苦海浄土
石牟礼道子 作
講談社 刊
3月2日(金曜日)の、NHKラジオすっぴんの、『源ちゃんの現代国語』コーナーで
取り上げられた本です。私は、このコーナーで紹介された本を買うことが多いのです。
私の読書の指針になっています。
石牟礼道子さんが、2月10日に、ご逝去されたのは知っていましたが、これまで、
読んだことは有りませんでした。
池澤夏樹さんが、世界文学全集を編集したとき、
日本文学は一冊のみ、石牟礼さんの「苦海浄土」を選んだとか。池澤さんは、
「もしも、もっと前に翻訳されていたら、
ノーベル賞をもらってもおかしくないだろう」とおっしゃっていました。
高橋源一郎さんが、朗読されたのを聞いて、涙が溢れました。
今、早速本を買って読み始めました。
〈聴きのがしサービス〉で、再度、源ちゃんの朗読を聴きながら・・・
日本の最大の公害である水俣病は、国に登録されただけで
も5万人もの被害者の方が居る、悲惨なものです。
ドキュメンタリーでありながら、あまりにも美しい、尊い表現で、
人間はどんな悲惨な状況でも生きて行かねばならない。
生きて居る場所が、その人の全てだと、描いています。
家族六人全員が水俣病に、かかりながら、全員が水俣病だと申し出るのは申し訳ないと、
我慢し、後遺症の体に鞭打って働く人や、神経も体も蝕まれ、
全てに手がかかる孫を、仏様だと、拝んでいるとか・・・
人々の中に、溶け込み、声になら無い声まで拾い、素晴らしい文学にしました。
今こそ、世界中の人に読んで欲しい本です。
今のおかしい時代と重なります。