温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

不老温泉 草地人温泉民宿 (台湾南部)

2012年05月04日 | 台湾
 

前回取り上げた「天闊温泉SPA会館」を出た後、不老温泉でもう一軒ハシゴしたく、さきほど歩いてきた道の途中にあった「草地人温泉民宿」へ立ち寄ってみることにしました。場所としては前回記事の中で紹介した新開紀念公園の斜前です。さきほどは敷地内からオバチャンのカラオケの大音響が聞こえてきたため遠慮したのですが、改めて来てみると、カラオケは既に終わっており、それどころか誰もおらずにひっそりと静まり返っています。入浴をお願いしようとしても、受付にも建物内にも人影は見当たりません。無銭入浴するわけにもいかないので、どうしたらよいか迷っていたのですが、民宿の棟続きに万屋さん的な食料品店が営業しているのを発見し、おそらくこの店が民宿も兼業しているのだろうと推測して、店内でテレビを見ていたおじちゃんに声をかけたら、案の定そのおじちゃんが民宿とSPAの経営者でもありました。私が日本から来た旅人だと判るとおじさんは驚き、バス停から歩いてきたことを知ると更にビックリしていました。たしかに、わざわざ歩いてくる人なんていないでしょうね。


 
受付カウンターを含め、SPAは高い屋根に覆われているものの壁は無く、吹きっ晒しな造りになっており、実質的には露天状態となっています。カウンター上には「新的建設 新的風貌」と書かれた札が立てられていました。こちらも水害で罹災し、その後再建されたのでしょう。



台湾の一般的な温泉と同様に、こちらの露天SPAは水着と水泳帽の着用が必要ですから、更衣室を兼ねたシャワールームで着替えます。民間の小規模民宿のシャワー室は狭くて小汚い場合が屡ですが、こちらはブースの一つ一つが広くてなかなか清潔、しかも男性側だけでも11ヶ所もあり、シャワーのお湯からは明瞭なタマゴ味とタマゴ臭が感じられました。てことはSPAの浴槽のお湯も特徴的なのかしら…。宝来温泉エリアでは特徴のあるお湯に巡り会えなかったので、俄然期待に胸が膨らみます。なおシャワー室入口付近にはスチームバスも設けられていました。


 
はやる気持ちを抑えて、SPAエリアをぐるっと散策。画像左(上)はガッツリ水泳したい人向けの冷水プールでして、台湾らしくビニールのヒラヒラで覆われています。画像右(下)で写っている休憩エリアには、白いプラスチック製のラウンドテーブルやスタッキングチェアがたくさん置かれていました。


 
当SPAの真打ち、温浴槽の登場です。紅色に塗られた竹材で作られた「草地人」の三文字の下に、2つの浴槽が分かれて据えられています。左は熱く、右は水風呂に近い温度でした。両方の浴槽とも、手前側のステップからお湯(水)がしっかりオーバーフローしており、放流式の湯づかいであることが推測されます。


 

熱い方の湯舟は、泉質由来なのか浴槽内がべージュ色に染まっており、お湯も同じ色に薄ら濁っているように見えます。はじめ温度計は41℃前後を表示していましたが、私が入っているうちに数値が徐々に上昇し、やがて44℃をオーバーし始めました。温度計が狂っているのではなくて本当に熱い。入浴しているときにおじさんがお風呂の裏手へ廻っていたから、もしかしたらボイラーの設定温度をあげちゃったのかな。右の水風呂に比べるとオーバーフロー量がやや少なめなので、加温の上で半循環しているのかもしれません。なおシャワーで感じられたタマゴ的な味と匂いはこのお湯からはほとんど伝わってこず、石灰のような質感とともにツンと刺激のある薬品みたいな匂いが微かに感じられました。


 
特筆すべきは右側の水風呂です。左側と異なっているのは温度のみならず、張られている水の泉質も異なるのです。見た目こそ無色透明ですが、重曹味や弱めの金気を帯び、そしてゆで卵の卵黄的な匂いと味が明瞭に知覚できました。またよく神経を研ぎ澄ませると硫化水素的な刺激も微かに感じられました。しかもツルツルスベスベの爽快な浴感も得られます。この水風呂は単なる水ではなくて硫黄分と重曹を有する鉱泉なのですね。おそらくシャワーにはこの鉱泉水が使われていたんだろうと思われます。
左側の浴槽で体を温め、硫黄感たっぷりのツルスベ鉱泉でクールダウンする・・・私はひたすらこの冷温浴を繰り返していました。いや、鉱泉をじっくり堪能したいがために、隣の熱いお湯で体を温めた、と表現した方が正しいかもしれません。それほどにこの鉱泉の浴感に惚れこんでしまいました。すばらしい!



2つの温浴槽の隣には普通の水が張られた冷水槽もあります。


 
プールサイドから東側の山肌を眺めると、そこには大仏が鎮座していました。彩虹山大仏と称するんだそうです。台座のそばまで行くことができますが、バスの時間が迫っており、これ以上歩くのも面倒だったため、今回は遠くから眺めるだけに留めました。

特徴の少ない温泉が多い宝来・不老エリアの中で、硫黄感を伴うツルスベ浴感が強いこちらの鉱泉は白眉と評しても過言ではないのでしょうか。今回は入浴だけの利用でしたが、民宿ですから当然宿泊も可能。開放的で広々としており、豊かな自然に囲まれた静かな環境です。事前知識無くこちらに立ち寄ったのですが、大正解でした。


碳酸氢钠泉(ナトリウム-炭酸水素塩泉)

高雄客運・頂新発バス停から徒歩25分(約2km)
高雄市六亀区新発里新開33-1号  地図
(07)6791992

9:00~22:00
200元
ロッカー(有料10元)・シャンプー類・ドライヤー・脱水機あり

私の好み:★★★
コメント (5)
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