毎年恒例の年末の第九が始まった。
今夜はサントリーホール。
幸いにも急いで行ったら開演前に着き、入場を知らせる人形が演奏するオルゴールまで聞けた。
チケットを持って赤い絨毯の踏み心地の良いホール内に入る。
エスカレーターを昇って2階へ。
早速、第1号の客で軽食のサンドイッチとアイスコーヒーを頼んで食す。
それから、ホール内に入り席を探したら、ほぼど真ん中の最高の席だった。
開演時間になり、前奏のパイプオルガンの演奏。
これも恒例の曲で厳かな雰囲気が漂う。
15分程度で終わり、万来の拍手で休憩時間に入る。
いよいよ第九の時間が始まる。
日フィルのメンバーが一人又一人の着席し、それぞれにチューニングを始める。
全員が着席した後、コンサートマスターが拍手に包まれて入場し、オーケストラ全員を見渡しながら最後のチューニングをして綺麗に音が揃うように合わせる。
静かな音から、合奏が合わさり響き渡る音となってホール全体に響いて行く。
この瞬間の何とも言えない感動が私は大好きだ。
音合わせが綺麗に揃うと、コンサートマスターが着席する。
それを待っていたかのように、ホール全体の照明が落とされ、静かに暗くなり舞台が明るく映えて静かな時が訪れる。
オーケストラの全員がそれぞれの楽器を携え、観衆も伴に静寂の時がほんの少しだけ保たれる。
この静かな緊張感、明るく浮かぶ舞台、指揮者の登場を全員が心から待っているのだ。
毎回毎回これだけのことで私は感動してしまう。
皆の心が一つにまとまって、その時を待っている。
そして、早足の足音がしてコバケンが舞台袖から登場。
とたんに会場全体が揺れるような万雷の拍手喝采。
紅潮したコバケンが聴衆に挨拶し、オーケストラの全員、合唱団の方も見渡して挨拶して指揮台に実に身軽にサッと上がる。
再び会場全てが静寂に包まれ、コバケンが身構え、念を込める、気合を溜め込む。
今か今かと待つその瞬間、コバケンがタクトを振り始め、演奏が始まる。
宇宙の始まり、万物創性の響とも聞こえる開幕から第九が始まる。
全身に鳥肌が立つくらい痺れる。
そこからは、コバケンの指揮棒の下、オーケストラは渾身の演奏を繰り広げ、至福の時間。
70分弱の時間が本当に短い。
永遠にこの時間が続いてくれたならどんなに幸せだろう、と毎回思う。
しかし、演奏芸術には終わりの時間が必ず来る。
音は次の瞬間に空間に消えても、感動は永遠に胸に残る。
芸術の素晴らしさ、瞬間のものでありながら永遠の命を保ち、聞く人の心に生きる力、心を震わされる感動を与えてくれるのだ。
最後の音が響き渡り、コバケンの激しい動きが遂に止まる。
次の瞬間、ブラボーと言う声が幾つも重なり、割れんばかりの拍手が会場を包む。
32年目の第九。
毎回毎回、真摯なコバケンと日フィルの演奏に触れ、感動させられる。
今年は、各会場で1回ずつ聴く。
そして、年越しもベートヴェンは凄い全交響曲演奏会だから、第九で締め括りだ。
都合今年も第九を4回コバケンで聴く。
もう何回聞いたんだろう。
32年掛けてだから、合計で100回以上聴いているかも知れない。
それでも、私はコバケンが壮健でいてくれる限り聴き続ける。
幸い70代になってもコバケンは元気そのものに見えるから、まだまだ何回でも聴けるだろう。
真摯なその姿に業種は全く違っても、心から学ばされる。
常に全力投球、真摯であることがが全身で伝わる演奏スタイル。
クールな演奏が尊ばれた時代から、コバケンは直向きに熱く熱く振り続けて来た。
真っ赤な血が迸る、これ以上熱くなれないと言うスタイルを貫き、コバケンは32年間走り続けている。
コバケンが私はとてつもなく大好きだ。
心酔し続けている。
これからもそうし続けるだろう。
熱く熱く、真摯に。
私もかく有りたい。
業界全体の風潮に惑わされず、自分のスタイルを貫き現在を築いたコバケン。
今や現役最高の第九指揮者であることは衆目の一致する所だろう。
今では嬉しい悲鳴でチケットも取りにくくて困ることすら起きているが、コバケンの良さが皆に伝わったからだろう。
コバケンに倣い、私も頑張ろう。
熱く熱く真摯に仕事に取り組む。
そして、世界のコバケンとなったように世界のDRになろう。
コバケン素晴らしい演奏本当に本当にありがとう!!!
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