Mr.トレイルのオーディオ回り道

「音質アップ」を目的として、
システム全体の「基礎的項目の見直し」に、
重点を置いて試行錯誤や実験をしています。

私のアンプ考

2008年08月05日 | ピュアオーディオ

「もう管球アンプは増やさないぞ!」と5月に心に誓いましたが、次のアンプを考えるとどうしても「管球アンプ」になってしまいます。

35年前オーディオを始めた時は「Tr型アンプ」から始めました。その頃は「小型・高性能」をうたい文句に「Tr型アンプ」ばかりがもてはやされ「管球アンプ」は時代遅れの産物のように云われていたものです。オーディオ店に行っても進められるのは「国産Tr型アンプ」が多く、オーディオ雑誌もことごとく「国産Tr型アンプ」礼賛でした。一部にマッキンやマランツの管球アンプの名機は有りましたがとても手の届く価格ではなく、安月給取りには国産品で間に合わせるしか有りませんでした。

その頃「管球アンプ」で有名なのはLUXMANくらいで、CL-35Ⅱ+MB-88の組合せで「音の厚みが分厚くて、まろやかで・・・」を経験しました。しかしCL-35ⅡのSN比の悪さ(ノイズ)に我慢が出来ず、プリをアキュの初代C-200にして「透明感のあるサウンド」に憑かれまして、CL-35Ⅱは手放してC-200+MB-88のラインでJBL L-100センチュリーをドライブしていました。この時のサウンドは今でも耳に残っています。L-100から38cmクラスの低音かと錯覚するくらいのサウンドが出ていました。

その後、JBL4343Aを導入してビクターのラボラトリーシリーズ、マッキンのC29+MC2500と歩んできました。ついでにマルチにする為アキュのM-60(高域)もつかっていました。ここまでがアマチュアの時代の主なアンプ遍歴です。

4年前に起業した当時も 「ど級のTr型アンプ」 をはじめ使っていましたが、遊びで30年ほどストックしていたタムラのトランスを使って吉永オーディオさんにEL34のPPアンプを作っていただきました。この状態では「ど級Tr型アンプ」に音質でまだ勝てませんでした。

ケーブルの研究を進めて色々な工夫をして独自のケーブルを販売するに至り、「ケーブルによる伝送ロスの大きさ」を痛感しました。当然アンプ内部に使われている配線材も従来の物ではいけないのではないかと思い始め、Trail仕様の配線材と半田を使ったアンプにEL34ppのアンプを改造して音出しをして見た所「SN比はTr型以上、音色も情報量も桁違いの性能」を確認しました。Tr型のど級クラスのアンプが「音質」で負けてしまうのです。これでアンプ内配線の材質や半田材質を認識しました。

Trail仕様の管球アンプにも現在のTr型アンプの接続部品は時代の流れとして必要で、「IECインレットの電源、バランス入出力」が不可欠と実験の結果認識しています。

ですからこれから造る「管球アンプ」にはIECインレット式で電源ケーブルの交換が可能のように造ります。次に入出力には必ずバランスケーブルが使える「平衡回路」が必要と思っています。当然SP端子もRCA端子もXLR端子も超高級品を使います。

実際にIECインレットは簡単です、しかしアンプ内部の電源ラインを高級線材にしただけで「ノイズ」が発生する回路が多いです。使ってあるトランスが「防磁型」、「シールド型」でないと使えません。

XLRソケットの導入もしかりです。600Ω:600Ωの1:1のインプットトランスを導入しても「ノイズ」に悩まされます。回路がしっかりしていないといけない事と電源トランスが防磁タイプでないとノイズを拾ってしまいます。

また配線に極太の配線材を使いますので交換できるスペースが有るアンプでないと出来ません。当然パーツがたくさん付いた回路では配線できません。またバランス回路を作るトランスを取り付けるスペースもないといけません。

この様にTrail仕様といっても数々の困難が有り、これらを乗り越えたものだけが「素晴らしい音質」を出してくれます。

この音質は現在のど級Tr型アンプを有る意味越えた音質になります。対抗できるTr型アンプの価格が200万円以上するのに対し、Trail仕様アンプは中古アンプを改造して作り上げますので20万円から30万円くらいで出来上がります。このコストの安さが「管球アンプでなければ・・・」と気持ちをかきたてます。音質がTr型のフラッグシップのアンプより上に来るのです。聴感上のSN比など「Trail仕様アンプ」が完全に上に来ます。音の立ち上がり立下りも同等以上の高性能です。それプラス、「音楽表現力」が完全に上に来ます。音の揺らぎ等音楽を楽しむ上で必要な「出来栄えと満足感」が上を行きます。旧来の一般的な管球アンプではここまでは行きません。

但し、不具合な処も有ります。発熱量の問題と使える真空管の確保です。使える真空管は真空管時代の初期モノに限定されます。復刻版など論外です。1920年から1960年まででしょうね。しかし探せばまだ有ります。案外この予備の真空管の費用がバカに出来ません。

とことん気に入った管球アンプに絞って予備球を捜せば一生使える球は見つかります。ただ新しい商品の開発は(アンプの商品化)はまず無理と思います。予備球が集まりません。

例えばEL34の例ですが最高なのは英国ムラード製です、これに比べ日本製や中国製はバタ臭くて使い物になりません。同じアンプでも球が変われば10段落ちの音質になります。

これから良い真空管はますます品薄になります。WEの古典管やSTC,オスラム、マルコーニ、仏マツダ、RCAの球は貴重品になります。

それでも敢えて私はこれらの球を使った管球アンプをTrail仕様にして作り続けて行きたいと思います。

またアンプを購入しました。6l6のシングルアンプです。アルテック620Aを鳴らすアンプとして購入しました。6l6系の球は良いものが以外に廉価に手に入るので安心して使うことが出来ます。同じ6l6の球でも相当に「質感」は変わります。相当数予備を集めてきましたので音の違いを楽しみたいと思います。