耐震基準

2013-05-26 10:50:45 | タナカ君的偏見
 先日ワラビ採りの際に宿泊した中子沢温泉の羽川荘さん、 鉄筋コンクリート3階建てのしっかりした建物で、中越地震の被害が大きく報道された山古志村に隣接した町村の旧・広神村とは言え、 地震で建物に悪影響が出たようには見えず構造的にはなんの問題は無さそう。  しかし長年の営業をこの年末には停止するのだと言う。

 チェックアウトの時フロントのお姉さんに、営業を止める理由を聞いてみた。

 宿の管理運営は広神村やその商工会等が組合を作って行なってきたものだが、 「現在の建物は昭和54年以前の耐震基準に依って建てられた物で、現在の耐震基準には適合しない。 だから、営業を停止するのだ」 と聞いていると説明してくれた。

 営業停止した後で工事を済ませて営業を再開するのか? 耐震補強工事をやる資金が無いから、建物はそのままで、もう客を取る営業は停止するのか?  しつこく追求して聞いて見なかった僕。

 でもね、 いつも耐震性などが話題になる時に「設計基準だけ守られていればそれで良いのか?」 そう思うのですよ。 中央高速道路の笹子トンネルの吊り天井のコンクリート板が落下した事故なんか、 コンクリートのトンネル本体の天井部分に垂直穴を穿ち、 ネジを切った鉄の棒に接着剤を塗布して穴に挿入しただけ、 そんな 「工法も問題だし、工事完了した後では確認しようのない施工の不完全さが問題だろう」と思ったものだ。


 さらに去年の冬に見た北海道・旧国鉄士幌線・糠平湖のタウシュベツ川橋梁のコンクリート橋脚の劣化ではコンクリート打設に使用した資材の悪さや作業の質の悪さを感じたものだ。 他方一昔ほど前の旅のこと、帯広市郊外の十勝川に架かる橋のたもとに展示されていた旧橋脚コンクリートの一部破断面の展示物、 それを見た時には小石とセメントの美しい程に密着した様子に施工に関わった人々のきちんとした作業に思いをはせたものだった。

 今回の宿の営業停止予定の話しなんか聞いて、 「あーあっ、これも何か事故が起きた時に耐震基準を満たしていない建物で営業していたからだ」と難癖つけられて「裁判沙汰になり、賠償金を支払うのは大変だ」市町村の担当者の気持ちはそんな所なんだろうな・・・ と心の中で呟いて宿を後にしました。

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