大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

国足(グオヅー)への処方箋~量産型デニス・スコットに如何にしてスリーを打たせるか?

2016-03-24 00:34:31 | 中国サッカー
ACLを見る限りにおいては中国の選手は結構うまいと思うことはある。それが国足(中国代表)になるとなんでダメなのかっていうことを考えるにあたってACL並びに、国足、国奥(U23代表)、そして国青(ユース代表)の試合のハイライト映像や試合の録画を空き時間に日中の動画サイトなどでチェックしたりしていた。そこで今回のエントリは自分なりに思ったことを書いてみたいと思います。

ACLで中国人選手が挙げている得点シーンを見ると、その多くはスペースがあるところに飛び出して来る場面が多い。これは、上海上港の武磊(ウー・レイ)の得点シーンなんかを見ればわかるんだけども、味方の外援(外国人助っ人)に相手DFが引きつけられていたものによるものだ。だからまあ、外人頼みという批判については中国人選手が得点しているという点ではNOでHあるけども、外国人に生かされているということはYESとは言えるかもしれない。

もっとも、どこの国のリーグにおいてもレベルやカテゴリに関係なく外援に頼りきっているわけだから、中超だけを外国人頼みという風に言うのは偏った批判かもしれない。問題は国足において外国人の果たしている役割の選手が不在だってことなんだけども。バルサでは確かにMSNの得点力で仕上げているけども、スペイン代表でもちゃんとストライカーが居るっていう関係なら問題ないんだけども、中国においては国足において外援の役割を中国人選手が果たせていないことが問題なわけで。

結局のところ、中超における外国人と中国人アタッカーの関係性って、昔のNBAで言うところのシャックとデニス・スコットみたいな関係ということかな。デニス・スコットはマジックにおいてシャックがダブルチームされた時に素早くパスアウトしてワイドオープンでスリーを決めていた典型的なロールプレーヤーだった。この関係の重要さは互いに認めあっていて、プライベートでも仲は良かった。だからこそ、スコットのキャリアってシャックのレイカーズへのFA移籍以降尻すぼみになっていたわけだけども。

話を中国サッカーに戻そう。中国人選手が外援いないと何も出来ないという意味でたとえてるわけじゃなくてw スコットのような選手がいないとハカシャックで潰されてしまっていたように、スペースへ走り込んで来る中国人選手がいないと外援(外国人助っ人)も力を発揮出来ないのは確かだろう。その意味で持ちつ持たれつの関係ではある。

ただ、違いを挙げると、スコット(中国人選手)みたいな選手は換えが利くのに対して、シャック(外援)の場合にはなかなか換えが利かないということ。もっとも、スコットにあたる中国人選手も代表に選ばれる程のクオリティが求められるわけだけども・・・

となると、シャックに頼れない国足において如何にスコットがスリー打てるお膳立てを作れるかっていう視点で、W杯二次予選の香港との2試合を見てみたけども・・・ペナルティエリア付近まで香港にはがっちり引かれて守備ブロックを作られている。単純にACLと比較するとスペースの有無ってことになる。それに対して国足ってあんまりサイドで起点作ってスペース作るとかがなく、無造作にクロス放り込む場面が見受けられたけど、それだと香港の帰化CBコンビに弾かれるだけだった。おまけに監督が韓国人なわけでしょ?韓国人監督だと割りきって引きこもる守備構築させたら割りと上手い人が多い。そういえばハリルジャパンと対戦したカンボジアだって韓国人監督だったっけ?

ただ、同じ引いた相手への攻撃にしても、ホームでのカンボジア戦でハリルジャパンの方がまだサイドへ引っ張ったり、空いたスペースあれば少しゴールに向かってカットインしたりする工夫があったわけ。香川の調子が普通ならば前半だけで3点は取れていたでしょうね・・・国足の場合、多分引いた相手を崩す為に流動的に動くっていったことをフランス人のペラン監督は嫌っていたのかもしれない。

実を言うと、中国って割と英国風オーソドックスな4-4-2の配置にゾーンディフェンスを敷いたりすることが出来る。それはサッカーに限らず他の球技でも-例えばバスケットなんかでは、男子の姚明(ヤオ・ミン)、王 治郅(ワンジジ)、易建聯(イージェンリエン)や、女子の鄭海霞(ジュン・ハイシャ)なんかのような傑出したセンターを軸にチーム作る-言えることだが、よくも悪くもなんちゃってオーソドックスなんやね。

一方日本なんかだと、世界のトップとはフィジカルで劣る分如何にそれに対抗するかっていう発想でチーム作りする分、世界的にみた奇形のチームを生み出したりもするわけだけども。バスケットのハヤブサジャパンっていうのもそういうコンセプトで生まれてはいる。、中国のやり方って基本アジアレベルで個々の能力で上回っている相手ならそれでやれる、というか、まともに組んでくれる相手にならそれなりの力を発揮するけど、問題は香港のように組んでくれない相手だとどうするかという方法論が乏しいことかな・・・

後任監督は高洪波か。オランダ留学から帰ってきたばかりだという人で、国内リーグにおいては、選手の信頼が厚い、という話は国内(グオネイ)における情報源から聞いている。まあ、裏返せばペランは更衣室を抑えきれなかったらしい。それだけ今の国足に選ばれる中国の選手って気性が荒いらしいが。

不安があるとしたら、彼が留学先でどんなことを学んだかってこと・・・オランダってペッカーの本場で、選手同士の距離をとりすぎるっていうところもある。中国の試合を見ていると、距離感の問題でその間のスペースにうまく入り込まれて失点しているという場面をよく見かけるわけで。処方箋ということで言えば、シャック役の外国人を帰化させるか(ただ、中国の国籍法では元の国籍を捨てないといけないのと、中国パスポートの不自由さを甘受しなければならなくなる。二重国籍ダメよって言われてムリキは帰化を諦めたらしいが)、あるいはハリルジャパンがやっているようなスペースを作り出す方法論を考えるということだが。そのためには形を崩すことを多少意識してやらないといけないんじゃないかな。

だからまあ、国足の場合中超が外国人頼み(確かに国産のアタッカーの出番は奪っているが)っていう前にきちんと戦術面でやることをやらないといけない。そのやるべきことをやって、W杯予選で最終予選独特のプレッシャーや勝負を経験して・・・どうだろう、8年後か12年後にW杯が見えてくるかな、というところですね。その頃にはW杯の出場国枠も40ぐらいになっているか、中国でのW杯開催に立候補して当選すれば、中国もW杯出られるようになるでしょう(おいw)。どうもFIFA会長選の票目当てで、冗談抜きでそういう可能性というのが否定出来ないのが怖いけどもw

上海のソフトパワーを使って強化する上港、爆買いの対象も一味違う

2016-03-18 00:26:42 | 中国サッカー
これまで、中国へサッカー見に行くと言えば大体夏場だと蒸し暑い上海を避けて北方に行く方が多かったし、ガンバのACLアウェイでは上海へ来たことがなかった。まあ、自分の中でも中国といえばやはりディープなところ行こうと妙に気取っていたのかなw だからその意味で上海って前に行ったことはあってもあまりよく極められてはいなかった。それが今回行くことによって、国際都市上海-中国であって中国でない都市ーというのを垣間見ることが出来た。

試合のことは応援に集中していたのと、上海帰りで録画を消化しきれていないのでこのエントリでは割愛するけども、それを割愛してでもここで書き記しておきたいことがある。それは、上海上港が急激に力をつけてきた背景というものについてだ。

その秘密はというと、広州富力でACL出場権(プレーオフ枠だが)を獲得したエリクソンを監督に連れてきて、外援(外国人助っ人)にしても、コンカやエウケソンといった広州恒大で成功した選手に、更によりよい条件を提示しているということがあげられる。まあ、国内の成功事例を見て引っ張ってくるというクラブはどこかで見たことがあるかもしれないけどもw その意味で中超クラブの爆買いに押され気味のような報道って、森だけを見て個々の木を見ていないだろうという気はするけどな・・・

つまり、上海上港が爆買いするターゲットはギャンは例外としても(それでも14年ACLで得点王)、基本は中国国内の方に向かっているわけで、もし夏の移籍市場で狙うとしたら恐らくこれもまた中国国内か、あるいは冬の移籍市場でもオファーしたことのある、元恒大のムリキかってことになる。まあ、ムリキの場合恒大愛っていうのが大きいらしいからオファーを蹴ったようなんだが・・・彼らの理想は多分元恒大トリオってことだろう。

まあ、なんていうか金の使い方をよく分かっているし、冬の移籍市場で放出要員を換金狙いで欧州クラブからの売り込みも水面下では相当あったに違いないが、そういうものには一切乗らなかったということよね・・・

一方、中国の一部のクラブがこの「冬転(冬の移籍市場)」において大金はたいて獲得した選手ージャクソン・マルティネス、ラミレス、ジェルビーニョ、グアリン、それにラベッシといった選手らの多くは元々の所属クラブが放出要員だった。特にラベッシなんかは決定力のなさやクリスマス休暇からの戻りの遅さをブランに責められて、ブランはクラブに放出を申請していたけども、パリSGにしてもなかなか希望価格での買い手が見当たらなかった中において、中国からのオファーは渡りに船だったことでしょう。何しろUEFA圏内ではファイナンシャルフェアプレーに引っかかる恐れもあるわけだし。

だからまあ、爆買い移籍が成立する背景には大物外国人を連れてきて手っ取り早くチームを強くしたい中国のクラブだけでなく、不良債権を一掃したい欧州の列強クラブの側との双方の思惑が一致した結果だということを覚えていく必要があるだろう。

象徴的な一例が、ジャクソン・マルティネスの恒大への移籍が成立した時に、本人を交えて、アトレティコ、恒大の両方のクラブや大物代理人のメンデスなんかと一緒に記念撮影した写真なんだけども、それ見るとマルティネス自身の目が死んでたわけよw 恐らく彼自身もドナドナ状態であることをよく分かってたんでしょう。真ん中でメンデスが満面の笑みを浮かべているんだけども、結局得してるのはこの人だけじゃないかっていう気がするw まあ、スコラーリだってFCメンデスなんだし、その人脈から人を迎え入れることによって、それ以後もいい選手を紹介してもらえるっていう思惑が恒大にもあるのかもしれない。けど、メンデスの側から見ると、これでいい金ヅルが出来たっていうことになるし、欧州クラブからしたら不良債権引き取り先はもう決まりw

それで気になるのが、爆買い攻勢で欧州からやってきた選手たちってどこか都落ちっていう意識があるかもしれない、ということでそれがモチベーションに響かないかということ。あと、彼らが中国の環境にどれだけなじめるかということだろう。上海申花を退団したケーヒルなんかも退団後のインタビューでも、彼自身は上海にいた分まだマシだったけどその他の中国の都市なんかでなじんでいくのは大変だろう、と言っていたが、中国の環境の問題は確実にある。

おっと、話が随分脱線してもうたorz 何が言いたいかと言うと、上海上港ってクラブはそういった欧州クラブからの爆買いをどこか冷ややかに見ているかもしれない、なという気はする。その辺が同じ上海にあるクラブでも申花とはまた違う。エウケソンを連れてこられたのも、元同僚のコンカからの熱烈なオファー?があったというのもあるけども、エウケソン本人にしても広州よりは上海の方が住みやすいと思っていた節があるんじゃないかって、いう風に今回上海へ行って分かった。このクラブが夏以降の移籍市場でどう動くかは分からないし、方針転換がないとは言えないけども、上海という都市のソフトパワーをうまく使い、他の中超クラブよりは堅実な投資を行って強くなっている。これはなかなか一筋縄でいかない相手ではあるけども、そんな相手との再戦が待ち遠しい。だからこそ天皇杯を制してよかったと思わずにいられない。

 

半年間振り回された広州富力の亡霊を振り払う

2016-01-09 21:18:37 | 中国サッカー
自分が昨年ACLに参戦した一番の収穫は広州恒大の応援を仕切っているサポと知り合えたことであり、その彼とは中国版LINEである微信(WE CHAT)でしょっちゅうガンバや中国サッカーについてやりとりはしている。昨年末辺りにパトに対して広州富力が興味を示しているという報道が出回っている状態で、そんなことがありうるのかと、富力の内部情報についても詳しい彼に探りを入れたりもしていた。

そうやって得た結論とは、報道に振り回されていては本質はつかめないってことだった。そうならない為には現地の情報源を持つことと、情報を得るために外国語を学ぶことが大事であるということを痛感させられた。

ただ、それは全ての人が同じことを出来るとは限らない。だからこそ、自分が知り得た情報を多くの人に解って貰えたらと思ってツイッターで発信したりもした。まあ、これがどこまで伝わってるかなんですけどもね。

富力に関する補強のベクトルというのはこうなっている:

1.昨年夏に降格圏に近づいた際に、挽回策として新監督にピクシーを招聘し、緊急補強への追加資金を投入した

2.ただ、それがクラブの財政を直撃することとなった為、中国サッカーで慣習化している勝利ボーナスの未払い、解任した後の前監督のコントラへの違約金未払い(それで彼はFIFAに提訴している)の問題が発生している。報道ではコントラは違約金のせいで身動き取れないってボヤいていたが、そんな金あるんならエリクソンとの契約続ければ良かったんだ、と微博で誰かが鋭い指摘をしている。そう言われれば合点が行くけど、中国の報道も玉石混交であることの一例だろう。

3.したがって今季富力は売れる選手は売ることによって得た売却益を経営資金に当てる
4.補強に関しては今季北欧からボランチとFWを二人加入。その方が移籍金も格安だから
5.ナイジェリア人のアーロンはチェスカ・モスクワに売却予定だがその後釜は北欧でプレーしているブラジル人の予定

こう見ていくとアーロン売れたからってその売却益でパトかドウグラス狙う、その二人の所属クラブとは連絡をとり続けているっていう怪情報をなんでメディアは流すのかってことよね・・・自分が中国ウォッチングしてきた中で言えば中国の報道とか、或いは中国で公表される数字って必ずしもそこで正確を期したものじゃなくって、その場で説得力がある空気を醸成する為にバンっとぶち上げる道具なんだろう、という風に思えるわけ。

それは丁度かの国が自国の経済成長率を7%って出し続けていても、それが必ずしも正確とは限らないってことは経済専門家の間でも言われているようにw 貿易量や額を見た限りではマイナスじゃないの、って言う識者もいるくらいだが、それはおいといてw 正確な数字は中国人でも判らないってところでしょうね。

だからまあ、中国ウォッチングをする際に、流れて来る情報が正確なのもあればそうでもないものもある。その中からどれが正しくてどれが間違っているかを拾い上げて行くかの検証が必要にはなるわけだけども。

従って、この一連の流れを見る限りにおいて、現時点の情報を総合した限りにおいて結論を下すならば、富力がパトやドウグラスに手を出すということはないだろう。どちらかと言えば、レナトを買ったことによって、高く売りたい保有元と年俸駆け引きしたい代理人が流した情報に踊らされてしまっていたかな、という気はする。でも、実際富力は残留争いから抜け出す為の補強としてレナトに巨額な資金を投じたに過ぎないわけなんだけども、その後の金払いの悪さを考えると、川崎さんキッチリ移籍金回収出来てるか大丈夫ですかね・・・って余計なお世話ですね失礼しましたw


広州恒大がカンナバーロを解任した件だが

2015-06-05 07:16:13 | 中国サッカー
ACLで対戦するかもしれない広州恒大がカンナバーロ監督を解任し、フェリポンを後任に向かい入れたことについて書いておきます。

まず、フェリポンをすぐ向かい入れたということは、カンナバーロ監督の能力にクラブが疑問符をつけていたからこそ、以前から後任監督人事に着手していたということが考えられるでしょう。なぜ今ごろになってなのか、ということは後任監督が決まった時点ということが言える。かつてACLのラウンド16直前になってイ・ジャンスから里皮(リーピー、リッピのことを中国語でこう表記する)にスイッチしたということもあるんでACLのグループステージが終わった時点というのはあまり関係はないかもしれない。

個人的には今季の恒大はACLを数年続けて出た勤続疲労もあり、かつ過密日程の中においては、寧ろ新人監督のカンナバーロはよくやっているようには思えた。勿論監督として経験の浅さが露呈した場面がないわけではないけども、それならなんで彼を監督にしたのか、というのがそもそもの疑問。恐らくリッピ等のイタリアン・コネクション絡みの人事だったと推測するけども(じゃあ、ペッつぁんは今後あそこで仕事出来るんですかね?)。

フェリポンに関して言うと、チェルシーでは一旦つまづいたらなかなか立て直せない状態で解任されたし、去年のW杯でもネイマールが負傷したとはいえ、ドイツとまともにやってまともにボロ負けしたというところからすると、一旦逆境に立たされるとなかなか立て直せない脆さがあるんじゃないかという気はする。まあ、そんな人が再建屋というのに適任かどうかはまずはお手並み拝見、といったところですけどね。勿論チェルシーやセレソンでダメだったからここでもダメと決めつける気はないし、そもそも監督としてそのクラブで成功するには、能力もさることながら、クラブの戦力やスタイルへの適性という部分にも左右されやすいということも言える。

だからまあ、セレッソでチームを造れているとは言い難いアウトゥオリなんかでも鹿島に迎え入れられたら脅威だという人が居るんだけども、それも結局のところチームに合う合わないという側面を見てのことだろうし。逆に言えばクルピがセレッソ以外のクラブに行っても成功するかは別問題ということも言えるかもしれない(多分セレッソ以外のチームでこの人のやり方を貫き通すとなれば、GKとCBの質が問われることになる)。

そこへ行くとフェリポンの場合今回のチームには国足(中国代表)の選手を多く抱え、外国人選手の質もアジアでは反則レベルだというチームを率いることが出来たんだから、一旦軌道に乗れればというところですけどね。逆に言えばそれで勝たせられなければ本当にもう監督としてはダメかも判らんけどね。

中国をダシにして自国批判する連中がサッカー界にもおるぞ

2015-03-31 00:29:46 | 中国サッカー
私がニュースについて深読みをする習慣が身についたのは、中国ウォッチングをおいて、かの国のニュースに触れるようになってからだった。勿論、かの国において西側諸国並の報道の自由を求めることは出来ないので(報道の自由度に関わらず、どの国においても権力者側はメディアを使って大衆をコントロールしようとするが)、そこから何が読み取る事ができるかを常に考えている。

一つの例を上げれば、かの国において腐敗防止だの海賊版撲滅だのというスローガンを掲げたりするのは裏返せばそれがどんな状態にあるのかということを言っているようなものであり、そしてうわべだけの対策をするもののそれは大抵、コントロールされる下の側が巧妙な抜け道を考えたりする(これを中国語では、上有政策、下有対策という)のが彼の国の日常である。

そう考えると、今回習近平国家主席のサッカー強化策というのをどう見たらいいのか。

まず、彼がぶちまけた、サッカー重点校を2年で2万校増やすというのは今現在の中国でのサッカー競技人口を考えるとどうやって集めるのかが想像つかない。一国の人口が多いというけれども、実際に中国足協が発表している登録人数は8000人程度しかない。そんな中で、中国には7000人のメッシが居るなんていう話の根拠はなんなのか、ってことですよw アーセナルの方で出た論文だって原文のソースが明らかになってないけど、その論文の著者は基本中国の現状について無知すぎるんじゃないだろうか?そうでなかったら知っていても敢えて中国の市場の重要性を如何にアピールする為に粉飾しているかのいずれかになる。4年前にも書いたけど、一国の人口が競技レベルに反映された実例ってインドのクリケットしかないわけで、NZのラグビーやカナダのアイスホッケーを見てみ?

更に、父母にしてみたら我が子がサッカー上手いからという理由でサッカー重点校に入れたとして、その後の社会の受け皿があまりにも狭すぎる。この中でプロになれる選手がほんのごく一握りでしかなく、日本における体育推薦(中国では体育特長生というが)という制度にしても十分使われている印象がない。若手人気作家である韓寒の小説「三重門」の中で主人公の林雨翔が母親の麻雀仲間のコネで「体育が優秀」という理由で一筆貰って、市の重点校に体育推薦枠で潜り込もうとしたものの、点数がわずか3点しか足りずに仕方なく県の重点校に進学するという下りがあるけども、その話からしても、中国の「体育特長生」は日本のスポーツ推薦とは意味合いがかなり違う。

そう、昔も今も学業成績が一番進路を左右するのが中国の現状で、「高考」の点数によって行ける大学のレベル(一番上が「一批 イーピー」二番目が「ニ批アルピー」)に振り分けられたりもするわけだから、今まではスポーツなんかするよりも勉強することを父母たちは我が子に望んでいたわけ。

そんな状況において、中国はプロにもなれず、かと言って進学する学力も十分にないアスリート崩れの選手を量産しようとするのが習近平主席の政策であったりもする。もっとも、親の言われるままに真面目に勉強し続けて北大や清華大のような名門大学を出ても就職にありつけずに、蟻族やねずみ族を量産して深刻な社会問題にしてしまうんだから、いろんな選択肢を残すのも悪くはないんだけども、問題はそうしたスポーツ一筋だったアスリートたちへの受け皿をどう作るかじゃないですかね?その対策すら考えずにいたずらに体育重点校を増やしてどないすんの?

だからまあ、筆者なんかは、確かにいろんな弊害があるものの、学業成績だけでなく運動能力等の一芸を評価して進学出来たり、或いは就職出来る枠を残している日本の教育システムというのも捨てたもんじゃないな、と思ったりもするわけですね。

で、ここで注意を促しておきたいのは、中国を引き合いに出して日本の現状について批判する連中って基本的には中国に関して関心がないわけで、中国を自らの批判において都合よく利用しているにすぎないわけ(最近の事例が、AIIBに参加しなかったら日本が孤立するって話。普段からさんざんアメリカに追随する日本外交を批判してきた連中がですよw)。その古い典型が恐らく南アフリカ大会前に3戦全敗論をぶち開けた高名なサッカーライター(なんていう風には認めたくはないけども)なんだけども、最近またぞろ形を変えてACLにおけるJリーグの体制批判にも出てきているから要注意だ。


中超でリーグ戦の日程変更が日本より容易な理由

2013-09-27 00:24:11 | 中国サッカー
ACLで戦っている柏のリーグ戦延期問題は対戦相手である新潟にまで迷惑をかけそうだったかな?新潟サポさんのブログを徘徊している限り、延期に反対されておられたのは、その話が直前になって出たからだという論調ではある。確かに、遠征する選手やサポーターの足や交通費宿泊費といった問題も当然出てくる。勿論最終的に要求を却下したのはJリーグなんだけども、そこでもチケット、テレビ中継或いはTOTOといった様々の問題が絡んで来ていたのは想像に難くない。だからまあ、恐らく想像するにはJリーグだって変更の可能性を模索してみたんだけども、時間的な問題が間に合わなかったということも言えるだろう。

結局、遅きに失したんだけども、一ヶ月前に自らケツまくっておきながら復帰して、今頃になって変更を言い出す柏のネルシーニョ監督にだってこうした状況を招いた責任の一端はあるんじゃないだろうか?

それでも相手の広州恒大が延期してるのに、という比較の話は出てくるかもしれない。イランや韓国の内情について筆者はそんなに詳しくはないが、中国の話ならば、筆者はある程度色々と中国メディアやネットでの情報は検索出来るし、更にネットに出ない話として中国人のネットワークで色々と話しは聞けるんで、中国との比較ということで書いてみたい。

新潟サポさんがおっしゃるように、本来他国で出来て日本でなんで出来ないのかという検証って本来メディアがやるべきことなんだけども、メディアが出来ない(或いはやろうとしない)理由の一つには語学力の問題というのもあるかな・・・そしてもう一つは、全体的に日程変更に応じないJリーグに対してけしからん、という空気もあるということだろう。つまり、他国との比較する以前に、Jリーグ批判の尻馬に乗る方が楽ではありますね。この点についてはJリーグ側の身から出たサビという側面もあるんだけどもw だからといって、なんでもかんでもリーグを批判しとけばOKというものでもないんじゃないだろうか?

で、本題に入りましょう。なんで中国で日程変更が可能だったかというと、大きく分けると、

1.中国足協がトップダウンで決められる
2.変更を受け入れたクラブは表向き指示だが、これには訳がある
3.広州恒大は日程変更を呑ませた代償として、クラブ内に抱える代表選手らに負担を大きくしている

というところが大きいと思われる。

1についてなんだけども、広州恒大の日程変更要求って、先月も土曜開催のところを金曜開催に前倒ししたわけなんだが、なんと今週においても、ミッドウィークに行われるはずだった、日本の天皇杯にあたる足協杯準決勝の試合を延期させてるばかりか、週末ホームにおいて行われる、岡ちゃん率いる杭州緑城とのリーグ戦にしても、試合日を日曜から土曜に変更しているんですな・・・こんな条件を岡ちゃんが到底呑むとは考えにくいんだけども、そこには変更を決定する側の政治力というのがモノを言っているように感じる。で、新潟サポさんのもう一つの疑問である、変更はいつ頃決定されたのかということなんだけども、複数の中国メディアの情報を時系列で整理すると、報道で変更の話が出たのは9月中旬頃だった。こういうことを直前でも平気で変更出来るのは、さすが中国と言わざるを得ないw

2についてだが、本来アウェーであるならば岡ちゃんのところは慌てて遠征の飛行機やホテルの予約のし直しや、そこで発生する費用の問題とかは出てくるんだろうし、本来なら先週末に行うはずだった遼寧宏運にしても運営の費用の問題は当然出てくる。多分想像なんだけども、過去歴代の中超クラブがACLの日程変更を要求しても認められなかったけども、今回それが遠たというのは、恐らく裏でこっそり損失補てんしているんじゃないかっていう可能性を考えてしまうのは筆者だけだろうか?基本的に中超のクラブはオーナー企業が名前を付けることが認められる代わりに、損失はその企業が被るというところは日本のプロ野球に似ているんだけども、かの国の場合は入場料収入なんて何のあてにもならない。大体招待券がいろんなところにバラまかれ、それが更にがダフ屋に横流しされている、ということも日程変更が日本より難しくない背景としてあることも付け加えておきたい。

更に遼寧の場合には打算があって、リーグ戦振替日がなんと10月15日と、国足がアジアカップ予選でインドネシアアウェーで試合する同日にあたる。この日は恐らく、広州恒大の大半の選手がゴッソリ代表に持っていかれるはめになるんで、戦力ダウンは避けられない(ただ、反則助っ人は残っているんで、広州恒大にしてみれば代表組抜きでもやれるだろうという読みはあるが)。ただ、遼寧はこの日を提案し、広州はその条件を呑んだということだから、遼寧にしてみれば、代表で選手が抜けて戦力がダウンした時が勝てるチャンスと思っていたのかもしれない。それが、変更に応じた側の打算と見ていいかもしれない。

そして足協杯の準決勝で対戦するはずだった北京国安にしても、広州恒大が決勝進出した場合には準決勝のホーム&アウェーの日程が、11月23日並びに27日にずれ込む。まあ、これは足協管轄の試合なんだけども、北京国安にしてみれば、少なくともクソ寒い11月下旬の北京で一試合やれるというのがアドバンテージになるということなんですな。彼らがACL出るのであれば、その一枠であるカップ戦を優位に戦いたい思惑は北京には当然あることでしょう。まあ、その分決勝はなんと12月にずれ込むんだが、北京が勝ち進んだら、試合観に行く人たちも12月に北京で1試合ってホンマ大変ですわ。

こうやって書いてみて、改めて日本では同じことは無理とまでは行かないにしても、日程変更の為には様々なプロセスを経る必要があることを改めて思い知らされてしまう。

勿論、中国には中国の、日本には日本なりの良さというのがあるということは両国で生活したことのある筆者も勿論解っているから一概にどちらがいいとか悪いとかをここで論じるつもりはない。

ただ、中国よりは日本社会って融通が効きづらいところはあるにしても、決められた一定の秩序の元に管理されて物事が進んでいく日本社会に暮らすのは、ある意味便利で楽ではあるというのが実感としてあるわけ。それは多かれ少なかれ日本社会で暮らしている私達はそうした便利さを享受しているわけでしょう。融通が効きやすい社会というのはとかく行き当たりばったりになりやすいところがあって、普段の生活の中で反射神経を研ぎ澄まさないと生きていけないわけです。恐らくそれは中国だけでなく、韓国にもそういう部分っていうのはあるんじゃないかって思うわけ。韓国語にあるケンチャナヨなんていう言葉だって、あれは言ってみれば、細かいこと気にすんなとも取れるわけだしw 

だからまあ、一方で秩序の取れた日本社会の便利さを享受しながら、他方でもっと融通をきかせろと言うのは本来相反するわけですな。どうしても日程を変えたいというのならば前から解っていたけども、もっと前から議論すべきことだし。でも、冒頭にも書いていたが、こういう混乱を招いた一因(全部責任押し付けてるわけじゃないよ)は柏のネルシーニョ監督にもあるんじゃないかって思うんですね。多分彼が日程変更を要求し出したのは、他国のリーグの日程変更問題や、遠征帰りの選手のコンディションを見て、こりゃマズいと現場の監督として気づいたからだとはいえ。

接受不了(ジエ ショウ ブ リャオ)

2013-09-01 12:35:23 | 中国サッカー
0ー3という完敗の試合後、挨拶にきた北京八喜のジエ ショウ ブ リャオ というコールがバクスタのど真ん中に陣取っていた、ホームの北京八喜のサポが浴びせていたが、結果にも内容にも納得いかねえ、ってところでしょうな。このエントリーは天津北京までの移動の新幹線中で書いてます。

国安がアウエーだったこともあり、日本から一日早く北京入りしている友人に誘われて、中国の2部のカテゴリーにいる、北京八喜と哈爾濱毅騰の試合を見に行きました。朝陽体育場という、北京市の中心から東の方の郊外にあるスタジアムだったんだけども、そこでは、親会社がアイスクリーム売っている会社だけに、来場者全員にアイスキャンデープレゼントというサービスっぷり。といっても、別にスタで何かを売っているわけではなかったんで、最近のJ2クラブのグルメの充実っぷりに比べると物足りない、てか中国のスタジアムのそんなもの期待してもしょうがないんやけどもねw

試合の方は、現在2位につけているハルビンに比べると、細かい部分での差は出た。最終ラインに足下がないことがバレると前プレをかけられてしまうアタフタっぷり。一方のハルビンは、10番のリカルドというコロンビアの選手が3点目を演出した、ディフェンスを引きつけるドリブルが印象的だったが、それ以外の2点もサイド攻撃からのクロスは、試合前の練習でのイメージ通り。ちゃんとサイドから抉って点を取るという理想的な展開だった。

ところで、ハルビンと言えば、真夏以外春秋とずっとアウエーで試合してるんですな。まあ、これはやる前からその条件を呑んだからこそ出来る日程とも言える。だから地元のサポは夏以外はアウェー行くか、テレビでしか試合は見れないけど、中国人って週末には結構皆テレビで試合見ている事を考えると、親会社はテレビを通じた宣伝や営業戦略を持っているということか。現在2位ということだから、このまま2位以内なら自動昇格なんだけども、昇格すると日程どうなるんだろうね…まあ、こういう最北端のクラブが存在するから、秋春制(中国語では、跨年制と言う。この制度でも夏に試合することになるからこっちの方がしっくり来るか)っていうのは中国ではできないわけで。

だから、秋春のするのが賛成か反対かは別にして、日本が変えても中韓は変えない可能性があるということは覚えておいた方がいいかもしれない。まあ、昨今の議論ってそもそも中韓はともかく、日本としてどうするか、という議論になるから関係ないか…ただ、中韓組んで何か東アジアで試合や大会を行う上では、シーズンのねじれは想定した組方にはなるだろう。

ところで、このハルビンがもしACLに出てきたら、って考えると恐ろしいですね…少なくとも3試合は向こうのホームでやることを考えてると、開幕から3連続アウェーというのは考えにくいから、3月末には何処かが試合しないといけない。

実は3月末のハルビンは札幌よりは若干気温が高く、雪は札幌よりは降らない、という話筆者は聞いている。けど、札幌みたいにドームなんて気の利いたものなんかはない。まあ、それでもピッチの状態がアレだし、春先は誰も見にこないからこそ、ハルビンは春先にはアウェーの試合を突っ込んでるわけだが。

ハルビンがACLに出てくる可能性は今のところは今のところ低いが、将来的にないとも言い切れない。まあ、でももし3月末に試合をやるとなったらどうするかって?まあ、そんな時限ってウチが行かされる可能性は多いにあるw だって今までシリアだの、ネシアだの、オーストラリアだのと散々遠いところ行かされたわけだしw

なんか、兄やんが奇しくも茨木にある水餃子屋さんのことについてコメントしてきたなw 同じハルビンということで、最後は巧くまとまった?

札幌にて

2013-03-30 19:06:34 | 中国サッカー
前日より札幌入りして市内のネカフェに潜伏中です。

とりあえず、今は4月末までは見守ろうとは思っている。健太監督には編成にタッチさせてくれなかったという点で同情すべき点はある。けれども、あえてフィジカルを追い込まないコンディショニングであるならば、徐々にでも上がっていかないといけないわけだが。その辺りに関しては監督の判断責任というのも問われてくる部分だ。でもまあ、本来就任要請する際にもここらへんはしっかりと話し合って欲しかったんだけども・・・

札幌の試合は前節の福岡戦見たけども、基本前から追いかけては来る。最近対戦した中で前プレがあまりなかった守り方は千葉くらいだったということを考えると、どうなるんだろうか。

あ、後半の最初辺りに前俊が下がって受けて、宮澤が追い越していくような動き出し見ると、今のウチに足りない部分ってまさにこういうプレーだよな、って思えた。まあ、前俊が持っている技術というか、タッチの細かさとか見ていてもわかるけども、彼のところにボールが入れば納めてくれるからこそ、信じて上がっていけるんだろうけども。川西なんかに前俊なみのうまさは求めないけども、戦術的な動きというのをもう少し深めてくれたら、って思うんよね。

だからまあ、いろんな試合を見るということは、素人のサポやファンにとっても自分の目を肥やす為にも必要なんだけども、それ以上にサッカー選手にとっても必要なんじゃないかって思うわけです。この成績だと全く説得力ないかもしれないけどもw 清水のゴトピ監督もゲーム勘を養うためには選手は試合を見ることも大事だとは言うてはったし。

そう考えると、旅人が現役時代、人の試合を見ようとは思わない、って言っていたけども、今思えばそれはちょっとカッコつけて言っているようには思えるわけね。多分、彼はサッカー選手の仕事として、他チームの試合を見たり分析したり、というのを人生において膨大な試合を見てきたんだろうとは思うけども、仕事とは別にプライベートな個人的趣味として見よう、という気にはならなかったということなのかもしれない。つまり、旅人はサッカーは自分にとって仕事だと言っていたこともあったけども、それだけ自分の仕事に精力を傾けてきて、引退するときにはそうしたものを全て失ってしまったということなのだろう。

そんな彼でも唯一ジダンだけは見たいというか金払って見て見たい、という選手だったという表現でジダンに対して最高級の賛辞を送っていたんだろうけども・・・で、最近は見ない理由を、見ると自分も出たくなるから、って言ってたんだっけ?それはYESでもありNOでもあるかもしれないな。

監督業を通して草の根の中国を理解しだしている岡田監督 ~WOWOWでのインタビュー番組を見て

2013-01-20 10:00:49 | 中国サッカー
WOWOWで一昨日の夜放送された、杭州緑城の岡田監督に密着した番組は録画予約していたので、しっかり拝見させて頂きました。ガンバサポ的にはACLの中国アウェーでお世話になりました、Sさんが通訳として時には岡ちゃんの分身として、時には声を張り上げ、時には選手と一緒に伴走する姿を見ると、元気にやってるはるなあ、と安心しました。

その岡田監督なんだけども、個人的に1番興味深いところは、何故中国で監督をしようという気になったのか、ということ。解説の仕事で、スペインでクラシコの試合(多分バルサ夢スコの試合だった)を見て、あのバルサのサッカーを自分もやって見たいと思ったらしいんだけども、それを実現できる素材が杭州のユースチームの中にいたという事らしい。

一番の疑問は何と言っても、クラシコでバルサが夢スコで勝つような試合を見て、なんでまた中国を選んだのかってことですね。どう考えても論理が飛躍し過ぎてるやろ、ってw

まあ、確かに中国のトップチームなんかだと、バルサのサッカーとは親和性が全くないどころか、真逆のサッカーやってるところが少なくない。だからこそ、岡田監督は何色にも染まっていない、まっさらなユースの年代から変えて行こうとしたとも考えられる。つまり、バルサを目指そうとするのならば、バルサが今の位置に辿り着くまでにやってきた、カンテラから一環したサッカースタイルでの育成というのをやれる場所、として選んだのが杭州だった、ということなのかもしれないけども。つまり、ある意味実験場ということなんですわ。

勿論、日本のクラブでそれが目指せるところがない、というわけではないけども(むしろやりやすい面はある)、敢えて中国で不可能と思われるようなことに挑戦してやろう、という気持ちもあったのかもしれない。それが今ご本人のモチベーションということになっているのだろう。

その意味で、岡田監督は、トップチームの監督の立場からして、ユースから手塩に掛けた選手をトップに定着させるという、今の中国のサッカーレベルからしたら本当に気の遠くなるような農耕生活を送る事を決断したと言えるかもしれない。その為に、番組では触れては居ないけど、右腕として連れて来たコーチの小野剛さんを今季からユースを見れるようにしたのは、トップとユースの関係をより緊密にする狙いがあるのだろう。

ただ、岡田監督はあくまでもトップチームの監督である以上、中国においては珍しく長い目で見守ってくれるクラブとはいえ、その改革の過程において、やはりある程度結果を出して行かなければ自分への求心力が失われていくという危機感はあったのだろう。そうした中で、チームのセットプレーの得点王で、セルティックで俊輔とプレーしたこともある、主将の杜威(ドゥー・ウェイ)をクラブが山東へ売却した時にはさすがの岡田監督も頭に来て、来年はやらないとクラブには言っていたらしい。これは流石にクラブが自分の足を引っ張る行為と映ったんでしょうね。

それでも彼が来季も監督を続けることにした理由は、御本人が語っておられたように、どんなに不調でも、遠征に行く前の空港で自身の誕生日を祝ってくれた、サポーターの存在が決めてであったらしい。勿論、来季の条件や構造においてクラブと話し合って双方合意に達したというのもあるのだろうけども、サポーターが、残留を決断させる後押しをした、というのも同じサッカーチームのサポやってる者としては熱くなる話だ。そこに反日感情というのは存在しないし、中国へ行った選択をしたからこそ味わえる感動ってやつかもしれない。あと、それ以外にも一般の人達の彼への接し方というのも、彼の中国観を変えるきっかけとなったのかもしれないかな?

岡田監督は多分中国に来る前は、多くの日本人と同じように、報道を通して得た情報を元に中国のイメージを持っておられたのだろうとは思うけども、こうしたサポーターの取った行動を始めとする、一般の人たちの彼への接し方というのは普段なかなか報道からは出てこないだけに、岡田監督にとっては新鮮であったことかもしれない。

こないだNHKBSで日中の学生が討論していた番組の中で、中国側の学生が指摘していたのは、一般的な日本人が抱く中国に対する悪い印象というのは、中国政府が取る外交政策のせいであって、草の根での交流が少ないからでないか、というものだったんだけども(かの国では民衆が政権を選べないという背景も理解しておくべきだろう)、岡田監督は、中国へ渡った日本人の初期の中国理解の段階というか、報道以外の中国の一面というのを監督業を通して理解しておられるわけです。まあ、これから中国に引き続き滞在されていくことで良い面も悪い面も理解して行かれることになるかもしれないんだけども、番組を見終えて、今季もどこかで中超での杭州緑城の試合を視察しに行きたいと思いましたね。

ACLでの中国の出場枠は4つになるかも、という話

2012-11-22 07:03:46 | 中国サッカー
来年のACL出場枠に関して、去年の今頃も中国が枠を減らされるかもしれない、という懸念から中国足協が必死になってクアラルンプールまで乗り込んで阻止しようと裏工作をしていたけども結局3.5枠になっという報道(その結果、プレーオフに廻されそうになった遼寧の辞退ということになった)があった。

今年なんだけども、中国メディアの報道によれば、中韓が自動4枠への回帰濃厚とのこと。中国の場合何を評価されたのかイマイチ判りにくいんだけども、メディアの仕事出来る場所なんかが改善されたというのが表向きな評価だけども、本音を言えば中国が出続けることが商売的には一番いいというところじゃないか?まあ、一応えこ贔屓には出来ないという建前はあるんだろうし、会長代行に中国人を送り込んでいたこともあれば尚更だろうし。

というのも、韓国の4枠返り咲きにしても、技術面での評価が大きいと言われているが、これは蔚山のACL評価や韓国のU-19の優勝といったものにも関わって来てのことだが、それも救済措置を正当化している側面があるかもしれない。であれば、2部降格のないリーグのところに4枠与える理由が見当たらない(それで軍隊チームを2部に落としたのはある意味4枠復活の為の生け贄みたいなものだっただろうか?)。

では、どこが自動枠を失いそうなのかと言うと、一つにはタイとウズベキスタンだと言われている。タイの場合確かにスタジアムはアレかもしれない。自分が遠征で行った時のナショナルスタジアムと来たら、地元の人が試合の無い時に自由に出入りして犬の散歩したりスタンドで遊んだりしていたという跡がアリアリやったもんね・・・まあ、そういうおおらかなところがタイらしいし、そういうところでやってこそACLなんだが。で、今回の評価というのが、13年から15年までの枠に関わって来るとも言われている。てことは、去年やったことというのは、結構色んな波紋を読んだということだろうね。

日本の場合は、AFCのチェック項目ではほぼ満点評価ということだから、日本の4枠は動かないんじゃないか?ただ、将来のことはどうなるかは判らないんだけども、どこかでケチをつけられないように、ACLでの結果を出すためにもそろそろバックアップ体制を考えた方がいい。例えば日程のあり方とか、ベスメン規定とかは充分議論の余地はあるんだけども。まあ、今の状況見ていると、どうせ変わらないでしょってJFAはタカをくくっているのかもしれない。けど、将来的に例えば他国のリーグ運営レベルが上がっていくと(まあ、これはまだまだ先の話だが)、日本だって安泰かどうかは判らない。欧州CLと違い、成績だけで判断というものではなくアジアの場合もっと複雑ではあるけども、技術面での評価というところが、A代表以外の成績(実はこれが一番評価されるものだけども)では心ともない。もし、日本は3+1になるかもしれない。で、リーグ3位のチームはプレーオフからですってなればオフなんかあまり取れずにプレーオフ突入ということも考えられる。

その意味ではJFAはどこか大事なことをひた隠しにしているように思えるんだが、これはまあ、ACLの件に限ったことではないだろうし。彼らは自分たちの利権というのは死んでも守るくせに他に都合の悪いところはJクラブに押し付けたりもするんよね。