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郵便不正事件 総選挙控え「口添え」議員の聴取遅らす

2010年09月09日 06時02分18秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2010年9月9日3時3分朝日COM

 郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で、自称障害者団体側から頼まれて厚生労働省に発行の「口添え」をしたとされる民主党の石井一(はじめ)・参院議員(76)への事情聴取を、大阪地検特捜部が昨夏の総選挙を理由に遅らせていたことがわかった。この結果、石井議員が口添えをしたとされる日に千葉県内のゴルフ場にいたことが同省元局長の村木厚子被告(54)=10日に判決公判=の起訴後に発覚。特捜部が描いた事件の構図が崩れる一因となった。

 特捜部は、自称障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)元会長の倉沢邦夫被告(74)=一審・一部無罪、検察側控訴=が2004年2月25日、郵便割引制度の適用を受けるための証明書が凛の会に発行されるよう、当時衆院議員だった石井議員に東京の議員会館で頼んだことが事件の発端になったと判断。石井議員が厚労省の障害保健福祉部長(当時)に発行を求め、この部長が「議員案件」として企画課長だった村木元局長に不正発行を指示したとみて本格捜査に乗り出した。

 特捜部は昨年6月14日、村木元局長を虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕。村木元局長は一貫して容疑を否認したが、元障害保健福祉部長らが任意の事情聴取で石井議員の口添えを認めたため、同月下旬、石井議員の聴取に踏み切るかどうか検討した。

 捜査にかかわった複数の検察幹部によると、約2カ月後に総選挙が控えていたために地検内部で意見が分かれ、上級庁の考えを聞くことに。その後、最高検から「任意の聴取は総選挙の後にしてほしい」との回答があり、特捜部が再検討し石井議員の聴取を遅らせることにしたという。

 石井議員の聴取は村木元局長の起訴から約2カ月後、総選挙が終わってから12日後の昨年9月11日、大阪市内のホテルで約2時間行われた。石井議員は特捜部に「厚労省側に証明書発行を頼んだ覚えはない」と関与を否定した。

 また、石井議員は今年3月の村木元局長の公判に証人として出廷。ホテルでの事情聴取の際に口添えを頼まれたとされる04年2月25日の行動などについて聴かれなかったことや、この日には千葉県成田市のゴルフ場に同僚議員らといたと証言。地裁がゴルフ場に照会した結果、石井議員の証言が裏付けられた。元障害保健福祉部長も元局長の公判で捜査段階の説明を翻し、石井議員の口添えを否定した。(板橋洋佳、野上英文)