お宿&かふぇ 布屋 《主人のひとりごと》

120年経った京町家を改修した民宿『布屋』

改修工事 14

2010年03月06日 20時43分46秒 | 布屋
今回の改修でうちの奥さんのこだわりのひとつが建具でした。去年の夏から夷川の井川さんに何度も伺い、思うものが得られたようです。オモテの間の押入れの板戸は以前から気になってたようで今回気に入った「舞良戸(まいらど)」が手に入りました。僕と設計家のS氏はこのままでもといいますが彼女はベンガラを塗ると主張。とある2月末の晴れた日に3人でベンガラ塗りを行いました。S氏から「ベンガラ」と「松煙(しょうえん)」を混ぜて板戸に塗ってゆく方法をご教示いただきながら3人で作業を行います。ベンガラと松煙を水で溶いて色目を調整し刷毛で塗ります。乾いたら「サラダ油」をべとべとに塗りこんで、ぼろぎれで油をふき取ってゆきます。結構ふき取るのが大変です。なかなか根気が要る作業ですがうちの奥さんの根気だけは只者ではないので我々二人より丁寧な仕事ぶりです。(言いだしっぺなので当たり前)道行く人々が皆声をかけてゆきます。やっと4枚塗り終える頃にはいっぱしの塗装職人の気分で、次は何を塗ろうかと言い出します。うちの奥さんの満足いく舞良戸を是非ご覧ください。

改修工事 13

2010年03月06日 20時19分45秒 | 布屋
洗いの仕事も終わりいよいよ完成間近になります。お泊りいただいたお客様はお気づきかもしれませんが宿泊していただくお部屋は、土壁が塗られています。専門的には「ナカ塗り」で仕上げてあります。毎朝毎朝清掃を僕がします。丁寧に掃除機をかけようと心がけますがなにぶん時間があまり無く、ミセの開店時間に合わせるとどうしても掃除機の先が壁に当たり、土壁がこそげて行きます。ゆえに7年もたつと土壁の下部が削れてしまいます。これの予防法が「腰紙」貼りです。予め左官のさくあんさんに壁を埋めてもらい、今回は以前から親しくしている西陣の表具屋さんの「吉見秀峰堂」のご主人に腰紙を貼ってもらいます。「茄子紺」の和紙を壁の下部にぐるっと貼ってもらいます。お茶室では壁に帯が当たるのでもう少し高くするそうですが、うちの場合は掃除機対策の為、低めにしてもらいます。でもこれで安心。しかも茄子紺の色で壁に締りが出ます。吉見さんには他にもナカの間の仕切りの板戸を止めて襖に替えてもらったりと、細かい仕事をお願いしました。こうして表具屋さんが身近におられるのも京都なればこそですね。主にお寺や家元のお出入りされています。

改修工事 12

2010年03月06日 19時58分51秒 | 布屋
改修工事は無事終わりましたがこのコーナーはまだ追いつけません。いまだに毎日色々手直しをやっています。今回の改修でも消防署へ避難器具の設置届けを提出しないといけません。これに又手間取っています。さて2月23日 天井の洗いをします。(洗いについての詳細は改修の記録の塗装コーナーにあります。)7年前に来ていただいた洗い屋さんの「イマエ」さんが再度登場。虫籠の部屋の天井は当初塗装しようかと設計家と打ち合わせていました。がうちの奥さんの「洗ってもらお」の一言で洗いに決定。ところが京都でも洗いの出来る職人さんは限られているらしく、結局御年80歳!のイマエさんの出番。7年前に較べるとやはり御年に勝てず腰が痛いと言いつつ、例の苛性ソーダを口に含んで!(劇薬です)仕事を始めます。例の「ササラ」で天井板を洗ってゆきます。普段イマエさんは修験道の行をしているそうでこの大晦日の夜も滝に打たれてきたとのこと。80歳でも鍛え方が違うので未だに現役でいられる点を我々も見習わねば。虫籠の部屋(オモテ)に宿泊されたらその仕事振りをご覧ください。木の木目がきれいに出ています。