去年の今頃は徳島で四日目、焼山寺への登りの日。宿を出るとまだ薄ぐらかった。そこを一人、藤井寺にある焼山寺への山道を目指す。初めての遍路転がし、どことなく緊張していたのを覚えている。この時、
《薄暗き 冬の遍路道 影二つ》
なんてのを残している。
藤井寺に入ると、ずっとお世話になることになるN師がお参りをされていた。くしくも、そのN師、今年も歩かれていてる。昨日八十八番から大坂を越え一番に。今日は七番を打ち終え、少し先にある温泉あたりを目指されるのだろう。
歩けばこそ、かもしれない。こうやって自分の心理状況やその時会った方たちを愛おしい程に思い出せる。歩いた場所、お寺。これらは、そんなんだっけという程度…。非日常に思いっきり飛び出し、自分を含め人と自然のように無垢になって関わったから、そんな人とのことを思い出すんだろう。さてさて、来月はどんな人たちに巡り会えますことやら。
今日の一枚:同じように見える写真が続く。目には違う風景に感じるが、映像にすると…。マンションと神社の中間辺り、五時半過ぎ。