昨日の夕方のニュースはNHKを始め、多くのテレビ局が高橋選手の引退をトップで取り扱った。
これは予想外のことだった。多くのテレビ局が特集を組み、NHKでは夕方のニュースも夜のニュースもトピックスで最初を飾り、スポーツコーナーでないところで時間を割いていたように思う。
常々、日本のメディアは高橋大輔の功績を理解していないのでは?と思い、たまに書いてみたりしたけれど、引退をここまで大きく扱ったアスリートって本当に数少ないと思う。
さて、昨日はまさか、1シーズンで話を切り上げるとは思いませんでした(笑)
GPFでイケメンだらけでしかも表現も素晴らしい男子フィギュアスケーターを見て、すっかり、男子フィギュアスケートに興味がシフトしました。ちなみに2005年のGPFの表彰台が私の中でベストメンバーです。
トリノ五輪で学んだこと。
それは、どんなにいいプログラムを滑っても、結果を残さなければ人は(日本人の多くは)注目をしないということ。だから、翌年は高橋選手に結果を残して欲しい、と思っていました。
SPはチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト。
昔の感想で「静かな曲」って書いているんですよ。静かなのは出だしだけで、クラッシックの中では相当華やかな曲ですよね。
カナダワールドで織田選手がスタオベされているのを見ていたし、フィギュアスケーターにもっとも人気があるスケート・カナダで高橋選手がいい演技をしてくれるのを期待していたことを思い出します。
オペラ座の怪人は日米対抗もスケートカナダもピンと来なかったのです。シーズン終わってしばらくしてから気がついたのですが、後半のジャンプのタイミングが変わったんですね。NHK杯で修正すると曲とジャンプがマッチして、見違えたプログラムへと変貌しました。
特にNHK杯ではジャッジが高橋選手と織田選手のどちらをエースにするか試すかのように僅差の争いとなりました。昨年のNHK杯から考えて、織田選手優位かと思いきや、クリーンなプログラムで優勝。
高橋選手がアスリートとしての大きな一歩を踏んだ瞬間だった。
全日本では最高の演技で優勝、当時、アメリカではこの全日本の演技を紹介、異例の注目ぶりだった。
世界選手権は東京。街には代表の大きなポスターが貼られ、代表達は皆経験のない注目に大きなプレッシャーを抱えて初の世界選手権のメダル奪取を狙う大会となり、どのスケーターにも大きなチャンスがある大会でした。
私は友人のチケットを譲ってもらって観戦。
今でも忘れられない、ジェフ、ステファン、ジョニー、エヴァン、サンデュ。本当にスター顔の人たちばかり。
高橋選手は3-3で大きくバランスを崩す。
家でテレビを見て分かったんですけど、緊張で顔色が真っ青。足に力が入らないまま演技に入っているのが分かります。そんな緊張の中でも3Aを決めて3Lzへ向かう間の曲想でふわっと手を開きながら、顔を上げる、そんな一瞬の仕草に彼がこの世界選手権までにさらにプログラムをブラッシュアップし、プレッシャーの中でもそんな一瞬を忘れない演技をするのが印象に残りました。本当はこの曲をFSに作り直してソチで滑ってもらいたかったな。
FSの日。会場で氷の上に立つ高橋選手をみて、「あれ?なんか見たことある・・・。真っ黒だけど顔からお腹にかけて白いその姿。アデリー・ペンギンだ!(しかも氷の上だし)」と、会場の中で思っていたのは私だけでしょう。いえ、あの衣装は高橋選手の衣装の中でも大好きな衣装なんです。
オペラ座の怪人は私は会場で音楽に聞き惚れてしまったのですよ。4回転でお手つきで降りた後の美しいストリングスに酔いしれ、緊張を忘れたのですよ。、有名じゃないところをつぎはぎしているプログラムなのに、ぶつ切り感がなく、ファントムの喜怒哀楽が伝わっくる素晴らしいプログラム。私はモロゾフコーチと高橋選手は相思相愛だと感じた。
会場では悪くない演技で終えたのにも関わらず高橋選手は涙。「悪くなかったのに、どうして?」と会場では思ったのですが、テレビで見て、彼が2日間日本のファンからのプレッシャーを背負って戦っていたものから解放された瞬間だったことが分かりました。
3Aから3Lzへ向かうあたりの曲の美しいところで、ふと差し伸べる手と顔の動き。こういうちょっとしたニュアンスを大切にするスケーターは本当に少ないです。
エレガントな音楽表現、怪人の喜怒哀楽を見事に解釈し、作品世界を体現したこの作品はモロゾフ氏本人から「オリンピック・プログラムでないことが残念」と言わしめた、高橋大輔選手の代表プログラムの1つだと思う。
この世界選手権でステファンやジェフやジョニーといった、今まで日本人のファンからしたら、雲の上にいるようなスター・スケーターに表現力やスケーティングを持って肩を並べたことは日本人ファンとして本当に誇らしく、日本人でも欧米の選手と肩を並べる時代が来たんだ、と、感嘆したものです。
東京ワールドは素晴らしかった。どの国のスケーターにも惜しみなく応援する姿勢は「フィギュアスケートの観客って本当にフェアだな、と感心したものです。本当にみていて気持ちよかったです。思えば、前年の本田さんのNHK杯の演技の後にスタオベするファンを見て、フィギュアスケートファンたるものはこういうもの、という、いい教育を受けてきた気がします。
当時のライバルたちもみんな男子シングルからいなくなってしまった。そして、不思議なことに、その後、彼らは自国のメディアに自分の意思で高橋大輔の魅力を伝えてくれました。競い合ったライバルがサポートする友に変わるなんて、まるでキン肉マンみたい!(古すぎるっ)しかも、彼らもマンガくらいキャラが濃い面々だったし。
つづく
これは予想外のことだった。多くのテレビ局が特集を組み、NHKでは夕方のニュースも夜のニュースもトピックスで最初を飾り、スポーツコーナーでないところで時間を割いていたように思う。
常々、日本のメディアは高橋大輔の功績を理解していないのでは?と思い、たまに書いてみたりしたけれど、引退をここまで大きく扱ったアスリートって本当に数少ないと思う。
さて、昨日はまさか、1シーズンで話を切り上げるとは思いませんでした(笑)
GPFでイケメンだらけでしかも表現も素晴らしい男子フィギュアスケーターを見て、すっかり、男子フィギュアスケートに興味がシフトしました。ちなみに2005年のGPFの表彰台が私の中でベストメンバーです。
トリノ五輪で学んだこと。
それは、どんなにいいプログラムを滑っても、結果を残さなければ人は(日本人の多くは)注目をしないということ。だから、翌年は高橋選手に結果を残して欲しい、と思っていました。
SPはチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト。
昔の感想で「静かな曲」って書いているんですよ。静かなのは出だしだけで、クラッシックの中では相当華やかな曲ですよね。
カナダワールドで織田選手がスタオベされているのを見ていたし、フィギュアスケーターにもっとも人気があるスケート・カナダで高橋選手がいい演技をしてくれるのを期待していたことを思い出します。
オペラ座の怪人は日米対抗もスケートカナダもピンと来なかったのです。シーズン終わってしばらくしてから気がついたのですが、後半のジャンプのタイミングが変わったんですね。NHK杯で修正すると曲とジャンプがマッチして、見違えたプログラムへと変貌しました。
特にNHK杯ではジャッジが高橋選手と織田選手のどちらをエースにするか試すかのように僅差の争いとなりました。昨年のNHK杯から考えて、織田選手優位かと思いきや、クリーンなプログラムで優勝。
高橋選手がアスリートとしての大きな一歩を踏んだ瞬間だった。
全日本では最高の演技で優勝、当時、アメリカではこの全日本の演技を紹介、異例の注目ぶりだった。
世界選手権は東京。街には代表の大きなポスターが貼られ、代表達は皆経験のない注目に大きなプレッシャーを抱えて初の世界選手権のメダル奪取を狙う大会となり、どのスケーターにも大きなチャンスがある大会でした。
私は友人のチケットを譲ってもらって観戦。
今でも忘れられない、ジェフ、ステファン、ジョニー、エヴァン、サンデュ。本当にスター顔の人たちばかり。
高橋選手は3-3で大きくバランスを崩す。
家でテレビを見て分かったんですけど、緊張で顔色が真っ青。足に力が入らないまま演技に入っているのが分かります。そんな緊張の中でも3Aを決めて3Lzへ向かう間の曲想でふわっと手を開きながら、顔を上げる、そんな一瞬の仕草に彼がこの世界選手権までにさらにプログラムをブラッシュアップし、プレッシャーの中でもそんな一瞬を忘れない演技をするのが印象に残りました。本当はこの曲をFSに作り直してソチで滑ってもらいたかったな。
FSの日。会場で氷の上に立つ高橋選手をみて、「あれ?なんか見たことある・・・。真っ黒だけど顔からお腹にかけて白いその姿。アデリー・ペンギンだ!(しかも氷の上だし)」と、会場の中で思っていたのは私だけでしょう。いえ、あの衣装は高橋選手の衣装の中でも大好きな衣装なんです。
オペラ座の怪人は私は会場で音楽に聞き惚れてしまったのですよ。4回転でお手つきで降りた後の美しいストリングスに酔いしれ、緊張を忘れたのですよ。、有名じゃないところをつぎはぎしているプログラムなのに、ぶつ切り感がなく、ファントムの喜怒哀楽が伝わっくる素晴らしいプログラム。私はモロゾフコーチと高橋選手は相思相愛だと感じた。
会場では悪くない演技で終えたのにも関わらず高橋選手は涙。「悪くなかったのに、どうして?」と会場では思ったのですが、テレビで見て、彼が2日間日本のファンからのプレッシャーを背負って戦っていたものから解放された瞬間だったことが分かりました。
3Aから3Lzへ向かうあたりの曲の美しいところで、ふと差し伸べる手と顔の動き。こういうちょっとしたニュアンスを大切にするスケーターは本当に少ないです。
エレガントな音楽表現、怪人の喜怒哀楽を見事に解釈し、作品世界を体現したこの作品はモロゾフ氏本人から「オリンピック・プログラムでないことが残念」と言わしめた、高橋大輔選手の代表プログラムの1つだと思う。
この世界選手権でステファンやジェフやジョニーといった、今まで日本人のファンからしたら、雲の上にいるようなスター・スケーターに表現力やスケーティングを持って肩を並べたことは日本人ファンとして本当に誇らしく、日本人でも欧米の選手と肩を並べる時代が来たんだ、と、感嘆したものです。
東京ワールドは素晴らしかった。どの国のスケーターにも惜しみなく応援する姿勢は「フィギュアスケートの観客って本当にフェアだな、と感心したものです。本当にみていて気持ちよかったです。思えば、前年の本田さんのNHK杯の演技の後にスタオベするファンを見て、フィギュアスケートファンたるものはこういうもの、という、いい教育を受けてきた気がします。
当時のライバルたちもみんな男子シングルからいなくなってしまった。そして、不思議なことに、その後、彼らは自国のメディアに自分の意思で高橋大輔の魅力を伝えてくれました。競い合ったライバルがサポートする友に変わるなんて、まるでキン肉マンみたい!(古すぎるっ)しかも、彼らもマンガくらいキャラが濃い面々だったし。
つづく