大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

今更ながら岡田ジャパンを振り返る~戦術転換の理由の説明が方便だった、という仮説

2011-08-31 19:34:52 | サッカー全般
W杯予選に入る前にかねてから書こうと思っていたことを書きます。前回の南アフリカ大会において岡田ジャパンが一番頭を悩ませた問題は、引いてくる相手を如何に攻めるかというアジア予選仕様から、格上の相手に対して如何に戦うかという本戦仕様への転換だったように思えるわけで、それについての今になって思うことを書いてみます。

大会直前になっても主力選手のコンディションが上がらないから、という理由でもって方針転換をした岡田ジャパンなんだけども、この点筆者が気になっていたのは試合内容や決が出ないのを一部の主力選手のコンディションのせいにして戦術を180度転換したということだった。仮にその論理をたどるならば、逆に「主力選手」らのコンディションが万全であれば、以前からやっていたハイプレスのサッカーで勝負してしまい、完全に玉砕していた可能性だって考えられたかもしれない。勿論、上手く行っていた可能性がないわけではないけども、恐らく順当に一次リーグ突破どころか3戦全敗、もしくはチーム状態の良くないカメルーン相手に辛うじて引き分けというところで終わっていたかもしれない。

そう考えると、終わりよければ全てよし、という気持ちにはあまりなれなかったというか、結果が出たからこそその過程を充分検証しなければ、次回大会でフランスの二の舞になる恐れがあるんじゃないかと考えていたわけなんだけども・・・岡田さんの言葉を額面通りに受け止めてしまうと、単なる結果オーライやったやん、とも言えるわけなんだけどもね・・・

自分としては、去年のW杯で、結果がどうあれ、それに向けて岡田氏が取り組んできた強化の過程というのは決して無駄にはならなかったと今でも思うんだけども、今の日本のメディア業界では、結果を残して居なければカンブリア宮殿にあの人が出演することもなかったし、「個でも勝つ」という方針での強化スタイルがスポットを浴びることもなかったし、それどころかやはりこのやり方は失敗だったと批判されていたかもしれない。失敗だったと言っても、部分的には優れた方法論というのはサッカーには数多く存在するとは思う(後述するがジーコがもたらしたものが今になってジワジワと効いてきているのも確かだ)。

そう考えると結果は勿論大事というかそれこそ結果が全てという風潮というのはある意味大事なことが見落とさられているな、とは思った。

だからこそ、こうした岡田前監督の方針転換に至った過程を説明する上で、実は主力のコンディションが上がっていなかったというのは対外的には、外された選手らのことを気遣った方便に過ぎなかったのではないか、と仮説を立てると色々見えてくると思って書き進めていきますけどもね。

ヤットの本を読んでいると岡田監督がヤットを部屋に呼び出して方針転換を説明したのだが(このことから、ヤットがピッチ上での現場監督で在り続けていることが判る)、その際に俊輔を外すということを岡田監督がヤットに告げた経緯が描かれている。このことからすれば、報道で対外的に岡田監督が言っていた「一部の主力選手」というのはズバリ俊輔のことを指していたのだということが伺えるんだけども、敢えて名指しをしなかったというのが岡田監督の配慮だったかもしれない(こうしたオブラートに包んだ言い方を裏付ける為に、一緒に本大会では外された楢崎らはとばっちりを食らったかもしれないが)。

そこで、主力選手らが、という風に主語をオブラートに包んだ言い方というのが岡田監督の方便であったとするならば、他の部分も結構怪しいと思えてくるw 深夜にパッとひらめいて、コーチ陣を叩き起こして戦術ミーティングを行ったというのも、いかにも良く出来た話なんじゃないか、って思うわけですよw 本当はもっと前からある程度準備していなければ、突貫工事で通用する程W杯は甘くないはずなんですがね・・・

けれども、そうした準備を前からしていたかどうかを図るポイントは方針転換する前の実戦ではあまり見られなかった。だからこそ結局は憶測に頼ることしか出来ないんだけども、考えられるとしたら、ハイプレスのサッカーをやろうとしたら、紅白戦での相手に見立てたチームというのは当然その真逆のスタイルということになるわけで、そうした「逆岡田ジャパン」というのがベースにあったんじゃないかとw

ただ、そうした仮説に基づいて考えてみると、残念なことが出てくる。それはセレクションが早すぎたということだ。メンバーを発表してから方針転換をしたというところを見ると、発表をもう少し遅らせていればとか、あるいはもう少し早くから方針転換できていれば、転換後のスタイルに合った選手選考が出来たのではないか、とも思える。南アフリカ大会で敢えて日本に足りないピースを挙げるとしたら、両サイドの大久保と松井の運動量が大体6,70分で切れてしまう分、そのサイドアタッカーが必要で、大会期間中に筆者は、昔居た会社の先輩に、もし誰か加えるとしたら誰がいいと訊かれて、香川と石川ナオですかね、と答えたっけ。

そうした方針転換をギリギリにまでなって行ったというのは、やはりそれをやると、高い位置でボールを奪えなくなる分、攻撃の威力が落ちてしまうということを岡田監督は危惧したからだったように思う。そこが日本の悩みどころで、低い位置で奪っても一気に前にもっていける推進力とか、少ない決定機でも決められる世界的なストライカーといった人材が掛けているところからチーム作りがスタートしているわけで、実際方針転換してイングランド戦の後にも攻撃的な選手らからは不満が出たので、コートジボワール相手には敢えて元のやり方でやって、そのやり方ではもう通用しないということを選手らに解らせた。やはり、ザックジャパンにしても最大の課題は予選仕様と本戦仕様との切り替えをどこで行うかが課題になってくるように思えるのだが、どこで予選仕様に見切りをつけるかですな。

理解しにくいのは、そうやって守備に重点を置くサッカーに転換した岡田監督は、一次リーグの最終戦のデンマーク相手には、ドローでもOKという状況にも関わらず、敢えて2ボランチに戻して、攻撃的に行け、というメッセージを送ったことだった。これまで積み重ねて来た形を敢えてこの状況で変えたというのは、ドローでもOKだと考えるな、という意味で、過去の自身の経験に照らし合わせても、こういう時は受けに廻ってはいけないと考えたのだろう。ただ、それが裏目に出て、というか相手が前がかりになるとこの発想は却ってピンチを招いてしまい、ゲーム序盤にトマソンを捕まえきれなくなってしまった(逆に今季ACLでセレッソは同じシチュエーションで、ホーム山東戦で小松をスタメン起用して4-4-1-1のような2トップ気味な1トップという形にしたが、山東が引いてくれていたので助かった)。

そこで、監督のゲームプランの失敗を修正するかのように選手らの進言で元に戻したのが救いだったが、これもジーコが着手した選手の自主性を促すような意識改革によって、選手らが監督任せでなくなったという成果の現れを示す象徴的な出来事だったのかもしれない。

J聯賽第24輪 大阪鋼巴 4-0 神戸勝利船

2011-08-30 07:32:27 | ガンバ大阪
試合後勝利に沸く此方側から見ると、反対側の神戸のゴル裏は選手らにブーイングしていないのは意外な気はしていた。「ダービー」と自称する割にはこの内容と結果でブーイングしないというのはあまりにも淡白すぎるし、ダービーの看板倒れになるんじゃないかと思ったんだけどもね。比較的ヌルイと言われているセレッソでさえも先の大阪ダービーでは引き分けでもブーイングしたのを見て彼らもようやくダービーを理解するようになったと思っていたが、今回のあちらさんはブーイングなしですかそうですか。確かに選手は頑張っていたかもしれないし、こちらから見ると劣勢を挽回しようと必死に三原と、俺とDO君だけの英雄が走りまわっていたんだし、嘉人クンが味方に怒鳴っていたのも彼なりにガンバに対するライバル意識から来る勝利へのこだわりだったとも取れる。

ただ、この試合がダービーという位置づけならばどんな内容であっても相手から3ポイントをもぎ取ること以外あり得ない、ということが解っていたらあの対応はないわな、と思うんですがね。だから、ブーイングする方だってこういう試合でするのは選手に対しては結構厳しいんだけども、そこを敢えてガンバとセレッソはブーイングしたわけですよ。

けれども、これはあくまでもこちらの一方的な視点であって、同じものを共有出来ていない相手に対してこちらの論理を押し付けるのは可哀想かな、と思いますね。多分神戸サポだって内心、主催者の側から押し付けられた、ダービーという名目を借りた煽り文句の数々に対して正直シラケてるんじゃないか?ちょうどこの時期、三木谷サンが債務放棄を決めたことがこちらの側でネタになっていたけども、あちら側からすればお前らが言うな、ということなんでしょうね・・・阪神大震災の後にダイエーに見放されてから必死に生きてきたわけですから、クラブ存続の為には、三木谷氏は貸し付けている、という形をとって資金援助しているのを我々がとやかく言うつもりはないけども(でも、彼に頭が上がらないからこそ、本当は彼のことを皆嫌っているんじゃないか?w)。

だからまあ、こちらも好きなことをやらせてもらいましたよ。昼に南京町でサポ仲間らと食事し(民生のイカの天ぷらは美味かった!)、電車ジャックに参加して、応援も試合も存分に楽しむ機会を神戸が提供してくれたわけですからこれを楽しまない手はないですからね。

試合を振り返ってみても、ディフェンスの裏にボールを入れたのはピッチコンディションというのが一つと、あとは神戸が割と前からプレスに行ってディフェンスラインも押し上げて来ているというのを見ていたというのもあるかもしれない。隣にいたDO君とも話していたが、「俺らだけの英雄」をヤットが食いつかせておいてその空いたスペースが狙い目だとは考えていたけども、正に想定内の展開。得点してからも彼と三原の両ボランチが前がかりになる分、こちらとしては相手のCBを引っ張り出す形での勝負に持ち込みやすくなるんで追加点を上げていける。

これは結局好調のチーム同士故に一方的な展開になった、と言えるのかもしれない。今まで神戸にやられていた時というのは、どちらかと言えば神戸が格上のガンバに対して取ってきた弱者の戦術が上手くハマっていたとも言えるわけで、今回はあまりにも正攻法過ぎたのかもしれないな。ただ、それは神戸が最近連勝してきて比較的好調であったがゆえに自分たちのやり方をあまり変えたくはないという気持ちが、和田ぼんの中にはあったからだろうね。そこのところは相手に合わせすぎてもこの間の柏のようになるから、サッカーって本当に難しいですねw

まあ、こちらも一応神戸にやられるとしたらカウンターだというのが解っていたから、開始早々の縦ポンにしてみ和道が上手く対処していたし、前半最後のCKにしてもCBが上がらず、こちらがショートコーナーでボールを廻してカウンターのリスクをケアして1-0で折り返す周到ぶり。後半はアフォンソを出す余裕はあった、というよりもアフォンソというのは最近カントクがやっている、相手のデータにない選手を投入するという用兵の一環だろう(大阪ダービーでコータローを入れた時にもそうコメントしている)。アフォンソは守備時に少し不用意に飛び込みすぎるきらいはあるけども、藤春が福岡戦と違って安易に飛び込む癖を修正してガマン出来るようになったのと同様に彼も守備を覚えていけば戦力化出来るとは思うんですがね。

明日の神戸戦

2011-08-27 23:09:10 | ガンバ大阪
下平の怪我というのが痛い、というくらいの選手に彼はなって来たな。そうなると、代役は、武井か藤春か、はたまたプジョ道かということなるんだけども、いずれにしても神戸は前節の福岡戦と同様に立ち上がりにボランチへのパスコースを消しつつ急造サイドバックにまずプレスを掛けて来るんじゃないだろうか?万博での前回の対戦の後のセレッソ戦でこの形がハマって丸橋のミスを誘発したというのもあるし。となると、まだまだ湿度が高い中での試合故にあちらは時間限定でプレスを掛けて来るだろうから、そこを如何にいなしてゲームを落ち着かせるかですな。前半を悪くともイーブンで折り返せば、後半何とか出来るんじゃないか、って思いながら明日は神戸に向かうことにします。

J聯賽第23輪 大阪鋼巴 2-0 柏太陽神

2011-08-25 11:52:52 | ガンバ大阪
ACL未消化であった分も含めるとACL組の連戦のキツさはハンパなかったけれども、ずっと大阪を動くことがなかったのがウチには幸いした。それに比べるとお隣さんは同じ時期にアウェー3連戦はキツかっただろうなあ...そのアドバンテージをしっかり生かして首位をキープできたのは申し分ない。

ただ、柏との対戦でいつも思うんだけども、彼らはウチのことをリスペクトし過ぎるんじゃないか?確かにガンバに対する相性の悪さとか前回日立台でやられた反省というのを踏まえてか、アウェーでの戦い方をしっかり準備していたと伺えるような試合運びではあった。

まあ、それは確かにこちらからすれば、戦前に予想していたようなもので、ヤットに対して茨田をマンマークで付けて、大谷に替えてアンヨンハをスタメン起用する等のやり方から、守りから入るという形が先制されるまでは上手く行っていたわけなんだけども。ただ、攻撃時に茨田が上がって4231を形成する際に仕掛けの位置が低いようには感じられた。これは、ヤットが茨田のマンマークを逆手に取って、二列目に上がって明神が中盤の底に収まり、スンヨンと下平を使ってビルドアップする際にスンヨン辺りが潰されていたところでも感じていたが、3列目で奪い前に残ってる選手でカウンターを仕掛ける所でも感じられたことだった。ガンバが前半作っいた形と言えば、柏の両サイドバックの裏をついてチャンスを作るところで、スンヨンは惜しかったな...後半はショーキを入れてそれまで抜けられなかった真ん中の壁を抜けられるようにして徐々に相手のラインを乱して行ったのだけども、ラフィーが抜け出した場面は並んでたと思ったけどもね...

全体的に見ると、柏はゲームを上手く殺していたんだけども、同時にそれは自分達の攻撃の持ち味とのバーターではあったようにも思えた。それが攻撃面においても表れていて、こちらが失点するリスクは、立ち上がりの智の凡ミスと、後半橋本のオーバーラップしてのシュートぐらいしかなかった。まあ、こっちにしても、工藤の1トップだったので後半から両サイドを高い位置に上げてトイメンを押し込むと殆どこちらのゲームになった分、柏も攻撃が手詰まりになっていた。

だからその中で唯一チャンスらしかった橋本のシュートが、ディフェンスに当たって枠に行かなかった代わりに大塚のシュートとは言い難いクロスがワグネルに当たってゴールイするなど、得点派はほんのちょっとした運に左右され、それで集中を切らした近藤のミスをアフォンソが逃さなかったところで決まってしまったため、柏としてはゲームプランの反動であるせいか、反撃も十分でなかった。

最後のCKではワグネルを下げて居た為にレドミが普段からとは違う、インスイングで蹴ったが、アウトスイングとは勝手が違うのか、完全にファーに飛ばすなど、交代もチグハグだったかな。林は去年の天皇杯ではポストがうまかったし、田中順也は日立台では強烈な一発をかまされていたから結構嫌な存在だったけど、もう少し早く動いていたらどうだっただろうか?

柏戦プレビュー ~ホームの柏よりアウェーの柏の方が厄介かな?

2011-08-23 23:48:42 | ガンバ大阪
明日の柏戦を迎えるに当たって考えておかねばならないことは、柏のネルシーニョ監督は2ヶ月前にやった時よりは当然やり方は考えて来るだろうな、ということだろう。ホームの柏よりはアウェーの柏の方がアウェーの戦い方を徹底出来る分厄介な気がするのは筆者だけだろうか?

柏から見て狙い目があるとしたら、一つは出場停止の加地さんが不在の右サイド。ここには武井が入ると思われるのだが、序盤は武井のところを狙ってプレスを掛けてくることが考えられる(これはラウンド16でセレッソが左サイドの武井に対して仕掛けて来たものでもあるが)。ただ、トイメンでマッチアップするのが多分ワグネルだろうけども、どこまでプレスを掛けて来るかですな・・・あと、パクどんがもし出てこれるんなら彼の中央右から武井の側に向けてフィードは蹴って来るだろうね。

もう一つは右サイドバックの酒井のスピードを生かしてスピードにもろさがある下平の裏を取ってくるところ。前回はU-22の五輪予選で不在であったところがガンバには幸いしたけども、今度は先の福岡戦で同点ゴールのアシストを彷彿とさせる切れ込みをやられると厄介ではあると思う。

ただ、ガンバから見ると柏の武器となる両サイドは同時に弱点とも取れるわけです。柏の場合攻撃時に両サイドが高く張る(ただ左サイドはワグネルがサイドを張るなら橋本が中へ入って来るが)。その分サイドの裏にボールを入れることは日立台の対戦でもやっていたけども、それでCBを引っ張り出しても2ボランチが残ってスペースをカバーする。まあ、これは今回の対戦でも当然ガンバはやるだろうし、それ故にこの時点からだがショーキはスタメンで出てくるでしょう。その分グノが2列目に下がるという布陣だが、本当はグノをトップで起用したいところではあるんだけどもね。柏が前節の福岡戦で英也にやられたゴールシーンとかを見ると、正にこれこそショーキの得意とする形でこれをやれとカントクは指示して来るだろうな。

で、これに対して柏なんだけども、出場停止明けでパクどんをスタメンに使って来るのかな?まあそれは、彼の持つ対人の強さだけでなく、ソータ君とは比べものにならない程の対角線フィードの使い手であるだけに自陣からどんどんそうした形を蹴って来るかもしれない。それはウチに居た時もこの人の上手さは解っていたが、前回の天皇杯の対戦でも彼のフィードの上手さを再認識させられた。普段からソータのフィードを見慣れていると余計にそう感じるんだけどもw ただ、その分彼はガンバ時代もそうだったけども、裏への対応とかスピード系と相対した場合の横の対応に弱さはあるような気がしてそこがガンバとしては狙い目なのかという気がするのだが。

全体的な柏は、昨年の天皇杯の時のようにある程度ボールは持たせてもいいという前提でゲームプランを立てて来るかもしれない。ただ、それは決して攻められっぱなしという意味ではない。状況によっては流れが自分たちの側にある時には枚数をかけて攻めてくる。前回日立台の対戦でも2点リードされてから前線に3トップ気味で攻めてきた時しかり、福岡戦の同点ゴールにおいては右から仕掛ける際に逆サイドに人数をかけて居たことも忘れてはならない。それをどこで仕掛けて来るかですな。あと、こちらがリードしていてクロージングする際に相手が前線に枚数を増やしているからといって5バックなんかで墓穴掘らないようにしよう。どちらかと言えばアンカーで横谷を入れる方がまだ両サイドを高く保てるとは思うし。

J聯賽第22輪 大阪鋼巴 6-3 川崎前鋒

2011-08-21 11:33:30 | ガンバ大阪
敗れた方の川崎の側から、今のガンバが2年前の川崎みたいな外人頼みという声が聞こえて来るらしいんですな。実は自分が今の川崎を認めている部分というのが、相馬監督が目指しているサッカーのスタイルは、前と比べてポゼッション重視で中盤をコンパクトに保ち高い位置からプレスを掛けるというもので、2年前に比べて全体で攻撃と守備をする意識が高まったと言える(実際自陣からの繋ぎは良くなった)。ただ、それを攻撃的と言って2年前の川崎のサッカーを切り捨てていいものだろうかね?というのも、攻撃的という形容詞の定義というのが曖昧で、それは人によって異なるからなんだけども。

総得点を多く挙げることなのか、一試合全体でポゼッションを相手より上回ることなのか、シュート数で上回ることなのか、最終ラインを高く保ち続けるのか、リスクを冒して攻撃に人数を掛けることを言うのか、等々色々と攻撃的であるか否かを判断する材料はあり、その結論は人によって変わると思うんだけどもね。ガンバの場合には、ポゼッションだけでなく、縦にボールを入れることも今季から意識し始めたことが誤解されているかもしれない。

川崎の場合以前は強力な攻撃陣を活かす戦術、という意味で現在とは違う意味での「攻撃的」なサッカーだったんだとは思っていたんだけども、そんなに自分たちの過去を貶めたいんだろうか?まあ、ウチらについて何か言いたいのなら好きに言って貰っても全然構わないんですけども、それなら相馬監督と心中する覚悟は出来ているわけですよね?

この試合のゲームプランは、川崎を想定したところから始まっていた。フタと明神をベンチスタートさせたのは連戦の疲労を考慮したことと、けが人続出の状態で後半の交代カードを温存しておきたいという狙いがあった。それによって相手に押され気味であったとしても川崎相手なら点の取り合いになるということで、最悪1点のビハインドで後半途中まで迎えればOKというものだった。そしてスタメンでは川崎の高いラインの裏を取るべくショーキを前線に起用し、グノを右SHにして、先の福岡戦から裏を取られていた(松浦のポスト直撃弾があったっけ)実藤に圧力を掛けるという狙いがあったように思えた。

それが功を奏して前半右から起点に2点をリード。先制点なんかはショーキが川崎のもう一つの弱点でもある、ゾーン故にDFの間に生じるギャップを上手くつくことが出来たものだった。

ただ、そのまますんなり行かないのが川崎相手で、最初の失点なんかは智の対応は確かに悪かったんだけども、彼の横に矢島がいて、後ろから山瀬のお兄ちゃんが走りこんでいる中では、智は2人ケアしなければ行けなかったのか、という気はしますね。3点目もヤットと武井の対応が軽くてそこからお兄ちゃんにミドル打たれたんだけども、明神が居れば防げたかな・・・

ただ、結果的にはフタと明神の温存が後半になって効いた。こちらから見てもあり得ないようなPKの判定で追いつき(ヤットがラフィーニャに蹴りたいか?とポル語で訊いたらしいが)、しかも実藤が退場になる数的優位の状況が到来したけども、個人的には当初それが逆に嫌な予感がした。それによって却って川崎の守備意識が高まり、それまでこちらが突いていた両サイドの裏のスペースがなくなってしまうんじゃないかと思った。まあ、それを見て裏にスペースが無い中ではショーキやスンヨンを引っ張らずに、2枚替えで明神とフタを投入し、川崎のカウンターを高いラインで封じ込めて(唯一失点の匂いがしたケンゴのFKについては、僕と隣にいたDO君による花道ばりの念が届いてか枠を外してくれましたw)、去年の万博の川崎戦の再来ともいうべき明神のミドルがDFに当たってコースが変わってゴールイン。これで前がかりなってきた川崎の裏を狙えるようになってカウンターでチャンスを作り、ラフィーニャがハットを決めて爆勝。

正直数的優位が出来るまでは川崎の方がポゼッションで上回っていたのは前半のスタッツで判るんだけども、ああいうサッカーをやるには後ろのコマの能力がモロに出るかなという気はした。これは同じく攻撃時に2バックになるという意味ではセレッソを近くで見ているから判るんだけども、ああいうやり方って1対1で負けない茂庭と神セーブ連発出来るジンヒョンが止めるという前提なんよね・・・川崎見ていると相澤はセレッソにレンタルで出されていた時に長居で時々見ていたけども、彼の働きが充分でなかったからセレッソはGKを探していてそこにジンヒョンを発掘出来たということが全てじゃないですかね。井川と菊池というのも対人系という点では見劣りするかもしれないけども、ビルドアップとかラインコントロールとかの役割というのが求められているのかな・・・まあでも、今の川崎の不調というのは実藤が入っているところに小宮山が、そしてカウンターにさらされた時のスペースをケア出来る稲本が戻れば充分持ち直せると思うんですがね。

だからこそフロサポの皆さん、「攻撃的」なスタイルを貫く相馬監督のスタイルをサポートしてあげて下さい。

本日の川崎戦

2011-08-20 09:26:10 | ガンバ大阪
さて、川崎戦であるけども、ウチらがこの間破った福岡が破った相手だから、ウチらも簡単に勝てる・・・という風に行かないのがサッカーというもので、毎試合ごとに自チームと相手チームの状態というのが変化するものであるからだ。

ちなみに福岡なんだけども、ガンバ戦では引きすぎたのを反省してか、川崎相手だと裏を取られるのを覚悟の上で強気にラインを押し上げていたという姿勢はなかなかのものだった。まあ、これをウチが出来るとなると・・・ソータに代わって入る和道がそういうやり方にフィットしていないのが気になるかな。となると、ラインはあまり押し上げない形でカバーリングで抑えることになるのかもしれない。名古屋相手だとケネディの高さにやられるけども、川崎相手の地上戦だとこのやり方の方がいいかもしれない。

相手の川崎は、ダービー前の偵察でセレッソとの試合と、先の福岡戦を見ていたけども、攻撃時に両サイドが高い位置を張る2バックの形を取っているんだけども、井川と菊池の間にボールを入れられた時の対応や左サイドの実藤の裏に穴があるかもしれない。そのあたりにグノを走らせて撹乱出来るかなんだけども。関西では1日遅れなのでまだ読んでいないがエルゴラによると相馬さんはやり方を変えないらしい。まあ、この報道をそのまま鵜呑みには出来ないんだけども、従来のやり方を踏襲するとなるとこちらにも付け入るスキはある、けども、こちらだって相手に付け入られるスキがあるというのがガンバと川崎の試合というものだろうw

J聯賽第9輪 大阪鋼巴 2-2 名古屋鯨八

2011-08-18 07:34:36 | ガンバ大阪
審判の問題についてはあまり言いたくはない。この問題は今に始まったことではないし。個人的には首位攻防戦とかダービーとかがPKで決着が着くというよりは選手らのプレーで決着をつけさせるという形の方が勝っても負けてもまだ納得が行くんだと思うんで、松尾主審がPKをもらいに行ったと判断して流したのならそれは仕方ない。まあ、審判に泣くこともあれば笑うこともあるのがサッカーなわけで、次に名古屋でやる時には、え、あれがPKかよ、とグラサポさんらが怒るようなPKを貰えるかもしれないしw え、もう浦和戦取られたって?これは失礼しましたw

これは別に審判に何も文句がない、と言っているのとはちょっと違う。そら、僕かて目の前に松尾がいたら文句言いたいですよw ただ、それだけのせいにしてしまうと、ゲームにおける課題だとか反省点とかいうものがぼやけてしまうということもある。勝ちきれなかったのは自分たちだけのせいではないにしても、自分たちに課題がなかったわけでもない。この辺りの精神バランスというのを如何に保つかが難しいところなんだけども。

戦い方については、後半同点に追いつかれるまでは申し分なかった。前半押し気味であったものの、名古屋が守備時に4-2-3-1でバイタルをケアして、後ろでしっかりブロックを作り、2CBが深めの位置どりでカウンターをケアしていた為、バイタルまでは運べてもなかなか点が取れず、名古屋がセットプレーで、ケネディをファーに立たせるところから始まり、途中からケネディや闘莉王をゴール付近に立たせたりと色々手を変え品を変えて襲いかかるところをしのぎ、丁度CKで闘莉王が上がったところが幸いしてラフィーニャについていたのが阿部だったので、下平に落とし、そのリターンをラフィーニャが決めて先制!追いつかれたけども、名古屋が前がかりになり、ダニルソンを投入して彼の運動量でリスクヘッジをしつつも逆転を狙っていたが、そのダニルソンを一度真ん中で食いつかせてから、サイドへ展開し、フタのクロスにグノが合わせて、ごめんねスンヨンが勝ち越しのゴールを挙げたところまでは最高やったなあ・・・

ただ、その後のクロージングなんだけども、同点ゴールのところは5バックが裏目に出たかな、という気はする。それでサイドから当たれず、後ろでブロックを作る形になった分、左サイドの低い位置からボックスにクロスを入れられてしまっているんだけども、失点場面見るとやはり守備が軽い。ただ、これは逆に誰がどこで誰を見るかというのが一人余ったことで却って曖昧になったという気がしないでもない。スンヨンの負傷で交代となったにしても、彼が元々前線からの守備要員ということであるのならば、ジョンヤと横谷の投入の順序が逆でも良かったような気がしないでもないが、これは結果論でしょうね。

最終ラインについては上げるか下げるかというのが非常に難しい相手であるのが名古屋なわけで、下げるとケネディがゴール前で力強さを発揮するし、上げると今度は玉田や永井のスピードにブッコ抜かれるリスクもある。それ故に相手にラインをコントロールさせないのが国内における名古屋の強さでACLでは中韓とやると相手はラインは低いけども、CBについては対人の強さだけはある(ビルドアップやラインコントロールは別にして)。それ故にケネディの高さというアドバンテージが生かせていないのだろう。本当は名古屋にはACLでディフェンディングチャンピオンとして簡単に敗退して欲しくなかったんだけども、一発勝負というのはその時の状態とか相手の勢いとか、更には時の運とかいうのが左右されるものなんだろう。あの時名古屋は野戦病院状態だったのが気の毒だったけども。

でも、最近ラグビーの世界最強と言われているオールブラックス本で、ワイルドナイツのSOトニー・ブラウンのインタビューのところを読んだけども、彼は確かにW杯で勝てないことを認めつつも、本当に価値があることは長い間にわたって安定した強さを発揮することだと述べていたわけ。まあ、彼らが感じている強大なプレッシャーなんかは、ガンバや名古屋ごときと比べること自体失礼かもしれないんだけども、長いシーズンで上位に上がってきているという意味では、自分はガンバに対して誇りに思うし、名古屋はやはり強いと認める。出来れば来年は昨日のような好勝負をACLのノックアウトステージでやりたいものですな。

いよいよ首位攻防の名古屋戦プレビュー

2011-08-17 00:52:20 | ガンバ大阪
前節のダービーで貰った警告によって、今回加地さんと武井が出場停止になる、というところからキャスティングをどう考えるかなんだけども。右サイド守備だけでプジョ道というのはあり得るかもしれないが、蓋開けてみればまたまたスンヨンとかいう禁じ手をやってしまいそうなのがウチのカントクだったりするからなw 前回のダービーにしても、スンヨンが負傷して交代する際にそこで、コータロー入れるという選択はあったかもしれない。グノをトップで使い続けるということにこだわるならなんだけども、そこは過去の序列によってショーキを入れてしまうっていう形を取ってしまった。

まあ、こういうやり方って、相手を見て考えているものではないが、裏返せば相手を見過ぎるあまり自分たちの持ち味というのを殺してしまうというような形をカントクはとっていないとも取れるわけで(逆に策士策に溺れることがあるのがネルシーニョだったりもする)。それが時と場合によっては良かったりもするんだけども、逆に今年3度のダービーではセレッソの状態や戦術を見てというよりも対戦する時点で自分たちのベストというやり方を取っていたことが結果に現れている。開幕戦では、その前のACLメルボルン相手に3バックの相手に2トップをやっていたのだが、それをそのままスライドしてセレッソにぶつけたのがハマッた。ラウンド16でのダービーではその時アドの1トップだったけども、それがセレッソの2バックに対して有効な圧力になりえずにポゼッションを渡してしまった。そして今回は2トップであったのが内容では上回れたんだけども・・・

で、名古屋相手にどうするかなんだけども、加地さんの代役は、ケネディへの高さ対策の意味もこめて、プジョ道と願望を込めて予想しておこうw 問題は中盤の構成で、横谷やコータローあたりが使えればいいんだけども、カントクの頭の中身を知っていれば、グノをSHに持ってきてラフィーニャとショーキという2トップにしてしまいかねないわけです。アドが抜けてからはグノをトップで使い続けるという形がハマッたのが一番好調の理由だと考えただけに、グノとラフィーニャの2トップというのは動かして欲しくないな、と思うんだけどもね。

相手の名古屋からすれば、前節のダービーをスカウティングしていれば、ラフィーニャとグノの2トップに入る楔を潰してしまおうと当然考えるし、ガンバからすればアンカー(中村直志は出てくるのか?)の脇のスペースにボールを入れて、闘莉王を食いつかせようということは考えるだろう。そこら辺の攻防は去年の開幕戦でゴールを挙げたフタが居る居ないというのが大きく左右して来るとは思うんだけども。

守備においては、ケネディの高さというのが脅威なんだけども、今のガンバってACLとは違ってラインを下げながら対応している。ということは彼のゴール前でのヘディングの脅威にさらされることになる。かといってラインを上げれば今度は玉田のスピードにやられそうだというから名古屋というのは本当に厄介なチームだけども、ラインについては上げないで、ソータがケネディ相手にどれだけ頑張れるかですな。

付記:ダービーで警告もらっていたのが加地さんだと勘違いしていましたが、実は明神だったというこでお詫び致します。確かに出場停止の一覧見る限りでは出場停止は武井だけになっていました。

カマーチョの言う、「中国の選手は運動量がある」という言葉の意味

2011-08-15 23:20:03 | 中国サッカー
とうとうカマーチョが国足(サッカー中国代表)の監督になりましたか。ただ、就任時の会見で、彼が中国のサッカーについて運動量があると語っていた言葉の背景というのを色々と考えてみる必要はあるかもしれない。数年前に小宮良之氏だったと思うが、中国代表がスペインで試合をした際にスペインにボールをいいように回されて無駄走りを強いられて疲弊していったとコラムに書いていたっけ?その時中国人と間違えらていた小宮氏がタクシーの運ちゃんにチノは無駄に走ってばかりだったな、とどや顔で話しかけられたらしい。

つまり、体力はあるかもしれないけども、技術的には下手で、ポジショニングが的確ではないがゆえに無駄に走らされて後半バテてくるという中国サッカーの本質をスペイン人から見た印象で、かつオブラートに包んだ言い方でカマーチョ新監督は表現しているのかもしれないわけです。

もっとも、運動量がある、という見方も実はスペイン人の視点からだということを理解しておく必要があって、統計によると中超の試合で一試合平均の走行距離で10キロを超えている選手はごくわずかなんていう報道が中国メディアでなされていたとか。なでしこジャパンの選手だってもっと走っているんだけども・・・ 元々スペインでは走るということはそんなに褒められているものではなく、ボールを動かして相手を走らせ、自分たちは効率よいポジショニングで走行距離を抑えるというのが良いとされている国柄ではある(まあ、これを実現させる為にバルサでは前線の選手のプレッシングは相当なものだが)。だから、日本では運動量がまるで足りないと言われていた家長なんかは、スペインにおいてはオンザボールでのプレーの質を評価してもらえる為に非常に評価が高まって来る。まあ、それはリーガだから認められることであるわけで、日本代表のボランチとしてはまだまだ運動量が求められるんだけどもね。

カマーチョにしてみればいきなりぶっつけ本番で結果が求められるところが厳しいところかもしれない。まあ、これって代表のスポンサー企業の意向で外国人監督の招聘に協会が踏み切ったが故に土壇場で実現した交代なんだろうけども、カマーチョが中国選手の力量を把握するのには時間がかかるかもしれない。にもかかわらずこのような人事となったのは、スポンサー企業の意向が強いんだろうけども、ああいうところってサッカーについて充分理解しているとは言いがたいが、彼らは解ったつもりで金だけでなく口も出してくる、というところが痛し痒しなんだろうけどもね。

これは中国に限った話ではなく、欧州サッカーでも金満オーナーに買収されたクラブなんかが将来的なビジョンは全く持たずに、ビッグネームの選手を大金はたいて獲得するとか、短いスパンで首脳陣を交代させるとかいうことを平気でやったりするんだけども、これは彼らの一存だけでなく、それを取り巻く周りの雰囲気とか、声とかいうものも左右しているんじゃないかと思ったりもするわけで、直接間接的にメディアとか一部のサポの声というのが反映されているかもしれない。まあ、そうした声を反映させるには、受け止める側に財力があってこそ、という話なんだが、それはまた別の機会に話そう。