畑の傍にある梅はまだま。電車からはチラホラ咲き出したのを目にする。この頃の午前中の陽の光は優しい。風が、北とも東ともつかず、強いから、体感温度を狂わすが、その優しさは既に冬と違う。躍動、喜びなんてのすら感じる。
《木々萌やす 立春間近の 陽の光》
昔から当たり前のこと…。当たり前が特別に、当たり前が大袈裟に、なって感じたり見えたり表現される。当たり前が当たり前と捉えられない。…そういうこと、だよなぁ。ちょっと取り戻せだしたのだろ…。
今日の一枚:神社下の公園から高架線を見上げて、6時10分頃。
庵主ごときが推敲を重ねたところでどうにかなるものじゃない。であるけれども、昨日の 《ヴィーナスと 寒気を抱き 鐘一つ》 が引っかかる。言葉遊びに過ぎないねと言われようが、どうせもとから言葉遊び。恥をかなぐり捨てて、それを使ってちょっと推敲してみた。
どこが引っかかるか。一つ目は「ヴィーナス」。あの時、金星が明けてゆく空に抵抗するかのように輝き、なぜかそこに艶めかしさを感じていた。古文などにある恋の話、逢瀬の別れ際の女性の目とでもいうのだろうか…。そこに「金星」とすると、科学じゃあるまいし、色気もそっけもない。女神や女性らしいものはないかと、日本語では思い浮かばず、「ヴィーナス」を単純に選んだのだった。ところが、そこが問題で、あの艶めかしさがヴィーナスの健康すぎる姿と合致しやしない。ここはやはり「ヴィーナス」じゃない方がいい。二つ目は「寒気を抱き」。これも「ヴィーナス」のように、どこか色気がない。放射冷却の朝だから、たとえば布団や毛布か何かに包まれ寄り添っている二人。「二人で何かを抱く」というより、「二人で何かに包まれている」なんて方が色っぽいくないだろうか。
金星の和名を調べると、中国からの伝来らしいが『太白』と出てきた。太白? 仙台に太白山というのがある。形が円錐形でとても目立つ。その昔船乗りたちはその山を目標に仙台に向かったという。目標になるもの、あの金星の輝きは、それに間違いない。他にと探すと、日本書紀に天津甕星(あまつみかぼし)、別名香香背男(かがせお)。枕草子に、宵の明星を「夕星(ゆうづつ / ゆうつづ)」と呼んでいて、他の星などと一緒に「すこしをかし」と賞している(254段)。
西洋ではその明けの明星の何にも勝る輝きを美と愛の女神アプロディ―テにたとえ、ローマ名「ヴィーナス」。が、どう探しても、東洋での別名で美とか愛とか、色っぽいのがみあたらない。そこで、こうしてみた。
《明け星と 寒気に包まれ 鐘一つ》
いかがなもんだろう。6時の鐘が鳴り始め、今日の逢瀬も終りなのねとの呟きが聞こえて、…こないか。そんな俗っぽい安っぽいもんなんて残りようがない、な。
今日の一枚:まだ白んでも来ない5時50分ころ、飛行機が昇る太陽に銀色に輝き、流れ星のよう。一時間後、6時40分頃、やはり飛行機が。今度は巨大な彗星? 朝焼けに染まってる。もしかしたら、アイソン彗星もこんなに見えたんだろうか。公民館の近くにて。
上手く仕上がりますように、と神社で手を合わせる。明けの星、金星にもよろしくね、と。信心深いわけでないが、素人ながら仕込みとなるとどこか違う。神頼みというか何というか。
気付いた点などなど
途中何度も硬さを見るためにつまみ食い。なんと美味しかったことか。これで失敗したら、えらいこと。重石をし、蓋を閉じ、使った道具を片付けて、今年の仕込みも無事終わったのでした。
今日の一枚:昨日と同じような絵になってしまった。金星が写せている。6時10分頃、神社の展望台にて。
8時45分、いよいよ大豆をゆでる。10時40分頃。つまみ食い、いや固さを見る。なかなかの状況。11時、煮上がる。ポテトマッシャーでつぶし出す。11時半ころ、潰し終えた。塩切り、11時半頃。一生懸命冷ます。いよいよ塩切り麹を投入。11時50分頃。12時過ぎ、味噌瓶にラップで蓋をして後片付けを済ませ、今年の仕込みが完成。
去年、仲間に入れていただいて、初めて挑戦。ダイズを茹でて、潰して、塩きりした米麹と混ぜ、天地返しをしてきた。夏ごろから酒の肴にしたりして楽しんできたが、秋ころから田舎味噌っぽく仕上がった、これがなかなかいい。毎日味噌汁にして飲んで飽きない。これで味を占めてしまった。じゃ、今年はどうしよう。
準備しだすと、まず甕の大きさがわからない。で、たどり着いたのが、生協の『「手作りみそ」のレシピ』のページ。ダイズ1キロで仕込むなら5.4Lのものを用意すればいいとある。さらに、どのように茹で上がったダイズを潰すのがいいかまで、一長一短を経験談を踏まえ掲載されている。解りやすい。で、基本、これに準じることにした。その手順中で、今日は、ダイズを洗い水に漬けるところまで。
明日までに塩を430g用意すること。おっと、中蓋と重石。これは去年の体験からすぐでなくともいい、か。あとは、消毒用のアルコール。実は去年紅芋の焼酎を使た。ダイズの風味と喧嘩しないかとも思ったが、たまたま家にあったので、深く考えもせず使ってしまった過ぎない。が、これがまた風味をつけてくれているようで、気にってしまった。今年も焼酎を使うことに変わりないが、紅芋の焼酎は美味しくて、つい飲んでしまう。何回も買わねばならず、迷うところ。芋焼酎にするか、麦にするか、米にするか…。明日の作業後、報告しましょう。
ダイズ:小川町の有機栽培のもの水に浸している。徐々に大きくなっていくのが解る。3号の大きさの味噌甕、インターネットで購入。
今日の一枚:6時15分ころ、神社の展望台から、北東方向。日の出に時間が時事に早くなってきた。