子供のころ、夜の学校が薄気味悪かったことを覚えている。窓ガラスの向こう、真っ暗闇。その窓に自分以外が見えたらとか想像してみてほしい。結構嫌なもんだ。それに、窓サッシが妙に浮き上がって白く見える。その醒めた冷たい感覚がまた不気味だった。なぜか早足になり、明かりの漏れる居室に飛びこんでいったもんだ。
それは、図工の先生がどういうわけかかわいがってくれて、放課後先生の準備室によく遊びにいって手伝いみたいなことをした。ようは先生が陶芸好き。ところが、小学校だから、職員会もあろう、会議もあろう。轆轤を回せない日も多々ある。乾くのを防ぐようにしていても、結局粘土が乾いて硬くなってしまう。それを柔らかくするために土に水を入れ練ったり、釉薬をかき混ぜたり。なんてことして過ごしていると、いつの間にか暗くなる。そんなとき、お使いを頼まれると…。
夜の学校が怖かったのは、その不気味さだけでなく、大勢がいるべき場所に、たった二、三人しかいないことのギャップもある。通常の学校であり得ない状況だ。寮に入って約一カ月。ここにきて初めて一人の晩を迎える。寮生が、自分を含め4人だとしても、どこか部屋の電気が付いているもんだ。ところが、夕飯を食べ終え寮に戻ると、どこも付いていない。ひと気もない。そんな寮棟を見ていたら、小学生時代の怖かった思いをふと思い出した。
今日の一枚:キュウリの蔓、釣り上げていくから蔓が要らない。それで、切ってしまうことになる。作業性を考えてのことだが、不自然さがぬぐえない。ただ、こうたくさん集まると意外にも美しいと思ってしまった。7時過ぎ、キュウリのハウス前で。