日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

私の名盤コレクション11 ~ Ernie Graham/Ernie Graham

2011-09-03 | 洋楽
★Ernie Graham/Ernie Graham

1. Sebastian
2. So Lonely
3. Sea Fever
4. The Girl That Turned The Lever
5. For A Little While
6. Blues To Snowy
7. Dont Want Me Round You
8. Belfast

「知る人ぞ知る名盤」とか、「隠れた名盤」とかの形容詞よく耳にしますよね。長年にわたってたびたび音楽雑誌やその筋の方々にそんな形容詞で語られ続け、21世紀になってようやく聞くことがかなったアルバムがこれです。アナログ時代には渋谷や新宿あたりのマンションの一室にあった中古盤店を何軒も血眼になって探したもののなかなか巡り合えず、ようやく見つけた時には自分の予算とはひとケタ違う高値のプライスに涙をのんであきらめたことも。2002年に突然自主製作的に紙ジャケ化され(紙ジャケの出来は褒められたものではありません)、確か200枚とか300枚とかの限定リリースのニュースを聞きつけ、あわててネット通販を申し込みようやく手にしたというシロモノです。

アーティストの名はアニー・グレアム。日本語表記ではグラハム?アイルランド出身のシンガー=ソングライター。彼名義のアルバムはこの一枚のみ。購入時点で予備知識はなかったものの、長年切望しようやく聞けた“名盤”は期待にたがわぬ素晴らしいものでした。正確に言えば音や旋律や歌声が私の趣味にあったということなのかもしれません。一言で言うなら“癒し系のディラン”という感じ(自分で言ってみてなんですが、“癒し系のディラン”って「冷たいカレー」みたいなもので、なんかあまり良さそうに思えませんが・・・)。とにかく、ホッとする何かがここにはあります。

アイルランド出身と言えば、ヴァン・モリスン、U2、ホット・ハウス・フラワーズ、ギルバート・オサリバン等々、彼らは寒い冬をじっと耐え越してきたどこか陰のある歌や演奏がウリでもあります。しかしながら、アニーの歌はどちらかと言えばメインは「春」のイメージ。陽だまりのような暖かな印象がそこここから感じられます。“陽だまりミュージック”としてはメジャーキーの曲1、2、4、5、7。1. 「Sebastian」や2.「So Lonely 」は本当に素敵です。1のアコースティクな感じの弾き語りは、まさに“癒し系のディラン”。2の安っぽいエレキ・ギターなんかはもう最高にヘタウマで、思わずニヤけちゃいます。このあたり繰り返し聞いてみると、どこかで聞いたことがあるような、ないような。吉田拓郎のアルバム「伽草子」の雰囲気に似ている。そうか、“癒し系のディラン”は日本では拓郎であったのかと、妙に納得です。

4.「The Girl That Turned The Lever 」7.「Dont Want Me Round You」あたりは、ザ・バンドの趣き(7のキーボードは「おっ、松任谷正隆?」って感じですが)。 最後は自身の故郷を歌った8.「Belfast 」。ここには“陽だまりミュージック”はなく、アイルランドの背負った宿命を歌った実にアイルランド人らしい歌で幕を閉じます。このアルバムがリリースされたのが71年。残念ながら注目されることなく、次のアルバムが企画されることもありませんでした。78年に突如シングル盤を出しますが、パンクの風が吹き荒れ始めていた時代背景が悪くまたもや不発。これで彼は音楽の道をあきらめ、オリエント急行の車掌になったそうです。しかしアルバムは時を経て「知る人ぞ知る名盤」として語り継がれ、CDでの再発売が熱望されていた矢先の2001年、彼は病に倒れ音楽界に復活することなく55歳の若さでこの世を去ったそうです。そしてこのアルバムは伝説になったのです。

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