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森羅万象 ~ 歩く印象派

超大国 中国はアメリカと同じ位「ならず者」Who's the Rogue Superpower?

2010年10月28日 23時04分16秒 | 歩く印象派
大国の生態 自分勝手に振る舞ってすんでしまうのが現実(09年、建国60周年式典で北京を行進する人民解放軍) CDIC-Reuters


クルーグマンは中国が経済大国の責任を果たしていないと批判するが、大国とはそういうものだ
2010年10月22日(金)17時54分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授=国際関係論)

 ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンの意見には賛同できることの方が多いが、クルーグマンが10月17日にニューヨーク・タイムズ紙に寄稿したコラムの場合はそうはいかない。その中で彼は、尖閣諸島沖で中国漁船の船長を逮捕した日本政府に対し、中国が強硬な対抗措置に出たことを批判した。特に強く批判したのが、中国がレアアース(希土類)を輸出禁止にして日本に圧力をかけた問題だ。

 クルーグマンは中国が人民元相場を低く抑えていることにも矛先を向け、こうした行動は中国が「ルールに従う意志のないならず者の経済大国」である証拠だと述べた。

 私も尖閣沖での中国の行動が行き過ぎた愚かしいものだ、という点には同感だ。この一件をきっかけに、アジア諸国の間で強大化する中国への警戒感が強まり、各国が中国の影響力に対抗しようと共同歩調を取り始めるかもしれないからだ。

 とはいえ、大国がその権力を振りかざそうとするのは何も中国に限った話ではない(アメリカと中南米の関係についての歴史を振り返ればすぐに分かる)。しかし、大国としての地位を揺るぎないものとして確立するその前に、威張り散らしてしまうのは愚かなことだ。
日本と喧嘩をするのは賢くないが

 アメリカが超大国に上りつめるために取った賢い戦術の1つは、イギリスに宣戦布告した1812年の米英戦争を除き大国との勝ち目のない喧嘩を避けることだった。

 世界で最も強力で先進的な経済大国という地位を確立するまで、単に他の大国ともめるのを避けただけではない。ユーラシア大陸で大国同士が血みどろの戦いで力を使い果たすのを横目で見ながら、地政学上の力の均衡が危うくなったときだけ介入した。その結果、アメリカは第2次大戦後の世界で独占的な地位を手に入れた。

 戦略としては完璧とはいえないし、誇れるものでもない。この上なく自己本位的だったが、おかげでアメリカはその後数十年間にわたって優位な立場を確立することができた。

 中国に頭の切れる指導者がそろっているなら、彼らも同じような策に出ていたはずだ。中国はアメリカが中東や中央アジアなどで力を使い果たす間、見て見ぬふりをし、その間にも他の国と有益な関係を築き上げて、自分たちの長期的な発展計画を実現しようとするはず。特に今のような時期に、近隣諸国と些細なことで喧嘩をするなど馬鹿げたことだ。この点について、私とクルーグマンは同意見だ。

 だが、同意できない点もある。中国を「ならず者の経済大国」と呼んだことだ。そして「中国の尖閣問題への対応は......世界で最も新しい経済超大国が、この地位に見合う責任を負う準備ができていないことの何よりの証拠」と結論付けたことだ。
「ルール破り」の常習犯はアメリカ

 まず、この見方は中国(とその他の大国)が国際社会に対して「責任」を持つことを前提にしている。アメリカの指導者は、世界に対して大きな「責任」と「義務」があると主張したがる。だがこれは自らの利益(または利益と信じたもの)のために取った行動を正当化するための言い訳に過ぎない。どんな国の指導者もまず自国民に責任がある。だからこそ国際間の協力はとらえどころなく、主権国家同士の利害の衝突が決まって発生する。

 さらに中国がルールの中で動いていない「ならず者」大国であると主張すれば、「国際的ルールの多くは中国ではなくアメリカとその同盟国によって作られたもので、アメリカもアメリカ人にとって都合の悪いルールは容赦なく無視してきた」ことに頬かむりすることになる。

 例えばアメリカは国連憲章の作成を手助けしたにも関わらず、国連安全保障理事会の承認がないまま99年にはセルビアと、03年にはイラクと戦争を行った。国連憲章にのっとればアメリカの行為は違法だ。同様にアメリカは第2次大戦後、1オンス35ドルと定めたブレトンウッズ協定をつくるのに主導的な役割を果たしたが、この協定がアメリカにとって役に立たなくなると、71年に金本位制を放棄した。

 東シナ海で発生した中国人船長の拘束事件やレアアース禁輸問題から学ぶべき本当の教訓は、大国が必要だと感じたときにはルールを無視し、大抵の場合はそれで済んでしまうものだということ。中国の指導者たちはアメリカや世界全体にとっていい政策だろうがなかろうが、これまでの基準やルールに一致していようがいまいが、彼らが有益だと信じる政策を追い求める――そう考えるべきだ。

 中国と我々の利益が激しく対立することが少なからずあるのははっきりしている。中国の指導者は時に自分たちの利益を注意深く計算し、それを達成するため優れた政策を実施する。大損害を出すような失敗をすることもあるだろう。アメリカ政府の指導者たちと同じだ。見識と洞察力にあふれた行動をするときもあれば、軽率につまずいて惨事を引き起こすこともある。

 それが現実だ。要は十分に「責任ある」行動ができていないアメリカが、中国に「責任ある」行動を求めるのは賢明でも有益でもない、ということ。キューバのグアンタナモ収容所で裁判をすることなく外国人を拘束し、アルカイダが潜伏していると思われる国に無人戦闘機でミサイルを落としているのは中国ではなくアメリカだ。

Reprinted with permission from "FP Passport", 21/10/2010. © 2010 by The Washington Post Company.

たばこ値上げで禁煙挑戦者急増

2010年10月28日 06時13分03秒 | 私の目の前での喫煙はお断り
産経新聞 10月27日(水)21時6分配信

 10月からたばこのほとんどの銘柄で1箱110円以上の値上げが実施され、禁煙挑戦者が急増している。禁煙外来に喫煙者が殺到して医療用の禁煙補助薬が不足する事態が起きているほか、薬局・薬店では禁煙補助商品が売れ行きを大きく伸ばしている。半面、日本たばこ産業(JT)はたばこ販売の急激な落ち込みに危機感を募らせている。

 「10月に入り、禁煙補助薬があっという間になくなった」。こう話すのは、東京・日本橋の「中央内科クリニック」の担当者だ。同クリニックの禁煙外来には10月に入って2週間で、9月下旬に比べて倍以上の新規患者が詰めかけた。

 しかし、現在は禁煙外来の新規患者の受け付けを見合わせている。処方する禁煙補助薬が間に合わないためで、担当者は「患者はせっかく決心してやってきたのに、断るのは非常に残念」と嘆く。

 禁煙外来で主に処方される禁煙補助薬は、米製薬大手、ファイザーの「チャンピックス」。これを含めた受診者の自己負担額は1万2千~1万8千円程度だが、1日に1箱ペースの喫煙者なら1カ月分のたばこ代程度で収まってしまう。禁煙成功率も6割程度と高い。

 ファイザーは8月まで毎月約7万人分のチャンピックスを供給していたが、9月は約17万人分、10月に入ると6日時点ですでに約8万人分を供給しているという。同社はこのまま供給し続けるのは困難と判断し、12日以降、新規患者向けの「スターターパック」の供給を停止。治療中の患者への供給は継続できるが、供給体制が完全に整うのは来年1月という。テレビCMも自粛している。

 一方、医療用と違って医師の処方がいらないOTC(一般用)医薬品の禁煙補助薬や禁煙補助商品の売り上げも伸びている。スイス製薬大手、ノバルティスファーマの禁煙補助薬「ニコチネル」は9月の出荷が前月比で3割増え、同社は「10月はそれ以上ではないか」とみる。禁煙補助商品を手がけるマルマンでは、「禁煙パイポ」の10月の売り上げが出荷ベースで前年同月の2倍以上で推移している。

 JTは、今年10月から来年9月までの販売本数が前年同期より25%減ると予測しており「壊滅的なダメージになる」と危機感をあらわにする。禁煙挑戦者がこのまま増え続ければ、減少幅はさらに大きくなる可能性もある。


中国はなぜ横暴か A Beijing Backlash

2010年10月28日 06時11分54秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
「平和的台頭」を捨て去り、権益を脅かす者には牙をむく。「新・超大国」と世界の新しい関係

2010年10月26日(火)12時07分
ジョシュア・カーランジック(米外交評議会研究員)、長岡義博(本誌記者)、アイザック・ストーン・フィッシュ(北京特派員)

[2010年10月13日号掲載]

 中国人民解放軍きっての外国通、熊光楷(ション・コアンカイ)上将(大将)は最近いら立っている。ただし怒りの対象は中国の庭先である黄海に原子力空母を派遣すると表明したアメリカでも、沖縄の尖閣諸島沖で中国漁船の船長を逮捕した日本でもない。最高指導者だったトウ小平の「遺言」が、世界から間違って解釈されていることに我慢がならないからだ。

 中国政府は、これまでトウが90年代初頭に残した「才能を隠して外に出さない(韜光養晦)」という方針を忠実に守って外国と付き合ってきた。熊に言わせれば、最近この言葉は国外で「能力を隠して再起を待つ」とか「野心を隠して爪を研ぐ」と誤訳されている。「この言葉の真意は自分の力をひけらかさないということにある。それが中国人の伝統だ」と、熊は先月広州市で開かれたあるフォーラムで主張した。

 とはいえ世界から誤解される原因は、むしろ中国自身の横暴な態度にもある。最近の尖閣問題で中国政府は街頭での反日デモを黙認し、丹羽宇一郎駐中国大使を夜中に呼びつけ、日本の製造業に欠かせないレアアース(希土類)の輸出を止めてついに日本を譲歩させた。東シナ海だけでなく南シナ海の権益を「核心的利益」と呼び(「核心的利益」はこれまで中国政府が他国に譲れない対象と考えているチベットや台湾にしか使わなかった言葉だ)、インドとの領土問題も再燃させようとしている。

 熊がどんなに外交方針が誤解されていると主張しようと、かつて「平和的台頭」を掲げて近隣諸国との協調をうたった中国の姿勢は過去のものになったようだ。どうやら、この国は近隣諸国やアメリカに対して、自らの軍事力と経済力を無視すれば痛い目に遭う、と見せつけたくなったらしい。
権力闘争が外交に影響か

 最近の中国の行動を見れば、「実力をひけらかさない」という言葉と裏腹の言動ばかりが目につく。人民解放軍は先月、上海協力機構のメンバーであるカザフスタンに爆撃機を飛ばし、合同訓練を実施。中国空軍が外国の領土で爆撃訓練を行うのは初めてのことだ。

 また米国防総省が原子力空母を演習目的で黄海に派遣すると発表した8月には、人民解放軍の研究機関である軍事科学院の羅援(ルオ・ユアン)少将が人民日報系英字紙で「中国から一番借金をしている国が中国に挑戦したらその結果がどうなるか想像せよ」と警告した。

 これまで穏健派とみられていた中国外交官の態度も傍若無人になり始めている。国連事務次長であり、中国の国連職員トップのは先月上旬、オーストリアで開かれた事務総長との夕食会で酔っぱらい、「あなたが私を好きじゃないってことは知っている。でも私もあなたが好きじゃない」「(国連本部のある)ニューヨークには来たくなかった。絶対に嫌だった」と暴言を吐いた。

 しまいには、日本の検察当局が中国人船長の釈放を決定した際には、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は国連総会の演説で領土問題を意味する「核心的利益」を「断固として守る」と強気に宣言した。「偶然の出来事ではあったが、尖閣の事件をきっかけに中国は世界に向けて超大国宣言をした」と、中国人政治学者の趙偉宏(チャオ・ウェイホン)は言う。「遅かれ早かれ、そうなると分かっていたが」

 東シナ海では、尖閣諸島問題だけでなく米韓軍事演習での原子力空母派遣にも激しくかみついた。さらに同じく「核心的利益」である南シナ海の石油資源の採掘権については外国からの異議を一切認めず、そのせいで南シナ海を航行するアメリカや日本の船舶にとって中国海軍の脅威が高まっている。台湾と非公式ながら強い関係を維持しているシンガポールやフィリピンなど東南アジア諸国にも高圧的な態度を取っている。

 海洋権益にとどまらず、中国は領土紛争を抱えるほかの地域でも緊張を高めている。中国が一部の領有権を主張するインド北東部アルナチャルプラデシュ州では今年5月、中国人男性スパイが拘束された。

 中国の強気な態度は、その外交政策の潮流が大きく変化したことを表している。トウ小平の「才能を隠して外に出さない」という方針を受けて、中国政府は90年代後半のアジア通貨危機のさなかに近隣諸国への「微笑外交」を始めた。多くの近隣諸国に、中国は毛沢東時代にカンボジアのポル・ポト派やビルマ(ミャンマー)の共産ゲリラを支援した革命路線で介入主義の国、という記憶がまだ色濃く残っていた頃だ。

 この「超ソフト路線」は大いに成果を挙げた。90年代後半から00年代前半にかけて、中国はASEAN(東南アジア諸国連合)とのつながりを強めた。もう1つのアジアの大国インドとの関係も見直し、世界をリードするインドのIT企業と中国企業の業務提携が相次いだ。アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権の「敵か味方か」的な外交姿勢とは極めて対照的な中国の協調路線を、アジア諸国の外交官は称賛した。

 最近の姿勢転換はある意味、中国が掲げてきた「主権の維持」「内政不干渉」という原則の延長線上にある。しかしそれ以上に、世界的な経済危機によって中国はアメリカや多くの近隣国よりはるかに強力な地位に押し上げられた。中国の指導部や外交当局は今や、国際社会でわが物顔で振る舞えると思うようになった。中国政府の高官が欧米当局者に公然と市場システムと資本主義の崩壊を語っているだけでなく、一般の中国人までほかのアジア諸国からもっと分け前を取れると思い始めている。

「中国の行動には粋がった傲慢さがある」と、日中関係の専門家である国立シンガポール大学の藍平児(ラン・ピンアル)は言う。中国は今年、経済規模で世界第2位の日本を追い越す見込みだが、それが本格的な中国の時代の到来を告げる鐘になるかもしれない。

 しかし中国の変化の最大の理由はほかにある。2012年に予定されている政府指導部の世代交代をめぐる緊張だ。

 2年後には胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が退任する予定で、国家副主席の習近平(シー・チンピン)が後継として有力視される。ただ、トウ小平や人民解放軍内に強力な支持者層を誇っていた前国家主席の江沢民(チアン・ツォーミン)と違い、胡も習も軍部内に強い支持基盤を持っていない。

 その結果、党が軍を自由に操るのが難しくなった。その上、大局的な外交戦略や穏健派の中国外務省を無視し始めた軍上層部は、中国海軍の勢力拡大といったタカ派的政策を推し進めようとしている。

 例えば、深セン経済特区設立の30周年に当たった今年8月末、胡錦濤が出席して盛大な式典が開かれる予定だったが、なぜか突然日程が11日も延期された。式典の2日前には、高級全国紙「光明日報」に「深センの経験した政治改革についてむやみに比較をしてはならない」と、誰かを当てこする記事が載った。

 その「誰か」は温首相だとみられている。温は式典に先立つ8月中旬、深センを訪れ「停滞や後退は中国を死に至らしめる」と、政治改革の必要性を訴えていた。温は党内の軍を含む一部エリート層から敵視されているらしく、領土問題に関する強気の国連演説も彼らに配慮したのかもしれない。

 強力な権力基盤を持たない胡や習は、軍部に迎合する必要性を重々認識している。中国政府高官さえ、来年以降も政権内では緊張が続くと嘆いている。

 強硬姿勢を強めているとはいえ、中国にも中国なりの理屈がある。尖閣諸島沖の漁船衝突事件も、取り締まりの正当性を強調する日本とは異なる理屈で捉えている。

 日中間には97年に締結された日中漁業協定があり、尖閣諸島周辺においては自国領海内で他国の船舶が違法操業しても、それを取り締まることが原則的に禁じられている(仮に拿捕した場合でも、速やかに釈放されることが多い)。そのため中国は、今回の尖閣問題における日本側の一連の対応を日中漁業協定に違反した行為と解釈している。

 日本側は退去警告した後、中国漁船が巡視船に体当たりして逃走したと説明しているが、中国人政治学者の趙は「日本側による停船命令、そしてその後の逮捕や国内法の適用は明らかに協定を超えた行為で、中国側は挑発されたと受け止めている」と指摘している。
好意的イメージを失う?

 ただし強気一辺倒の姿勢を貫けば、中国は大きな代償を払うことになる。中国とASEANの自由貿易協定(FTA)が今年発効し、中国は東南アジア諸国最大の貿易相手国になったが、アジア全域からの反発で10年にわたって培ってきた好意的なイメージが台無しになるかもしれない。オーストラリアのロウイー国際政策研究所が今年まとめた報告書は「ほとんどのアジアの国は中国の台頭をアメリカへの戦略的対抗手段として利用するより、アメリカへの依存を続けるだろう」と分析している。

 ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所の調査によれば、アジアのエリート層のほとんどは向こう10年間この地域に平和をもたらすのはアメリカで、逆に最も脅威なのは中国だと考えている。

 それ故、東南アジア諸国はアメリカの軍事的な存在感の拡大を歓迎している。同じ共産主義国として中国と親密な関係を築けるはずのベトナムはアメリカと戦略的対話を始め、アメリカがベトナムにウラン濃縮技術を提供する原子力協定の締結に向けて交渉に入った(ウラン濃縮技術は中国がかつてベトナムに提供しようとしていた)。ベトナムは今後10年以内にシンガポールを除けば東南アジアで最も親密なアメリカの同盟国になるかもしれない。

 最近中国が熱心に接近しているインドネシアも、今年アメリカとの軍事協力を含む新たな「包括的協調関係」を樹立する。先月ニューヨークで開かれた米・ASEAN首脳会議で、インドネシアのマルティ・ナタレガワ外相はアメリカを南シナ海の領有権問題から排除するよう求めた中国の申し出を公然と拒否した。

 中国の援助に依存するカンボジアでさえ、アメリカとの新たな軍事協力に踏み出した。今年両国が実施した共同軍事演習は「アンコールの番人」と名付けられた。
中国とアジアの「新冷戦」

 同時に、多くのアジア諸国が中国に対抗するための連携を強化している。ベトナムは最近、日本とも原子力協定締結のための対話を開始。インドは国内のインフラ整備に日本から莫大な投資を受け入れた。本来ならば、中国企業が進めていてもおかしくないプロジェクトだ。

 さらにほとんどすべての東南アジア諸国が軍事費支出を増大させている。ストックホルム国際平和研究所の調査によれば、東南アジアの武器購入支出は05年から09年の5年間で倍増。ベトナムは最近、24億㌦でロシア製の潜水艦と対艦攻撃機を購入した。

 ベトナムやマレーシアなど、最近になって兵器を調達した国々が域内で軍事的脅威に直面していないことを考えれば、兵力増強の目的は中国に対抗するためだけだ。

 対する中国も毎年15%のペースで軍事費を増やしている。中国と近隣諸国との軍事的緊張はまだ序章にすぎない。ただそれは「中国対アジア」という新しい冷戦の第1幕なのかもしれない。