もらって帰ってきた歯の標本
思ったよりも小さかった
とうとう今日、親不知を抜いてきました。私の心配をよそに、あっという間の出来事ではあったのですが、それなりに恐怖体験でした。
以下、その詳細レポート。気の弱い方はご注意ください。
********* 親不知抜歯の一部始終 ***********
まず、親不知を抜かねばならんということで、ゆうべからすでに生きた心地のしなかった私は、歯医者へ予約を入れてある夕刻までの時間も、落ち着かぬままで過ごしました。何事に対してもまるで集中出来ません。私は歯を失うことに対して、どこか異常なほどの恐れを抱いているのです。そして約束の時間が――!
「当日は激しい運動はなさらないように」とあらかじめ注意を受けていたのですが、こんなにも動悸が激しいと、過激な運動をしたのと変わらないんじゃないかしら、とかなり心配になります。
今日はK氏が夏休みで一緒だったので、私は出かける際に、「場へ連れられていく豚というのはこんな気持ちだろうか」とか「人は何故、自ら痛みを伴う道を選択してしまうのだろうか?(実はこの親不知は、抜いた方が良いが嫌なら抜かなくてもいいと言われていたので)」とか「もしかしたら、麻酔の事故とかで…これが最後かも。達者でな…」とか、別れの挨拶を済ませておきました。K氏はなにやら励ましてくれていたような気もしますが、私の耳には入らず。あわわ……さらばだ!
わずかに膝を震わせながら、歯科医院の扉を開けました。予約の時刻に行ったので、予定通りすぐに治療開始です。
私が今回最も恐れていたのは、麻酔。私は麻酔が苦手なのです。実は、10年以上前にも私は歯列矯正のために4本の抜歯を経験しています。顎の狭い私には、全ての歯を収めるだけのスペースが足りないのです。それで親不知も抜かねばならぬ憂き目にあっているというわけです。上下左右ともきちんと真っすぐに生えているから抜かなくてもいいとは言うものの、なんとなく圧迫感を感じるようになったものですから。ともかく、まあ、抜歯というものがどういうものかは、私はある程度理解しているつもりでした。まず、麻酔を打って、その後めりめりと歯を引っこ抜く。実にシンプルな処置です。
私はあの麻酔のための注射針が刺さるのが怖い。普通の注射は怖くないけど、麻酔の注射は異常に怖い。なんなんだろう、この差は。分からないですが、とにかく無闇に恐ろしいのです。
そういうわけで、震えながら患者用のシートに腰掛けて待っていると、自分でも血の気が引いているのが分かります。気絶しそう。むしろ気絶したい。いかん、こんな時は意識を宇宙の彼方、星々の間まで遊ばせるんだ。そうだ、今も人知れず輝き生まれ、あるいは死を迎えて燃え尽きようとしている星たちの壮大な世界のことを思えば、私の親不知がどうしたというのだ(いや、ほんと)。と、あれやこれやと想像力を働かせて、どうにか落ち着こうと努力を重ねました。わりと無駄でしたが。
そこへ院長先生がやってきて、すぐに麻酔を打つとおっしゃるではないですか。お、お、終わった。観念して口を開けます。ところが、先生はなにやら溶液のついたガーゼのようなもので患部周辺を撫でて、「じゃ、いきますよー」とおっしゃっているのですが、一向に針が刺さる気配もないのです。「???」と不審に思っていると、「では、うがいをしてください」と言われました。あれ、もう済んだのですか!?
ちなみに、治療中は私は顔にタオルを掛けられていたので、どういうことが行われているのか逐一観察することはできませんでした。知らないうちに、色々なことが終わった感じ。ちなみに、前回の抜歯の時は、別の歯科医院で、私は全ての行程をまじまじと見ていたし、そこの先生も見せてくれました。今思うと、それってすごくスペクタクルで面白かったけど、痛さと不快感は増すような気もしますね; それであんなに嫌な記憶として残っているのかも。
で、今日の麻酔はちょっと間を空けて2段階でかけられ、「ちくっとしますよー」と言われて、安全ピンの先でちょっと刺されたようなわずかな痛みがあっただけで、あとは何も感じません。しかし、いつ痛みが来るかでパニック状態の私は卒倒寸前。「具合は悪くないですか?」と先生から尋ねられるも、カクッと首が落ちるような大丈夫という合図を送るのがやっとです。しかし、どうやら麻酔はこれで終わったらしい。助かった。
そして肝心の抜歯です。ここからが本番です。間髪入れずに抜くらしいので、私はいよいよクライマックスに差し掛かったなと遠ざかる意識の片隅でちらりと考えました。抜歯では神経ごと抜いてしまうのだろうから、あの、めりめりと深く根を張った強情な草を大地から抜くような抵抗感が、上顎へ衝撃となって走るに違いない…痛くはないけれど、あれは実に気持ちの悪いものです。
先生に「少し圧されるような感じがするかもしれません」と言われた通り、少し圧されたような気はしましたが、「は、はやく! はやく抜いて下さい!」と思う間もなく、一瞬で抜かれてしまったようでした。おや、なんという拍子抜け。冗談ですよね? 麻酔と同様、抜歯も2段階で行われるのですか? まだありますよね?
そのころ私の魂は、ちょうど天の川銀河を出るか出ないかのあたりを彷徨っていたので、呼び戻すのにいささか時間が掛かってしまいました。
しかし、ようやくこの歯科医院と大通りを挟んで向こう側にある近所の公園あたりまで魂が戻ってきたので、先生が差し出すお皿を見てみると、そこには確かについさっきまで私の身体の一部をなしていた欠片が転がっていました。おお、なんということだ。本当に抜けているではないか。
その後、止血についての説明を受けたり、薬を服用すること、明日もう一度消毒のために来院するようにと言われて、まるで夢のなかを歩くみたいにふらふらしながら帰宅しました。た、たいしたことなかったな……!
そうして、私は無事にK氏との再会を果たしたのでありました。
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というわけです。予想していた通り、先生からは抜いた親不知を持っていきますか? と訊かれたので、もらって帰りました。というか、あの場ではあまりものを考えられなかったので、なんとなく。
上の画像は、私の元 右上顎の親不知。あらためて見ると、思っていたよりも小さなものです。
あー、あと少なくとも1本は抜かなきゃなりません(でも多分残りの3本とも抜かれると思う)。たいしたことなかった、と思うのですが、やっぱり気が重いなあ。疲れたから、今日はもう寝ちゃおうっと。
うぅ!
親不知で苦労なさる方がいらっしゃるとは聞いていましたが、COLOCさんも過酷な体験をなさったんですね; うわ~、お気の毒です(/o\;)
そう考えると、私はやっぱりラッキーだったのか…。今は抜歯の技術も向上してそうですもんねー。あと、歯医者の先生によって技術レベルに差があるのはなんとかしてほしいですよね。引っ越すたびにどこへ通うかで悩みます
歯って、なかなか自分の思う通りにはならなくて、苦労させられますね;
私の左下奥の親知らずは妙な生え方をしているので、抜く際は大学病院で手術しないと・・・と言われていました。それからしばらくして、別の会社近くの歯医者へ行くと「いや抜けますよ」と自信満々に言う。
この親知らず、虫歯にもなってるの前の奥歯を押して痛いので、抜くことにした。
で、まず歯茎を切って(ギャっ)スペースを作って抜くことにする。で、お約束なことに、案の定、ちょっとやそっとで抜けない。抜こうとすると頭蓋骨がきしむのがわかる・・・ 根っこが顎の骨に絡まってる?らしい。かれこれ1時間は経過して、あまり無理にやって顎の骨の血管を痛めてもいかんなあ・・・とか無責任なことをいう。「へんへえ、もうやへてください」私はもう、ボロボロな状態・・・
で、あげくに、引っこ抜こうとした力で親知らずの上部が砕け散ったのだ。
結局、親知らずの根っこは残ったままで歯茎を縫って塞いでしまった。
「根っこは残ってますが、歯茎が盛り上がってふさいでしまうし、もうこれで前の歯を押すこともないから大丈夫でしょう」
そんなんやったら、最初から抜こうとせずに、削らんかい・・・ と怒る気力も無く、それ以来、その歯医者の方角には近寄ってません。
でも、今ならもっとうまくできたんかも。 その魔法のガーゼで・・・ ううう(x_x)
最終的には自分で決断したこととはいえ、そして、処置自体はたいしたことがなかったとはいえ、やっぱ抜歯はきついです~
抜いた後の方が、血が止まらなかったりで大変でした;
なのに、来週もさっそく予約を入れてしまった…(/o\.)..ワアァ
私のも、あと30年くらいは奥の方でひっそりと大人しくしてて欲しかったよ…!
実は私の親知らず、生えてきても並ばないから抜くと宣言されています。まだ生えてきていないようですが、このまま生えてこないでほしいなぁ。
あと3回??どうか御無事で!!