なにか様子がおかしいと思いました。間もなく映画が上映されようとしている座席でのことです。平日の夕方ですが出勤帰りのサラリーマンが入場するには少し早過ぎる時間帯でした。
イワン・アサノヴィッチは入場した映画館を間違えたのかと何度も切符を見て確認しました。
20人ぐらい入場していたでしょうか、イワン・アサノヴィッチを除いては、全員が若い女性客ばかりなのです。あまつさへ女子高校生のグループも居たりするのです。
不安になりもう1回切符を見直しましたが間違いなく映画の題名は「大奥」でした。
千葉市内に朝の9時から午後4時半まで資格更新のための講義をただただ聞くだけの用事がありました。
思っていたより早めに終わったので、たまには好きな映画でもと思い映画館の集合店に来たのですが、今すぐ観られる作品をとだけ考えて切符を買ったのです。
今年はNHKの大河ドラマは坂本龍馬を扱った作品になっています。また、最近の邦画では桜田門外の変を扱った江戸物作品などが目立ちます。
イワン・アサノヴィッチはちょうど待ち時間のない映画と思い、「大奥」がこの一連の江戸物作品の一角だと誤解して入場したのです。シリアスな江戸物作品だとばかり思っていたのです。
主演の俳優の名前も知りませんでした。でも映画が始まってすぐに、テレビでよく見かける若いタレント男優を見て女子高校生たちが映画を観に来た訳が分かりました。タレントグループ「嵐」の二宮和也が主演だったのです。
当ては外れてしまいましたが、入ってしまった映画館ですので最後まで観ました。
ストーリーは江戸幕府将軍・吉宗公から大奥の御女中に至るまでの男女がすべて逆転した姿で、大奥社会の人間関係のトリビアを興味深く描いており結構おもしろいものでした。
そして、現代にも通ずる人間社会の悲喜こもごものパロデイーも作品の横糸としてしっかり描かれていました。脇役の佐々木蔵之助が清純イメージを逆転させた汚れ役を見事に演じていました。
それよりもテレビで見かける、如何にも頼りなさそうな二宮和也くんが武士社会のどんな渦中にあってもイナセな役をムリなくこなしていたことが意外の収穫でした。