温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

蘇澳冷泉 蘇澳冷泉公園(台湾北東部)

2012年04月10日 | 台湾
先日(2012年3月下旬)、2年ぶり5回目の台湾旅行へ出かけてまいりました。目的はもちろん温泉めぐりです。
今回からしばらくは台湾の温泉の記事が続きますので宜しくお付き合いのほどを。
まずはガイドブックでもよく取り上げられる、世界でも稀有の存在らしい蘇澳の炭酸冷泉です。



蘇澳へのアクセスは鉄道を利用するのが一般的ですが、この時私は諸般の事情があって、礁渓の街外れから國光客運の路線バスを利用しました。鉄道なら約40分のところ、途中の市街地や集落へ細かく寄って客の乗降を繰り返す路線バスは1時間半も費やしてしまいました。この日の蘇澳はひたすら雨。蘇澳を擁する宜蘭県の天気について、台湾では「竹風蘭雨」なんて言葉があるんだそうですが(北西部の新竹では風が、北東部の宜蘭では雨が多いという意味)、まさにその通りの空模様でした。


 
蘇澳冷泉のウェルカムゲート。「冷」の上に載っている「温」が無理やり感たっぷりで面白いですね。そのゲートのそばでは、アヒルを散歩させているおじさんを発見。アヒルはヒョコヒョコとおじさんの後を忠実についてゆきました。



こちらが蘇澳冷泉公園のエントランス。「天下第一奇泉」と彫られた碑が誇らしげ。


 
エントランスすぐそばのチケット窓口。この公園では水着を着てみんなワイワイ楽しんで入る冷泉プール(大衆池)と、個室を貸し切って入浴する個室風呂(家庭浴池)の2種類があり、普段ならばこの受付でいずれかを選択してしかるべき料金を支払うんでしょうけど、冬の閑散期であるこの日はあまりに寒くて大衆池(プール)が閉鎖されて個室風呂のみの営業となっており、この窓口も閉ざされ「左下の個室風呂のカウンターで支払ってください」と書かれた札が立てかけてありました。閑散期のためか料金設定も2人以上の場合は通常より安くなっています。



指示に従い、左側の階段を下りて個室風呂専用の受付カウンターへ。その受付棟の近くでは冷泉を絶え間なく噴き出している甕があり、その場で飲むことも可能でしたので、試しに飲んでみると、口腔内にはサイダーのシュワシュワな清涼感とマズイ炭酸味が一気に広がりました。こりゃホンモノだわ。


 
小雨がシトシトそぼ降り、長袖を着ても肌寒いこの日の宜蘭県。さすがに冷泉へ入ろうとする客は極めて少ないようで、カウンターでは係員のおじちゃん二人がとっても暇そうに雑談をしている真っ最中でしたが、私が入浴をお願いすると、やっと仕事にありつけた喜びゆえか、おじさん二人は急に生き生きして、満面の笑みを浮かべて対応してくれました。
そのおじさんに案内されて奥へ。構内にはログハウス調の個室が沢山並んでいます。夏の暑い日にはシュワシュワな炭酸の清涼感を求める客で大賑わいなんでしょうが、オフシーズンのドン底であるこの日に個室を使用しているのは私のみ。なお共用部分である通路にはドライヤーやマッサージチェアなどが置かれていました。



個室の内部。貸切ですから心置きなく全裸入浴できるのが、日本人としては嬉しいですね。
台湾の個室風呂って狭く実用一辺倒で趣きのない造りが多いのですが、こちらは意外にも木のぬくもりが伝わるなかなか良い雰囲気で、綺麗にお手入れされており、しかもなかなかの広さが確保されているため、良い意味でちょっとびっくりしてしまいました。
浴槽に関しては、小文字のQ(q)を角ばらせたような形状の冷泉浴槽とともに、楕円の桶が設けられていますが、この桶は温浴用の浴槽であり、蛇口を開いてお湯を溜めて使います。なお湯が溜まるには5~10分ほどかかりますが、200元支払の場合は制限時間が40分ですから、入室してすぐに桶を洗ってお湯を溜めないと、時間内には間に合わないかもしれません。
冷泉槽の水面近くにはルーバー窓が並んでいますが、これは換気によって炭酸ガス中毒を防ぐためのものでしょう。


 
底に敷きつめられた白い玉砂利からブクブクと泡を上げながら冷泉が湧き出ていました。でも泡の上がる位置やペースが不自然なほど一定なので、もしかしたら人工的に演出しているのかも。一方で、側面のタイル目地からもブクブク勢いよく泡と冷泉が噴出しているのですが、こんな場所には人工的な演出をするはずもないだろうと考えられるような位置なので、こちらは自然湧出なのかもしれません。
いずれにせよ澄み切った清冽な冷泉が常時この槽に供給されていることには変わりなく、水面では炭酸の気泡が頻りにパチパチと音を立てながら弾け、浴槽の縁からは鉱泉水がしっかりオーバーフローしていました。


 
この個室の冷泉は22.6度。もちろん入りしなは冷たいのですが、その刹那だけぐっと堪えて肩まで体を沈めると、すぐに体が冷泉に慣れ、むしろ不思議なくらいにポカポカと温かさを感じてしまいます。全身には夥しいまでに気泡がビッシリと付着し、肌を指でなぞれば落書きができてしまうほどです。入浴して気泡の付着に感動するのはよくあることですが、さすがに世にも珍しい炭酸冷泉はそれだけじゃ済まず、冷泉から体を上げると、体が水中から抜け出る瞬間に次々と気泡が弾け、その弾けた炭酸気泡が肌にシュワシュワ以上の刺激(プチプチ感)を与えるのがスゴイところ。こんな強力な天然の炭酸泉は日本じゃお目にかかれませんね。

口に含めば当然ながら強い炭酸味が舌を刺激しますが、その他に弱いながらもはっきりとしたタマゴ味と匂い、そして薄らと金気のような味や匂いも感じられました。また炭酸が刺激するのか、唇や腋の下など皮膚が柔らかい箇所は若干ピリピリしました。


 
室内に掲示された案内書では、丸々と太った子供が冷泉の特徴や効能を紹介。なんだか微笑ましいので撮ってみました。

冷泉に浸かってシュワシュワとした清涼感やプチプチと気泡が弾ける刺激を楽しんだ後、桶に溜めたお湯で体をしっかり温め、そしてまた冷泉に浸かり・・・という感じで、冷泉浴と温浴を何度も何度も繰り返していると、本当に気持ち良いです。なおお湯は冷泉の源泉をあたためたものらしく、館内掲示の説明によればお湯の中に見られる白い浮遊物は温泉成分であるとのこと(実際にそのような浮遊物が確認できました)

制限時間の40分が近づくと係員のおじさんが知らせてくれるのですが、冷温の交互入浴を繰り返して爽快感を楽しんでいると、40分なんて本当にあっと言うまですよ。
単なる水風呂とは全く異なる、強力な炭酸パワーを実感できる清涼感たっぷりの冷泉。台湾の自然の魅力を手軽に且つ存分に体感できるすばらしい施設ですね。


 
なお、上述しましたが、ガイドブックなどにおいてグラビアで紹介される冷泉のプールは、訪問時は冬季閉鎖中。槽内の水も抜かれていました。次回訪問時はこっちも入りたいな。


碳酸氫鹽泉(炭酸水素塩泉という意味) 23℃ pH6.0~6.8 遊離CO2:852mg/kg HCO3-:207mg/kg

蘇澳駅より徒歩10分弱(約550m)
宜蘭縣蘇澳鎮冷泉路6-4  地図
電話(03)996-0645 
ホームページ(繁体字中文)

200元/40分(時間により料金異なる)
通路にドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする