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軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

日本航空宇宙学会「軌道エレベータ検討委員会」を設置へ

2013-01-21 20:48:07 | ニュース
日本航空宇宙学会「軌道エレベータ検討委員会」を設置へ

 一般社団法人日本航空宇宙学会(=JSASS、事務局・東京都港区)はこのほど、「軌道エレベータ検討委員会」の設置を決めた。
 JSASSは理事会報告の中で、昨年12月に開催した第476回理事会において「軌道エレベータに関する件」の報告事項として、「軌道エレベータの実現性について調査検討を行う『軌道エレベータ検討委員会』の設置が決まりました」と述べている。
 JSASSでは、宇宙開発の可能性や選択肢の一つとして、軌道エレベーターについて議論していく必要性があるという意見が、これまでの学会の場でも上がっており、具体的な動きが待たれていた。詳細は今後詰めていくことになるとみられるが、軌道エレベーターに関心を持つ研究者や「宇宙エレベーター協会」などにとって、これからの研究に弾みがつくことが期待される動きとなりそうだ。

 JSASSは、1934年に前身の「日本航空学会」が発足。改組などを経て、現在は「一般社団法人日本航空宇宙学会」。航空宇宙分野の交流や情報交換などを通じ、研究の普及と日本の学術の発展につなげる活動を行っている。(軌道エレベーター派 2013/1/21)

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「宇宙エレベーターシンポジウム 誰もが行ける宇宙へ」開催

2012-12-09 12:41:53 | ニュース
 先月開かれた催しで、引越しが重なって取り上げるのが遅れてしまいましたが、ひと月遅れで紹介します。日本科学未来館は4年前の11月、私たち宇宙エレベーター協会が初めて学会を開いた会場で、久々に訪れて隔世の感ありでした。詳細は協会の会報に書く予定なので、ダイジェストのニュースとして紹介します。


「宇宙エレベーターシンポジウム 誰もが行ける宇宙へ」開催

 軌道エレベーター(以下、発表内容に従い「宇宙エレベーター」と表記)の可能性について意見を交わす「宇宙エレベーターシンポジウム 誰もが行ける宇宙へ」が11月16日、東京都江東区の日本科学未来館で開かれ、約200人が参加した。
 「宇宙エレベーター実現プロジェクト」を進めている日刊工業新聞の主催で、宇宙エレベーター協会(JSEA)が協力。第1部では、「宇宙エレベーター建設構想」を発表した大林組エンジニアリング本部のの石川洋二氏が構想について講演した後、JSEAの大野修一会長が活動内容を報告。続いて第2部では「宇宙エレベーターAWARD」と題して募集した論文の入選作品の表彰が行われた。
 論文は宇宙エレベーター実現の上で「技術的な問題」「社会的な問題」の2テーマで募集。中央大学の学生による「宇宙エレベーター建造における社会的問題~建造初期段階における主導組織について~」が最優秀賞に選ばれたほか、複数の大学、高校生らによる論文が表彰された。
 表彰の後には、石川氏や大野会長のほか、エレベーター製造の技術者などによるトークセッションが行われ、実現の可能性や課題などについて話し合った。(軌道エレベーター派 20112/09)

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米LiftPort、月軌道エレベーターへ向け資金を公募

2012-09-27 21:03:45 | ニュース
 米LiftPort社は、地球近傍の軌道上と月面を結ぶ軌道エレベーター(月軌道エレベーター)を実現するために、一般の有志からの資金公募を行った。
 同社の提案する月軌道エレベーターは、地球─月系のラグランジュ1と月面との間にテザーを結び、クライマーにより人や物資を運搬するもの。最終的には地球上の静止軌道エレベーターも設けて、月と地球を往復する安価なルートの確立を図る。なお今回公募したのは、その実験のための資金。



 同社はこれまで、静止軌道エレベーターの実現と営業を掲げてきたこともあるが、資金不足と要素技術の遅滞もあり依然として達成できず、実現の見通しは立っていないのが実情。そこで、より早期に実現できる可能性が高い月軌道エレベーターを短期目標に掲げ、一般市民からの資金調達を通じたPRを行うとともに、新たな存在意義と方向性を模索する狙いもあるとみられる。
 同社によると、今月18日までに当初目標の8000ドルの14倍にあたる110000ドルが集まったという。(軌道エレベーター派 2012/9/27)

(以下は軌道エレベーター派の雑文です)
 更新滞っていてお詫びします。今回は「ニュース」と「気になる記事」を併せた内容を書き散らかします。
 さて今回の提案ですが、地球─月系のL1を重心に設ける軌道エレベーターであり、高軌道エレベーターの一種とも言えますが、完成型は微妙に月から吊り下ろされるバランスになりますか。構想そのものは、軌道エレベーターのバリエーションの一つとして、ずいぶん昔から提唱されていたものであり、特に新しいモデルではありません。私もポケットブックで触れてますし。方法もL1を足場とし、そのまんまテザーケーブルを伸ばして造る典型的なブーツストラップ式。図によると全長25万km程度のようですね。月は自転周期が公転周期と同じなので、基本的に地球に同じ面を向けているのですが、それでも結構なブレがあるので、月面と直にくっつけてしまうというのは少々大胆な気もします。第1世代のモデルであってピラーが剛体ではないから、月そのものに吸収してもらうなど、その辺は何らかの免振機構が設けられるのかも知れません。素材の要求強度も低く、少なくとも地球上に造るよりは現実味があるのでしょう。

 月探査機などは、別にL1を通過して月へ向かうわけではないので(通常はもっと速いスピードでL1とは異なる「中間点」というのを通過していきます)、宇宙船などは任意の高度でエレベーターに取りつくのが合理的でしょう。少なくとも現代の技術では、それはそれで大変なはずですが、月周回軌道に送りこんだり帰ってきたりするのよりは低コストではあるのでしょうね。
 とりわけ有人飛行の再開には役立つのではないかと。アポロ(サターンV)が月へ向かう際には、地球の重力を振り切るために大量の燃料を消費するので、当然莫大なコストを要するのですが、帰りは帰りでスピードが出すぎて結構大変なんですな。アポロの帰還船が地球に戻る時のスピードは、有人の移動体による史上最速のスピードとしてギネスにも認められていて、そのまま地球大気圏に突っ込むと燃え尽きる。このため、アポロの再突入カプセルは大気圏上層に浅く突入して、深入りせずに再び宇宙へ逃げるという「スキップ弾道」と呼ばれる行程を7、8回行って徐々にスピードを殺した後に地上に帰還しています。
 LiftPortの月軌道エレベーターが実現すれば、こうした負担も軽減されるでしょうし、月の重力は地球の1/6で大気もないですから、人を載せたクライマーの運行も地球上よりは平易になると思われます。Liftportは将来的には、地球上に築く静止軌道エレベーターとのコラボで、この月軌道エレベーターの運用を想定しているそうですから、そういう時代が来ればいいと願うのは、いつものことであります。

 今朝の朝日新聞によると、現在進行中の米大統領選では、ブッシュ政権がぶち上げた「月面回帰」に両党とも触れないという有様ですし、個人的には、軌道エレベーター業界を活気づけてくれるこういう話題が出てくるのは大歓迎なのですが、今は話半分以下に受け取った方がいいかも知れません。LiftPortといえば、以前は2018年までに軌道エレベーターを造って第1便をリフトオフさせるという大風呂敷を広げ、その後目標年を2030年代にシフト。さらに500万円程度の借金が返せず右往左往したりという話も耳にしましたから、今もさぞや青息吐息に違いない。今回の話でも「俺ら静止軌道エレベーターぶち上げてんだけどさあ、まだまだかかるわ」と正直に述べているあたり、結構泣けます。
 だから今回の話も山師臭い雰囲気を感じる方も多いでしょう。Michael Laine 氏がプロモしていて、私4年前にちょっとだけお会いしたことがあるんですが、こんな人だったっけか。。。? しかし、この草の根運動には色々と苦しさが伝わってくるのは同志的な気持ちが沸くというか、他人事とは思えんわ。オービタってるなあ。でも月面着陸用ロボットにアームストロングと名付けるのはどうでしょうか。
 庶民の力で本当に実現すれば素晴らしいんですがねえ。私も面白半分に寄付しようかと思ってたのですが、もう終わっちゃったかな? 皆さんには勧めませんが。

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第4回宇宙エレベーター技術競技会(JSETEC2012)開催

2012-08-17 21:22:41 | ニュース
 8月1~5日、静岡県富士宮市で、軌道エレベーター(または宇宙エレベーター)実現のための技術蓄積や実験を兼ねた「宇宙エレベーター技術競技会」(JSETEC2012)が開かれた。
 一般社団法人「宇宙エレベーター協会」の主催で、4回目となる今年は大学の研究室や有志などのチームが参加。ヘリウムガスを入れたバルーンを掲揚し、そこから吊るしたひも(テザー)を、各チーム自作の機械「クライマー」で昇降する技術を競った。
 今回はバルーンの数と浮力を増して、ベルト式とロープ式のテザーを同時展開し、2種類のテザーの規格に合わせたクライマーが、それぞれ並行して競技を行えるよう試みた。機械トラブルや上昇能力・グリップ力等の不足などにより途中で空転するなどのケースも目立ったが、神奈川工科大など、トラブルなく昇降をスムーズにこなすチームもあり、機体が無事に地上へ帰還すると会場から拍手が沸き起こった。記録は上昇速度やペイロード比などの部門別に分けられ、後日協会から公式結果が公表される予定。

 各チーム、とりわけ常連チームが着実に進化させた機体を持ち寄ったが、一方で今年は競技条件でのトラブルと遅延がたびたび生じた。4日目には緊急用のガス抜き装置が誤作動してバルーンの一つが落下、この日の競技を中止したほか、5日間を通じて、当初予定していた高度1200mの掲揚は実現しなかった。
 全日程で好天に恵まれたにもかかわらず、絶え間なく変化する風向きや風速に左右され、なかなか競技条件が整わないという、従来からの問題が深刻化。競技内容自体が日本では過去にない試みであるがゆえに、誰も経験したことのない障害に直面するという宿命も抱えているが、テザーのたるみやねじれの解消、動作不能に陥ったクライマーの回収など、大規模化して高度が増すほど悪化しやすい問題が、4回目を迎えて顕在化した一面があり、今後への課題を残す大会となった。同協会は問題点を見直すとともに、トラブルシューティングの方法を改善し、より安全な大会の実現を目指すとしている。(軌道エレベーター派 2012/8/17)

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軌道エレベーター 高まる関心

2012-07-29 22:03:12 | ニュース
 エレベーターに乗って誰もが宇宙へ――こんな空想が現実になるかも知れない。あらゆる宇宙開発計画が依存してきたロケットを使用しない、新たな宇宙へのアクセスの手段「軌道エレベーター」(または宇宙エレベーター)への関心が高まっている。約40年後の実現を想定した構想を大手ゼネコンが発表したほか、来月1日から「宇宙エレベーター協会」が昇降機械の実験を実施する。かつての夢物語が、日本の技術によって実現に手が届こうとしている。

 赤道付近に浮かぶ人工島から、空の果てへ伸びたケーブルカーのような乗り物に乗り、宇宙へ向かう。15分で地球の丸みが一望でき、次第に体が軽くなってゆく。途中のステーションには様々な研究施設が設けられ、高度約3万6000kmの「静止軌道」では、完全な無重力を体験できる。東京スカイツリー(R)を手がけた大手建設会社大林組(東京都港区)は、このような「宇宙エレベーター建設構想」を、2050年に実現可能として同社のPR誌に掲載した。

 軌道エレベーターは、地球の自転と同じ速さで周回する静止衛星からケーブルなどを吊り下げ、地上と宇宙をつないで昇降機を付けたもの。訓練を受けた宇宙飛行士でなくとも宇宙へ行けるほか、ロケットのように大気汚染や爆発の危険がなく、輸送コストはロケットの200分の1程度になるという試算もある。
 発想は19世紀にまでさかのぼるが、1991年に発見されたカーボンナノチューブが、実現に必要な強度を持つ素材として注目を浴び、長い間空想に過ぎなかった構想に現実味が増した。米航空宇宙局(NASA)では、軌道エレベーターを今世紀中に実現する建造物と位置づけて具体的な建造プランを提案。欧米で国際会議が毎年開催され、多くの研究者が「もうSFの話ではない」と唱える。昨年米国のスペースシャトルが退役して宇宙開発に空白感が漂う中、にわかに脚光を浴びてきた。

 こうした中、日本では2008年に「日本宇宙エレベーター協会」(翌年、一般社団法人宇宙エレベーター協会に移行)が発足。同年日本で最初の学会を開いた。学会と並び同協会が力を入れるのが、関連技術の蓄積を視野に入れたレース形式の競技会。「宇宙エレベーター技術競技会」(JSETEC)と名付けられた大会では、風船から吊るされたひもを宇宙へ届くエレベーターに見立て、取り付けた機械の昇降性能を競う。昨年は静岡県富士宮市で、高度600mで実施し、大学の研究室や個人が自作の機械でしのぎを削り合った。
 大会では、参加者たちがそれぞれ自作の機械をベルトに装着。操作を始めると機械音を上げて上昇し、参加者たちは、あっという間に点のようになったクライマーを見上げ、宇宙への夢を託して歓声を上げた。昨年の大会は個人出場の女性が優勝、「思った以上の性能を見せてくれた」と笑顔を見せた。

 競技は年々高度を上げ、8月1~5日に開く予定の今年の大会では1200mに拡大する。「年々高度を倍にしていくことに挑戦していて、いつかは宇宙に届くものを目指す」と語るのは、同協会の大野修一会長。競技と同時に、上空からの観測や通信の実験も行い、災害時の通信網確立など、応用技術の拡がりも期待されている。
 同協会元副会長で日本大学理工学部の青木義男教授は「毎年貴重な実証データが得られている。技術以外にも様々な課題があるが、多くの技術や知識を集めて将来の実現に貢献したい」と話し、競技会を通じて技術向上と認知を高めようと意気込んでいる。(軌道エレベーター派 2012/7/29)


(軌道エレベーター派よりお知らせ) 間もなく始まる今年のJSETECのルポ原稿の執筆、無料で承ります。(1)まとめ記事の場合は、競技会終了後から出稿までに4~5日くらい必要(12字×50行程度までのストレートニュース記事の場合は即日出稿も可) (2)記事のどこかに執筆者の名を明記──であれば、当方売り出し中なので原稿料不要。撮影した写真とともに原稿を提供します。取材経験豊富です。お問い合わせは画面左のアドレスへお寄せください。ご連絡いただければ、過去の記事実績などもお送りします。

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