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遊戯(ゆげ)

世の中は、なるようになるわ。
あきらめないで、悠然と生きる事を楽しむ・・・・
それが遊戯(ゆげ)の心です。

金子 光晴  若葉のうた  より

2012-07-17 | Weblog



『森の若葉~序詩』

なつめにしまっておきたいほど
いたいけな孫むすめがうまれた

新緑のころにうまれてきたので
「わかば」という 名をつけた

へたにさわったらこわれそうだ
神も 悪魔も手がつけようない

小さなあくびと 小さなくさめ
それに小さなしゃっくりもする

君が 年ごろといわれる頃には
も少しいい日本だったらいいが

なにしろいまの日本といっはら
あんぽんたんとくるまばかりだ

しょうひちりきで泣きわめいて
それから 小さなおならもする

森の若葉よ 小さなまごむすめ
生れたからにはのびずばなるまい
(詩集「若葉のうた」より)






『元旦』

正月になったというのに
若葉はまだ、零歳と六ヶ月だ。

七十歳になった祖父はこの子の娘盛りまで
なまけてすごしたむかしの月日を
割戻してはくれぬかと虫のいいことを思う。

若葉は、零歳六ヶ月というのに
丸丸として、三貫二百目ある。

このぶんで大きくなっては
若見山ようになりはせぬかと
パパと祖母とが取越し苦労をする。

ねむることが一しょうばいの娘のそばで
ほどいた毛糸を一心に編みなおすママ。

小さな餅に金柑がのっているだけの正月だが
とほうもなくこころのあったかい正月だ。
(同詩集より)




★★★中日ドラゴンズが まさかの逆転負けをしてしまいがっくりしていますが

   金子光晴詩集の『若葉のうた』をいくつか見つけて 気持ちが落ち着きました。



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金子光晴

2012-07-17 | Weblog


   『若葉のうた』


『若葉よ 来年は海へゆこう』


絵本をひらくと 海がひらける。
若葉にはまだ 海がわからない。

若葉よ。来年になったら海へゆこう。
海はおもちゃでいっぱいだ。

うつくしくて、こわれやすい、ガラスでできたその海は
きらきらとして、揺られながら、
風琴(ふうきん)のように歌っている。


海から上がってきたきれいな貝たちが、
若葉をとりまくと、若葉も貝になってあそぶ


若葉よ、来年になったら海へ行こう
そして、じいちゃんもいっしょに貝になろう。





★★★放浪の詩人と言われる金子光晴の詩が、今月号の『サライ』に載っていた。

あまりに素敵で、思わずうつしてきた。

若葉はお孫さんらしい。

海を知らない子どもを 海に連れて行くというのは

素晴らしい機会だと思う。人生には、感動の立会人になるという

事があるのだね。
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