半透明記録

もやもや日記

物語はどこから来るのか

2008年07月19日 | もやもや日記


優れた文学作品を読んでいると、あるいは面白くてたまらない漫画などを読んでいると、いつも不思議に思うことがあります。これらの物語はいったいどこからやってくるのだろうかと。どういう状況にあれば、こんなイメージが沸き上がってくるのだろう。たしかにそこに生きているとしか思えない人物はどこから。
創作をやる人には、当たり前のようにそれができるものなのでしょうか。私は残念ながらそういう方面の能力がないので、どうも想像がつきません。

私は文章を書くことはありますが(現に今も書いてます)、それが物語であることはほとんどありません。私が書くものは、実際にどこかへ出かけていって見たり聞いたりしたこと、あるいは夢の中で見たり聞いたりしたことを、もしくはあーでもないこーでもないと考えたことについて、できるだけ正確に書き写そうという種類のものです。事実や思考の流れの羅列であって、物語ではないのです。いつもオチがないのは、多分にそのせいかもしれません。ここがいつも残念です。
私の漫画やアニメーションがわりと「意味が分からない」「面白みがない」「人物に個性がない」とないない尽くしで評価されるのを、できれば克服したいのですがねー。もうどうしようもないの……?

先日、同人誌に参加して下さったねこきむちさんにお会いした時、ねこきむちさんがこんなことをおっしゃっていて「へ~~」と感心してしまいました。ちなみに、ねこきむちさんという人は、ものすごく筆の速い人で、次から次へと新しい小説を送って下さるので、進みのノロい私の同人誌には到底掲載しきれないほどです。で、そのねこきむちさんが、
「自分のなかに溜まったものを、吐き出さないと潰れてしまうから」みたいなことをおっしゃって、私は「なるほど、なるほど」と思うと同時に「私はそんなこと、感じたことないや」と気が付いたわけです。もっと正確に言うと、私にも多少「何か書かなくてはならない」という欲求はあるものの、それが「物語としてあらわれてくることはまったくない」ようだ、と気が付いたのです。これが不思議だった。私はこんなにも物語を好きだというのに。でも、物語は読むに限るのですよねー。

このあいだの同人誌『YUKIDOKE』でも、私は自分も寄稿して、いちおうそれは物語の形式はとっているのですが、実はただ夢見たことをそのまま写しただけのものです。なので、どことなく物語風ではあるものの起承転結も伝えたいことも何もありません。
なんかなー、何となく無念なのです。物語らしい流れのあるものが生まれてこないということが。次回にも寄稿したいのですが、やっぱり夢ネタでオチもないし。うーむ。いいのだろうか。そんなことで……。かと言って、夢ネタを離れて完全に創作ということになると、もう絶対に無理だし。小説とか、詩とか、書けない。書こうと思ったこともない。無理にオチをつけると、壮絶につまらないものに仕上がるし。というか、オチとか以前に、何かが決定的に足りないよなー。私の好みじゃないんだよなー。読むのは好きで、目も肥えてるつもりなのになー。
と、我ながらくだらないと思いつつ、ちょっと悩んでいます。読む能力と、書く能力は別物だとは分かってはいるのですがねー。

でも、私には私の作品が(いちおう作品ではあると思う)が物語とは思えないけれど、ひょっとしたらどこかにあれが物語のように思えるという人がいるかもな、と思ってもいます。そういう可能性があるから、「なんか面白くもなんともないのに、なんで書いちゃうのかなー」と首をかしげつつも、私は書いてしまうのかもしれません。「なんか分かんないけど書いちゃう」というのは、ねこきむちさんに比べるとかなり消極的ですが、同じ欲求かもしれませんね。問題は、私が望むように、もっとそれを物語的に表現するにはどうするかということだ。だって、自分でも面白いと思えるものを描きたいじゃないですか。

そこでちょっと、私の書いたり描いたりするものを分析してみました。私にとってあれらが物語でないのは、おそらくあれらがいつも「一場面」でしかないから。とにかく「一場面」。「ネコとネコが待ち合わせ」「美術学校に入学」「授業で見学」「ヒャクボルコの随想」「サンショウウオを捕まえた」。うーむ。ストーリーが無い。自分で言うのもなんですが、それがどうしたって言うんだ、というものばかり。いったいどうすればいいのだ。
………。だが待てよ、「一場面」をずっと続けて、それを並べたらどうにか流れをもったものに成長しないかな。だってほら、「美術学校」は続けざまで見た夢をそのまま繋げただけだけど、なんか物語っぽくなったし。ひょっとしてそういうこと?(どういうこと?とは、はっきり言えないけど) 甘いかな。甘いかもな。でも別に甘くてもいっか。

というわけで、次回作も懲りずに意味も主題もない漫画を描いちゃおう。でもなー、いいのかなー、ちょっとは学習とか向上とかあってもいいんじゃないかなー………もんもん(/o\)。
はあ。暑い。
しかし、ほんとに垂れ流しだな、私の書くものは。きっとあれが足りないんだな、全体を統制する力が。はじまりからおわりに向かって流れを制御する力が。それって……どこかに売ってはいませんかね。やっぱ訓練しかないのでしょうか……もやもや。
はあ。暑い。
ほんとうにどうでもいいことで、スミマセン。はは。



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4 コメント

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どうも~ (ntmym)
2008-07-26 11:53:14
ねこきむちさん、こんにちは!
コメントありがとうございます☆

そうですねー。おっしゃることはよく分かります。ねこきむちさんは前向きで素晴らしいですね~。励まされます(^^)

ところで、

>あのにゃんこはノトさま自身だ

と言っていただけるのはありがたいです。むふふ。長きに渡って執拗に描き続けてきた甲斐があったというものです。私は、あのネコを見た人に私を思い出してほしいんですよね。そういうことはちゃんと通じるんだなーと、しみじみしました。

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Unknown (ねこきむち)
2008-07-25 20:47:19
こんばんわ、ノトさま。関東も夏真っ盛り。くるのですね、夏は・・・。ところで。頭の中にあるものを出すのは、だだもれといっしょだという評価もあります。確かに、「作品」として形にするには、それ相応の「セオリー」やら「起承転結」というものも存在するのでしょうね。わたしは、自分が吐き出すものが一番ピュアなものだとおもうし、それをいろいろ変えて、いわゆる「読みやすいもの」にすることは可能でしょう。創造とは、「ほっと」なもの、うまれたてなものだと思います。絵でも音楽でも、「作りたい」「表現したい」そういう気持ちが高揚しているときが、もっとも充実しているときなのです。商業ベースに乗せるものは、それとはまったく別の次元のもの。「売りたい」というのと「人に見てもらいたい」というのは、違うと考えます。わたしは、ノトさまの漫画が素敵だと思うのは、あのにゃんこはノトさま自身だと思うからなのです。あのにゃんこをみれば、「あ、これは、ノトさまだ!」とわかるのです。物語の中の登場人物も、すべて自分なのです。そして文章のいたるところに自分がいる。それを読んだ人が、感情移入できるか、共通点をみつけるか。面白いとおもうところはそこです。最後に、矛盾しますが、「感情とは(心とは)考え、言語でコミュニケーションをとらねばならなくなった、人間の大いなる勘違いである」人に、「これ、ぜひ描いてください(書いてください)」そういわれる物書きになりたいですねえ。ながながとごめんなさい。では・・・。
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わー、どうも! (ntmym)
2008-07-20 05:22:23
piaaさん、「花曇」は素晴らしいですよね! 梶谷さんはほんとに作家でいらっしゃるのですよ。表現力とか洞察力とかが半端でないのです。やっぱり面白いですよね! うんうん! いやー、面白くて当たり前だと思ってましたが、あらためて言われるとうれしいですね!(私が書いたわけでもないのに何ですが;)

実は「サンショウウオ」も、梶谷さんにアドバイスをいただいて、かなり直しました。おかげでかなり良くなりました。いくらかでも面白かったと言っていただけるのは、そのせいかと。修正前はもっと壮絶でした(/o\)
あとは、あれが漫画だから? 漫画って、それだけで既にちょっと面白げですよね。
って、私はちょっと自信なさすぎなんですかね; ひとの作品の面白さはすごく分かるんですが(正直、私は自作のユキドケへの掲載を悩みました。ほかの方のが立派すぎて;)、私はほんとに自分の作品に魅力があるのかどうか自覚できないんですよねー。でも、piaaさんがおっしゃるんだから、きっと私のにも何かあるんですよね。
うーむ。そうか。とりあえず、私は自分の感覚よりも、piaaさんの言葉を信じることにします(^^) いつもありがとうございます♪

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それでも面白い (piaa)
2008-07-19 23:49:55
でも「サンショウウオ」は「YUKIDOKE」のなかで2番目に面白かったですよ。
確かに「サンショウウオ」は物語としてまとまっているとはいえませんが、それがどうだって言うのでしょうか。そんなこととは全く無関係に面白いと思え、独得な魅力的な世界を作り出している作品でした。

物語性や、それがうまくまとまっていると言う事と、面白いかどうか、あるいは読者が気に入るかどうかとは全く別の事なのではないでしょうか。

ちなみに「YUKIDOKE」で1番面白かったのは梶谷さんの「花曇」でした。これはちょっと別次元にあると言ってもいいくらい素晴らしい作品でしたね。
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