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森羅万象 ~ 歩く印象派

タバコの「現実」

2010年10月12日 22時22分01秒 | 私の目の前での喫煙はお断り
映画にタバコはいらない(2010年10月11日 ニューズウィーク日本語版)

うまそうな「一服」シーンはスクリーンから駆逐すべきか、映画は「現実」を反映するべきか

クロディア・カルブ(医療・健康担当)

 最近の映画の喫煙シーンはハンフリー・ボガートが活躍した時代ほど多くない。それでも09年公開のPG13指定(13歳未満の観賞には保護者の注意が必要)映画の54%に喫煙シーンがあった。

 今年1月、『アバター』のジェームズ・キャメロン監督は、カリフォルニア大学サンフランシスコ医学校教授スタントン・グランツに公開の場でけんかをふっかけられた。グランツが『アバター』で植物学者がたばこをふかすシーンは「上水道にプルトニウムをぶち込むようなもの」と、ニューヨーク・タイムズ紙に語ったのだ。
 
 キャメロンは同紙上で、シガニー・ウィーバー演じるこの科学者を青少年のお手本にしようとしたつもりはない、と反論した。だが「喫煙シーンは許されないというのは独善的な考え。映画は現実を反映するべきだ」とも主張した。

 最近はアメリカ政府が喫煙シーンと戦うグランツを後押ししている。8月19日、疾病対策センター(CDC)は疾病率・死亡率週報に91年から09年のヒット映画についてグランツが調べた統計を載せた。それによると、喫煙シーンはピーク時だった05年の4000件から劇的に減り、09年には2000件を切った。

(中略)

 CDCの報告に対し、映画を格付けする全米映画協会(MPAA)は「ニコチンには中毒性がある。子供の喫煙を望む親はいない」とコメントしている。MPAAによれば、07年5月以降「少しでも喫煙シーンが出てくる」映画の73%がR、21%がPG13、6%がPGに指定された。

 キャメロンは映画は現実を反映すべきだと言った。だがグランツは反論する。映画が描くたばこの妖しい魅力やかっこよさ、セックスアピールは喫煙の現実ではない。中毒性やいらいら、たばこが原因の病気や死こそが現実だと。

 たばこの害は周知の事実だが、アメリカの喫煙率はいまだに高い。最新データによると喫煙率は20%前後を推移しており、800万人を超える人々が喫煙が原因の病気に苦しみ、毎年45万人がたばこのせいで死んでいる。

 これが現実だ。そしてこの現実は変えなければならない。


以下は上記記事に寄せられたtankobu_xさんのコメントです。

>若者を喫煙へ誘う最大の要因はイメージです。喫煙シーンに惹かれてタバコを吸い始めた人もいるはずです。

 しかし米国では記事にも書いてあるように喫煙シーンが出てくる映画には何かしらの規制がかけられています。喫煙シーンは登場させても良いのですが、少なくともPGでもなくR指定にしておくべきです。

 日本では昔よりは減ったもののテレビ、映画、漫画などに喫煙シーンが多数存在し、厚労省なども喫煙シーンは有害である事を公表していません。喫煙シーンがカッコよく描かれている場合がありますが、現実はタバコ病死に至らなくても喫煙所の哀煙家を見れば分かるとおり、カッコ良くないのです。

 これが喫煙者、いや哀煙家の現実なのです。喫煙シーンを描くのなら喫煙所を探すシーン、ニコチン離脱症状でイライラする姿、そして映画の最後にタバコ病死させるべきでしょう。


ちなみに、記事にあった「アバター」の米国DVD版には禁煙の警告広告が「特典」としてついています。日本版には無いと思いますが。