「お爺さん」と呼ばれた日

2017-12-30 21:32:29 | タナカ君的日常
 先日の草津YH、 朝9時少し前のこと、 談話室のテーブルに大学生ほどの年頃の若者が二人座って居た。 二人の間には電気ポットが置いてあり、 一人はカップヌードルを所在無げに持ち、 もう一人はインスタントのドリップ式コーヒーの袋をいじっていた。 そしてポットの蓋を持ち上げては「早く沸騰しないかな・・・」そんな面持ちで覗き込んで居た。 その湯沸かし器はヒーターの容量が小さくてお湯が沸くのに時間が掛かるのを僕は知っていた。 そして僕の手には従業員さんに頼んで、お湯を満タンにして貰った1.2リッターのテルモスがあった。 それで湯の沸くのを待っていた若者のどちらへとも無く声を掛けた。

 「このテルモスのお湯を使っても良いですよ」 とね。

 そしたら彼らは喜んでテルモスのお湯を使って呉れました。 そんな事があったのを切っ掛けに話が続きました。 彼らは台湾出身で東京に留学中(早稲田大学)の学生さんだとか、 草津に来るのに新幹線で軽井沢、 そこからバスに乗り換えて草津までやって来たなんて話を聞きました。 片道の交通費がおよそ7000円もしたらしい。 YHのブックシェルフには高速バスのチラシが入って居るのを知っていたので、 それを見せて、 新宿のバスタから直通のバスで草津に来れる事、 運賃は彼らのルートの半分ほどで済む事などを話してあげました。

 そんな会話が進んで居る時に、 彼らの方から僕に質問がありました。

 「オジイサンは何処に家がありますか?」 と。

 一瞬ギョッとした気分になりました。 だって今迄ボクは他人から「お爺さん」と声を掛けられた事は無かったし、 そう呼ばれるのが嫌だったから、 孫にも「じいじ」とか「おじいちゃん」なんて呼ぶのを断って、 「おじちゃん」と呼べと拘って過ごして来たのです。

 でも考えてみたら・・・

 頭は白髪、 顔面には沢山の老人性のシミが浮かび、 皮膚の張りが無くなった首筋には縦皺が発生していて、  容姿はすっかり草臥れたジジイなのだ。

 初対面の人から 「おじいさん」 そう声を掛けられても不思議は無いのです。 それに彼らの声音に尊敬の呼びかけ言葉としてのそれを感じましたから。 喜んで返事をしちゃいました。
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