温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

瑞穂温泉 東岡秀川温泉会館 (台湾東部)

2012年04月17日 | 台湾

前回取り上げた「瑞雄温泉旅館」からあてもなく周囲を逍遥。近所にはえらく古い民家が残っていました。日本統治時代からのものかしら?



温泉路を駅へ向かって歩いてゆくと、路傍には「東岡秀川」なる施設のデカイ矢印形看板が立っていました。おそらく温泉施設なのでしょうけど、なんだか不思議なネーミングですね。どんなところなのか予備知識が全くないまま行ってみることに。


 
路地沿いの畑ではパイナップルをはじめいろんな作物が栽培されていました。人家などは一切見当たらない、ちょっと心細くなるような長閑すぎる田園風景。


 
(右(下)画像はクリックで拡大)
温泉路から路地に入って約10分ほどで到着。敷居の高そうなリゾート施設を思わせる入口ですが、はたして一人ぼっちで伺って入浴だけの利用を受け付けてくれるのかしら? 大きな看板の下には花谷縦谷国家風景区管理所の手により、東岡秀川の名前の由来が記された小さなプレートが立っていました。名前の由来というより、瑞穂温泉の温泉開発の歴史に関する記述がメインなのですが、その下の方にはQ&Aとして…
Q:東岡秀川って日本人の名前なんですか?
A:いいえ、東岡は「東部峻嶺」、秀川は「秀姑巒渓」をそれぞれ意味します
なんて書かれていました。確かに字面からは日本の固有名詞の近いものを感じますが、その意味は当地の地形に由来するもののようです。でも読み方にはHigashi-Oka-Hide-Kawaとアルファベットを当てているので、日本風なイメージを持たせようとしていることは明らかですね。台湾を巡っていると、このよう意味不明な日本語風ネーミングにしばしば遭遇します。



雄大な自然の中に佇む平屋の本棟。広々とした敷地にポツンと建つその様は、学校の校舎みたいです。撮り忘れてしまいましたが、館内はウッディな雰囲気でリゾート感溢れる、とっても綺麗で洒落た空間です。



入浴を乞うと、大衆池(いわゆる温泉プール)や個人池(個室風呂)などがリストアップされた一覧を見せてくれましたが、閑散期の平日日中だからか大衆池は利用不可とのことだったので、個人池を選択し料金を支払います。すると受付の方はシャンプー、シャワージェル、シャンプーハット、使い捨てタオルなどアメニティー類一式が入ったバスケットを手渡してくれました。リゾートを感じさせる演出なのかな。


 
洗面台やドライヤーなどが設けられているエリア。ここでスリッパに履き替え。
この一角には脱水機も置かれています。この施設のみならず、水着で利用する台湾のSPAには脱水機が用意されていることが多く、旅行者としては濡れたまま水着を持ち歩かずに済むので、とっても助かります。


 
係員に案内された個室風呂はフロントから近い場所の一室です。2人サイズの浴槽はコンクリ造ですが、縁や湯口などに木材を用いており、木のぬくもりを醸し出そうとする演出意図が伝わってきます。でも先程利用した「瑞雄温泉旅館」の露天個室風呂と違って、こちらの部屋は窓が無く天井が低くて面積そのものも狭いため、いくら木材を用いようとも室内の閉塞感・圧迫感がとても強く、温泉風情や開放感が得られないのは残念でした。バルブを全開にして空っぽの浴槽へお湯を溜めます。お湯が満たされるには10分ほど要しました。



お湯が溜まりました。画像では木組みの吐水口と金属むき出し配管の2つが確認できるかと思います。先入観で考えると、木組みの方から温泉が出るものと思いがちですが、なぜか主役であるはずの温泉は味気ない金属配管から吐き出され、木組みからは水が出てきました。普通は逆なんじゃないのかなぁ…。
お湯は黄土色に濁っており、瑞穂らしい典型的な重炭酸土類泉ですが、瑞穂温泉瑞雄温泉よりは濁り方が薄く、浴槽の底までちゃんと見えるほどの透明度を有しています。見た目の薄さに比例して味や匂いも弱いのですが、それでも炭酸味や金気そして石灰味ははっきりと舌に伝わってきました(気泡の付着などは無し)。湯口から出てくる源泉はあまり熱くなく、むしろ入浴には丁度良い湯加減なので、加水しないで湯船に溜めても全く問題ありません。お湯のクオリティは悪くないので、もう少し開放的な環境で入浴したかったなぁ。


 
訪問時には利用できなかったSPAエリアを見学。
黄土色に濁った温泉プールと清冽に澄み切った冷水プールがあるのですが、この時温泉は半分くらいしか入っておらず、そのお湯も溜めっぱなしで相当鈍っているようでした。そして打たせ湯などが設けられている奥の方のプールは空っぽでした。開放的なプールで伸び伸び寛いでみたかったのですが、お客さんが少ない時間帯ですから仕方ありません。当然ながら週末には完全にお湯が張られるものと思われます。



プールサイドには棟割長屋のように個室が沢山並んでいます。芝生の広場が美しく、公園の中にいるかのようです。



冷水プールの色は清々しい青。見るだけで清涼感たっぷりです。湯上がりにプールサイドのデッキチェアで横になってのんびりしていると、周囲の緑からは小鳥のかまびすしい囀りがあらゆる方向から聞こえてきます。南国の青空と暖かい陽気、生命感あふれる緑、そして小鳥のコーラス・・・たちまち夢の国に誘われ、あたかも天国にいるかのようでした。
後程こちらのホームページを拝見したら、上品でセンスの良いアコモディションに感嘆。素敵じゃないですか。ここは時間を忘れてゆっくり滞在すべき施設のようです。お風呂に関してはいろいろと残念なことが多かったのですが、こればかりは訪れたタイミングが悪かった…。次回は是非宿泊したいものです。


花蓮県瑞穂郷温泉路3段2巷31-6  地図
(03)8876896
ホームページ

大衆池(プール)100元
個人池300元

私の好み:★★

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●駅まで散歩
この地域にはサイクリングロードが整備されています。当初はこの道を自転車に跨って快走するつもりだったのですが、貸し自転車屋が定休日だったため、やむを得ず徒歩で当地を巡ることに(委細は「瑞雄温泉旅館」のページの前半にて)。温泉を2軒はしごした後はサイクリングロードを経由しながら駅へ戻ることにしました。

 
サイクリングロードは歩いても爽快。南国気分を全身で満喫。


 
瑞穂は農業地帯であるとともに酪農地帯でもあり、コンビニで必ず売っている「瑞穂牛乳」はまさにこの瑞穂の名産品。この日は残念ながら瑞穂牧場には行けませんでしたが、温泉路からちょっと脇道へ逸れると小規模な酪農家が散在しており、牧場ではホルスタイン種が飼われていました。


 
小奇麗な温泉民宿も点在。瑞穂では近年開発がすすみ、温泉旅館や民宿が増加しているんだそうです。


 
道沿いにはパパイヤが実っていました。まだ青いので食べられるような状態ではないでしょうけど。
自転車で快走したら清々しかっただろうな。
瑞穂駅へ戻った後は、列車に乗って台東県の金崙を目指します(つづく)。
コメント
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