「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれて「音楽鑑賞」と答える方が少なくありません。「団塊の世代」が子供の頃は「音楽鑑賞」など贅沢の極みであった思う。団塊の世代が過ごした幼年・少年期は「物がない時代」でした。
中学生・高校生と成長していくと共に日本の高度成長と重なって物が豊かになって行った過渡期にあたると思う。特に思春期に西洋の音楽に触れて、「こんな音楽もあったのか?」と触発されることや憧れが植え付けられたと思う。当時は「電蓄」や「卓上ステレオ」が有れば十分恵まれた環境であったと思う。
私の少年期はFMラジオがメインであった。それも「ノイズ」の中から音楽を拾い出して聞くような感じであった。自分で働くようになって「ステレオ」を買った。しかし、当時はLPの値段が非常に高く、100枚揃えるまでにかなりの時間がかかった。
そのうちに「もっと良い音質で聴きたい」という願望が強くなって、コンポーネントオーディオの世界に飛び込んでしまった。自分が二十歳頃の事である。

50歳頃からオーディオが再燃し、15年かけて3つのメインシステムと2つのサブシステムを完成させた。それまでに試行錯誤が沢山あったことは論を待たない。

若い頃からオーディオに凝り始めているので累計45年以上の趣味になる。メーカー製の良い処も悪い処も分かって来た。メーカー製はデザイン面では非常に綺麗な「製品」に仕上げるが、事「音質」についてはオーディオ黎明期の音質に及ばないのではないか?と思う。それは現在では「コスト意識」が強すぎる傾向がある。特にスピーカーは「進歩」とはかけ離れたものも見受けられる。

個人的にスピーカーはメーカー製を基本にしながら独自にアセンブルして「成長するスピーカー」にした。アンプ類も出来るだけ当方の規格に合わせる様にしてきた。ソース機器は出来るだけ丈夫で音質が高く長持ちする「業務用」を選択してきた。
残るは「音楽を聴く環境」と「部屋」である。幸いな事に20歳頃夢見ていた生活が出来る様になり、常用の音量で1日中楽しめる環境を手に入れた。ステレオ装置も自分の求めるグレードで完成した。畑に突き出た1軒家を一人で自由に使えるメリットは大きい。部屋が狭いという難点はあるが、欲を言えばきりがない。自分なりに変えていけばよい事。これからは原点回帰して「音楽鑑賞」を楽しんでいきたいと思う。