遊戯(ゆげ)

世の中は、なるようになるわ。
あきらめないで、悠然と生きる事を楽しむ・・・・
それが遊戯(ゆげ)の心です。

苦海浄土

2018-03-03 | Weblog

苦海浄土

石牟礼道子 作
講談社 刊

3月2日(金曜日)の、NHKラジオすっぴんの、『源ちゃんの現代国語』コーナーで

取り上げられた本です。私は、このコーナーで紹介された本を買うことが多いのです。
私の読書の指針になっています。

石牟礼道子さんが、2月10日に、ご逝去されたのは知っていましたが、これまで、

読んだことは有りませんでした。
池澤夏樹さんが、世界文学全集を編集したとき、

日本文学は一冊のみ、石牟礼さんの「苦海浄土」を選んだとか。池澤さんは、
「もしも、もっと前に翻訳されていたら、

ノーベル賞をもらってもおかしくないだろう」とおっしゃっていました。

高橋源一郎さんが、朗読されたのを聞いて、涙が溢れました。

今、早速本を買って読み始めました。
〈聴きのがしサービス〉で、再度、源ちゃんの朗読を聴きながら・・・

日本の最大の公害である水俣病は、国に登録されただけで

も5万人もの被害者の方が居る、悲惨なものです。

ドキュメンタリーでありながら、あまりにも美しい、尊い表現で、

人間はどんな悲惨な状況でも生きて行かねばならない。

生きて居る場所が、その人の全てだと、描いています。

家族六人全員が水俣病に、かかりながら、全員が水俣病だと申し出るのは申し訳ないと、

我慢し、後遺症の体に鞭打って働く人や、神経も体も蝕まれ、

全てに手がかかる孫を、仏様だと、拝んでいるとか・・・

人々の中に、溶け込み、声になら無い声まで拾い、素晴らしい文学にしました。

今こそ、世界中の人に読んで欲しい本です。
今のおかしい時代と重なります。

コメント
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