All Things Must Pass

森羅万象 ~ 歩く印象派

「何でわざわざ危険な山に?」池上彰が語る「知のギャップ」

2010年09月30日 11時57分21秒 | 歩く印象派
【手帖】

 著書『伝える力』(PHPビジネス新書)が100万部を突破したジャーナリストの池上彰さんが、このほど東京都内で中高校生ら100人に、「伝える力の大切さ」と題した特別授業を行った。

 池上さんは11年間担当したNHKの「週刊こどもニュース」での経験談を披露。「自分中心では相手に伝わらない。『相手に分かってもらえるか?』と常に考えることが必要」と伝えることの難しさを語った。

興味深かったのは「知のギャップ」をめぐるエピソードだ。

 《○×大学の学生14人が冬山に登ったところ、雪が深くて降りられなくなってしまいました》。池上さんが番組用に書き上げた遭難のニュースに対し、子供たちは「何でわざわざ寒くて危険な山に登るの?」。

 「大学生の冬山登山」というものがある、というのは大人にとっては常識だけれど、多くの子供は知らない。誰でも知っているという思いこみが、コミュニケーション不全を招いた一例だ。

 「人によって違うこのギャップにどこまで気づけるか。それは相手に対する気配りや思いやりと言ってもいい」と池上さん。ちなみに前述のニュースはこう書き換えたという。

 《○×大学のワンダーフォーゲル部という山登りを楽しむクラブの学生14人がクラブ活動で冬山に登ったところ、雪が深くて降りられなくなってしまいました》