大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

浦和における4バック論議

2008-08-05 05:07:35 | サッカー全般
現在日本のサッカーシーンにおいてシステム論というのが一つの流行になっていて、それは3年前のジーコジャパンにおける3バックか4バックかという状況に近いものがある。あの当時と違うところは、当時はどちらかと言えば日本では3バックが現実的であったのに対し、現在は欧州トレンドを意識したせいか4バック論が優勢になって来ているように思える。

勿論、世界トレンドやサイドの守備という点を考えると4バックというのが自然な流れであるとは私自身思う。その反面、なぜ日本では3バックから4バックへの以降がなかなか上手くいかなかったのか、或いは何故今でも3バックのチームが存在するのかという背景の分析がおざなりになったまま4バック論へ安易に傾いているような気がしてならないのが気になる。

で、今回浦和レッズにおける4バック論議というのは、4バックというのを考える上で格好のテキストになるんじゃないかと思って考えてみた。まあ、私自身基本はガンバサポだけども、他チームの試合で嫌がおうにも気になるのがこの赤いチームの戦い方で、皆何だかんだ言っているけど、このチームにはやはり日本を代表するクラブとしての相応しい戦い方を求めているんじゃないかという気はする。勿論それは当の浦和自身が一番良く判っていることだろうけども。

現在浦和の基本形は3-4-1-2で従来ドイツでは主流であり、日本でも長い間(というか今でも)よく用いられている形ではある。これに関してサカダイで壁、じゃなかった加部さんが3代に渡って3-4-1-2の本家ドイツ人であって、エンゲルス監督は日本での生活が長い分欧州のトレンドに疎くなっていることが4バックを遠ざけている云々。まあ、こういう記事読んでいるとライター稼業って本当に表層的な部分だけを見て出来るお気楽な仕事だと思いますよ。

実際のところ、ブッフバルトもオジェックもドイツでプロのコーチライセンスを取得した監督であり、オジェックはFIFAの技術員長でもあったのだから欧州でどのような戦術トレンドであるかは判らないはずがない。唯一気にかかるのはエンゲルスなんだけども、彼とて4バックのチームの経験がないわけではないし、この情報化社会の中で日本にいても欧州CLの試合はスカパーで見ているはず。まあ、岡野さんと同様にスカパーには入っているだろうし・・・

では、その彼らがなぜこれまで4バックに舵取りが取れなかったのかと言えば、監督であるゆえに、チーム内部において4バックを施行する上でやはり人的な問題があることを一番良く判っていたのではないかと思う。4バックなら3代に渡るドイツ人監督はオプションとしてやったことはあるからそのノウハウがないわけではない。ただ、戦術の柱として4バックをやる上で今の浦和には致命的な欠陥があったからではないか。

それは何もサイドバック不在とかではなく、4バックを任せられうるCBの人材が足りなかったということだと考えられる。前任者時代に4バックを施行していた際には坪井も堀之内も3バックのストッパーとしてはいいけども、4バックのセンターを任せるには、1対1の強さやラインコントロールでは物足りない。まあ、闘莉王なら代表でも経験があるから大丈夫と言われるかもしれないが、基本的にこの人は3バックのリベロであって、代表でやっている際には中澤というパートナーに恵まれていることと、代表では低いラインでやっている為に何とかこなせているというのが現状である。

従って、チームの人的資源を生かせる現実的な手法は3-4-1-2だとゲルトは選択しているのかもしれない。その内訳は、

・2トップにおける守備は一人余らせる形でできる
・相馬の推進力を使ってサイドの攻防を制す(これでサイドを押し込まれるという弱点をカバーする)
・ポンテの能力をフルに生かせるトップ下というポジションを残す

といったものだと推察される。

ただ、今の浦和に4バックという選択が全くないかといえばそうではなく、この間のリーグの鹿島戦やさいたまシティカップのバイエルン戦において後半から4バックに切り替えた。では、なぜそれが可能なのかと言えば、相手も引き気味になり、前線に人数をかけない状態になっていたということが考えられる。そうした場合、2トップでも片方が下がり気味になったり、完全1トップという形でしか前線に相手が人を残していなかったりすると、最終ラインの中央に3人もいる必要がなくなるわけで、その場合は4バックへ気兼ねなくシフトできるようになるからだと推察される。

だから頭から4バックで行くとなると、闘莉王と一緒に組むことが出来る屈強なCBが必要となってくるわけで、浦和がなぜアダイウントンをケガ持ちという情報を知っていながら日本にまで呼び寄せてメディカルチェックを行った意味というのは、4バック移行を視野に入れてまで、CBを探していたからなのか?まあ、今回は獲得を断念したようだけども、CB探しというのはそのベクトルからすれば続くだろう。

以上のように、浦和が4バックになかなか移行出来ない理由として、CBの人材に原因を求めてみたが、考えてみれば、今の日本でも世界基準に照らし合わせても本当の意味で1対1に対して絶対負けない、4バック向きのCBがいるかと言えば?ではあるんだよなあ・・・それが今まで日本において4バックより3バックが好まれていた理由の一つには挙げられると思うのだけども。

まあ、こう書くと今は4バックのチームが増えているじゃないか、という声が聞こえてくる。確かにそうではあるんだけども、実際4バックが完全に機能し、かつ高いラインコントロールを遂行できているチームってどのくらいあるだろうか?4バックといっても低いライン設定でなら掃除役を果たせるというCBが殆どだろうし、ガンバの4バックだって安田の位置取りからすると実質3バックの4バックということも言えなくもない。ウチのカントクはサイドバックの位置にミチを置いているのは、守備はともかくそこから仕掛けさせる為、という攻撃優先のチーム体質の表れでしかない。その意味では浦和が4バックに対して慎重なのは、ある意味守備戦術に対しては完璧を期そうとしているのだろう。「何はともあれ、やってみなはれ。その後は歩きながら考えまひょ」という選択がなかなか難しい事情があるんでしょうね。