高齢の歩行者の交通事故が後を絶たない。 19 日には交差点を横断中に車にはねられた
「ザ・ドリフターズ」の"仲本工事さん"が死亡した。 65歳以上が歩行中の死者の7割
を占め、道路を斜め横断するといった例も目立つ。 年齢に伴う体力や判断力の低下にい
かに対応して事故を防ぐか。 歩行者・ドライバー双方の注意に加え、高齢者目線に立っ
た横断歩道の設置などハード面の見直しも欠かせない。
仲本さんは18日、横浜市内の交差点を横断中にはねられ、頭を強く打つなどして19日
に亡くなった。 現場には信号機はなかったという。
交通事故全体での死者数は近年、減少傾向にあり、警
視庁によると、2021年は2636人統計史上の最
少を更新した。こうしたなかで目立つのが65歳以上
の高齢者が歩行中に犠牲となるケースだ。同年の歩行
中の死者は全年齢で941人。このうち高齢者は72
2人と76.7%に上り、11年(66.5%)より
10.2㌽増え、過去10年で最高となった。
高齢者の交通事情に詳しい立正大学の“所教授(産業・
組織心理学)”は「基礎体力が衰えると横断歩道まで歩
くのがつらくなる。判断機能も低下しがちで、危険に
直面しているとの自覚の薄れが事故への油断にもつな
がる」と警鐘を鳴らしている。
損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、19年に発生した歩行者の死亡事故にお
ける歩行者側の発生要因の割合をまとめている。 同機構の報告書によると、法令違反
の有無や種別では、横断歩道以外を横断したり、道路を斜めに横断したりする「横断不
適」が、高齢者では14.3%とその他の世代の8.2%を大幅に上回っている。
車の接近前後に横断した高齢者も17.6%とその他の世代(8.2%)の2倍以上で、
酩酊(めいてい)や徘徊(はいかい)などの事例もある。
また、事故原因を歩行者側の要因でみると、車の速度や距離感を誤ったり、相手が譲って
くれると考えたりする「判断の誤りなど」は、その他世代が12.2%だったのに対し
高齢者は25.8%だった。
事故の防止に向けては同機構や公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)が高齢
歩行者とドライバーの双方に注意を呼び掛けている。
高齢歩行者は▽身体機能の衰えを自覚して無理な
横断はしない▽道路を渡り切るのに時間がかかる
斜め横断はしない▽夜間は反射材がついた衣服を
着用する‥‥こと。
ドライバーには、歩道に立っている高齢者がいた
ら横断の可能性に備え、病院やコンビニエンスス
トアの周辺などでは急な横断に注意するよう求め
ている。
「高齢ドライバーについては運転免許証の自主返
納などで対策が進んでいるが、高齢歩行者の事故
も深刻」と強調するのは秋田大学の“水戸部教授
(人間情報工学)”。 「警察などが開く交通安全教室
への参加を促すことが必要」という。 その上で
「高齢者が多く利用する病院などの周辺は横断歩
道をできるだけ近くに設置し直したり、スムーズな交通に支障の少ない押しボタン式の
信号を作ったりするのも解決策の一つになる」と行政などによる対応の重要性も指摘し
ている。 社会が一体になって対応する必要が大いにありそうです。
「ザ・ドリフターズ」の"仲本工事さん"が死亡した。 65歳以上が歩行中の死者の7割
を占め、道路を斜め横断するといった例も目立つ。 年齢に伴う体力や判断力の低下にい
かに対応して事故を防ぐか。 歩行者・ドライバー双方の注意に加え、高齢者目線に立っ
た横断歩道の設置などハード面の見直しも欠かせない。
仲本さんは18日、横浜市内の交差点を横断中にはねられ、頭を強く打つなどして19日
に亡くなった。 現場には信号機はなかったという。
交通事故全体での死者数は近年、減少傾向にあり、警
視庁によると、2021年は2636人統計史上の最
少を更新した。こうしたなかで目立つのが65歳以上
の高齢者が歩行中に犠牲となるケースだ。同年の歩行
中の死者は全年齢で941人。このうち高齢者は72
2人と76.7%に上り、11年(66.5%)より
10.2㌽増え、過去10年で最高となった。
高齢者の交通事情に詳しい立正大学の“所教授(産業・
組織心理学)”は「基礎体力が衰えると横断歩道まで歩
くのがつらくなる。判断機能も低下しがちで、危険に
直面しているとの自覚の薄れが事故への油断にもつな
がる」と警鐘を鳴らしている。
損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、19年に発生した歩行者の死亡事故にお
ける歩行者側の発生要因の割合をまとめている。 同機構の報告書によると、法令違反
の有無や種別では、横断歩道以外を横断したり、道路を斜めに横断したりする「横断不
適」が、高齢者では14.3%とその他の世代の8.2%を大幅に上回っている。
車の接近前後に横断した高齢者も17.6%とその他の世代(8.2%)の2倍以上で、
酩酊(めいてい)や徘徊(はいかい)などの事例もある。
また、事故原因を歩行者側の要因でみると、車の速度や距離感を誤ったり、相手が譲って
くれると考えたりする「判断の誤りなど」は、その他世代が12.2%だったのに対し
高齢者は25.8%だった。
事故の防止に向けては同機構や公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)が高齢
歩行者とドライバーの双方に注意を呼び掛けている。
高齢歩行者は▽身体機能の衰えを自覚して無理な
横断はしない▽道路を渡り切るのに時間がかかる
斜め横断はしない▽夜間は反射材がついた衣服を
着用する‥‥こと。
ドライバーには、歩道に立っている高齢者がいた
ら横断の可能性に備え、病院やコンビニエンスス
トアの周辺などでは急な横断に注意するよう求め
ている。
「高齢ドライバーについては運転免許証の自主返
納などで対策が進んでいるが、高齢歩行者の事故
も深刻」と強調するのは秋田大学の“水戸部教授
(人間情報工学)”。 「警察などが開く交通安全教室
への参加を促すことが必要」という。 その上で
「高齢者が多く利用する病院などの周辺は横断歩
道をできるだけ近くに設置し直したり、スムーズな交通に支障の少ない押しボタン式の
信号を作ったりするのも解決策の一つになる」と行政などによる対応の重要性も指摘し
ている。 社会が一体になって対応する必要が大いにありそうです。