イワン・アサノヴィッチの一日  畑と映画の好きな卒サラ男。

政官業癒着体質の某公共事業職場を定年退職。鞍馬天狗・鉄腕アトムの人類愛に未だに影響を受けっ放し。孫には目がない。(笑い)

梅原猛氏、「原発」紙上対談

2012-01-08 21:58:13 | 社会・経済

 哲学者の長老・梅原猛氏が経団連の米倉弘昌会長と〈再考 エネルギー〉というテーマで紙上対談している(朝日新聞:1月1日付け)。

『17世紀のフランスの哲学者・デカルトは科学が発展すれば人間は自然を奴隷のように支配できるとして、その後はデカルトの哲学が人類の根幹的な思想となった。』と解明し、『今回の原発事故をみて、文明災という言葉が浮かんだ』とのことだ。

氏は『これからは文明が変わらなければならないし、文明を基礎づける哲学も変わらなければならない。』と結んでいる。

また『脱原発は歴史の必然であり、核融合という「地球に太陽をつくるという研究」そのものが思い上がりだ。』とも指摘している。『核融合研究に費やした莫大な予算を今度は自然エネルギー研究に政府は予算をだすべきだ。』と実践的な方向を打ち出している。

さすがに東大の“奥の院”に鎮座まして居られる、原発推進・擁護をして来たその辺の御用学者とは格が違うことを言う。

『中国が原発推進をしているから、日本だけが止めても意味がないという論議は、歴史から学ぶという態度がないからだ。中国だっていったん原発事故がおきれば、国が潰れてしまうかも知れない。』という指摘も、全地球的な歴史の視野で物事を思索している哲学者なればこその発言であろう。

 この記事は紙上対談の中のものであるが、当然に相手の発言もある。相手は経団連の米倉弘昌会長であった。彼は『福島原発は千年に一度の震災によく耐えた。』と豪語している人物である。

なを言えば、明治年間に岩手県で38m超の同規模の津波が三陸海岸を襲っているのであるから「千年」というのは、政・財・マスコミ界の責任回避のレトリックである。それはともかくとして。

米倉弘昌会長が渋々としてではあるが、将来はともかくも、当面の20年間ぐらいは原発によるエネルギー政策継続の必要性をうったえている。

面白いことに、梅原猛氏も同対談の中で『原発を今すぐに止めることは無理でも、20年後ぐらいには…』と同様主旨のことを述べているのである。

『将来は自然エネルギーを利用して、もったいない精神で生活する、日本の伝統的な生活。自然の恩恵を受け・感謝して生きる。そういう文明によって、新しい日本をつくるべきですね。』と氏は続けている。

 米倉経団連・長谷川同友会の“あとは野となれ“的な儲け主義は、日本のみならず世界の歴史の、進歩に逆行しているのではないか。大量生産・大量消費で安ければ、質は問わないという時代の終焉が始まっている。

財界の中心人物が財界の尺度だけで物事を決めて来た時代は終わろうとしている。

日本の財界が世界に誇れる、真にグローバルな財界となるよう、賢明なる道の選択を誤ることのないよう念じてやまない。