温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ゆったり温泉(旧鶴寿温泉)

2012年05月26日 | 青森県
 
昨年(2011年)9月から休業していた鶴田町の鶴寿温泉が今年(2012年)4月に名称を「ゆったり温泉」へ変更の上でリニューアルオープンしたと知り、所用で津軽方面へ出かけた5月上旬に早速(というほど早くはありませんが)行ってみることにしました。こちらには約10年近く前に一度行ったきりでして、残念ながらその頃の記憶はほとんど忘却の彼方と消え去っているのですが、、玄関上の丸い屋根は塗装こそ異なるものの、形状は以前と変わっていないように憶えております。いかにも最近塗りましたという感じがする小豆色のトタン屋根に緑色の壁が印象的です。


 
ロビーやフロントまわりはすっかり綺麗になってどこもかしこもピッカピカ。従業員の方も心機一転と言わんばかりに、とても元気な対応で迎えてくれました。館内には公衆浴場の他、大広間や食堂、そしてダンスホールがあり、更には以前には無かった家族風呂が新設されたようです。玄関に設置されている券売機は、高齢者に配慮しているのか、ボタンがとても大きくて押しやすいタイプの機種が導入されていました。この券売機で料金を支払って、スタッフの方に券を手渡し、男湯の暖簾をくぐります。



脱衣所も典型的な公衆浴場らしい造りですが、当然ながら設備全てが新しくて明るさと清潔感が漲っています。銭湯らしく棚には白い樹脂のカゴがたくさん並べられていますが、ロッカーも設置されているので、ニーズに応じて使い分けることが可能。また有難いことに洗面台には無料でドライヤーが2台もあり、ゴチャゴチャにならないようバスケットに納められていました。


 
浴室も公衆浴場のお手本のようなレイアウト。男湯の場合、向かって左に浴槽が、右側に洗い場が、そして奥にサウナや水風呂が配されています。温浴槽は主浴槽とホワイトシルキーイオンバスの2種類があります。



こちらは主浴槽。黒い箱形の湯口からお湯が注がれ、浴槽中央ではジェットバスがけたたましく作動しています。そしてジェットバスの勢いを借りてか、浴槽の縁から泡と共にお湯が洗い場へとオーバーフローしています。お湯の見た目は薄い黄褐色透明、口に含むとしょっぱさの他にえぐみや舌のしびれを伴う苦みが感じられ、揮発油的なアブラ臭が嗅ぎ取れます。鶴田町に隣接する板柳町の「あすなろ温泉」は温泉ファンの間では有名なアブラ臭のお湯が体験できますが、あの「あすなろ温泉」の強いアブラ臭を弱めた感じと表現したらよいのかもしれません。また肌には食塩泉的なツルスベ浴感が伝わって気持ちが良いのですが、濃い目の食塩泉である上に、結構熱めの湯加減ですから、長湯すると体力が奪われてヘロヘロになること必至でしょう。館内表示によれば、源泉温度が高いため加水、槽内温度を均一にするため循環、衛生管理のため塩素系薬剤を使用、とのことですが、塩素らしさはほとんど感じられず、循環と言っても湯舟のお湯からは結構な鮮度が感じられましたし、上述のようにしっかりオーバーフローもしているので、新鮮な源泉の投入も併用している半循環なんだろうと思います。訪問時、湯口付近の浴槽底のタイル目地には砂が溜まっていましたが、これは源泉井でお湯と共に汲みあげちゃったものなのか、あるいは加水用の井水に紛れこんでいたものなのか、よくわかりません。



この扇形の浴槽はホワイトシルキーイオンバス。機械できめ細かい泡をつくっているもので、近年各地の入浴施設でしばしば見かけますよね。私はこのような人工的なお風呂をあまり好まないのですが、主浴槽が熱かったためにこの浴槽へ移ってみたところ、41℃くらいの絶妙な湯加減である上にあまりに優しく軽やかな浴感だったので、すっかりシルキーバスの虜になってしまい、その後はひたすらこの浴槽に浸かっていました。一般的にこうした人工的なお風呂には真湯が使われますが、こちらではこの浴槽にも源泉を用いており、しかも浴槽縁からしっかりとオーバーフローさせていました。主浴槽同様にこちらも半循環ではないかと思いますが、お湯をちゃんと溢れ出させているあたりは、湯量が豊富な温泉ならではですね。


 
洗い場にはシャワー付き混合栓が20基設置されています。青森県は津軽や南部を問わず、新しい温泉施設でも古典的な押しバネ式水栓&固定式シャワーを導入するケースが見受けられますが、こちらでは他県でも一般的なオートストップ式の混合水栓となっていました。なお水栓から出てくるお湯は真湯です。



浴室の中で最もお湯の質が良かったのがこの掛け湯でした。ハンドルがとられた蛇口から伊万里焼風の器へ源泉がチョロチョロと落とされているのですが、全く加水されていない源泉らしく、かなり熱くて指先で触るのがやっと、とても掛け湯になってできるような温度ではありません。でも源泉そのままなので、しょっぱさや渋み、アブラ臭など知覚面が浴槽よりもはるかに強く感じられました。

加水されているとはいえ濃い目の食塩泉であることには変わりなく、湯上がりはなかなか汗が引かず、しばらくの間は全身に熱が籠って火照り続けていました。新しい施設ゆえに気持ちよく利用でき、使い勝手も良好。界隈を訪れた際にはこちらへ立ち寄って入浴してみるのもいいかもしれません。


木筒温泉2号泉
ナトリウム-塩化物温泉 61.8℃ pH7.7 394L/min(掘削・動力揚湯) 溶存物質10.48g/kg 成分総計10.48g/kg
Na+:3469mg(91.09mval%), K+:365.9mg(5.65mval%),
Cl-:5675mg(94.14mval%), HCO3-:509.4mg(4.91mval%),
源泉温度が高いため加水、槽内温度を均一にするため循環、衛生管理のため塩素系薬剤を使用。

JR五能線・陸奥鶴田駅から徒歩25分(約2km)
青森県北津軽郡鶴田町大字木筒字西柳川61-2  地図
0173-22-6845

6:00~22:00 無休
350円
ロッカー(貴重品用小ロッカーおよび100円リターン式ロッカー)・ドライヤーあり、入浴道具類販売あり

私の好み:★★
コメント
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