にものぼっています。これは各方面でバラマキ公約のツケ払い予算としてかなり問題視されていますが、最大の問題点は税収との収支バランスの問題です。予想される来年度の税収は引き続きの景気の低迷もあって、40兆円を下回るのではないかと言われており、50兆円以上の赤字予算の足りない分は借金でまかなわなければならないことは、子供でも分かるような状況にあるわけです。

国家の借金とはイコール国債発行です。すなわち来年度の国債発行額は50兆円を超える規模になるということなのです。これは大変なことです。現在我が国の国債発行残高は08年末時点で850兆円に迫ろうかという状況にあり、さらに来年度50兆円が上乗せされようというわけですから、事態はかなり深刻な状況なのです。何が深刻な状況かと言いますと、すなわち国債の発行高すなわち国の借金が増え続けしかも来年度空前の50兆円越えという発行増は、国の信用を著しく下げることになるわけで、そうなると国債の金利が急騰し円暴落とインフレを引き起こしそれがまた国債が売られる悪循環を招き国債市場が崩壊するという懸念があるのです。

国の信用が落ちるとなぜ国債の金利が上昇するかですが、要は国の信用力が落ちるとその債権の引き受け手がなくなり、利回りを上げないと引き受け手がつかなくなるわけで、危ない債権や貸出ほど金利が高くなる原理と同じことなのです。さぁここで登場が予想されるのが、「再国営化郵政」なのです。すなわち、国債増発で引き受け手がみあたらなくなるであろう国債を日本郵政の貯金&簡保預かり金で買い支え、金利上昇を防いで国債市場の崩壊を防ごうという腹黒い戦略が、今回の「再国営化」の裏にはあるのではないかと思われるのです。“脱官僚”を掲げる鳩山首相が、今回の人事をいとも簡単に了承した陰にはそんな狙いがあるのではないかと…。

国債の増発を政府が日銀に買い支えさせることは、財政・金融分離の原則に反する国家的金融操作であり、ある意味戦時体制をほうふつとさせる強権政治の復活でもあって国家信用を著しく下げ、金融パニックに陥れられる危険が大いにあるのです。では日銀ではなく郵貯ならいいのか、です。それとて、実質的には一巨大国営金融機関の資金運用を政治的支配下に置き、国債を買い支えることは財政・金融分離の原則からみれば明らかにおかしなことであり、この状態が長期化するならば早晩マーケットは国家財政の破たん状態を見抜き、「国債暴落→ハイパーインフレ勃発」による金融資産の半減等の価値暴落をも引き起こしかねないのです。

このように財政と金融の分離原則は本当に重要なことであり、もし政府による今回の日本郵政の「再国有化」の狙いがそこにあるのだとすれば、大変恐ろしいことなのです。“バラマキ公約”履行のためにこの「パンドラの匣」は決して開けてはならないのであり、最終的に国民の資産を半減させいわば“タコあし”を食べるかのような“バラマキ予算”であるのならキッパリと見送るべきであると、マスメディアも世論も今回の日本郵政人事策の異常さを察知し監視の目を光らせなくてはいけないと思うのです。

売れ筋ブック・レビュー~「フォーカル・ポイント/Bトレーシー著・本田直之監訳」

2009-10-27 | ブックレビュー
★「フォーカル・ポイント/ブライアン・トレーシー著 本田直之監訳(ディスカヴァー1500円)」

ブームに乗って続々発刊されている“本田本”の1冊です。本田氏が「最も影響を受けた本」だそうで、自身が廃刊になっていた本書の翻訳権を取得し今回の発刊に至ったそうです。著者はアメリカで有名なビジネス・コンサルタントで、現在は著名スピーカーとして講演を中心とした活動を展開しているようです。本書は2002年の発刊です。

一言で言えば、最近はやりの自己啓発本の総ざらい的1冊であると思います。「重要なことに絞り込む」「シンプルにする」「レバレッジをかける」と言った自己啓発のポイント指導はまさしく本田氏のそれでもあり、売れっ子ビジネス書作家である彼のネタ本的重要書籍を直接読むことができる機会であると言う点で、とても興味深い1冊であります。中身は当然、本田氏のレバレッジ・シリーズとダブる部分は多くありますが、レバレッジ部分にばかり話が集中している訳でもありませんので、氏をはじめ神田昌典氏、勝間和代氏など昨今の売れっ子の自己啓発作家たちがつくりあげた時流の原点的自己啓発本としてかなり面白く読める良書であると思います。

ポイントとなる著者の示唆、例えば「ゴールを決める」「ゴールを紙に書く」「ゴールに締切をもうける」「今すぐ行動する」「ノーと言うことを学ぶ」等々は、内外の成功者や自己啓発に関する著名スピーカーらがその著作や講演で口々に言っていることばかりであります。成功者の多くが口々に本書の中身と同じようなことを言っているということは、裏を返せば、成功する人たちの成功の要因における最大公約数的なモノはここに書かれているような内容に集約されるということにもなる訳です。そう考えると、本書は世に流通する成功の秘訣に関するネタ元がここに存在するかのような説得力をもって読む者に迫ってくる感じがします。

ただ少しばかり気になるのは、「プライベート・ライフ」の充実に関する記述と、経済的な充実すなわち「お金」に対する考え方、に関する記述です。前半の「自己啓発」に関する部分も根底にあるものはアメリカン・スタイルの合理主義的モノの考え方ではあるのですが、こと「プライベート・ライフ」や「お金」に関する部分については、日本とアメリカの文化や歴史的背景の違いが大きい部分でもあり、そのまま受け入れるには少し抵抗感があるように感じました。本田氏は、裸一貫でMBAを取得しにアメリカに渡り、アメリカ人として現地に入り込んで死に物狂いで生き抜いてきた経歴があるので、おそらくスムーズに受け止められるのでしょうが、我々一般的日本人には意訳的解釈とでも言うでしょうか、その考え方を受け入れるには少々アレンジが必要ではないかと思いました。

プライベート・ライフを含めた「自己啓発」と「お金」の指南というと、「金持ち父さん」ことロバート・キヨサキ氏が思い浮かびます。同じアメリカの成功者ですから、当然似たような主張や示唆も見受けられもします。キヨサキ氏の場合、あくまでビジネス・パーソンの立場からの指南であるため、過去の具体例にこだわり過ぎるあまりその事がかえって分かりにくさを生んでいるのに対し、トレーシー氏の場合コンサルタントの立場から、よりポイントを明快に整理した形で指し示している点で断然読みやすいと思います。

この手の本は、読む人によって合う合わないがあるとは思います。私個人は先のアメリカン・スタイル云々を除けばけっこう共感できる部分も多いので、10点満点で8点とします。個人的には最近、その日本人離れしたと言えそうなライフスタイルがやや鼻についてきた本田直之氏ですが(この本を全面的に礼賛する姿勢から、氏のアメリカナイズ的思想がますます良く分かります)、彼のような生き方を目指したい人には必読の一冊でしょう。

〈70年代の100枚〉№89~モータウンの歌姫“脱モータウン路線”の傑作

2009-10-25 | 洋楽
ダイアナ・ロスの登場です。ダイアナ・ロスは60年代に一世を風靡したモータウン・レーベルの女性コーラスグループ、シュープリームスのリーダーとして活躍。70年のグループ脱退後はソロとして、モータウンを代表する女性シンガーの座を確立します。そして、73年の№1ヒット「タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング」あたりを機に、スティービー・ワンダーが「迷信」で人種ボーダーレス路線を突き進んでいくのと時同じくして、“ブラックORホワイト”を意識させないアーティストへの変貌の道を歩み始めました。

№89  「ダイアナ・ロス/ダイアナ・ロス」

75年にリリースされたこのアルバムは、「タッチ・ミー…」でのボーダーレス路線を確実に一歩も二歩も進めた内容になっています。何といっても奮っているのは全米№1ソングのA1「マホガニーのテーマ」。「ビリーホリディ物語」に続くダイアナ主演の映画のタイトル・トラックでもあり、作詞はキャロル・キング最初の夫であるジェリー・ゴフィン、作曲は「タッチ・ミー…」と同じマイケル・マッサーです。マイケル・マッサーは、ダイアナの「タッチ・ミー…」で頭角を現したソングライターであり、この曲の大ヒットにより超売れっ子ライターへとステップ・アップを果たします。ちなみに、80年代にホイットニー・ヒューストンのデビュー当時を曲作りの面で支え、スターダムに押し上げたのも彼でした。「マホガニーのテーマ」は、そのマイケルが何度も何度も映画を見返して、入念に作り上げたというだけあって、「タッチ・ミー…」に負けない美しいメロディと重厚な曲展開が見事な名曲です。日本では、ロバータ・フラッグの「やさしく歌って」と並んでコーヒーのコマーシャルで有名なあの曲です。

このアルバムには、もう1曲№1ヒットが収められています。それがA3「ラブ・ハング・オーバー」です。これは当時、ファンクとブラックの融合やビージーズの路線変更等でブームになりつつあった70年代ディスコ・ミュージックをいち早く取り上げたもので、ある意味彼女の“脱モータウン路線”を最も象徴していると言えるのかもしれません。その他アルバムからは、これもまたマイケル・マッサーのペンによるA2「I Thought It Took a Little Time」とB2「One Love in My Lifetime」もスマッシュ・ヒットを記録し、合計で実に4曲ものヒット曲が立て続けに誕生したのでした。アルバムは、ポップ・チャートでの最高位は5位。自身の名前をアルバム・タイトルに据えたのは、この作品に対する自信の表れだったのでしょう。彼女にとってソロ独立後最大のヒットアルバムとなったのでした。

ダイアナ・ロスが今もなお、モータウン出身の黒人アーティストとしては、スティービー・ワンダーと並んでボーダーレス的な意味合いも含め、別格的なポジションを得ているのは、まさに70年代当時のモータウンの枠を飛び越えた大活躍があればこそでしょう。中でも2曲の全米№1ヒットを擁するこのアルバムは、彼女にとってはまさしくマスター・ピースと言うにふさわしい1枚であると思います。しかしながら本作、現在は本国でも廃盤です。コモドアーズの時にも触れましたが、ブラック系のアーティストは70年代の名作が復刻されることなく、ベスト盤でお茶を濁されるケースが多いように思います。どうもまだアメリカの根底に根深い人種差別意識があるように思えるのは、私だけでしょうか。

菊花賞

2009-10-24 | 競馬
明日は、三歳三冠最終戦菊花賞です。

春の実績馬と夏の上がり馬対決の構図というのが例年のスタイルです。昨年は夏の上がり馬オウケンブルウスリが勝利しています。今年はダービー馬が不出走で、やや混戦ムードが漂っています。

人気は今年の夏の上がり馬トライアル圧勝の⑭イコピコと、春の実績馬ダービー2着の⑨リーチザクラウン。イコピコは血統的に長距離ドンと来いのタイプですから、前走から距離が延びてますます有力と言うイメージがあります。一方のリーチは、長距離得意の名手武豊の騎乗で、メンバー的に単騎逃げができそうな展開も有利な印象です。ただ、淀の3000メートルを逃げ切るのは至難の業であり、気性の荒さにも一抹の不安がある点がどうかと思われます。

秋競馬のパターンでたまにあるのが、春の実績馬でありながら忘れられた存在馬の激走。今年プンプン匂うのが、⑱ブレイクランアウトです。2月の皐月賞トライアル共同通信杯を一番人気で圧勝したものの、故障もあって皐月賞を回避。NHKマイルカップで1番人気しながら9着惨敗。ダービーもその後遺症から15着と惨敗で一気に人気を落としました。思い出して下さい。昨年の2歳チャンピオン戦では1番人気(3着)を集めて、クラシック候補の筆頭にいた馬です。それが今回はなんと10番人気。人気落ち過ぎでしょう。しかも前走は、休養明けで古馬重賞の朝日チャレンジカップに出走し、昨年の皐月賞馬キャプテントゥーレに、タイム差なしの2着。改めて能力の高さを見せつけました。

と言う訳で混戦菊花賞こそ、いよいよ穴党の出番です。

⑱の単複
馬連・ワイドの相手は、⑭、⑨、⑤、⑯、⑫あたりでしょうか。
心配なのは空模様ですね。ダービーの走りを見る限り雨では用なしかもしれません。
雨なら不良のダービー3着馬⑧アントニオバローズ要注意。

大穴は、③フォゲッタブル。ダンスインザダーク×エアグルーブの超良血長距離血統は大レースでは要マークです。

なんか変??? 「走る男になりなさい/本田直之」

2009-10-23 | ブックレビュー
このところ、本田直之氏関連の書籍が次々と出版されています。ひとつは、洋書の翻訳本「フォーカル・ポイント(ディスカヴァー・トゥエンティワン1500円)」、本人著の「意思決定力(ダイヤモンド社1429円)」。この2冊は近々ブック・レビューいたします。今日の話題は、まさに今日見つけた「走る男になりなさい(サンマーク出版1365円)」です。

★「走る男になりなさい/本田直之(サンマーク出版1365円)」

「先日「意思決定力」が出たばかりなのに、また出たの?」と驚いて手に取ると、その中身はなんか感じが違います。なんと小説なのでした。帯によれば、著者初の「自己啓発小説」とか。ストーリーは、出版社広告営業部に勤める27歳の岸田海(かい)が、ある日突然、新雑誌創刊準備室へ異動を命ぜられます。海を待ち受けていたのは、性格も考え方もバラバラ、“わけあり”な8人の仲間。売上を立てなければ、創刊準備室は解散、そして解雇という状況下で、主人公・海が、さまざまなスキルを身につけ、困難に打ち勝ち勝っていく「成長物語」。 うーん、どんなもんでしょう。

小説形式で読ませながら、自己啓発ネタを散りばめるという発想は悪くはないかもしれませんが、できそこないのトレンディ・ドラマ的スト-リがいかにも陳腐な印象です。なんとなくトレンディな場所や設定を選びながら、散文的な描写の短い章立て場面単位で展開するストーリー。一昔前に売れた片岡義男を思わせる若者向けの小説といった風情です。私あたりの感覚では、「どうしちゃったの?コンサルタントの本田さん」って感じです。昨年の「レバレッジ・マネジメント」あたりまではかなりの高水準で持論を展開していたのに、その後売れた“軽め路線”「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」あたりからちょっと雲行きが怪しくなり、同じ路線の啓発本「なまけもののあなたがうまくいく57の法則」、そして今月刊の「意思決定力」では、中身の軽薄化とともに対象読者層が一気に若くなった感じです。

本田氏は若者に人気なんでしょうか?確かに1年の半分をハワイで過ごすとか、サーフィンを趣味としつつソムリエの資格も持つとか…、なんともミーハー受けしそうな一面が若者に支持される気もします。今日立ち寄った本屋では、本棚に勝間和代とともに本田直之コーナーの“サシ”があって、この二人だけ別格扱い。「なるほど世間では、若者が憧れるトレンディなコンサルタントとして勝間氏同等に扱われる存在な訳だ」と妙に納得したのでした。いや~、それにしても「自己啓発小説」はないでしょう。「夢をかなえるゾウ」ほど練られた中身ではありませんし、いっそ普通に小説処女作だったら許せるかもしれませんが…。最近の本のバカ売れ傾向でなんか勘違いしてますか?

私のレビューでは“軽め路線”は点数も軽めでして、「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」「なまけもののあなたがうまくいく57の法則」は、10点満点でそれぞれ6点、6点でした(ちなみに「レバレッジ・マネジメント」は9点)。そして、今回は遂にダメでしょうの“赤点”4点です。個人的には、この路線の本田氏とは決別です。

NEWS雑感~サービス業たる日本郵政で、官僚トップに何ができる?

2009-10-21 | ニュース雑感
昨日の続き“郵政民営化方針転換第2幕”が切って落とされました。
日本郵政の新トップに斎藤次郎元大蔵事務次官の内定発表です。

各マスコミが一斉に書き連ねているのは、「“脱官僚”の民主政権が官僚を重用」「新政権が自ら天下りを容認」「日銀総裁人事での大蔵官僚排除との整合性は?」などなど。まさかの元官僚トップ、しかも官僚中の官僚である元大蔵事務次官を持ってきた今回の人事には、ただただ驚きの一言です。約15年も前の事務次官であるなら確かに正確には“天下り”ではないでしょうし、日銀総裁人事のケースは財政金融の分離と日銀の独立性確保が大義名分での反対意見でしたから、これも正確にはあたらない批判なのかもしれません。私が思う問題は、今後運営方針を見直しするという前提であっても、現時点ではれっきとしたサービス業の超大企業トップが官僚でいいのかという点です。

企業は言うまでもなく利益を上げることが唯一最大の存続目的であり、郵政が今のまま企業形態をとりつつ方針の見直しをするのであるなら(民営化形態を止めることはないと亀井氏は明言してます)、果たして企業家にその経営をゆだねずしてうまくいくのでしょうか。これが、金融機関という専門領域を扱う特殊な法人であるのならまだしも、日本郵政は郵便というサービス業をそのメイン業務として抱えているわけで、斎藤氏がいかに金融・財政のプロであろうとも元官僚には違いなく、この巨大サービス産業のマネジメントを任せるにふさわしいとは到底思えないのです。

現場経験のない元官僚にサービス業の何が分かるのでしょうか?少なくとも、現状の流れから3事業のユニバーサル・サービス化への逆行を新たな方針とするにしても、それを利用者の視点で見、かつコングロマリットとしてのビジネス・バランスを勘案しつつ、いかに国の補助を最小限に抑えながら企業としての収益性の確保をはかっていくのか。政争の具と化し二転三転する組織運営に、嫌気する職員のモラール・アップをどうするのか。そんな一流の企業経営者にとっても超難題であるものを、マネジメント観念や収益観念の乏しい元官僚に任せるという神経が分かりません。単なる不良金融機関のテコ入れではなく、巨大サービス業の一本立ちに関する新たな舵取りを担うトップなのですから、民間からの登用が肝要であるのは誰の目にも明らかなのではないでしょうか。

もう一点。斎藤氏の古巣大蔵省はと言えば、郵便貯金、簡保で集めた資金のかつての出口で、“第二の予算”と言われ外郭団体の“天下り資金源”でもあった旧「財政投融資」の所轄省庁なのです。斎藤氏の日本郵政トップ人事の報を聞いて、財務省内は歓迎ムードに沸き立ったと聞きます。理由は何なのでしょうか?我々民間人には知る由もありませんが、何か重要なことを意味しているように思えてなりません。現在の日本郵政には№2の席にも大蔵OBが鎮座しているのですから、斎藤氏の起用でトップ2人が大蔵OBになる訳で、今後の行く末になんともキナ臭いものを感じさせられます。旧「財政投融資」の所轄官庁という観点から見れば、日銀トップへの大蔵OB起用とは別の意味で、郵貯・簡保マネー運用面での改革進行上財務省と日本郵政との相互けん制は必要であり、トップ人事という点においても一定の距離を保つ必要があるのではないでしょうか。

民主党の政治改革、霞が関改革を一人でかき回している感の強い亀井静香氏。彼が主導する“時代逆行”の今回の日本郵政トップ人事で、鳩山内閣最大のアキレス腱であることがより一層明確化したように思います。

NEWS雑感~素人大臣の感情論に流される郵政民営化の不安な行く末

2009-10-20 | ニュース雑感
日本郵政西川善文社長が本日夕刻、社長辞任の会見を開き辞意を表明しました。

郵政民営化の本題とは直接関係ありませんが、ひどい会見でした。やたらに偉ぶった頑固ジジイ丸出し、「写真撮ってたら話ができん」「やめようか」「カメラは出ていけ」…、部下には「君、何とかしろよ!」。EQ重視の今時に“エライ”政治家だってこんな人いやしない、経営者失格ですね。「老害」の一言で片づけていいものでもないでしょう。日本郵政のトップなのですから。いかにご自身が納得のいかない形での辞任であろうとも、昨日もお話をしたように、経営者たるもの「ご自身の感情の管理」ができないようではその時点で論外です。民営化路線の是非問題とは別の次元で、西川氏の実質“更迭”だけを取り出せば正解であったと思わせられてしまうほどお粗末な会見でした。

私の全銀協出向時代に、西川氏が旧住友銀行の専務として同協会の一般委員でおられたのでその当時の西川氏を存じ上げておりますが、一家言あるキレモノといった印象でこそありましたが、今は偉くなりすぎたのでしょうか、あの傍若無人な会見ぶりは実質更迭会見における恥の上塗り以外の何物でもありませんでした。本当に残念です。会見での態度の悪さを国民が支持するハズもなく、会見の印象だけで「西川=民営化=悪モノ」であるとの認識となることが容易に想像できるだけに、もう少し思慮深い対応をされるべきであったと思われます。

さて焦点は西川氏ではなく、郵政民営化の行く末をどうするのかです。今日の閣議決定を聞いていると、4社分割は1社統合へ方向転換し、銀行業務および保険業務もユニバーサル・サービス化へ逆戻りさせるかのようなお話とか。民営化に向けては小泉政権の時代に散々議論を尽くして、郵便を中心として一部国庫負担によるユニバーサル・サービス維持はするものの、戦後復興期にその役割を終え裏予算化してムダの温床と化していた財政投融資の解体と金融サービスの民業圧迫解消を旗頭とした隠れ赤字運営からの脱却を目指し、総選挙を経て国民の支持を得、最終決定したと記憶しております。それをそんなに安易なひっくり返しで本当にいいのでしょうか。私は疑問です。

まず第一に、“小泉憎し”“民営化憎し”の亀井静香氏が郵政改革担当大臣であり、郵政民営化反対で自民党を除名された個人的な恨みつらみも含めての、感情論で動いていることに大きな懸念を感じざるを得ません。実質国営化への再方向転換で「ユニバーサル・サービス堅持」の旗印の下、再び「親方日の丸運営」による赤字垂れ流し体質に陥る危険性、巨大国営金融機関による民業の圧迫の再燃等はかなり強く懸念されるのです。

なによりもその運営コストの規模から見て、将来の国家財政のカギを握る重要課題である訳で、民営化の時以上に様々なシミュレーションを重ねた上で、今後の対応策に関する慎重な議論が必要なのではないでしょうか。このままの状態での実質国営化への逆戻りは、第二のJALを作り出し将来に禍根を残すことになりかねません。財政的な面での長期的立て直し策に関しては現時点では全くの無策状態の民主党政権ですから、経済金融素人の“警察官僚大臣”の感情論に動かされて、安易な決定をすることだけは避けて欲しいものです。

NEWS雑感~自分に負けた石川遼

2009-10-19 | ニュース雑感
昨日のプロ・ゴルフ、日本オープンは三者同スコアのプレーオフで最後まで接戦を展開しつつも、最年少優勝を目指した注目の石川遼選手は伏兵小田龍一プロに破れました。18番で優勝決定のバーディ・パットを外し、さらにプレーオフ2ホール目のバーディ・パットが明暗を分けた形でしたが、昨日の石川選手の流れを決定づけたポイントは、6番パー5でのダブルボギーにあったと思います。バンカーショットのバックスイング中、観客のカメラ付携帯電話のシャッター音に腹を立てスイングを中断、クレームを口にした後の仕切り直しショットをミスしたことが最後まで響きました。

「紳士のスポーツ」と言われるゴルフですから、マナーを守らないギャラリーが悪いことは間違いありません。ただそれに対してその場で感情的に声を荒げたというのはいかがなものなのでしょう?注意の仕方は、大会委員を通じてそのプレー後にギャラリーにアナウンスする等、他にもいくらでもあったかと思います。あの場面で、スイングをやめてギャラリーを睨みつけ強い口調でモノ言いをするのは、明らかにプロとして冷静さを欠いた対応だったのではないでしょうか。結果、そのホールのスコアを大きく崩し、感情に左右された流れのまま優勝まで逃してしまったと思えるのです。

私は企業の管理者に対して、「感情的のコントロールこそが管理者の重要な仕事である」と常々クライアント先でお話をしています。管理者は上に立っていると言う比較優位から、部下のミスやルール違反に対して時として感情的な言葉で部下を喩したくなるものですが、これが結果的に自身の判断ミス等を招く大きな原因でもあるのです。石川選手は管理者ではありませんが、ゴルフ界の“人気者”としての対ギャラリーにおける比較優位から来る「慢心」があの場面で出たのだと思います。結果的に、32歳にしてツアー初優勝、「慢心」とは無縁の“苦労人”小田龍一プロに優勝をさらわれたことは実に象徴的でありました。石川遼選手が、プロとして本当の“一流”になって世界に羽ばたくようになるには、まだまだ甘いと思わせられる一場面でした。18歳ですから、これから精神面を鍛えて欲しいところです。

〈70年代の100枚〉№88~ディスコ・ブームに連なる“ホワイト・ファンク”の登場

2009-10-18 | 洋楽
70年代当時は世にも珍しい白人ファンク・バンドのアベレージ・ホワイト・バンド。バンド名を直訳すれば、「平均すれば白人バンド」。スコットランド出身の全員白人の英国人バンドでありながら(後に黒人メンバーも加入)ブラック・ミュージックを手掛ける彼ら一流の、何とも人を喰ったバンド名な訳です。

№88    「ピック・アップ・ザ・ピーセズ/アベレージ・ホワイト・バンド」

彼らの曲を初めて聞いた時には、間違いなく黒人バンドであると疑いを持たずにおりました。こんな典型的なファンク・ミュージックをやっているバンドが白人であるはずがないと思ったからに他なりませんが、さらに彼らが英国のバンドと聞いて二度ビックリでした。カッティング基調のギターにホーン・セクションを加えた、なんともダンサブルなナンバーたち。ボーカルもハイトーンで、贅肉をそぎ落とした歌い方で聞かせてくれます。まさしくブルー・アイド・ソウル?ロック、ジャズ、ソウル、ファンクの融合。ある意味では、これぞAORと言ってもいいのかもしれません。AOR元年と言われる74年に、ニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」とは別のスタイルで、ブラックやジャズとの融合をめざした新しい白人のアプローチが始まっていた訳ですから。

74年リリースのアルバム「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」は彼らのセカンド・アルバムで、当時グラム・ロック全盛の母国英国を後にしてアメリカ完全移住をはかっての本作リリースは見事に成功、予想外の大ヒットを記録します。このアルバムではとにかく、捨て曲なしのダンサブルなナンバーが次から次へと登場し、本場アメリカのどの黒人バンドにも負けないファンキーな演奏を聞かせてくれます。何といってもハイライトはキャッチーなタイトル・ナンバーA3「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」と、黒人ファンク・バンドであるアイズレー・ブラザースのカバーA5「ワーク・トゥ・ドゥ」でしょう。演奏も当然達者ながら、アラン・ゴリーのボーカルも実に黒っぽくていいのです。

ちなみに「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」は、その後もいろいろなところでBGMやイントロがSE的に使用されたりして音楽ファン以外も耳にしているであろう超有名曲ですが、この曲はインスト・ナンバーでありながら75年初頭に全米№1に輝いているのです。アルバムも同じく75年全米№1を獲得。ちょうど同時期は黒人のファンク・バンドであるオハイオ・プレイヤーズ(シングル「ファイヤー」が№1ヒット、エッチなジャケットが人気でした)も全盛期にあたり、「シャイニング・スター」が№1に輝いたアース・ウインド&ファイアーも含め74~75年はファンク・ミュージックのアタリ年であったと言っていいでしょう。中でも彼ら“白いファンク”の登場は、“流れ”を“うねり”変える役割を果たしました。この時期のファンク・ムーブメントにおけるアベレージ・ホワイト・バンドの活躍は、その後の白人バンド=ビージーズを頂点に据えた70年代ディスコ・ブームの到来に確実な影響を及ぼしたと言っていいと思うのです。

アベレージ・ホワイト・バンドはこの後、同路線のノリで「カット・ザ・ケイク」をヒットさせますが、その後はややバラードに比重を置くような作品づくりになり、徐々に人気は下降線をたどって82年に解散。その後、オリジナル・メンバーを中心として再結成され、現在はステージを中心に活動を続けています。近年は時々来日もしていて、赤坂「ブルー・ノート」六本木「スイート・ベイジル139」丸の内「コットン・クラブ」六本木「ビルボード・ライブ」など、場所は比較的小ぶりなハコではありますが70年代と変わらぬ熱いファンクを聞かせてくれていて、何とも嬉しい限りです。