夢を見る暇もない日々ですが、実際にはたくさんの夢を見ています。ただ目を覚ました時にそれをつなぎとめておく余裕がないだけで。ここ数年は、大学を受験し直すために高校から入学し直すというような夢をしばしば見ます。高校からやり直したところで結果は変わらないということを、夢の中でも現実でもつくづく理解しているらしい私。でも、何度も繰り返して同じような夢を見てしまうのでした。
ところで、最近はこんな夢を見ました。
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「2階のペンギン」
私の家族はアパートの1階に住んでいるのだが、ある日2階の住人に用事があって部屋を訪ねるとそこには小さなペンギンがひとりでぽつんといた。まだほんの子供であるらしいこのペンギンはいつもひとりきりでお留守番をしているのだが、部屋を片付けたり、窓辺の棚に素敵に物を飾ったりしてお利口に過ごしている。
ペンギンのお母さんは人間であまりその素性は知れない若い女性だったが、真面目に毎日朝早くから近所のパン屋でパンを作る仕事にでかけているため、ペンギンが昼間はずっと部屋にひとりでいるということは私をはじめ近所の人間ならみんなが知っていることだった。
その2階の部屋にどういう用事があったのか忘れたが(結構深刻な内容だったような気もする)、とにかく私を部屋に迎え入れてくれたペンギンは小さくてとても可愛らしかった。そしてペンギンが飾り付けたらしいインテリアの素晴らしさに、私は思わずため息を漏らしてしまう。時刻はちょうどお昼というところで、私はペンギンにお昼ご飯を食べさせようと思い立つ。そして、すでにペンギンのお母さんが用意してくれてあったおかずをテーブルに並べて、ペンギンに食べさせた。ペンギンは自分でフォークやスプーンを使って器用に、そして優雅に食事をするのであった。
それを見てふと私は思い出す。「そう言えば、1階に置いて来たうちの子のお昼はどうなったっけ? あの子はこんな綺麗には食べられないな」と、どうしてだかそれが笑えて笑えて仕方がなかった。
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「指揮者に指名される」
地元で少しばかり大掛かりな音楽祭が開催されることとなり、4つのグループで競い合うのだが、私のグループでは私が指揮者に指名されてしまった。
音楽祭当日は楽団のメンバーはみな正装していて、もちろん指揮者も相応の格好をしてくるように言われているのに、私にはちゃんとしたスーツすらないのだった。そこで妙に裾の広がった黒いロングパンツにチョッキ、髪だけは真ん中で分けて綺麗に細かくウェーブさせたのを左右の肩に垂らして、揚々と会場に行ってみるのだが、この格好ではダメだと言われてしまう。
もうすぐ私たちの出番だというのに、私はまだ裸同然であった。焦って慌てて、私は観客席にいる幾人かの友人達にスーツを貸してもらえないかと訊いて回るのだが、「持ってるよ、これをどうぞ!」と気前良く貸してくれる服は、どういう訳かどれもランニングシャツであったり派手な柄のパンツだったりする。
もう本番まで本当に時間がない。私はやむを得ず、目に入った同じグループに属するタキシード姿の人物からその衣装を引っぺがし、それに着替えた。彼には済まないことをしたが、これでどうにか私の方は間に合いそうだ。
緊張して来た。さあ、本番だ。だがここで私は再び窮地に陥るのであった。…そう言えば、我々が演奏するのはたしか有名な交響曲だったはずだが、「何の曲だったろうか? あれか、それともこれだったかな? これだとしても、まずい…これが3拍子か4拍子の曲なのかすら、私には分からないぞ……」
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3拍子とか4拍子とかいうレベルじゃない。音楽的才能どころかちょっとしたリズム感さえ皆無の私に指揮なんて到底無理な話です。夢にしても無茶すぎる、恐ろしい夢だ。どうしてこんなことになったんだろ?
ともあれ、どちらの夢も目覚めた時は笑いが止まらなくて、半分寝たままでとりあえずK氏に報告しておきました。人に話すと、後々までわりとその夢の内容を覚えていられます。でも、あとから振り返っても、一体何がそんなに笑えたのかは、いつもサッパリ見当がつかないのが、夢の不思議。