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股関節痛は怖くない!~変形性股関節症の新しい考え方

変形性股関節症の常識には間違いが多く、怖さを抱えている人が多い。
常識の間違いを理解して人生を楽しみましょう!

身近な筋トレ

2020-09-24 10:52:17 | 股関節の基礎

みなさん、連休中はどのように過ごされましたか?

7月後半にGo toキャンペーンが始まったにもかかわらず8月に入ると検査陽性者数も感染力も減少していいるせいか、東京は人でごった返していたようですね。

東京はバイ菌だらけみたいなイメージも変わりました。

ついに10月から東京もGo toキャンペーンに参加しますので、その後の経過を観察したと考えています。

 

 

🍓変形性股関節症に対する筋トレは、一般の方が行う筋トレとは大きく異なるので注意が必要です。

 

最近、活動を自粛しているのに股関節痛が出ている方がいます。

皆さんに聞くと、台所に立っている時間が増えたという共通点があります。

 

人には常に重力が加わっています。

立っている時は、活動していないように感じますが、身体にかかる重力(体重)を脚の筋肉でずっと支え続けています。

無意識ですが、ずっとずっと筋肉を収縮させているのです。

意外と疲れます。

私も、大学病院勤務時の教授回診時に腰が痛くなったのを思い出します。

 

脚の筋肉の多くが重力を支えているのですが、股関節周りではお尻の横の中殿筋と小殿筋を多く働かせているようです。

 

最近痛みが出ている方の中殿筋は結構硬くなっていました。

 

皆さんの多くは活動が減っているので筋力低下を心配している方も多いと思います。

実際は重力のおかげでそんなことはほとんど無いのですが、不安はありますよね。

 

皆さんが自宅で行う筋力強化法の基本は『筋肉をほぐしてから安全な筋トレを行う』だと考えています。

ほぐして筋トレ、ほぐして筋トレと30回言ってみて下さい。

別に意味はないけどぉ。 

脳に叩き込まれるかもしれませんね。

 

痛みがある部位の筋肉をテニスボールやらっこちゃんでほぐしてから、安全な筋トレをする。

 幸せの黄色いらっこちゃん

 

台所仕事も立派な筋トレです。

疲れて痛みが出るくらいの筋トレです。

ほぐしてから台所仕事がいいのでしょうね。

さすが、らっこちゃんは効きますよ!

 

他に行うとしたら、ほぐした後に患側荷重。

 悪い方の脚に重心をかける、この絵では肩の高さを水平にして骨盤を右に移動しています。

 

30秒くらいでいいと思いますよ。

 

その他には、筋肉をほぐした後、つかまって足踏み、ちょっとももを高く上げながら。

ももをあげる筋トレになり、反対の脚は重力を支える筋トレになる。

左右10回ずつ計20回もやれば十分でしょう。

いずれも痛む時は絶対禁止です。

 

回数を多くすると効果は薄れます。

逆に傷めることになるので、「○○の筋トレを100回行いました!」は全く自慢になりません。

運動生理学をちゃんと勉強している指導者はそのような指導はしないはずです。

 

散歩や自転車に乗って日光を浴びるのも気持ちよさそうですね。

 

そして、重要なことは、その後の身体の反応を良くみることです。

身体が喜んでいるのか?身体が拒否しているのか?

筋トレ後の体調が教えてくれます。

 

筋トレは積極的に勧めませんが、気分転換に少し行っても良いかもしれませんね。

 


変形性股関節症を怖がらないでね




 

 

 

 


なかなか理解されない筋肉の病気のお話 2

2020-09-17 16:38:14 | 股関節の基礎

 

コロナ禍で世の中が変わってしまったなと実感する8月~9月を過ごしています。

世の中が変わったのなら、私も変わらないといけないと考え、様々な対策を実行していこうとしています。

 

 

 

🍓前回の記事に書いた滋賀医科大学の先生が書かれた『臨床医のための痛みのメカニズム』の68ページから69ページにかけて股関節痛の一種『筋筋膜症候群』によって筋肉内のしこりにできるトリガーポイント(発痛点)に対する治療法が3つ書かれています。

 

1、トリガーポイントに局所麻酔薬を注射する

2、筋肉の牽引

3、トリガーポイントの指圧

 

『2、筋肉の牽引』というのは、一般的に行われている筋肉のストレッチのことです。(間接ストレッチ法)

 

『1、トリガーポイントに局所麻酔薬を注射する』は医師にしかできない治療法です。

現在ではトリガーポイント注射と呼ばれる治療法ですね。

 

従って、「変形性股関節症による股関節痛への治療法は手術しかない。」という説明は嘘です。

他に股関節の関節包内に対する注射法もありますね。

ヒアルロン酸とかステロイドの注射ですね。

35年ほど前、私が勤務していた整形外科病院の院長先生(整形外科医)は、トリガーポイント注射も関節内ステロイド注射も行っていました。

その院長先生は、患者さんに注射をするために、左手に持ったレントゲン写真を見ながら問診と右手での触診を繰り返し注射を行うポイントを決めていました。

評判が良く無茶苦茶混んでいる病院でしたので、非常に素早い診察時間で多くの患者さんに対応していました。

この先生は、椅子に座っていることがほとんど無く、いつも動いていた印象があります。

既に、というかかつて40年前にはそのような整形外科医がいたのです。

 

話は戻りますが、この本は私が埼玉医科大学病院に勤務していた1994年頃に、あるリハビリテーション科の医師から頂いた本でした。

その先生は、スペイン語とポルトガル語が好きな先生だったので、スタッフからは『アミーゴ』と呼ばれていました。

そのアミーゴ先生がブラジルへ留学することになって、その時に頂いた本でした。

ここではアミーゴ先生の話は詳しく説明しませんが、既に30年ほど前にこのような本があって、実際にリハビリテーション科の医師が読んでいたのですよ。

 

 

私達が行っている深圧は3、に含まれます。(直接ストレッチ法)

私は医師ではないので、2、と3、を行っているのです。

現在では『筋膜リリース』と呼ばれる方法も3、に含まれるでしょう。

 

医師は法律上どのような治療法を行ってもいいんですよ。

オールマイティーなんですね。

従って、医師は法律上では1、だけでなく2、3、も行う事はできるし、鍼灸だってできるのです。

 

 

 

 

この図のように、筋肉の一部にしこり(筋硬結:きんこうけつ)ができると筋肉は硬くなって筋肉の両端の距離が縮みます。
股関節周囲の22本の筋肉の両端は股関節をまたいでくっついていますので、その筋肉が縮むということは22本の筋肉が大腿骨を強烈に骨盤に向かって引き上げることになり、結果的として股関節の隙間を狭くしようとする作用が働きます。

 

この股関節の隙間を狭くしようとする作用は、股関節の軟骨に強い圧迫を加えるので、軟骨細胞が減ってしまう軟骨軟化症の原因となることが考えられます。
このように、股関節痛改善の為だけでなく股関節の軟骨の保護のためにも縮んでしまった筋肉はストレッチにて伸ばさなければならないのです。

筋肉が病気になって縮むことで股関節痛が出るのですから、股関節痛を改善するには筋肉をストレッチして伸ばして緩めればいいのです。

一方、筋トレとは筋肉を縮める動作の繰り返しによって筋力をつけようとする運動になります。
筋肉が筋筋膜症候群によって縮むことで股関節痛が出ている筋肉に対して、さらに筋肉を縮ませようとする筋トレを行う事は股関節痛を悪化させ、軟骨の細胞を減少させてしまう可能性が高まるのです。

 

筋トレを一生懸命行った結果、股関節痛は徐々に強くなり、筋肉が縮んで関節の動きが悪くなり軟骨の隙間は徐々に狭くなり、痛みの為に筋力も出にくくなり、変形性股関節症はまるで進行性の病気の様な経過をたどってしまうのです。

その結果が『変形性股関節症は進行性の病気です。』という誤った説明につながっているのです。

 

 

確かに20年ほど前までは筋トレが盛んに指導されていました。

この『20年ほど前まで』というのは私が持っているイメージですが、現在でも『筋トレが一番重要』と考えている医療従事者は多いし、そう信じている患者さんも多いですね。

 

でも、筋トレやらないとどうしても不安だという方もいるでしょう。

そういう方は、筋トレが自分の身体を調子よくしてくれるかどうかを考えてみて下さい。

何となく良い感じがあれば、筋トレの前に準備運動としてしっかり筋肉をほぐしてから筋トレしてみて下さい。

 

ひとり一人、身体も経過も違いますので、筋トレが全ての方に悪いわけでは無いのです。

是非、自分の身体と相談しながら判断してほしいと思います。

 

 


なかなか理解されない筋肉の病気のお話

2020-09-09 09:25:46 | 股関節の基礎

このブログはgooブログ3000000ブログ中で5000位くらいです。

最近さぼり気味なのに多くの方に見て頂き、大変うれしいです。

もっと、もっと記事をアップするように心がけますので、今後ともよろしくお願いたします。

 

 

🍓筋肉の病気の呼び名はいっぱいあるけど、私はある本で勉強したのでその本に使われていた『筋筋膜症候群』という言葉を使います。

この言葉は1990年に書かれた『臨床医のための痛みのメカニズム』という本の中で使われている言葉です。

この本は、今から30年前に滋賀医科大学の医師が、医療の最先端で働く医師に向けて書いた本です。

 

でもね、30年前にこのような本が出ているんだけど、現在の医療現場の医師で筋筋膜症候群について理解している先生はほとんどいないのです。

なぜかというと、そういう教育がなされていないからなんでしょうね。

筋筋膜症候群という病気は、病気だけど病気と認められてはいません。

健康保険適応の疾患ではないということですね。

 

この病気はレントゲン写真に写らないし、血液検査上も異常が出ないからなんですね。

 

最近、ある会社の社長さんがお見えになりました。

1年前から両股関節が痛くて、2つの大学病院を受診したけど「どこも異常がありません。」と言われて痛みを我慢するしかなかったようです。

よく聞いてみると、過去に別の病気の治療で股関節に放射線治療が行われていましたが、放射線により軟部組織が傷んだとしか考えられない状態でした。

触診や簡単な神経の検査をすると、筋肉の異常な硬さだけでなく、2本の神経にも異常がありました。

この異常は、医学の勉強をしている方なら誰でもわかりそうな異常でした。

 

この方の場合、深圧で股関節痛は全く無くなるのですが、筋肉のダメージが強そうで、まだ改善と悪化を繰り返しています。

しかし、股関節痛については絶対よくなる症状だと考えています。

この方のような症状も筋筋膜症候群に含まれるでしょう。

極端な例では、肩こりや腰痛も筋筋膜症候群の一種と言えます。

 

筋肉の断面図を見ると、筋肉は筋線維の束の集まりで、その中の一本の筋線維を細かく見ると筋原線維の集まりになります。

 筋肉の断面図  

この断面は筋線維の束でできています。

 筋線維の束

 

この筋線維をさらに細かく見ると、筋原線維があつまって構成されています。

 筋線維の中の筋原線維

 

この筋原線維をさらに顕微鏡で見ると、筋肉のおおもとはミオシンとアクチンというフィラメントと呼ばれるたんぱく質でできています。

 

  上図:弛緩  下図:収縮

 

上の図は筋肉が緩んでいる状態(弛緩:しかん)で下の図は筋肉が収縮して縮んでいる時のミオシンとアクチンの状態です。

 

力を入れて筋肉を収縮させた状態が下の図で、力を抜いて筋肉が弛緩させた状態が上の図になります。

 

ところがところが、股関節に炎症があったり、股関節を捻挫したり、股関節を傷めたりすると股関節周りに筋肉は反射的(無意識)に硬くなって縮んでしまいます。

 

この状態では、筋肉を収縮した時だけでなく、力を抜いて筋肉を弛緩させても筋肉は縮んだまま硬くなり、その部位の血流が非常に悪くなるのです。

 

この縮んで硬くなった部位は『しこり』と呼ばれ、専門的には『筋硬結:きんこうけつ』と呼ばれます。

筋肉にしこりができると、そこに疲労物質や発痛物質が溜まり、“重い感じ”が出てその後うずくような痛みが出ます。

 

このうずくような痛みが股関節周りの筋肉に起こることも股関節痛の一種になるわけです

でもね、レントゲン写真には写らないもです。

本来なら、そこで股関節を動かして筋肉のつっぱり具合を診たり、触診が必要になってくるのです。

 

以上のように、筋肉が病気になると力を抜いていても筋肉の一部が硬く縮むので、その縮んだ部位を直接ストレッチするのが深圧なんです。


骨に神経はあるの? 2

2020-09-04 09:57:17 | 股関節の基礎

患者さんの多くはこう言います。

「コロナより差別が怖い。」

コロナより怖い物、それは人かもしれません。

このような雰囲気が一日も早く改善するよう祈りながら努力します。

 

🍓人は自分の考え方に沿うような文献を探し求め、自分の考えが優位なように解釈する傾向があるように感じています。

私も同様な傾向があるでしょう。

 

私は『骨に神経は無い。』と言ってきましたので、多くのネット情報に書かれていた『骨の中には神経は存在しない。』という情報をいくつか紹介して、『この様な情報により、私は骨に神経は無いと考えているのです。』と説明しておけば、私の考え方を肯定できたでしょう。

 

しかし、私は『骨に神経は無い。』とは書いていますが、実は骨の中に神経はあるだろうと考えています。

前回の記事に書いた私の妹の経験が有ったからです。

 

その様な経験から、もっと掘り下げて調べようとしてきました。

 

しかし、なかなか情報が無いのです。

 

前の記事では文献(文献A)を取り上げました。


骨の外にある骨膜の神経の量を100とした時、骨の中の骨質(いわゆる骨ですね)にある神経は骨膜の1000分の1の0.1しかないということが書かれていましたね。(Castaneda他  Neuroscience 2011)

 

この文献は人の解剖データではなくマウスの大腿骨についての結果でしたので、100%人でも言えることでは無いかもしれませんが、私の経験上の印象とは実に一致していました。

 

今回の記事では、2018年に書かれた日本のある整形外科の先生がホームページ内に書かれた『変形性関節症は、どうして痛い?』という説明文(文献B)を紹介します。

 

 

この先生は次の事に疑問を感じていました。

 

 

『関節軟骨内には神経も血管も存在しません。従って、たたいても、割れても、擦り減っても、軟骨だけの傷害であれば痛みは生じないはずです。

一方、軟骨が擦り減ると、遊離した軟骨摩耗片が、関節包という関節を包む袋の滑膜に取り込まれて炎症を生じます。

炎症を起こした滑膜(関節包の一部です)内には知覚神経があり、炎症により過敏となっているため、通常では痛みを生じない動作でも疼痛を生じます。

このような事から変形性関節症の痛みは滑膜から生じると言われてきました。膝の屈伸などの動作時に感じる痛みの一部は滑膜から生じていると私も思います。

でも、立っている時や、膝を軽く曲げて体重をかけただけで生じる痛みはどうでしょうか?

体重が直接にかかる場所に滑膜は存在しないのに荷重時に起こる痛みが滑膜に由来していると言えるのかという疑問があります。』

 

 

以上の疑問から書かれた文献Bによると、軟骨の下には血管と神経が一緒にあって、軟骨が欠損した時その欠損場所に血管が伸びるのですが、その時に神経も一緒に伸びてきて、骨と骨に挟まれることも骨の痛みの原因ではないかと書かれていました。

 


一般的に言われている軟骨下骨にある神経による痛みですね。

 

確かに、私にもレントゲン写真を見た時に軟骨下神経による痛みが股関節痛の原因かな?と思った患者さんがいました。
しかし、その方の場合、半年後には股関節痛は無くなりました。
股関節痛が無くなった時のレントゲン写真では、新しくできた骨が大腿骨の表面を覆っているのがわかりました。
新しく覆った骨は単なるカルシウムですので、その中に神経が無いから痛みが取れたものと考えています。

この方の場合、レントゲン所見だけでの判断ですので、股関節痛があった時に痛かったのは関節包の痛みだったのかもしれませんが判断は難しいところでした。

 

 

骨と骨が当たるとは、大腿骨骨頭の皮質骨(骨質)と、骨盤側の寛骨の皮質骨(骨質)が当たるという意味です。

 

文献Aで考えると、骨の外の骨膜(股関節では関節包)には非常に神経が多い、一方、骨と骨が当たる場所である皮質骨(骨質)には、骨膜の1000分の1の神経しか存在しないということでした。

 

文献Bで考えると、文献Aで非常に少ないと書かれていた骨質(皮質骨)にある軟骨下骨の神経の痛みであり、それも一時的な痛みとも考えられ、どちらかというと非常に稀なケースであると私は考えています。

 

股関節周りの神経のほとんどは、骨の外周りにある骨膜と関節包(骨の外周りの骨膜は股関節では関節包という名前になります)にあるというのは事実ですね。

 

文献Bではまとめとして次のように書かれていました。

OA(変形性関節症)では 、関節軟骨に侵入した神経 、炎症を起こした滑膜(関節包の一部)が痛みを感じさせているようです。

つまり、変形性股関節症の股関節痛の原因は、一般的には炎症を起こした滑膜の痛みと考えられているけれども、関節軟骨に侵入した神経による痛みもあるということでした。

 

文献Bを読んでみてびっくりしたのは、私達が今まで訴えてきたように股関節痛の原因が関節包の炎症であるという考えは一般的に考えられていることであると書かれていたことです。

 

・・・なにそれ~? おったまげ~~!!!!!!!

 

じゃ、「骨と骨が当たるから痛いのです。」と説明する先生が一般的ではないということなのですか?

皆さんは、どのように説明されましたか?

 

 

 

文献Bを書かれた先生が普段疑問に思っている変形性関節症による痛みに、筋肉の痛みへの考察が全く欠如していると私は感じました。

 

膝を曲げて立った時、膝の関節包に負荷がかかっていないにもかかわらず膝周辺が痛いのはおかしい、というのがこの文献を書いた動機だと書かれていたのです。

 

膝を曲げて立った時には膝周辺の筋肉に強い負荷がかかるけど、筋肉への考察は全くありませんでした。

また、膝を曲げて立った時にも十分膝の関節包には負荷がかかるだろうにな、とも思いました。

筋肉が痛みを出すという考え方の無い整形外科の先生は非常に多いですね。

 

また、骨に修復力という自然治癒力があるという考察も欠けていると私は感じました。

 

しかし、軟骨欠損部への血管と神経の侵入という現象は解剖と顕微鏡検査ではっきりと報告されているようですので、この事実は否定できないと考えていますが、軟骨欠損部へ侵入する神経の数がもともと非常に少ないことは文献(A)で実証されていますね。

 

この先生の説明文を読んでいると、この先生は原因を追究する姿勢のある素晴らしい先生であることは間違いないと感じました。

 

 

 

私は患者さんを診て考えることが多いので、骨と骨が当たるから痛いという説明にはほとんど同意できません。
その理由は以下の通りです。

1、骨と骨が当たっていても痛くない人がいるので、骨と骨が当たって痛いという説明にならない。
2、骨と骨が当たると痛いのであれば一歩一歩足を着く度に痛いはずなのに、『歩き出しは痛くないけど、歩き疲れると痛みが出ます。』『歩き出しは痛いけど、歩いているうちに痛くなくなります。』と言う方々が多いので骨と骨が当たって痛いという説明にならない。
いかがでしょうか?

骨と骨が当たるから痛いと言いうのは、多くの患者さんで説明できません。

 

この説明を誰かが明快に解説してくれて、股関節痛の原因は骨と骨が当たっている確率が高いことを明確に説明してくれれば、私も「骨と骨が当たって痛いのです。」と言うかも知れません。

しかし、現状では『一時的にそういうこともあるかもしれませんが、股関節痛の主な原因は骨と骨が当たるからではありません。』としか言いようがありません。

 

画像や検査結果だけを見るのではなく、患者さん(臨床症状)を診るとわかることは多いものなんです。

 

 

私は、このような理由で『骨に神経はない』と書いてきました。
『骨と骨が当たるから痛い』とレントゲン写真を見せられながら説明された患者さんはどうなると思いますか?

 

おそらく、怖くて足に体重がかけられなくなるのではないでしょうか?

その結果、筋力は低下して骨密度も低下するのです。

 

私は今後も『骨に神経無し!』と訴え続けます!

軟骨に神経無し、骨にも神経無し。
神経の無いところに痛みなし。
皆さん、可能な範囲で足に体重をかけてみて下さいね。

 


骨に神経あるの?

2020-09-01 11:20:12 | 股関節の基礎

昨日の夜、今朝は秋の気配を感じました。

残り少ない残暑を楽しむザンショ。

 

 

🍓皆さんが爪と爪をこすり合わせたとします。

爪には神経がありませんので、爪と爪をこすり合わせても痛くありません。

大変有名な股関節専門の先生に「爪と爪が当たるから痛いのです。」と言われても、「そんなわけな~いじゃん。」と考えるでしょうね。

それは、皆さんが爪には神経が無いと知っているからです。

 

 

次に、皆さんがある物をハサミで切ります。

もし皮膚をほんの少しでも切ったら激痛ですが、髪をバッサリ切っても痛みはありません。

 

身体の各組織には神経の有る組織と、神経の無い組織があるのです。

 

 

股関節は、大腿骨と骨盤側の寛骨(かんこつ)の間にできた関節です。

その大腿骨側と寛骨側共に軟骨があります。(CとD)

この軟骨に神経が無いことはいろいろなところで書かれて有名な事実です。

 

では、もしも、軟骨が全て無くなって、骨と骨が当たったとしましょう。

この状態は痛いのでしょうか?

 

 

多くの先生方は『骨と骨が当たっているから痛いのです。』と説明します。

ということは、骨(骨質)の中に神経があるという前提で話をされているということになります。

 

下の図は大腿骨の断面の図です。  

 A 骨質(皮質骨)  B 骨髄

皆さん、骨の中に神経があるのかどうか、あらゆる情報をネットや本で調べてみて下さい。

はっきり書かれた情報は皆無でしょう。

 

一方、骨の中に血管があるのかどうかを調べると、いとも簡単に明確な説明を調べることができるでしょう。

 

このことから、骨の中の血管の事は詳しくわかっているのに、骨の中の神経の事はまだあまりわかっていないということがわかります。

 

痛みを感じる神経のおおもとは脳です。

脳は脊髄となって下降し、脊髄からは枝分かれして脊髄神経が手足に伸びます。

その神経の末端が骨(骨質や骨髄)の中に入らない限り、骨の中に神経は存在しません。

 

血管の場合のおおもとは心臓で、心臓から出た太い血管は枝分かれして細くなり骨を覆う骨膜に至ります。

骨膜からは、骨の表面に開いた小さな穴(栄養孔:えいようこう)を通して血管が骨の中に入ります

このことは、どんな解剖学の本にも詳しく書かれています。

それでは、神経(痛みを感じる知覚神経)はどこから骨の中に入るのでしょうか?

これは、いくら調べてもわかりません。

おそらく、骨の中に神経があるのだとしたら、血管が入る骨の穴から神経も一緒に骨の中に入っているのでしょう。

 

実は、私は骨の中に神経はあるだろうと考えています。

少なくとも、骨の中の骨髄には神経があると考えています。

私の妹が、大腿骨の中の骨髄に腫瘍ができた時は、足が痛いと言っていました。

しかし、彼女は普通に歩いていました。

骨髄の中には神経があるものの、激痛を起こすものではないということを妹が教えてくれました。

 

 

私は骨の中のどこかには脳からつながった神経はあると考えていますが、『骨に神経は無い』とブログや本には書いてきました。

なぜかというと、レントゲン写真で骨と骨が当たっていても全く痛み無く走れる方がいるからなんです。

 

画像だけを見るのではなく、患者さんを診るとわかることは多いものです。

 

以前、ある股関節専門の先生に「先生、骨の中に神経はあるのでしょうか?」と質問しました。

その先生は「ありますよ。参考となる資料を送りますね。」と言って資料を送ってくださいました。

 

しかし、その股関節専門医のために書かれたような本の中には神経について詳しく書かれていました。

ところが、残念なことに骨の外にある骨膜や関節包に神経が多く存在するということは書かれていましたが、骨の中の神経については全く書かれていませんでした。

 

ネットで調べると『骨の中(骨質の中)に知覚神経はありません。』と堂々と書いている情報も目にします。

例えばここです。

 

ある文献(文献A)によると、骨組織に分布する感覚神経(知覚神経)の量(volume)の比率は骨膜を100とした時骨膜:骨髄:皮質骨(骨質):軟骨100:2:0.1:0と書かれています。

 

骨膜は骨の外を覆っている膜ですので、骨の中ではありません。
軟骨も骨の外にありますので骨の中ではありません。
骨の外にある骨膜の神経の量を100とした時、骨の中の骨質にある神経は0.1、さらに中にある骨髄にある神経は2しかないということが書かれていました。(Castaneda他  Neuroscience 2011)

 

 

文献Aで考えると、骨の外の骨膜(股関節では関節包)には非常に神経が多い、一方、骨と骨が当たる場所である皮質骨(骨質)には、骨膜の1000分の1の神経しか存在しないということになります。

私は、股関節の神経の分布量については、このCastaneda氏の論文の内容が非常に正解に近いのではないかと感じています。

 

そう考えた時、股関節痛の原因が「骨と骨が当たるから痛い」と考えるよりも、股関節関節包の炎症と考えた方がはるかに現実味があるのではないでしょうか?

 

 

 

 

次回は、骨と骨が当たるから痛いんですよという文献(文献B)を取り上げて考察してみましょう。

 

 

 

 


筋力と筋出力の違い

2020-08-29 20:08:26 | 股関節の基礎

昨日午後5時から安倍総理の会見がありましたが、それより先に辞任するようだというニュースが流れ株価が急激に下落しました。

辞任すると株価が下がるような総理でした。

批判も多かった総理でしたが、難病を抱えてよく頑張ってくれました。

お疲れ様でした。

 

 

 

 

🍓理想と現実。

 

筋肉の断面積で表される筋力が理想とすれば、実際に筋肉が発揮できる筋力である筋出力が現実になります。

理想的に計算上50kgの筋肉は、身体の状態が正常であれば現実的にも50kgの筋出力が可能です。

 

しかし、筋肉というのは生きものなので、疲れている時もあれば病気の時もあるのです。

疲れている時は『重く』感じて、病気の時は『痛く』感じるので現実の筋出力は低下します。

この筋出力低下を、理想の筋力低下だと勘違いする専門家が多いです。

 

筋出力が低下している、それは筋肉が痩せて筋力が低下しているのだから筋トレをすればよい。

とにもかくにも筋トレすればよい、という考えです。

 

疲れている筋肉を筋トレで鍛えるとどうなるでしょう?

病気の筋肉を筋トレで鍛えるとどうなるでしょう?

 

理想的には筋肉が太くなり筋力は向上するでしょう。

ところが、現実的には筋出力はさらに低下して、どんどん動きが悪くなるのです。

 

従って、脚や身体が『重い』『痛い』時には、まずは疲労を回復させたり、筋肉の病気を治すことが先決です。

もちろん、関節に炎症があり『痛い』こともありますね。

炎症に筋トレは絶対行ってはいけません。

 

現実の筋出力を理想の筋力だと勘違いするとケガしたり、症状が悪化するよって話です。

 

筋出力の低下の原因は以下のとおりでした。

1、疼痛(炎症、筋筋膜症候群、外傷)
2、関節可動域制限
3、脚長差
4、神経障害  神経麻痺(中枢神経と末梢神経) 神経痛(中枢神経と末梢神経)
5、筋肉性の難病

皆さんに関連するのは、主に1~3になると思います。

 

『重い』『痛い』のある方は、この1~3を予防改善させることです。

 

その方法はいくつかあると思います。

深圧もそのうちのひとつで、深圧の目的は1~3を予防改善させることなんです。


筋力と筋出力の違い

2020-08-26 12:16:39 | 股関節の基礎

もう少しコロナ関連で大変な時期が続きそうですが、皆さんお元気ですか?

全国的にも感染力が弱まり、専門家もピークは過ぎたと考えています。

しかし、まだまだ世の中の雰囲気が経済を回復させる方に向かいませんね。

でも、もう少しです。

皆さん頑張りましょう!

 

 

🍓今日の記事は、皆さんどころか、医療従事者もなかなか理解していない重要な記事になります。

 

一般的に、ある筋肉の筋力は筋肉の断面積で決まります。

下の図の矢印の円の面積です。

 

諸説ありますが、1平方センチメートルあたり5kgの筋力が出ます。

仮に、ある筋肉の断面積が10平方センチメートルだとすると50kgの筋力が出る計算になります。

 

私達が皆さんのももの太さやふくらはぎの太さを計ることがあるのは、おおまかな筋力の左右差を知ろうとしていることになります。

筋肉の太さ=筋力なのですが、実際に筋肉が発揮する筋出力と筋力が一致しないことがあるのです。

ここが難しいところです。

 

先ほどの、断面積が10平方センチメートルの筋肉が計算上50kgの筋力が出るであろうと予測できるのは、筋肉や関節や神経などが正常だと仮定した時の話です。

 

例えば、筋肉が正常なら50kgの筋力であっても、その筋肉が疲労していると40kgの筋出力になるかもしれないし、その筋肉が病気だと10kgの筋出力になるかもしれないのです。

 

何となく想像できます?

 

普段、50kgの握力があっても、疲れている時は40kgになったり、痛みがある時は10kgになることがあるのです。

 

それでは筋出力が低下する原因とは何なのでしょうか?

大きく分けると
①神経の病気
②筋肉の病気

に分けられると言われています。

神経の病気としては、神経麻痺や神経痛による筋出力低下です。

筋肉の病気としては、筋筋膜症候群、筋肉の難病(筋ジストロフィー症、筋委縮性側索硬化症=ALSなど)による筋出力低下です。

 

私は、他にも筋力はあっても筋出力が出ない原因を次のように考えています。

 

1、疼痛(炎症、筋筋膜症候群、外傷)

2、関節可動域制限

3、脚長差

4、神経障害  神経麻痺(中枢神経と末梢神経) 神経痛(中枢神経と末梢神経)

5、筋肉性の難病 

 

皆さんに関連するのは、主に1~3になると思います。

 

痛みがあると筋力があっても筋出力は低下します。

関節の動きが悪すぎると、筋力を十分発揮しようとしても筋出力は低下することがあります。

脚長差があると、筋肉の長さも変わるので、筋出力が十分に発揮できないことがあります。(子供の頃から脚長差がある方は、意外と筋出力は強いです。)

 

今回の記事では、筋出力という考え方があり、筋力=筋出力となるのは筋肉や神経に病気が無く、痛みが無く、関節の動きが良く、脚長差が無い状態の時だけということをご理解いただきたいと思います。

 

次回の記事では、筋出力と筋トレについて考えてみましょう。

 


クラウドファンディングについて

2020-06-06 16:55:13 | 股関節の基礎

クラウドファンディング。

 

私達の新しい試みです。

 

銀座店院長田山陽平のYoutube登録者数10000人突破を記念して、クラウドファンディングを利用してのYoutubeDVDを新しく作製することになりました。

 

本来は4月からクラウドファンディング開始予定でしたが、コロナウイルス蔓延の影響で6月1日から開始しています。

 

みなさんからのご支援をよろしくお願い致します。

是非、ご検討下さい。

 

 
詳細につきましてはこちらをご覧ください☟

松本深圧院・クラウドファンディング第一弾
https://www.shin-atsu.com/news/4770/
※この企画にご支援いただくには、企画を公開する予定のクラウドファンディングのサイトへユーザー登録をしていただく必要があります。
 
『ちょっと意味が分からない。』と感じた方は遠慮なくこちらまでご意見ください!

ご検討よろしくお願い致します。

 

お願いばかりですみません!


変形性股関節症は治る病気です!

2020-05-14 01:01:25 | 股関節の基礎

🍓皆さんにお願いがあります。

 

 

変形性股関節症を『不治の病』とか『進行性の病気』だと信じている方々がいます。
その考え方を大きく変えるのだ!

 

 

そのような考えで『変形性股関節症は治る病気です!』という本を夜も寝ないで、昼寝しながら書き上げました。


 

 
目次はこんな感じです。
目次
はじめに
第1章 股関節痛の原因  
1、関節包に起こる炎症による痛み
2、筋肉に起こる筋・筋膜痛症候群による痛み
第2章 股関節痛は治ります
1、原因を明確にする
2、経過を知る
第3章 変形は治ります
1、自然治癒力の活躍
2、自然治癒力を信じて下さい
第4章 変形性股関節症の治り方の特殊性
1、治り方の特殊性
2、治り方の分類
第5章 手術に対する考え方
1、手術を決断するタイミング
2、手術後の経過が悪い方へ
   A、自骨手術後の股関節痛について
   B、人工股関節手術後の股関節痛について
第6章 変形性股関節症の正しい治し方
1、炎症の治し方
2、筋筋膜症候群の治し方
   A、筋肉のストレッチ
   B、深圧
3、機能障害の治し方
   A、筋力低下の治し方
   B,屈曲拘縮の治し方
   C、脚長差への対策
   D、歩行時の横揺れの治し方
4、変形性股関節症の治し方の手順
おわりに
 
 今回は主に整形外科医が行った研究への考察を多く取り入れました。


 
現在、当院のスタッフにお願いして読んでもらっているところです。
言っておきますが、出版社にはまだなんも連絡していません!


皆さんにお願いがあります。
 
皆さんがこの本の中に書いて欲しいことがありましたら、是非教えて下さい。
 
できる限り書き入れたいと思います。
 
そして、今月末には完成させて、6月に入ったら出版社に企画書と共に出版の検討をお願いする予定です。
 
是非是非、書いて欲しいことがありましたら教えて下さい。
 

 
よろしくお願い致します。
 
                         令和2年5月14日  松本正彦


筋筋膜症候群の治し方 2

2020-05-09 03:50:28 | 股関節の基礎

B、深圧 


肩がこったら肩周囲の筋肉をほぐす、腰痛の時は腰周囲の筋肉をほぐす。
肩こりや腰痛を経験した方の多くは、筋肉をほぐすということを試みていると思います。
では、股関節周りの筋肉はこることが無いのでしょうか?

 


肩こり、腰痛という言葉と同様な症状が股関節周りに起こると不思議なことに急に『股関節痛』、膝周りに起こると『膝関節痛』と呼ばれるようになります。
そして、『尻こり』とか『ももこり』という言葉は一般的には存在しません。
その大きな理由は、筋肉に病気があるという認識がほとんど無いからです。
なぜ、筋肉に病気があると考えられないかというと、それは筋肉のこり自体がレントゲン写真に写らないし、血液検査上も異常が出ないからです。
筋肉にも病気があるという考えが理解でき、筋肉のこりを見つけるための問診と触診ができて、初めて皆さんの股関節痛の一部を解決できるようになるのです。

 


皆さんには、『尻こり』や『ももこり』という認識を一度持ってみて頂きたいと思います。
筋肉は股関節の関節包内に起こった炎症の影響を受けやすく、怪我の後遺症や重度の疲労によっても病気になるということがもっと世間に広まってほしいと思います。
この考え方を理解できないと、治療法は手術しかなく、保存療法は筋トレが中心になってしまうのです。

 


最近では『筋膜リリース』という言葉がテレビや雑誌で取り上げられるようになり、痛みが筋肉を包む筋膜から出ることも少しずつ認識されてきた様に感じています。
『筋膜リリース』のリリースの意味は、『離す』と理解するとわかりやすいと思います。
筋膜と筋膜がくっついた状態で、立ち上がったり歩いたりして筋肉が収縮を起こすと、筋膜が引っ張られて痛みを出すので、くっついてしまった筋膜を離しましょうというのが『筋膜リリース』になります。

 


痛みを感じる神経が豊富に存在する筋膜は筋肉の表面にありますが、筋肉の内部にも多く存在します。
従って、筋肉と筋肉の表面にある筋膜をリリースするだけでは痛みは取れません。
筋肉の表面を覆っている筋膜だけでなく、筋肉の内部にある筋膜もリリースする必要があり、その筋肉は人体の表層だけでなく深層にも存在するのです。

 


 当院が行っている深圧は、人体の奥深くに存在する股関節により近い深層筋の筋膜まで離そうとする治療法になります。
ここで、お尻の横にある大殿筋、中殿筋、小殿筋と股関節の位置関係について説明します。

 

お尻の横にある筋肉群(表層から深層まで:右側が表層)
  
この図は、皆さんのお尻(股関節)を左側方から見た図になります。
皆さんのお尻の皮膚の下には大きな大殿筋があります(一番右)
その大殿筋の奥には中殿筋があり、さらにその奥には小殿筋があります。
そして、小殿筋の奥に股関節があるわけです。

 


一番深部にある股関節に炎症が起きている、もしくは、かつて炎症があった場合、真っ先に炎症の影響を受けるのはどの筋肉だと思いますか?
もちろん、股関節に一番近くに存在する小殿筋です。
したがって、私達は深圧という方法を用いてより深部の筋肉をほぐすことを目標としているのです。
小殿筋の痛みは股関節自体が痛むように感じます。

 


また、小殿筋の痛みはももの外側からすねの外側にかけての関連痛を起こすこともあります。
患者さんの痛みの部位を詳細に聞き取ること、その部位の痛みと関連痛との関係を考えること、その上で筋肉の硬さを触診することで患者さんの股関節痛の原因となっている原因筋を探し求めほぐすことが私の仕事になります。

 


深圧の根本的な考え方は欧米から始まった西洋医学になりますので、東洋医学的な要素は全くありません。

深圧の特徴と目的は、主に肘を使って筋肉を深く押し深層筋まで直接ストレッチすることによって筋肉をほぐし、筋肉内の血流を改善されることです。血流は自然治癒力の源です。

 


深圧の強さは患者さんによって異なりますが、だいたい30kg~50kgの力で筋肉を圧します。
とにかく、股関節の近くの深部筋までをほぐそうとします。
「筋肉を強く押すと筋肉が傷む」という根拠のない説明をする先生がいますが、もしも、そのような先生がいましたら「先生は強く押したことがあるのですか?」と問い返してみて下さい。

 


私が深圧を始めたのは、まだ埼玉医科大学病院に勤務していた1996年4月からですので、現時点で24年になりますが、この24年間の経験が筋肉を強く押しても傷まない根拠になります。
もちろん、暴力的な方法では筋肉が傷むこともあるでしょうが、筋肉が傷まない方法で行っていますので筋肉を傷めることは無いのです。
皆さんは信じられないかもしれませが、私の深圧のモットーは『優しく強く押す』です。
一見矛盾する言葉のようですが、それは可能です。

 


私は帝京大学病院で膝関節の勉強をして、埼玉医科大学病院で股関節の勉強をしていたので、当初は「膝関節が専門です。」と患者さんには話していましたが、ある患者さんの股関節痛が急激に改善した噂が広がり急激に股関節患者さんが増えました。

 

当時は整骨院で雇われ院長をしていました。

その整骨院に通って下さっていた患者さん達の中に変形性股関節症患者さん達が各地で作っている患者会の中心となって活動している方々がいらっしゃいました。

その方々から股関節専門になってほしいという要望が何度もあったものですから、多くの患者さん達に担がれるような形で股関節専門になり20年以上の年月が経過しました。
今思うと、当時私を担いでくださった患者さん達には感謝の言葉しかありません。

 


皆さんは、深圧で筋肉をほぐしてもすぐに元に戻ってしまうのではないかとお考えかも知れません。
確かに、すぐ戻る時期はあります。
それは、関節包に炎症が強い時期です。その炎症もピークを過ぎてくると、筋肉をほぐした効果は持続して、炎症の終息と共に筋肉が硬くなることは無くなります。
これは、筋肉が柔らかくなると筋肉内の血液循環が良くなり、一日の疲労がお風呂に入って寝ている間に取りきれる筋肉、つまり病的な筋肉がほぐれて正常な筋肉に戻るからなんです。
 

 

深圧を初めて受けられた方のその後の経過ですが、その日から2日間くらいはもみ返しが出る方が多いです。患者さんの体質によってもみ返しが全く出ない方や5日くらい押されたところのだるさや、触ると痛い感じが残る方もいます。
その、もみ返しが取れた後が楽になってくる方が多いです。
当院の通院回数は通常1ヶ月に1~2回ですので、2回目に来られた時に効果について問診しますが、この時点で少しでも改善の兆しがある方は、その後どんどん改善する可能性が高くなりますので、私は前回とほぼ同じプログラムで深圧を行います。


2回目に来られた時に、効果の実感がない場合は次の2つのことを考えます。
1、股関節痛の原因となる原因筋が、前回のプログラム以外に存在するのではないか?
2、股関節痛の原因が筋肉ではなく関節包内の炎症ではないか?
1、の場合と仮定すると深圧のプログラムを変えて前回あまり深圧しなかった筋肉の深圧にて原因筋を探し求めます。
また、2、の場合と仮定すると、今後股関節の関節可動域が悪化する可能性があるので、深圧で筋肉をストレッチ(直接ストレッチ)した後、関節可動域を広めるためのストレッチ(間接ストレッチ)を行います。
2回目に来られた時の効果の実感の程度に合わせて深圧のプログラムを考え、3回目の来院時には再び効果の実感を確認し、プログラムを再検討していくわけです。

 


そして、筋肉が病的な状態から正常に近づいた患者さんは、当院への通院期間を徐々に広げ、患者さん自身に自信がついて『もう通院しなくても良いかな』と感じたら終了としています。
この判断も患者さんの希望を優先しています。

 


現在、当院には股関節痛は無くなっているのに通院してくださっている方もいます。
皆さんの究極の目標は現在の股関節を長持ちさせることです。

 


そいう言う目的を強く感じている患者さんは、股関節痛が無くなってもメンテナンスの為に通院されています。
人は無意識な反射として、脚を地面に着いた瞬間脚全体の筋肉を収縮させて体重を支えようとします。
その瞬間的な筋肉の収縮力は、人体における最大の衝撃吸収力を持ったクッションになります。
筋肉を病的な状態から正常な状態に戻すと、筋力は強力に発揮できるようになりますので、股関節に加わる衝撃を強く吸収できるようなります。

 


従って、筋肉を正常に戻すことは股関節の長持ちにつながるのです。
深圧は当院のオリジナル法ですので、皆さんが近所で探すときは、『筋膜リリース』『マイオセラピー』『指圧』等の項目が掲げられている施術所を訪ねてみてはいかがでしょうか?
しかし、その前に、ぜひ自分で自分の痛みの場所を詳しく観察して、その部位や周辺をほぐすことをお勧めします


筋筋膜症候群の治し方

2020-05-08 04:10:42 | 股関節の基礎

筋筋膜症候群の治し方

A、筋肉のストレッチ
『臨床医のための痛みのメカニズム』という本に書かれている筋筋膜症候群の治療法は次のとおりです。

 

A、トリガーポイントに局所麻酔薬を注射する(トリガーポイント注射)
B、筋肉の牽引(筋肉の間接ストレッチ)
C、トリガーポイントの指圧(筋肉の直接ストレッチ)

 

Aは病院の先生にしかできない治療法です。

 

当院が行っているのはBとCになりますが、主にはCになります。
おおまかにいうと、硬く縮んだ筋肉のストレッチです。
筋肉のストレッチには、一般的に行われている間接ストレッチ法と深圧や指圧の様な直接ストレッチ法があります。

 

筋筋膜症候群では、筋肉の一部に筋肉のしこり(筋硬結:きんこうけつ)ができて筋肉の長さが縮むことが知られていますが、しこりが筋肉の一部に限局するため一般的なストレッチ(間接ストレッチ法)では筋肉の正常な部分だけが伸ばされ肝心の一部に限局したしこりがストレッチされない可能性があります。

 


一方、当院が行っている深圧のような直接ストレッチ法では、しこりを触診してしこりを直接ほぐせるので、筋肉を緩めるには効果的なストレッチ法(直接ストレッチ法)になります。

 


この図のように、筋肉の一部にしこりができると筋肉は硬くなって筋肉の両端の距離が縮みます。
股関節周囲の22本の筋肉の両端は股関節をまたいでくっついていますので、その筋肉が縮むということは22本のいずれかの筋肉が大腿骨を強烈に骨盤に向かって引き上げることになり、結果的として股関節の隙間を狭くしようとする作用が働きます。

 


この股関節の隙間を狭くしようとする作用は、股関節の軟骨に強い圧迫を加えるので、軟骨細胞が減ってしまう軟骨軟化症の原因となることが考えられます。
このように、股関節痛改善の為だけでなく股関節の軟骨の保護のためにも縮んでしまった筋肉はストレッチにて伸ばさなければならないのです。
筋肉が病気になって縮むことで股関節痛が出るのですから、股関節痛を改善するには筋肉をストレッチして伸ばして緩めればいいのです。

 


一方、筋トレとは筋肉を縮める動作の繰り返しによって筋力をつけようとする運動になります。
筋肉が筋筋膜症候群によって縮むことで股関節痛が出ている筋肉に対して、さらに筋肉を縮ませようとする筋トレを行う事は股関節痛を悪化させ、軟骨の細胞を減少させてしまう可能性が高まるのです。

 


新しい本について

2020-01-14 10:25:43 | 股関節の基礎

今年1月10日、このブログへ訪問してくれた方がのべ200万人を超えました。

みなさん、いつもありがとうございます。

 

🍓新しい本を書く目的でこのブログに書いてきました。

 

あとは、深圧について書きたいのですが、正月休みの間に新しい本の構想がどんどん出てきて変化しています。

 

12月29日の年末年始休日の初日、地元のホテルに泊まりこんで本をまとめてきました。

 

このブログを書く経過の中で様々な文献に出会いました。

このブログを書いて本当に良かったと思います。

 

現在は、さらに多くの文献を読み漁っています。

 

自分の考えを裏付ける文献を読んで、その研究の結果をできる限り多く本の中に取り入れようとしています。

内容が難しくなるので、文献紹介の後には『この文献をわかりやすく説明すると・・・』と付け加えようとしています。

 

そんなわけで、今はそちらに時間を割いています。

 

今後、このブログでは深圧について書きますが、書くスピードは落ちそうです。

 

このブログと、実際に書き上げる本とは異なると思いますが、このブログは必ず最後まで書き上げますので時々覗いてみて下さい。

2020年、令和2年、本年も宜しくお願い致します。

 

 

令和2年1月14日

松本正彦


手術後の経過が悪い時の対応法

2019-12-28 02:59:27 | 股関節の基礎

本年5月~書き始めたブログを本にしたいと考えて書いてきました。

まだ終わっていませんが、そろそろまとめたい気持ちが高まってきました。

本院の年内のご予約は12月27日で終了し、本日12月28日は院内勉強会です。

そして、業務が全て終了した明日12月29日に某ホテルに泊まりこみ本の大筋をまとめたいと考えています。

 

今までを読み返してみると、同じことを何回も書いていたり、読んでいてつまらない部分も多くありました。

いまは、内容を大幅に省略することを考えています。

そして、必ず来年には本にします。

私が本を書く目的は、レントゲン写真に写る骨と軟骨にあまりにも偏り過ぎた変形性股関節症の診療方法を変えることです。

そして、皆さんには新しい考え方を理解することで、変形性股関節症と上手に付き合う方法を身に着けて頂くことです。

 

皆さん、素晴らしく楽しい年末年始をお過ごしください。

来年、またね。

 

 

 

🍓手術を受けた方の数パーセントの方は術後の経過が遅れる場合があります。

 

手術前の一人ひとりの経過が違いますし、手術の内容も異なりますので周りの方との比較は無意味になります。

ところが、どうしても周りに順調な回復経過を示している方と比較しがちで落ち込む方が多いです。

 

おそらく、ほぼ100%の方の手術は成功しています。

レントゲン写真を見て、担当の先生からは「レントゲン上手術は成功しています。」と説明されるでしょう。

しかし、ここで考えなければならないことは、レントゲン写真に写っていない軟部組織の個人差です。

 

軟部組織、特に筋肉の硬さに個人差があることがほとんどです。

これが、手術後の経過が悪い原因です。

ここで、筋トレは厳禁ですが、おそらく多くの方は筋トレを指導されます。

「筋トレを行うと、さらに痛くなるのです。」という患者の話を多く聞きます。

 

手術後の経過が悪い時は、とにかく股関節周りの軟部組織を軟らかく改善させることに尽きます。

 

人工股関節手術後に経過の悪い方は、ももの裏のハムストリングスとももの内側の内転筋をほぐすことを試みて下さい。




また、自骨手術後に経過の悪い方は、腰骨のすぐ後ろにある大腿筋膜張筋をほぐすことを試みて下さい。




 

この方法で、全ての方が改善に向かうとは言い切れませんが、自分の痛みや違和感をよく観察して、痛みや違和感を感じる部位をほぐしてみて下さい。

 

手術後に経過が悪い方は、痛みや違和感の原因はレントゲン写真に写らない軟部組織の問題だと考えて、前向きに対応してみて下さい。

本来なら、手術をした病院が解決しなければならない事なのですが、大きな期待ができないと感じたら自分で対応してみましょう。

 

手術が成功しているのであれば、必ず問題は解決します。

 

 

 

 

 

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手術前後の過ごし方

2019-12-24 09:38:11 | 股関節の基礎

🍓『手術をしたい』と自分で決断した場合、手術前後の過ごし方を考えましょう。

手術前、手術後に必要なことは筋肉を軟らかくすることです。

決して筋トレではありません。

 

一昔前の『手術を受けた後歩けないといけないので、手術前に筋トレを行って筋力をつけておかなければなりません。』という考え方を今でも指導している先生は多いです。

手術前の股関節痛が強い状況で筋トレは股関節痛をさらに悪化させ、筋肉を硬くするだけで、筋力増強は望めないうえに手術後の経過を悪くする可能性が高まるでしょう。

人工股関節手術では、変形の為に短くなった手術側の脚を元の長さに戻すことが多いので、手術時に求められるのは脚が伸ばされることに対応できる筋肉の柔軟さです。

 

実際には、筋肉だけではなく、血管や神経などの軟部組織全体の柔軟性が必要になります。

 

私達は、深圧によって軟部組織の柔軟性を改善することによって股関節痛を改善し可能な限り手術を避けられるように努めていますが、軟部組織の柔軟性を改善しているということは皆さんが手術を決断した時にも役立つことになります。

 

手術後は、手術という軟部組織へのダメージと炎症により、軟部組織は予想外に硬くなりやすくなります。

手術後3ヶ月ほど経過し、軟部組織のダメージが落ち着いたころから、再び深圧を開始して軟部組織の柔軟性を改善し、動きやすい脚になるように努めています。

 

つまり、手術前後の過ごし方で重要なことは、筋肉を主とした軟部組織の柔軟性を維持・改善することなのです。

これは、自骨手術の場合も同様です。

 

手術後、軟部組織の痛みや違和感が無くなれば、筋トレも可能で効果的になります。

手術後の関節の動きの改善や筋力回復は、3ヶ月後からでも十分回復できます。

手術後の回復は、意外と自分の身体の治癒力が行ってくれます。

少々時間もかかりますので焦らないことが最も重要になります。

 

 

 

 

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手術療法  主な目的は痛みの改善

2019-12-21 13:38:06 | 股関節の基礎

🍓手術療法には大きく分けて自分の骨で行う自骨手術療法と人工の関節に入れ替える人工股関節手術療法があります。

それぞれ病院や医師によって考え方や手術方法が異なりますので、手術を考える場合は手術方法の確認は必要です。

手術方法についての詳細はネット上に溢れていますのでここでは詳細は省きます。

また、ここでは主に現在主流になっている人工股関節手術療法を想定して書きます。

 

人工股関節手術はもともと欧米で発達してきた歴史がありますので、洋式生活にむいた手術療法です。

しかし、最近の日本では日本の和式生活に合った手術方法が少しずつ増えてきました。

もともとあった方法を『後方侵入法』、日本人に合った方法を『前方侵入法』と考えてよいと思います。

後方侵入法では和式トイレ使用時の様に深くしゃがむ動作を禁止することが多いです。

後方侵入法は股関節の深い屈曲で脱臼を起こしやすいと言われています。

一方の前方侵入法では、深くしゃがんだり正座をしたり、床にしゃがんだり床から立つという動作ができることが多いです。

 

私は手術を希望する方には、手術後すぐから『何をしても良い』と言われている手術法を行っている玉川病院の松原先生やさいたま赤十字病院の石井先生を紹介させて頂いています。

 

手術療法の主な目的は股関節痛の改善です。

 

人工関節手術療法では、股関節の骨を人工関節に入れ替えますが、それと同時に非常に痛みを感じやすい関節包や靭帯を取り除いたり、綺麗に修復しますので股関節痛が改善するのです。

しかし、個人差もあり、股関節痛が無くても股関節の動き(関節可動域)を広めたり、脚長差を解消する(両足の長さを揃える)目的で手術療法を受ける方もいます。

 

 

 

 

 

 

 

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