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森羅万象 ~ 歩く印象派

どうした自動車ジャーナリスト! 事実を語らない裏事情

2010年09月10日 01時00分07秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2010年06月10日 08時00分
[相場英雄,Business Media 誠

アウトバーンの怪

 「あれは明らかに設計段階のミス。しかし、真相を伝えることはできなかった」――。

 数年前、国内の某大手自動車が目玉商品である高級タイプの新車発売を前に、複数の自動車専門のジャーナリストやライターを集め、ドイツで試乗会を実施した。同国の高速道路「アウトバーン」の速度無制限区間で目玉新車を試乗してもらい、製品の完成度を内外に強くアピールするのが狙いだった。競合車種である欧州の高級車と遜色ないクオリティーを実感させようという考えもあった。

 しかし、メーカーの目論見とは裏腹に、試乗会ではクレームが多数寄せられたのだ。「速度が200キロを超えたあたりから、ハンドルがブレ始め相当に危険だった」(参加したフリーライター)というのがその中身。

 多くの自動車専門ジャーナリストやライターが冒頭のような感想を抱いたものの、「メーカー側はタイヤ空気圧の調整に不備があったとの説明を繰り返した」(同)ため、この目玉車の「高速走行時の不具合」はほとんど日本のメディアに載ることはなかった。

 高速道路、しかも時速200キロオーバーが当たり前のアウトバーンで試乗会を行う際、空気圧のチェックは欠かせない。空気圧が適正でなければ、最悪の場合タイヤがバーストし、重大な事故を招いてしまう事態が起こり得るからだ。したがって、従前の「空気圧の調整に不備があった」という説明をうのみにした試乗会参加者はほとんどいなかったという。

 なぜ、このような重大なミス、しかも冒頭の言葉にあるように「設計段階のミス」が想定されるような事態が報じられなかったのか。

 ここには、日本の自動車業界が抱える深い事情があるのだ。

御用ライターがクルマ離れの遠因?

 日本の自動車会社の多くが新聞やテレビ、あるいはインターネットに大量の広告を出稿しているのは周知の事実だ。先に触れたリーマンショック以降、広告の出稿量が激減したため、「スポンサーの意向に沿わない内容を報じるのは相当な勇気が必要」(某民放局プロデューサー)という状況が顕在化している。これが自動車専門紙誌、あるいは専門サイトであれば尚更なのだ。

 「意に沿わない原稿を出せば、試乗会やイベントに参加できなくなり、即座に廃業のリスクが高まる」(ベテランのライター)ほか、「Webサイトの主要な収入である広告がゼロになってしまう」(編集担当者)ためだ。

 実際、メーカー関係者からは「手厳しいことを書かれぬよう、ベテランを中心に定期的に接待を繰り返している」(某大手広報幹部)との声が漏れてくる。

 主要紙やテレビでは、新車や注目モデルの詳報を得ることは難しい。よって、筆者のようなクルマ好きは自動車専門誌を購入し、あるいは専門Webサイトで情報を得ている。自動車は数万点にも上るパーツの集合体であり、定期的に人事異動を繰り返す大手紙やテレビの記者がフォローできない専門情報が多いため、自動車評論家、あるいはジャーナリストの分析・解説記事が、クルマ好きには必要不可欠なのだ。

 「メーカーと専門記者が絶対に接待の場で会ってはならない」などと青臭いことを主張するつもりは一切ない。ただ、広告確保やつなぎ止めのため、メディア側が過剰な配慮をしたり、果ては安全性に関わるような問題までメーカーの説明をうのみにしてしまうのでは、専門記者の存在意義などなくなってしまう。

 実際、今年に入ってから自動車専門誌の休刊が相次いでいるのは、多くの読者がこうしたメディア側の「腰砕け」傾向を敏感に感じとってしまったからではないのだろうか。

 先のアウトバーンの事例だけでなく、エコカー減税をめぐる不透明な車重区分の存在、実燃費とメーカー公表燃費の大きな差など、日本の自動車業界全体をめぐる諸問題はほとんど報じられていない。

 現状、こうしたネタを制約なく書いている人は、日本に数人しかいない。自動車専門ジャーナリストの奮起を期待したい。

やっぱりカネをもらっていた? 反論なしの大物記者たち

2010年09月10日 00時57分05秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2010年9月9日 08時00分
相場英雄,Business Media 誠

 8月、Business Medias誠にて、ジャーナリストの上杉隆氏、ノンフィクションライターの窪田順生氏と鼎談する機会を得た。官房機密費や記者クラブ問題などを通じ、日本のメディア界の暗部の一端をご紹介できたのではないかと筆者は自負している。

 ただ、大手マスコミの一角、老舗通信社に20年近く勤務した経験を持つ筆者でさえ知り得なかったネタも数多く出たことが強く印象に残っている。そのネタとは、ずばり大手メディア各社の政治部の暗部に他ならない。筆者の抱いた率直な印象は「やっぱり政治部はおかしいよ」だった。

●政治部のお偉方はブラックライターか?

 当コラム、あるいは先の鼎談でも触れたが、筆者は政治家と古いタイプの政治記者との間で金銭のやりとりが行われていたとの上杉氏の証言に仰天した。また、首相官邸の官房機密費からも記者対策費の名目で税金が記者に渡っていたことは、20年近く大手と呼ばれるメディアに所属していた筆者にも非常にショッキングなことだった。

 長年の記者経験に照らせば、鼎談中、上杉氏が触れた政治家、あるいは政治家秘書が記者や政治部の幹部クラスに現金を渡していたという言葉に嘘や誇張は全くないと断言できる。

 筆者自身、長年の経済部勤務で企業の広報対策の一環として、接待を受けた身である。キレイごとを言える身ではないし、欧米メディアの厳格なルールに照らせば、記者失格かもしれない。ただ、広報に接待されたあとは、必ず自腹で返礼し、バランスを取ってきた。日本流の企業とメディアの取材態勢の慣例を無視すれば、ほぼすべての取材ができなくなるためだ。

 過剰接待をちらつかせる企業も少なくなかったが、これらはきっぱりと断わってきた自負がある。まして、現金の授受などもってのほかであり、他の経済部記者、あるいは社会部記者も同様だ。

 鼎談中に知ったことだが、小泉政権からは官房機密費が記者対策に用いられることはほとんどなくなったという。筆者の元同僚、あるいは他社の政治部の知った顔を思い起こすと、政治家、あるいは秘書連、もしくは官房機密費によって“ズブズブ”にされた政治部の面々の大多数は、現在それぞれの社で相当な幹部に登りつめている。

 筆者が現役記者だったころは、企業のスキャンダルや経営陣の下ネタを握り、これをねだりのタネにし、金銭の授受で記事をボツにする“ブラック”なフリー記者、ライターが多数存在した。官房機密費あるいは政治家から提供されるお小遣いをもらった人達は、ブラックなライターとなんら変わらないというのが筆者の見方だ。…

 永田町にたかってきた彼らが社の上層部、あるいは経営陣が居座る限り、一般の読者は大手マスコミへの不信感を払拭させることはないだろう。

●企業存続のリスクに発展も

 「アイツを黙らせろ」――。

 鼎談記事が掲載され、複数の元同僚から「古巣の幹部が怒っている」という話を聞かされた。筆者が個人的に記しているブログにも古巣のアクセスログが大量に残されるといった事象が顕在化した。

 ただ、表立って筆者やBusiness Media 誠編集部に対する抗議はなかった。仮に今後も抗議がなければ、改めて言うまでもないが、各メディアの政治部上層部、あるいは政治部出身の経営陣の皆様方はズブズブだった、と筆者は判断する。当コラムの読者も同様の見方をするだろう。

 実は、鼎談が掲載されて以降、複数の古巣の同僚、あるいは他社の記者から励ましの言葉やメッセージをいただいた。その大半は「よく言った」、「もっとやれ」だった。政治家、あるいは税金である官房機密費から不透明なカネを受け取った一部の記者たちにより、世間からいらぬ批判を浴びている真面目な記者たちに他ならない。

 Twitterのタイムラインをのぞいていると、官房機密費問題に端を発したマスコミ不信は、着実に増幅している。筆者が大手マスコミ出身者として改めて強調したいのは、金銭の授受を受けた記者は古いタイプのごく一部の政治部出身者ばかりであり、他の記者は日夜ネタ探しに奔走し、ネタの裏取りに駆け回っているということだ。メディアのビジネスモデルが崩壊しつつある現在も、1人1人が問題意識を持ち、懸命に取材を続けている。

 世界的な不況による広告費の激減、購買数や視聴率の落ち込みで大手マスコミは尻すぼみの状態が続いている。一部のズブズブだった記者たちのために、メディア界全体が沈むようなことがあってはならない。



東北新幹線の八戸―新青森間、11月に試乗会 参加募る

2010年09月10日 00時53分40秒 | 歩く印象派
2010年9月9日

 JR東日本は、12月4日に開業する東北新幹線八戸―新青森間の特別試乗会を、11月20、21両日に行う。5千人まで参加可能で、9日から募集を始める。八戸駅発着と新青森駅発着の2コースがあり、往復の所要時間は1時間半程度となる。車両は「はやて」(E2系)を使う。

 応募方法は、往復はがきに住所、電話番号、氏名、年齢や乗車希望日・希望駅などの必要事項を明記し、「〒020・0034 盛岡市盛岡駅前通1の41JRビル6階 ジェイアール東日本企画盛岡支店内『東北新幹線新青森開業試乗会事務局』」あてに郵送する。

 はがき1枚で3人まで応募可能。募集期間は10月8日までで、当日の消印有効。当選者には10月下旬に通知する。問い合わせは同事務局(019・625・1766)。

富士山の永久凍土激減 温暖化の影響か、生態系に変化も

2010年09月10日 00時53分16秒 | 山関係のニュース(報道されたもの)
2010年9月9日14時31分朝日COM

 富士山頂(3776メートル)周辺に広がっていた永久凍土が激減していることが、静岡大と国立極地研究所の調査で分かった。1976年には山頂から標高3100メートル付近まで連続して広がっていたが、98年には3200メートル以上しかなくなり、現在は山頂周辺に散在するだけになった。植生への影響が心配されている。

 永久凍土は、2回の冬とその間の夏を合わせた期間より長く、0度以下の状態になっている土壌や岩石をさす。

 調査は、静岡大理学部の増沢武弘教授、極地研の藤井理行所長らが行った。南斜面の標高2500メートルから山頂まで50~100メートルおきに約100地点で、地中に長い棒を突き刺して深さ50センチの温度を測って、凍土の有無を調べた。

 76年8月の調査では、永久凍土は標高3100メートル以上に広がっていた。98年8月には、3200メートル以上に上昇。さらに、2007年8月には、連続した広がりは消え、部分的に確認できた最も低い地点でも、標高3600メートルまで上がっていた。07年からは山頂付近の地中温度を通年で測っており、昨年まで6地点確認できた凍土が、この1年では北側3地点に減っていた。

 気象庁によると、富士山頂の8月の平均気温は76年で4.2度、09年は6.6度と上がる傾向にある。

 増沢教授によると、山頂付近にはコタヌキランなど3種類の植物があるが、ここ数年で株が大きくなったり、増えたりして、生態系が変化しているという。

(地中の温度を測って永久凍土の有無を確認する=08年8月、富士山頂付近、中山写す)

 環境省の研究委員会は08年、地球温暖化の影響で起こり得る影響として「富士山の永久凍土の減少」を指摘している。極地研の藤井所長は「温暖化の影響は間違いないが、予測以上のスピードだ」と驚いている。(中山由美)