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あれこれ検討?(その7)

2023-07-01 06:58:55 | 歴史

3番目の問題を検討してみましょう!

3. 銅銭や銅鉱石からの化学分析結果による同鉱山鉱石使用の可能性

これに関しても、いろいろ論文あります。

下記論文が銅銭等の分析にもっとも詳しい論文らしく、その後いろいろな研究者の参考資料に活用されています。

斎藤務他:古代銭貨に関する理化学的研究  IMES Discussion Paper Series 2002-J-30

結論としては、各銭貨でいろんな産地や鉱石原料の違い等がある様です。

かなりの分量(約50P)なため、必要部分(主に要旨・結語)のみ端折って読みます。

そのため誤読等も生じているかも知れませんが、まっ良いか!?ってところで纏めます。

 

この論文は、奈良~平安時代に鋳造・発行された12種類の銅銭(いわゆる皇朝十二銭)に関する各種分析結果を総合的に検討しています。

ここでは香春岳と和同開珎に的を絞って述べます。長門鋳銭司で製造された銭貨は和同開珎らしい。

分析結果からいろいろ指摘されていますが、上記の香春岳と和同開珎に関しての点は下記の様です。

・十二銭の最初の銭貨、和同開珎のいわゆる「古和同」に関して、鉛同位体比分析から長門の長登鉱山産の鉛やそれ以外の産地の可能性が高い。

・それらの産地として、長門の於福鉱山や豊前の香春岳などの可能性が考えられる。

分析結果に関する香春岳関係の資料を示します。

 

                                        

 

香春岳周辺の各種試料に関する鉛同位体比の測定結果(A式図)は、かなりバラけている感です。

 

                     

 

同様の測定結果(B式図)でも広がりが見られます。

結果的に、日本における一般的な鉱床鉛の鉛同位体比の範囲からはずれるものも確認できる様です。

これらの結果からは、貨幣の原材料として豊前産鉛の占める割合は極めて小さいらしい。

ただ他の文献史料との整合性等いろいろ問題もあり、今後の課題として残されています。

 

以上の結果から、それなりに香春岳の原材料が和同開珎作製の早い段階で、使用されていた可能性はあると云える様です。

                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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