石牟礼道子 作
中公文庫 刊
石牟礼さんの本を、もう一冊買った。
苦海浄土と、交互に読み進もうかと。
石牟礼さんの父上が、素敵な人で、ああなるほどと思わせる。
このエッセーを、読んで
石牟礼道子さんが、まっすぐな人に育った訳がわかる気がした。
何か、正論を吐かねばならないようなとき、居ずまいを正して
こう言う名乗りを揚げるのである。
「ようござりやすか。
儂ゃあ、天領、天領天草の、ただの水呑み百姓の倅、位も肩書もなか、
ただの水呑み百姓の倅で、
白石亀太郎という男でござりやす。」
死なれて、二十年近くなるが、改めて感嘆するのは、私の祖母、すなわち、
父には姑にあたる人への、心づくしである。
この祖母は母の親なのだが、母が十歳の時分に盲目となって発狂した。
私が物心ついたときは、町中を彷徨する哀れな姿だった。町や村の厄介者
、いわんや考えようでは、家の荷物であったろうに、父がこの祖母に対する物腰、
言葉遣いは、もっとも畏敬する人に接するようにもの優しく、丁重
本性を失った祖母は娘の婿に、少し遠慮したような慇懃さで、応じていた。
人並みを越えた剛直さと、愛する者には笑みくずれてしまうような、
情の厚い父だったが、この人はまた何でも創意工夫して実践する人でもあった。
続きは是非とも本を読んでください。
素敵すぎる父上に、ほとんど心を揺すぶられる奪われそう。
石牟礼さんも、父譲りの優しさで包み込む人だったから
水俣病の悲惨な家々に、心から溶け込み、素晴らしい作品を残し
世の中に投げ掛けたのでしょう。
人生の楽しみができました。
石牟礼さんの作品を読破しようと。