W杯予選に入る前にかねてから書こうと思っていたことを書きます。前回の南アフリカ大会において岡田ジャパンが一番頭を悩ませた問題は、引いてくる相手を如何に攻めるかというアジア予選仕様から、格上の相手に対して如何に戦うかという本戦仕様への転換だったように思えるわけで、それについての今になって思うことを書いてみます。
大会直前になっても主力選手のコンディションが上がらないから、という理由でもって方針転換をした岡田ジャパンなんだけども、この点筆者が気になっていたのは試合内容や決が出ないのを一部の主力選手のコンディションのせいにして戦術を180度転換したということだった。仮にその論理をたどるならば、逆に「主力選手」らのコンディションが万全であれば、以前からやっていたハイプレスのサッカーで勝負してしまい、完全に玉砕していた可能性だって考えられたかもしれない。勿論、上手く行っていた可能性がないわけではないけども、恐らく順当に一次リーグ突破どころか3戦全敗、もしくはチーム状態の良くないカメルーン相手に辛うじて引き分けというところで終わっていたかもしれない。
そう考えると、終わりよければ全てよし、という気持ちにはあまりなれなかったというか、結果が出たからこそその過程を充分検証しなければ、次回大会でフランスの二の舞になる恐れがあるんじゃないかと考えていたわけなんだけども・・・岡田さんの言葉を額面通りに受け止めてしまうと、単なる結果オーライやったやん、とも言えるわけなんだけどもね・・・
自分としては、去年のW杯で、結果がどうあれ、それに向けて岡田氏が取り組んできた強化の過程というのは決して無駄にはならなかったと今でも思うんだけども、今の日本のメディア業界では、結果を残して居なければカンブリア宮殿にあの人が出演することもなかったし、「個でも勝つ」という方針での強化スタイルがスポットを浴びることもなかったし、それどころかやはりこのやり方は失敗だったと批判されていたかもしれない。失敗だったと言っても、部分的には優れた方法論というのはサッカーには数多く存在するとは思う(後述するがジーコがもたらしたものが今になってジワジワと効いてきているのも確かだ)。
そう考えると結果は勿論大事というかそれこそ結果が全てという風潮というのはある意味大事なことが見落とさられているな、とは思った。
だからこそ、こうした岡田前監督の方針転換に至った過程を説明する上で、実は主力のコンディションが上がっていなかったというのは対外的には、外された選手らのことを気遣った方便に過ぎなかったのではないか、と仮説を立てると色々見えてくると思って書き進めていきますけどもね。
ヤットの本を読んでいると岡田監督がヤットを部屋に呼び出して方針転換を説明したのだが(このことから、ヤットがピッチ上での現場監督で在り続けていることが判る)、その際に俊輔を外すということを岡田監督がヤットに告げた経緯が描かれている。このことからすれば、報道で対外的に岡田監督が言っていた「一部の主力選手」というのはズバリ俊輔のことを指していたのだということが伺えるんだけども、敢えて名指しをしなかったというのが岡田監督の配慮だったかもしれない(こうしたオブラートに包んだ言い方を裏付ける為に、一緒に本大会では外された楢崎らはとばっちりを食らったかもしれないが)。
そこで、主力選手らが、という風に主語をオブラートに包んだ言い方というのが岡田監督の方便であったとするならば、他の部分も結構怪しいと思えてくるw 深夜にパッとひらめいて、コーチ陣を叩き起こして戦術ミーティングを行ったというのも、いかにも良く出来た話なんじゃないか、って思うわけですよw 本当はもっと前からある程度準備していなければ、突貫工事で通用する程W杯は甘くないはずなんですがね・・・
けれども、そうした準備を前からしていたかどうかを図るポイントは方針転換する前の実戦ではあまり見られなかった。だからこそ結局は憶測に頼ることしか出来ないんだけども、考えられるとしたら、ハイプレスのサッカーをやろうとしたら、紅白戦での相手に見立てたチームというのは当然その真逆のスタイルということになるわけで、そうした「逆岡田ジャパン」というのがベースにあったんじゃないかとw
ただ、そうした仮説に基づいて考えてみると、残念なことが出てくる。それはセレクションが早すぎたということだ。メンバーを発表してから方針転換をしたというところを見ると、発表をもう少し遅らせていればとか、あるいはもう少し早くから方針転換できていれば、転換後のスタイルに合った選手選考が出来たのではないか、とも思える。南アフリカ大会で敢えて日本に足りないピースを挙げるとしたら、両サイドの大久保と松井の運動量が大体6,70分で切れてしまう分、そのサイドアタッカーが必要で、大会期間中に筆者は、昔居た会社の先輩に、もし誰か加えるとしたら誰がいいと訊かれて、香川と石川ナオですかね、と答えたっけ。
そうした方針転換をギリギリにまでなって行ったというのは、やはりそれをやると、高い位置でボールを奪えなくなる分、攻撃の威力が落ちてしまうということを岡田監督は危惧したからだったように思う。そこが日本の悩みどころで、低い位置で奪っても一気に前にもっていける推進力とか、少ない決定機でも決められる世界的なストライカーといった人材が掛けているところからチーム作りがスタートしているわけで、実際方針転換してイングランド戦の後にも攻撃的な選手らからは不満が出たので、コートジボワール相手には敢えて元のやり方でやって、そのやり方ではもう通用しないということを選手らに解らせた。やはり、ザックジャパンにしても最大の課題は予選仕様と本戦仕様との切り替えをどこで行うかが課題になってくるように思えるのだが、どこで予選仕様に見切りをつけるかですな。
理解しにくいのは、そうやって守備に重点を置くサッカーに転換した岡田監督は、一次リーグの最終戦のデンマーク相手には、ドローでもOKという状況にも関わらず、敢えて2ボランチに戻して、攻撃的に行け、というメッセージを送ったことだった。これまで積み重ねて来た形を敢えてこの状況で変えたというのは、ドローでもOKだと考えるな、という意味で、過去の自身の経験に照らし合わせても、こういう時は受けに廻ってはいけないと考えたのだろう。ただ、それが裏目に出て、というか相手が前がかりになるとこの発想は却ってピンチを招いてしまい、ゲーム序盤にトマソンを捕まえきれなくなってしまった(逆に今季ACLでセレッソは同じシチュエーションで、ホーム山東戦で小松をスタメン起用して4-4-1-1のような2トップ気味な1トップという形にしたが、山東が引いてくれていたので助かった)。
そこで、監督のゲームプランの失敗を修正するかのように選手らの進言で元に戻したのが救いだったが、これもジーコが着手した選手の自主性を促すような意識改革によって、選手らが監督任せでなくなったという成果の現れを示す象徴的な出来事だったのかもしれない。
大会直前になっても主力選手のコンディションが上がらないから、という理由でもって方針転換をした岡田ジャパンなんだけども、この点筆者が気になっていたのは試合内容や決が出ないのを一部の主力選手のコンディションのせいにして戦術を180度転換したということだった。仮にその論理をたどるならば、逆に「主力選手」らのコンディションが万全であれば、以前からやっていたハイプレスのサッカーで勝負してしまい、完全に玉砕していた可能性だって考えられたかもしれない。勿論、上手く行っていた可能性がないわけではないけども、恐らく順当に一次リーグ突破どころか3戦全敗、もしくはチーム状態の良くないカメルーン相手に辛うじて引き分けというところで終わっていたかもしれない。
そう考えると、終わりよければ全てよし、という気持ちにはあまりなれなかったというか、結果が出たからこそその過程を充分検証しなければ、次回大会でフランスの二の舞になる恐れがあるんじゃないかと考えていたわけなんだけども・・・岡田さんの言葉を額面通りに受け止めてしまうと、単なる結果オーライやったやん、とも言えるわけなんだけどもね・・・
自分としては、去年のW杯で、結果がどうあれ、それに向けて岡田氏が取り組んできた強化の過程というのは決して無駄にはならなかったと今でも思うんだけども、今の日本のメディア業界では、結果を残して居なければカンブリア宮殿にあの人が出演することもなかったし、「個でも勝つ」という方針での強化スタイルがスポットを浴びることもなかったし、それどころかやはりこのやり方は失敗だったと批判されていたかもしれない。失敗だったと言っても、部分的には優れた方法論というのはサッカーには数多く存在するとは思う(後述するがジーコがもたらしたものが今になってジワジワと効いてきているのも確かだ)。
そう考えると結果は勿論大事というかそれこそ結果が全てという風潮というのはある意味大事なことが見落とさられているな、とは思った。
だからこそ、こうした岡田前監督の方針転換に至った過程を説明する上で、実は主力のコンディションが上がっていなかったというのは対外的には、外された選手らのことを気遣った方便に過ぎなかったのではないか、と仮説を立てると色々見えてくると思って書き進めていきますけどもね。
ヤットの本を読んでいると岡田監督がヤットを部屋に呼び出して方針転換を説明したのだが(このことから、ヤットがピッチ上での現場監督で在り続けていることが判る)、その際に俊輔を外すということを岡田監督がヤットに告げた経緯が描かれている。このことからすれば、報道で対外的に岡田監督が言っていた「一部の主力選手」というのはズバリ俊輔のことを指していたのだということが伺えるんだけども、敢えて名指しをしなかったというのが岡田監督の配慮だったかもしれない(こうしたオブラートに包んだ言い方を裏付ける為に、一緒に本大会では外された楢崎らはとばっちりを食らったかもしれないが)。
そこで、主力選手らが、という風に主語をオブラートに包んだ言い方というのが岡田監督の方便であったとするならば、他の部分も結構怪しいと思えてくるw 深夜にパッとひらめいて、コーチ陣を叩き起こして戦術ミーティングを行ったというのも、いかにも良く出来た話なんじゃないか、って思うわけですよw 本当はもっと前からある程度準備していなければ、突貫工事で通用する程W杯は甘くないはずなんですがね・・・
けれども、そうした準備を前からしていたかどうかを図るポイントは方針転換する前の実戦ではあまり見られなかった。だからこそ結局は憶測に頼ることしか出来ないんだけども、考えられるとしたら、ハイプレスのサッカーをやろうとしたら、紅白戦での相手に見立てたチームというのは当然その真逆のスタイルということになるわけで、そうした「逆岡田ジャパン」というのがベースにあったんじゃないかとw
ただ、そうした仮説に基づいて考えてみると、残念なことが出てくる。それはセレクションが早すぎたということだ。メンバーを発表してから方針転換をしたというところを見ると、発表をもう少し遅らせていればとか、あるいはもう少し早くから方針転換できていれば、転換後のスタイルに合った選手選考が出来たのではないか、とも思える。南アフリカ大会で敢えて日本に足りないピースを挙げるとしたら、両サイドの大久保と松井の運動量が大体6,70分で切れてしまう分、そのサイドアタッカーが必要で、大会期間中に筆者は、昔居た会社の先輩に、もし誰か加えるとしたら誰がいいと訊かれて、香川と石川ナオですかね、と答えたっけ。
そうした方針転換をギリギリにまでなって行ったというのは、やはりそれをやると、高い位置でボールを奪えなくなる分、攻撃の威力が落ちてしまうということを岡田監督は危惧したからだったように思う。そこが日本の悩みどころで、低い位置で奪っても一気に前にもっていける推進力とか、少ない決定機でも決められる世界的なストライカーといった人材が掛けているところからチーム作りがスタートしているわけで、実際方針転換してイングランド戦の後にも攻撃的な選手らからは不満が出たので、コートジボワール相手には敢えて元のやり方でやって、そのやり方ではもう通用しないということを選手らに解らせた。やはり、ザックジャパンにしても最大の課題は予選仕様と本戦仕様との切り替えをどこで行うかが課題になってくるように思えるのだが、どこで予選仕様に見切りをつけるかですな。
理解しにくいのは、そうやって守備に重点を置くサッカーに転換した岡田監督は、一次リーグの最終戦のデンマーク相手には、ドローでもOKという状況にも関わらず、敢えて2ボランチに戻して、攻撃的に行け、というメッセージを送ったことだった。これまで積み重ねて来た形を敢えてこの状況で変えたというのは、ドローでもOKだと考えるな、という意味で、過去の自身の経験に照らし合わせても、こういう時は受けに廻ってはいけないと考えたのだろう。ただ、それが裏目に出て、というか相手が前がかりになるとこの発想は却ってピンチを招いてしまい、ゲーム序盤にトマソンを捕まえきれなくなってしまった(逆に今季ACLでセレッソは同じシチュエーションで、ホーム山東戦で小松をスタメン起用して4-4-1-1のような2トップ気味な1トップという形にしたが、山東が引いてくれていたので助かった)。
そこで、監督のゲームプランの失敗を修正するかのように選手らの進言で元に戻したのが救いだったが、これもジーコが着手した選手の自主性を促すような意識改革によって、選手らが監督任せでなくなったという成果の現れを示す象徴的な出来事だったのかもしれない。